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2007.12.15

『巌窟の野獣』(1939年)

この作品はアルフレッド・ヒッチコック監督、チャールズ・ロートン、モーリン・オハラ、ロバート・ニュートン主演のコスチューム物ドラマです。
なおこの文はネタバレ全開となっています。


1939年 メイフラワー・ピクチャーズ 英国作品
原題◆Jamaica Inn
IVC発売のDVDにて。画質は悪い。
プロット 発狂した治安判事に振り回される話しのようです。
音楽 エリック・フェンビー

キャスト
チャールズ・ロートン→当地の領主/判事のハンフリー・ベンガラン卿
モーリン・オハラ→アイルランドのメアリー
レスリー・バンクス→ジャマイカ亭の主人ジョス
マリー・ネイ→メアリーの叔母ペイシャンス
ロバート・ニュートン→密偵のトレハン
エムリン・ウィリアムズ→手下の若い男ハリー
ホーレス・ホッジス→執事のチャドウィック


アルフレッド・ヒッチコック監督の演出はよいと思います。
珍しく1シーン1ショットぽい演出があったりします。長回しに凝る傾向はこの頃からあったようです。
ミニチュアを使ってます。難破する船、建物全景等。


本『映画術』で言っている、「まだ歩き方が決まっていないんだ云々・・・」
で、チャールズ・ロートンの例の歩き方ですがどこが凝っているのか見ててわかりませんでした。
ヒッチコック監督はチャールズ・ロートンが嫌いなようで、本『映画術』はこき下ろしていました。きっと自分に似ている人が嫌いなのでしょう。

チャールズ・ロートンの御満悦演技全開が見所かもしれません。
それでもこの作品ではロートンの勝手ぶりはそんなに画面には出ていないように見えます。勝手な悪役演技全開の『大時計』(48年)よりマシなのでは。

チャールズ・ロートンはクローズアップ好きなのにラストのマストを後ずさりして登るとこだけはロングでした。これは吹き替えだからです。

ヒッチコック監督は製作のエーリッヒ・ポマーと主演兼製作のチャールズ・ロートンに悩まされて、これが終わったらハリウッドだと思って監督をしていたのでしょう。


ヒッチコック監督は1930~1940年代頃は、現在でいえばボール・パーホーベン監督のような扱いだったのでは・・・
この当時のヒッチコック監督はやたらと下着姿や着替えのシーンを念入りに撮ったりが多いので、下品云々と・・・


キャストで・・・
ヒロインはモーリン・オハラ。初主演作品となっています。
アルフレッド・ヒッチコック監督はモーリン・オハラを使い、ジョン・フォード監督はグレース・ケリーを使う。私の女優を使うんじゃないと揉めた?


ジャマイカが舞台ではありません。英国の地方港が舞台のようです。
時代設定は1819年らしい。
手下の刺青から推定するとこうなります。

この邦題『巌窟の野獣』はわけわからんしイマイチです。公開当時でも古くさいと言われたことでしょう。


タイトル。
モーリン・オハラはイントロデューシングと出ています。
製作はエーリッヒ・ポマー。

前説が入ります。
コーンウォールの海岸云々と・・・

ジャマイカ亭のロングショットです。
これはミニチュアを使用しています。他の判事邸等のロングショットもミニチュアを使用しているようです。

馬が走ってます。伝令らしい。

嵐の夜です。
海岸にて。船が航行中。これはミニチュアのようです。
灯台の灯を隠す男。灯台と言っても松明のようなものです。
座礁する船。
強盗団が押し寄せてきます。荷物や馬を奪います。根こそぎ奪って船員は皆殺しにしています。
船員の生き残りが1人いて、これを片づけにいく男。ナイフで始末して口笛を吹きながら引き上げてきます。
こんな感じで出だしは強烈になっています。

乗り合い馬車が走ってきます。
モーリン・オハラ扮するアイルランドのメアリーが乗っています。
ジャマイカ亭の名を出すと、乗っている人達は顔色を変えています。

ジャマイカ亭では止まらずにかなり通り過ぎたとこで乗り合い馬車から降ろされるメアリー。

ハンフリー・ベンガラン卿の屋敷にて。
客と会食中のチャールズ・ロートン扮する当地の領主/判事のハンフリー・ベンガラン卿が登場します。
執事のチャドウィック。他の召使いがいます。馬担当のサム。ブラック夫人。
食事のお遊びネタは美しい女という言葉から出てきたのはナンシーという馬でした。

そんなとこにメアリーが馬を借りにやって来ます。
出迎えのハンフリー・ベンガラン卿。
ジャマイカ亭には叔母がいるとメアリー。
ハンフリー・ベンガラン卿がメアリーを送って行くことになります。

ジャマイカ亭です。
ハンフリー・ベンガラン卿は戻ります。
怪しい雰囲気のジャマイカ亭です。
乱暴そうな主人に叔母のペイシャンス夫人はと訪ねるメアリー。
この主人が叔母の亭主ジョスでした。

別室には男が大勢います。
例の強盗団らしい。若い男のハリー。これがロックシンガーのプリンスそっくりです。そんなわけないけど本物かと思った。
分け前が少ないと文句が出ています。
手下の刺青から時代設定が1819年とわかります。
手下2ヶ月目のトレハンが荷物の横流しを疑われます。

メアリーから領主ハンフリー・ベンガラン卿のことを聞いて顔色を変える亭主ジョス。ここは一応伏線だったようです。

別室のボスに報告のジョス。
ボスは領主ハンフリー・ベンガラン卿でした。偉そうにして打ち合わせとなります。
見ている人にネタは早めに割ってしまうヒッチコック監督です。これでいいと思えます。

横流しがバレて吊るし上げになっているトレハン。
マジで首つりで吊るされそうになるトレハンです。
ここを天井裏からロープを切って助けるメアリー。
トレハンを逃がします。

トレハンが消えて大騒ぎになります。
叔母はこのままでは危ないとメアリーを逃がします。

外に出たとこで屋根にいたトレハンと合流するメアリーです。
これは偶然です。話しの展開的にはいい。

ハンフリー・ベンガラン卿の屋敷にて。
一々セリフがキザなハンフリー・ベンガラン卿です。チャドウィック執事に当たり散らすとこもあります。これも一応伏線だったようです。
ジャマイカ亭の主人ジョスがやって来ます。「ここには来るな」と言ってるだろうと迷惑そうなハンフリー・ベンガラン卿です。
遁げたトレハンのことで打ち合わせとなります。
ハンフリー・ベンガラン卿は「私は頭脳、手足は取り換えが効く」なんて言ってます。ところでチャールズ・ロートンのセリフはホトンド自分で追加していたそうです。製作兼任なのでやりたい放題です。

海岸の洞穴に隠れているトレハンとメアリー。
ボートが流されてしまいます。これを手下達に発見されます。
そんなわけで見つかります。
手下達が乗り込んで来ます。泳いで逃げるトレハンとメアリー。
メアリーは泳げるようです。わざわざ服を脱がす描写を入れています。これはヒッチコック監督の趣味です。さすが英国の変態監督です。

ハンフリー・ベンガラン卿の屋敷にて。
領民達の納税の席です。話しのわかる領主のハンフリー・ベンガラン卿です。

ここにトレハンとメアリーがやって来ます。
ハンフリー・ベンガラン卿と面会となります。
何喰わぬ顔で応対のハンフリー・ベンガラン卿です。
トレハンですが実は警察の密偵でした。これにはマジでビックリのハンフリー・ベンガラン卿です。
応対中の客は放ったらかしにしておいて打ち合わせとなります。

別室にて。
英国海軍中尉のトレハンでした。
ジョスにはボスがいるとトレハン。それが誰なのかまだ知らないようです。
2人でボスを突き止めようとハンフリー・ベンガラン卿。どうやるのか興味深い。

これをドア越しに聞いてしまうメアリー。

ジャマイカ亭にて。
叔母に知らせに来ているメアリー。
亭主ジョスと揉めているとこにトレハンとハンフリー・ベンガラン卿が来ます。
ハンフリー・ベンガラン卿はそれとなくジョスに合図しているようです。

ボスはいつ来ると待ち伏せにかかるトレハン。
さてハンフリー・ベンガラン卿はどうすると話しは進む。

トレハンがいなくなった隙にハンフリー・ベンガラン卿はジョスと打ち合わせをしています。
今夜を最後の仕事にしてしばらくはほとぼりを冷ますと言ってます。

手下に捕まるトレハン。
ハンフリー・ベンガラン卿もジョスに捕まったことになっています。
トレハンとハンフリー・ベンガラン卿は縛り上げられます。ハンフリー・ベンガラン卿を縛っていたのはジョスです。
2人をジョス夫人のペイシャンスに見張らせます。

ジョスと手下達は最後の仕事で海岸に向かいます。

3人きりとなったとこで縛られていた筈の縄を簡単に解いて正体を表すハンフリー・ベンガラン卿です。
ここも気の利いたセリフをちりばめてやりたい放題演技のチャールズ・ロートンです。
夫人のペイシャンスに見張らせて引き上げるハンフリー・ベンガラン卿。

海岸にて。
仕事にかかるジョスと手下達。メアリーもいます。

ジャマイカ亭にて。
夫人のペイシャンスを説得にかかるトレハン。
説得は成功し縄を解かれてトレハンは警備隊を呼びに行きます。

海岸にて。
メアリーは灯台の灯を上げようとします。

で、船は灯台の灯を見つけて海岸から回避する。
海岸では大騒ぎとなります。メアリーをよこせと手下達。
ジョスはメアリーを馬車に乗せてジャマイカ亭に戻ろうとします。ここでジョスは撃たれます。

ハンフリー・ベンガラン卿の屋敷にて。
高飛びにかかるハンフリー・ベンガラン卿。フランスに行くようです。
召使い達は数年前からハンフリー・ベンガラン卿はおかしくなっていたと会話が入ります。これがオチなのか。

ジャマイカ亭にて。
戻ったメアリーとジョス。
撃たれたジョスを介抱する夫人のペイシャンス。
ボスの名前をメアリーに喋ろうとしたとこで撃たれるペイシャンス。
死に至るペイシャンス。ジョスも同じく。
半分気が触れたらしいハンフリー・ベンガラン卿がいます。それでもセリフ回しは御満悦演技全開です。

さるぐつわに後ろ手に縛られるメアリー。
ここはヒッチコック監督の趣味でしょう。英国の変態監督は違います。

手下達が戻ってきます。
ジョスと夫人が死んでいるのを見て逃げようとするとこに警備隊が入り全員捕まります。
で、ハンフリー・ベンガラン卿を追うトレハン。

港にて。
船室内にて。ハンフリー・ベンガラン卿とメアリー。
到着するトレハン。

警備隊が船に突入します。
マストを後ずさりして登るハンフリー・ベンガラン卿。ここはスタントです。
大見えを切って死に至るハンフリー・ベンガラン卿です。御満悦演技全開です。
この場を去るトレハンとメアリー。

チャドウィック執事が死んだハンフリー・ベンガラン卿の声を聞いてるとこでエンドとなります。何故か超常現象な描写となっています。


そんなわけでチャールズ・ロートンのやりたい放題な御満悦演技はともかく結構面白い作品でした。悪くはない。


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