映画感想の加筆改訂のお知らせ

にほんブログ村

« 『シノーラ』(1972年) | トップページ | 『アウト・オブ・サイト』(1998年) »

2008.01.29

『ダブル・ジョパディー』(1999年)

この作品はブルース・ベレスフォード監督、アシュレイ・ジャッド、トミー・リー・ジョーンズ、ブルース・グリーンウッド主演の追跡物サスペンスです。
なおこの文はネタバレ全開となっています。
この作品はアシュレイ・ジャッドが出ているサスペンス・アクションらしいので見ました。同じ設定で“誰もが同一の犯罪で二度有罪にはならない”=ダブル・ジョパディーのアイデアを取り入れていた増村保造監督の『大悪党』(68年)並みに面白ければいいのですがと見ました。

1999年 パラマウント アメリカ作品
原題◆Double Jeopardy
スカイパーフェクTV315スター・チャンネルにて。画質はよいです。
プロット ムショ送りにされたことの復讐をするのと子供と再会しようとする2本立ての話しのようです。
音楽 ノーマンド・コーベイル

キャスト
アシュレイ・ジャッド→ムショ送りにされたリジー
ブルース・グリーンウッド→夫のニックでその他2人の名を名乗る。
トミー・リー・ジョーンズ→保護監察官
アナベス・ギッシュ→共犯のアンジー
ジェイ・ブラジア→弁護士のボビー
マイケル・ガストン→警官のカッター
ローマ・マフィア→ムショでのアドバイザー

ブルース・ベレスフォード監督の演出はまあまあだと思います。
パラマウント製作なのですか。私のお気に入りはワーナーかソニー・ピクチャーズなんですが、それでなければアートシアターではない独立系なのです。

全体的に本格的なサスペンスにはなっていないようで脚本の通りに撮りましたという感じで物足りなかった。
アクションシーンも第2斑におまかせといった感じでこちらも物足りず。

映画紹介番組で見たハイライトシーンがつながっているだけのようでした。
この監督さんはドラマ重視のようです。

裁判のシーンはムダのような。もっと省略して話しがあちこち飛ぶのを少なくしたほうがよかったのでは。昔の20世紀フォックスの脚本家ナナリー・ジョンスンに書かせればプロローグだけで仮釈放まで行ってしまいような感じです。
キャラクターがあちこちに移動するのはヒロインがムショを出ていなくなった夫を追うことになってからでいいと思えます。

ニューオーリンズに行ってからですがあまりロケを生かしていないのでは。もったいない。ロケを生かした他の作品が見たくなった。
『暗黒の恐怖』(50年)
『愛のメモリー』(76年)
『キャット・ピープル』1982年版
『タイトロープ』(84年)
『ラジオタウンで恋をして』(90年)
等の感想があります。

ヒロインは手配されていることを親切なバーテンに教えてもらい傘まで貸してもらいます。赤い傘は黒い傘の中では目立ちます。よかったのはここだけか?

アシュレイ・ジャッドは始まってすぐにヌードシーンがあった。あまり意味がなかったりするのでもったいない。こまったものです。シャーリーズ・セロンと並んで簡単にヌードになる女優さん2人といったところ。

アシュレイ・ジャッド扮するヒロインは呼吸が苦しくなる発作があったので何かの伏線なのかと思ったら全く関係ありませんでした。考えすぎて損をした。

ヒロインは20分でムショ送りにされて、33分で仮釈放になっていました。
ムショ暮らしは6年ということのようですが見ててそんな感じがしないのが難です。
ムショ内の描写はあっさりとしたものでした。ここをしつこくすると別ジャンルの女囚物のになってしまいますから描写バランスがなかなか難しいとこです。
ローマ・マフィアは頼りになるキャラがハマっています。男ならビング・レイムズのようなものです。元弁護士でヒロインによからぬアドバイスを与えます。

ヒロインは住所を調べに忍び込んだとこで捕まって護送される途中のフェリーで逃走しますが。ここで手錠をはめられているとこから外すとこはしっかりと見せてもらいたいのですが、これはちゃんとありました。
リボルバーはフェリーの一件で手に入れて。ヒッチハイクで実家の母のとこに行ってトマト畑に隠してあるへそくりを貰っていました。武器に逃走資金とつじつまを合わせています。
調べるのにインターネットを活用していました。バカとハサミは使いよう。バカはインターネットを使っても画像ダウンロードしかしていない。私のことだ。

トミー・リー・ジョーンズ扮する保護監察官は昼間から酒を飲んでる男。
まあまあなステレオタイプでこのキャラをトミー・リー・ジョーンズが演ずるのは少しもったいないような感じがします。サポート専門のもっとベテランの俳優さんの方が合ってるような気がしました。


増村保造監督の大映作品『大悪党』(68年)に、ダブル・ジョパディー=“誰もが同一の犯罪で二度有罪にはならない”のアイデアがあります。使われ方は全然違いますけど。

『大悪党』(68年)では自分を安く売りたくないが信条の緑魔子が扮するヒロインがよりによって佐藤慶扮するヤクザにつかまってひどい目に合います。
そこに田宮二郎扮する悪徳弁護士が登場してヒロインにあまり感心しないアドバイスを与えて機を窺います。
で、またひどい目にあった緑魔子がアドバイスに従って佐藤慶を殺してしまい裁判となりますが悪徳弁護士田宮二郎の現場での小細工と裁判での三百代言で無罪となります。
裁判が終わって佐藤慶が緑魔子に倉石功扮するアイドル歌手の(マネージャーは内田朝雄)相手に美人局のようなことをさせて脅して盗ったカネを山分けとなるとこで緑魔子が「また裁判になるのでは」と心配すると田宮二郎が「大丈夫、同じ罪には問われないんだ」と答えます。→これがダブル・ジョパディー=“誰もが同一の犯罪で二度有罪にはならない”です。
そしたらヒロインの緑魔子がこのカネは私のもので「じゃあなたとはさよならね」という女性自立オチのよい作品でした。正直言って『ダブル・ジョパディー』より『大悪党』の方がずっと面白い。

『大悪党』と『ダブル・ジョパディー』演じるキャラは違いますが俳優だけで比べると・・・
緑魔子とアシュレイ・ジャッド
田宮二郎とブルース・グリーンウッド
佐藤慶とトミー・リー・ジョーンズ
これは『ダブル・ジョパディー』もキャストだけならホトンド互角のではないですか。いいもんだ。ですが互角なのはそれだけで『ダブル・ジョパディー』が勝っているのは製作費だけのようです。

ハイライトシーンは見過ぎてて未見って感じがしなかった。そんなわけでまあまあな作品でした。


« 『シノーラ』(1972年) | トップページ | 『アウト・オブ・サイト』(1998年) »

映画」カテゴリの記事

1990年代」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 『ダブル・ジョパディー』(1999年):

« 『シノーラ』(1972年) | トップページ | 『アウト・オブ・サイト』(1998年) »

月齢

無料ブログはココログ
フォト
2023年9月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

バイクフォト

  • ヤマハ トリッカー XG250
    私が買ったバイクです。ヤマハばかり。