『兵隊やくざ』(1965年)
この作品は増村保造監督、勝新太郎、田村高廣主演の軍隊物戦争ドラマです。
なおこの文はネタバレ全開となっています。
1965年 大映 日本作品
パーフェクTV310衛星劇場にて。画質はよいです。モノクロの絵がきれい。
プロット くそ軍隊からおさらばする話しのようです。
音楽 山本直純
キャスト
勝新太郎→札付きの大宮貴三郎
田村高廣→退役したい有田上等兵
滝瑛子→みどり
淡路恵子→慰安婦の音丸
成田三樹夫→嫌味な憲兵
北城寿太郎→拳闘部上がりの黒金伍長
早川雄三→炊事兵の親玉 石上軍曹
仲村隆→阿部軍曹
藤山浩二→白井上等兵
夏木章→衛兵司令
蛍雪太朗→木下一等兵
森矢雄二→初年の野木二等兵
渡辺鉄弥→八束二等兵
九段五郎→炊事兵
内田朝雄→中沢准尉
山茶花究→桃中軒梅竜
佐藤八郎→衛兵
村田扶実子→おくま
谷謙一→「いろは」の用心棒
原田詃→機関士
佐山真次→助手
網中一郎→中隊長
増村保造監督の演出はよいと思います。
乾いた感じの歯切れのいい話し運びとなっています。得難い個性だったと過去形になります。もうこんな監督はいない。
ワイドスクリーンらしい人物を左右どちらかに寄せて空間を生かした構図があります。
「馬鹿な将校いると下の兵隊が苦労する」の戦争映画定番のロジックがここでもありました。いつの時代でもどこの国でも同じようです。
最前線ではない平時の軍隊の戦争映画。
平時の日本軍の風景。毎回思うのは、いつ戦争をしている?です。平時の軍隊だからか。
階級をかさにいじめ放題。
軍隊の幹部は下請け業者から賄賂を取り放題。
あまり現在と変わっていないような。程度はかなり悪化しているようですけど。
昭和18年=1943年の満州が舞台です。
旧日本軍 関東軍内のドラマとなっています。
勝新太郎扮する札付きの大宮貴三郎が入隊してきて一騒動となります。
田村高廣扮する有田上等兵が面倒をみることになります。
さっそく風呂場でアクションはなります。
勝新太郎のアクションが凄い。
他にも結構アクションシーンが多い。
北城寿太郎扮する拳闘部上がりの黒金伍長と一悶着あります。
大宮貴三郎が誰それの仇だと黒金伍長の指を折るシーンがあった。リドリー・スコット監督のカルトなSFドラマ『ブレードランナー最終版』(82/92年)にあった描写です。このような描写がすでにあったんだと感心する。
行軍の訓練があります。
訓練のための訓練です。余計なことを考えないように余計なことをやらないようにと時間と体力を奪うのが目的なようです。今と同じじゃん。
大宮貴三郎はこれが苦手でヘロヘロになっています。
今度は黒金伍長にお礼参りされる有田上等兵。ボコボコにされます。
ここはやられた方がいいと判断しているようです。何事も無事に退役するのが目的なのです。
女を買いに抜け出す大宮貴三郎。
ようやく見つける有田上等兵。しょうがない男だなとなります。
兵役を無事に終えて退役するの有田上等兵の予定でした。
これがあっさりとダメになります。権力側がルールを変えたのです。絶望する有田。
戦場で餓死か病死か軍隊内暴力かで死ぬまで兵隊のままです。普通に戦死する方が確率が低そうな感じ。
早川雄三扮する炊事兵の親玉 石上軍曹は殴りあいとなる大宮貴三郎。
ここは結構壮絶なアクションとなっています。
その後、何だかんだあって、くそ軍隊から脱走する有田上等兵と大宮貴三郎。
移動の汽車を使って脱走となります。ついでに憲兵を一発殴る大宮貴三郎です。
この辺になると大宮貴三郎が主導権をとっています。「軍隊を出たらお前がボスだ」という感じの有田のセリフがいい。
鮮やかに立場が逆転する。このラストがいい。だからといって上下関係になったわけでないとこがまたいいのです。
そんなわけでこれを見れば軍隊が心底嫌になるよい作品でした。
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