『コピーキャット』(1995年)
この作品はジョン・アミエル監督、シガニー・ウィーバー、ホリー・ハンター主演のシリアルキラー物サスペンスです。
なおこの文はネタバレ全開となっています。
この作品はシガニー・ウィーバー、ホリー・ハンターの2大女優共演で見ました。予備知識は劇場公開TVスポットのみ。これで見てて意外な展開となりました。
1995年 リージェンシー アメリカ作品
原題◆Copycat
パーフェクTV313スターチャンネルにて。画質はまあまあ。
プロット シリアルキラーを追ったり逆に追われたりする話のようです。
音楽 クリストファー・ヤング よくあるバーナード・ハーマン調ではないとこがいい。
キャスト
シガニー・ウィーバー→犯罪心理分析医ヘレン・ハドソン
ホリー・ハンター→殺人課刑事M.J.モナハン
ダーモット・マローニー→M.J.モナハンの相棒ルーベン・ゴーツ
ウィル・パットン→M.J.モナハンの同僚で元恋人らしいニコレッティ
ウィリアム・マクナマラ→コピーキャットな殺人鬼ピーター・フォーリー
ハリー・コニックJr.→ピーター・フォーリーの先生 殺人鬼ダリル・リー・クラム
ジョン・ロスマン→ヘレン・ハドソンの同居人でゲイな人アンディ
ジョン・アミエル監督の演出はよいと思います。
見る前は果たしてジョン・アミエルという聞いたことのない名前の監督が2大女優をコントロール出来るのかというのが見どころでしたがシガニー・ウィーバーもホリー・ハンターも賢明なようでバカな力演がなくてホッとしました。大抵はやたら力演したりどっちが映ってるのが多いか少ないかとなってイマイチな出来になるのが多いのですがこの作品はそうではなかった。
それでもさすがに2人並ぶショットは少なかった。
長身のシガニー・ウィーバー、小柄なホリー・ハンター。
身長の差がありすぎてシリアスな話がコメディになってしまいます。数少ない並ぶとこはきっとホリー・ハンターは台かなんかに乗ってるんでしょう。
2人とも顔のクローズアップ時はソフトフォーカスっぽいのは御愛嬌でいいです。
演出結構上手い。
クローズアップショットの挿み方。カメラは常に移動して、その移動するカメラは付かず離れずといい感じ。会話シーンになるとカメラは動かずに律義に切り返しをやってます。ヒッチコック作品に似た絵はありませんが演出手法はヒッチコックそのものです。絵は似てるが演出は似てない下手くそな監督が多いのでこれは珍しいと思います。
ヒッチコック監督がステディカムを使えたらなと思ったことがあります。
この作品はかなりそれに近い感じです。ヒッチコック監督はカメラが通るためにセットをバラバラになるようにしたり家具等に滑車を付けてすぐどかせるようにしていたそうです。ステディカムがあればそんなことをしないですんだのです。これが元でイングリッド・バーグマンとケンカしたそうですから、ステディカムさえあればケンカしないですんだのにと思えてしまいます。→ケンカしたのは『山羊座のもとに』(49年)です。
『ダーティハリー』(71年)の元ネタのゾディアック事件にも触れてます。
ここのサソリ男がモチーフになってるのかと思ったがそれだけではありませんでした。
この作品は話や絵的には『ダーティハリー』(71年)なんですが演出はヒッチコックタッチといった感じです。これが案外いけてます。
プロローグと同じシークエンスをラストでもまた繰り返すとこ、犯人の腿を刺すシーンなんて『ダーティハリー』(71年)と同じです。
前タイトルはありません。そのため誰が出てるのか分からなかった。
タイトルは1枚のみ入りこれをシーン転換に使用していました。上手いです。同じ使い方の『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』(84年)を思い出しました。
プロローグから強烈でした。TVスポットでおなじみですが。それから13ヶ月後となる。これでシガニー・ウィーバー扮する犯罪心理分析医ヘレン・ハドソンは屋外恐怖症となります。
クルマが坂を下るショットでここはサンフランシスコとわかります。いいショットです。
歌は色々と流れてましたがよくわからん。どこかで聞いたような声だなと『ポリス』だけは分かったけど。使い方はよかった。
メガネに映り込むショットのバリエーションでコンピュータのモニタが映りこんでました。
シリアスな話の中でギャグ1発が入ります。関係ない男が出頭して「私がやりました」の図。何か事件が起こると必ず自称犯人が出てくることがあるそうです。いいですね。→日本ではあまり聞いたことがない。これは報道管制で表ざたになっていないだけかもしれないけど。
屋外恐怖症の犯罪心理分析医ヘレン・ハドソンは発作が起りそうになると歴代大統領の名を唱えてパニック状態にならないようにする図は何だかブラックでいいです。
ラストで頭を撃ち抜かれた死体が持ってるハンドガンを蹴飛ばすとこはハードボイルドでよいです
私はシガニー・ウィーバーの作品は『エイリアン』シリーズしか見ていませんでした。他にも見てるような気がしてたんですが。
→『エイリアン』(79年)、『エイリアン4』(97年)
ホリー・ハンターはM.J.と呼ばれてます。何だかジャンヌ・モローに似てきたような。口元なんて似てます。年をとってもキュートな感じでいいです。
上役に犯罪心理分析医ヘレン・ハドソンには「協力してはいかん」と言われ「わかりました」と返事はするが、次のシーンでは協力してる図はルーティンな描写ですがいい感じです。こういうのは好きだな。
ホリー・ハンターの作品は『赤ちゃん泥棒』(87年)と『ピアノレッスン』(93年)等を見てます。どちらかと言えばアートシアター物な『ピアノレッスン』より、カメラが動き回るオフビート・コメディの『赤ちゃん泥棒』の方が好みです。
ホリー・ハンターの相棒にケイリー・グラントみたいないい男が出てて誰なんだろうと思って見てました。ルックス的にはピークを過ぎた主演女優2人の代わりにいい男を出してるのかと思ったくらいです。
それで2大女優相手に堂々と三角関係を演じてしまいます。ですが、あえなく死に至る。助けに来るキャラだから最後まで残してたら主演2人がかすんでいたでしょう。→ダーモット・マローニーはいい男です。主演2人よりルックスがいい。誰が主役かということでああなったのかな。死ぬのはウィル・パットンの方でよかったのに。
『ベスト・フレンズ・ウェディング』(97年)に出てるのでダーモット・マローニーだけででも見たくなります。この作品で2大女優の相手をしてるのでジュリア・ロバーツやキャメロン・ディアスの相手なんて軽いものでしょう。
使いづらいハリー・コニックJr.の処理もいいです。
見る前はハリー・コニックJr.の私は歌だけではなく演技も出来るとのシナトラ演技を延々と見せられるのかと敬遠してましたが実際見れば違いました。出てるのはプロローグだけで後は姿を見せずにレッドへリングなキャラになってて次に姿を見せる時は刑務所の中でした。それで最後には花を持たせてます。これならハリー・コニックJr.も満足でしょう。
ですから特別出演みたいなものでした。TVスポットしか見ていない私はハリー・コニックJr.がコピーキャットだと思ってましたが違いました。コピーキャットは別人でハリー・コニックJr.を先生と崇めてるウィリアム・マクナマラが務めてました。
そういえばハリー・コニックJr.がコピーキャット役を演じるわけないか。演じてるのはにコピーキャットにとってキリスト様のようなキャラでした。一種の儲け役でしょう。
これは佳作です。2大女優共演や使いづらい俳優の制約をプラスに転化出来るとこも○です。
この監督は上手い。注目に値する腕前の持ち主です。もうキャリア終盤で多くは望めないブライアン・デ・パルマ監督から乗り換えようかと思うくらいです。これが意外な展開でした。→その後のジョン・アミエル監督ですが作品は多くないし、あまりいい作品はなかった。惜しいことです。
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