『ベティ・サイズモア』(2000年)
この作品はニール・ラブート監督、レニー・ゼルウェガー、モーガン・フリーマン主演の風変わりなドラマです。
なおこの文はネタバレ全開となっています。この作品は少し変わったお話ということで見ました。
2000年 グラマシー・ピクチャーズ/ユニバーサル・ピクチャーズ アメリカ作品
原題◆Nurse Betty
スカイパーフェクTV315スター・チャンネルにて。画質はよいです。
プロット ある主婦が正気を失って元に戻る話しのようです。
キャスト
レニー・ゼルウェガー→普通の主婦兼ウエイトレスのベティ
モーガン・フリーマン→職人的犯罪者のチャーリー
クリス・ロック→相棒のウェズリー
ティア・テクサダ→ルームメイトのローサ
クリスピン・グローバー→記者のロイ
プルーイット・テイラー・ビンス→バラード保安官
アーロン・エッカート→ベティの無神経な亭主デル
シーラ・ケリー→デルの愛人のジョイス
キャサリン・ウィルホイト→ベティの友人のスー・アン
ハリエット・サンソム・ハリス→酒場のエレン
グレッグ・キニア→TVドラマのデビッド
エリザベス・ミッチェル→TVドラマのクロエ
アリソン・ジェニー→TVドラマの製作者ライラ
ニール・ラブート監督の演出はまあまあだと思います。
全体的に少し過剰な描写があります。ここがイマイチ。
TVドラマ『愛のすべて』に入れ込むヒロインがレニー・ゼルウェガー扮する普通の主婦兼ウエイトレスのベティは裏物の取引に手を出し欲をかいて殺されてる亭主を見て、ショックを受けて不思議ちゃんと化してかえって生き生きとします。
問題の物は大量のヤクでした。
不思議ちゃんとなったベティは大量のヤクがトランクに入ってるビュイックに乗って街を去る、どこへ行ったかはわからない。
それを黒人コンビがベティをクルマで追うことになります。
この2つのシーンが交互に描写されて話しは進行します。愚痴の多いモーガン・フリーマンと凶暴なクリス・ロックのコンビです。実は二人の関係はとなっていました。殺人を犯したキャラと制裁を受けなくてはいけないとなるのでどんな風にかたをつけるたと見ていたら無難な線で収まりました。
TVの看護婦の姿で病院に乗り込むベティは緊急事態で見よう見まねの治療で病院に雇われることになります。大丈夫なのかいとなります。ここで知り合ってルームメイトになるローサに調べて貰うがTVドラマの成りきりとバレで一悶着あります。
黒人2人のクルマが故障して荒野を歩いたり夜のグランドキャニオンで観光となっています。グランドキャニオンで幻のベティとダンスをするフリーマンがいい。この調子で進行するのかと思ったらそうでもなかったりします。
ベティは偶然が重なってとんとん拍子でことは進みます。
ローサのコネがあってあっというまにパーティーまで至りお目当てのTVスターと知り合います。ランニングタイムの半分でもう会うシーンとなります。見てる方はこの後どうするんだとなります。TVスターを演じるグレッグ・キニアはTVの昼メロが似合いすぎ。こっちの方に転職した方がいいのでは。でも映画の方がいいですか。
取り巻き連中の中のベティの扱いは見てて不快です。
TVの連中はベティのことを女優志願と思い込んでいるという設定。で、当のTVドラマ『愛のすべて』に出されたとこで魔法はとけて平常のベティに戻ってしまいます。だいぶ魅力が落ちたヒロインはそれからどうするんだとなります。
その後に夢からさめたベティのとこに黒人2人が乗り込んで来て、更に間の悪いバラード保安官と記者のロイがやってきて話しを混乱させます。これは面白い設定でした。凶暴なクリス・ロックは実はTVドラマ『愛のすべて』の熱狂的視聴者で録ってあるビデオをみんなで見入ります。
そんなこんなで落ちがあります。
あんなロクデナシ亭主でも一応人間なので殺した人はその代償は支払うことになるわけです。現在の作品は話しの落ちには気を使っているのだと思えます。気を使い過ぎて結局何の話しだったのだ?となることがあるようです。ベティをこれでよかったのかい。ロクデナシというとTVの連中はおとがめ無しなのかと疑問が出てどうもスッキリしない。
ベティはふらふらと危ういバランスを保って話しを進行させていきます。
少しでも変な描写があったら台無しになるので、この方のサスペンスを堪能しました。途中までは何とかなっていましたが無理やりTVドラマに出されるとこでは見てる方がつらくなります。というわけでこの作品は再見は無理で当然DVDは買えません。
劇中TVドラマ『愛のすべて』というのは『ダラス』とか『ER』のパロディのようです。私はTVドラマに入れ込んだことがないので登場キャラがホモでもレズどもどうでもいいじゃないと、入れ込む人達の気持ちがどうもよくわからないとなります。
普通の主婦兼ウエイトレスのベティを演じるレニー・ゼルウェガーは誰かに雰囲気が似ていると思っていましたがようやくわかりました。歌無しのドリス・デイです。美人ではないけど親しみがあるとこが共通しています。私にはそんな感じがします。
職人的犯罪者のチャーリーを演じるモーガン・フリーマンですがやたらと極悪非道なことは出来ないのでは、そんなことをしたら全米黒人地位向上委員会(こんなとこが多分あるでしょう。)から、「フリーマンさん、黒人の模範であるあなたがそんなことをしてはいけません」と苦情が来るのではと思ったりします。
記者のロイを演じるクリスピン・グローバーはまた殺し屋なのかと思ったらそうではなかった。ネイティブ系のキャラでした。結構セリフがあったりします。『チャーリーズ・エンジェル』(2000年)の口数の少ない変態殺し屋でしか見ていないので喋っているクリスピン・グローバーは初めて見ました。
ルームメイトのローサを演じるティア・テクサダはメキシコ系のキャラで同郷の人が相手の時はスペイン語で喋っています。
この作品内で1940年代のたとえで女性は何でも譲りますとがありますが、私はそんな風に思ったことはないので何だかなとなります。
古いのはこの作品の脚本を書いた人の頭の中味ではないのとなる。現実はそうだったのかもしれませんが、私のよく見る1940年代の映画はロマンティック・コメディとフィルム・ノワールばかりなのでそんな女性は出てきませんのでそう思いました。
邦題から実録社会派物の『エリン・ブロコビッチ』(2000年)みたいな話しかと思うと見事に外されます。原題のNurse Bettyが『ベティ・サイズモア』となったのはよくある同時代のヒット作にあやかったものでしょう。こういうのはせこくてあまり好きではないです。
そんなわけで再見はもう結構なまあまあの作品でした。
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