『ヒッチ・ハイカー』(1953年)
この作品はアイダ・ルピノ監督、エドモンド・オブライエン、フランク・ラブジョイ、ウィリアム・タルマン主演のヒッチハイク物フィルム・ノワールのようです。
なおこの文はネタバレ全開となっています。
1953年 The Filmakers (present)/RKOラジオ・ピクチャーズ アメリカ作品
ランニング・タイム◆71分
原題◆The Hitch-Hiker
プロット◆ヒッチハイク殺人鬼にヒッチハイクされて悪戦苦闘する話しのようです。
音楽◆リース・スティーヴンス
キャスト
エドモンド・オブライエン→修理工のロイ・コリンズ
フランク・ラブジョイ→製図工のギルバート・ボーエン
ウィリアム・タルマン→ヒッチハイク殺人鬼のマイヤーズ
女優出身の異色監督アイダ・ルピノのフィルム・ノワールで見ました。
この作品は未公開です。
アイダ・ルピノ監督の演出はよいと思います。
全体的に無難にまとめています。
細面の美人女優が何故このような話しを監督するのかよくわかりません
何だか男が監督したのと変わらない感じがします。ここのとこが他の女流監督とは違うような妙な作品でした。悪くはない。
アソシエイト・プロデューサーに『遊星よりの物体X』(1951年)の名義上の監督だったクリスチャン・ナイビーの名がありました。こういうとこにも関係があったようです。
アイダ・ルピノは1940年代のスターです。
1番有名な作品はハンフリー・ボガート主演のフィルム・ノワール『ハイ・シェラ』(1941年)のヒロインでしょう。
エドモンド・オブライとエンフランク・ラブジョイの主人公の2人。
釣りに行くと言って出発したけどメキシコに行くとは言ってないことになっていました。
メキシコには魚ではなくて違う物を釣りに行く積もりだったようです。
ランニングタイムは71分しかないので話しは早く進行します。
すぐに殺人鬼がヒッチハイクで乗り込んで主人公2人にリボルバーを突きつけてきます。
主役コンビ2人のエドモンド・オブライエンに空き缶を持たせてフランク・ラブジョイにその空き缶を撃たせる図。ここはかなりのサスペンスがありました。
殺人鬼マイヤーズはリボルバーをポケットに隠して主役コンビ2人に食料を買わせる時は挙動不審もいいとこでした。
何しろ殺人鬼マイヤーズはメキシコの言葉がサッパリでスペイン語を使わないで買物しろと無理を言います。これではかえって目立ってしまいます。
自分は特別だと思っている殺人鬼マイヤーズ。
不幸な身の上話しに、身体的障害の閉じない右目。このせいで犯罪に走ったと自分を正当化しています。そしてお前らは腰抜けだと人質になった主役コンビ2人をあざ笑います。1953年当時にしてはかなり強烈なキャラクターです。
ホントにリアルにすればカマを掘られる描写があるはずですが、さすがにこれは無理だったのでしょう。規制をかいくぐってもヘタにやれば見るに堪えなくなるので現在だって無理だと思えます。
警察の捜査活動も一応やっていることになっていますが、結局偶然に目撃者からの通報で事件は解決へと至ります。
あっけなく魔法のように解放される主役コンビ2人です。安易なオチには見えず。アイロニーが効いてるように見えます。
株式会社ブロードウェイ発売のDVDにて。
画質は普通です。結構いい。
スクイーズ収録のフル表示。
画面サイズはスタンダード。左右に黒味あり。
音声はドルビーデジタル2.0ch
ブロードウェイのタイトル
著作権のアラート
タイトル
An RKO Radio Picture
anが付くとピクチャーズにならない。
前説字幕
これは実際に起きた男と銃と車の物語。
その銃は男のもので車はあなたか若い男女の物かもしれない。
これから始まる70分はあなたの身にもおこりうること。
何故ならこれは現実なのだ・・・
The Filmakers (present)
The Hitch-Hiker
starring
Edmond O'Brien
Frank Lovejoy
William Talman
with
他のキャスト
スタッフの紹介
association producer がクリスチャン・ナイビー
2650 400のクルマがヒッチハイカーを乗せる。
さっそくやられてます。
タイトルバックでもう1台やられてます。
2650 400のクルマにフラッシュライトが迫る。
これは保安官でした。クルマが発見されます。
新聞の見出しです。
男女の他殺体を発見。ヒッチハイク殺人鬼を全国へ指名手配。
ヒッチハイク殺人の容疑者は前科者のマイヤーズ。
ヒッチハイクです。
またマイヤーズがクルマに乗り込む。
速攻でオッサン1人がやられてます。絵に描いたような連続殺人鬼です。
走行中のクルマにて。
オッサン2人が登場。主人公の2人です。
エドモンド・オブライエン扮するロイ・コリンズ 修理工
フランク・ラブジョイ扮するギルバート・ボーエン 製図工
釣りに行こうとか飲みに行こうと話してます。アメリカからメキシコに遊びに行く。
メヒカリに飲みに行くようです。クルマで飲みに行くのか。たいしたものです。
運転してるのがロイ、寝てるのてギル。
殺人鬼マイヤーズはヒッチハイクをする。クルマが故障中といった感じ。
そんなとこに通りがかったとロイとギルのクルマが止まり乗せてしまう。
ロイはサンフェリペでガソリンを買って戻れと言う。
さっそくリボルバーを出すマイヤーズ。クルマをハイジャックします。
エメット・マイヤーズと名乗ってます。そうなるとそのうちに殺される・・。
脇道に入って止めろと命じるマイヤーズ。
グローブボックスには22口径ロングライフル実包の箱があります。
そうなると狩猟用なのか?となります。
マイヤーズはとにかく指示が細かい。
まずは財布を奪います。
トラックを開けさせる。
中にはポンプアクションの22口径ライフル銃があります。
これはアメリカでは女子供が使う銃だと言われてる。男は銃に興味がない人が使う
またクルマを走らせるマイヤーズ。
名前を言わせてます。
ギルバート・ボーエン 製図工
ロイ・コリンズ 修理工
クルマが揺れた拍子にリボルバーを空撃ちしたマイヤーズ。
肝を冷やしたギルに運がよかったなとあざ笑う。
それから脇道を延々と走ってます。
検問所にて。
ここはアッサリとスルーしてます。
走行中のクルマにて。
サンドイッチを食ってるマイヤーズ。
目的地に着いたらクルマを売るとか言ってます。
GSにて。
マイヤーズの指示通りに地図をゲットします。
マイヤーズはまた脇道に入れクルマを止めさせます。
ボンネットに地図を広げる。
サンタロザリアを目的地にしてます。そこまでは800km。金曜にフェリーが出る。
そこでお前ら不要だと言うマイヤーズ。
リボルバーでウサギを撃つマイヤーズ。外れます。
そうなるとロイに缶を置かせて撃つマイヤーズ。
10mぐらいの距離に置いて瞬間に撃つ。当たりです。結構いい腕前。
ポンプアクションのライフル銃を出すマイヤーズ。
これをギルに撃たせます。置かれた缶を撃ち抜くギル。腕前はいい。
今度はロイに持たせた缶を撃つように命じるマイヤーズ。
これはプレッシャーがかかります。それでも何とか当てるギル。
遊びは終わりだとマイヤーズ。
クルマで移動中です。
ラジオを付けろと命じるマイヤーズ。
英語のニュースを受信させます。
カンザス州の殺人鬼エメット・マイヤーズを手配中。
オレゴンのヒッチハイクした被害者の死体がカリフォルニアで発見されたようです。
ラジオ局にて。
サム・ヘイズがニュースを読み上げる。
それから捜査活動のモンタージュが入ります。
右のまぶたが半分マヒしてるマイヤーズ。
クルマで移動中です。夜です。
ここで野宿すると命じるマイヤーズ。
毛布に包まれてホントに寝るだけの格好になってるロイとギル。何だかおかしい。
マイヤーズはいつでも殺せるぜと脅かす。右目は閉じない。いつでも見ている。
溶暗です。
クルマで移動中です。昼、町にて。
食料品店には入る3人。異様な雰囲気になってます。
缶詰めを多めに買ってるけどマイヤーズは文句は言わない。
女の子がマイヤーズに絡む。ギルが離します。
マイヤーズはメキシコの公用語スペイン語はわからない。
クルマのナンバーはエルセントラです。
その辺のオッサンからエルセントラからかいと言われても無視してる。
クルマで移動中です。
ずっと脇道を走ってます。
また野宿になってます。
ギルの腕時計を取り上げるマイヤーズ。
オレは17歳の時に腕時計を盗んだと自慢する。
それからお前達は甘いと説教します。
逆にロイは銃を向けられたことはあるのか?と聞く。
ないと答えるマイヤーズ。そうなると銃を向ける専門らしい。
ラジオを聞くためクルマに入るマイヤーズ。
この隙に相談するロイとギル。
こっちからやっつけようとやる気満々のロイ。
ラジオのニュースによるとジョンソンのクルマが出たとか。
マイヤーズの足取りが割れた。
チョコレートマウンテンズに行くと言ってたロイとギル。
実はメキシコに来ていました。そんなわけで消息不明です。
チョコレートマウンテンズはアリゾナの町でした。
何が目当てなのかとしつこく聞くマイヤーズ。2人をあざ笑う。
クルマで移動中です。
道路のへこみでゆれた弾みでクラクションが鳴りっぱなしになる。
クルマを止めてクラクションの電源ケーブルを切ります。ようやく切れた。
通りすがりのオッサンとロバはそのまま通り過ぎる。
今度はラジオが故障したともめてます。
わざと壊したなとロイを殴るマイヤーズ。ギルは電波状態が悪いと主張する。
メキシコの警察にて。
地元警察のオッサンとアメリカ捜査官。
3人のアメリカ人が食料店に来た。コリンズとボーエンが一緒のようだ。
幹線道路を避けて南に向かっている。
オッサンはサンタロザリアに行くのでは?と推測してます。フェリーで対岸に向かう。
3人は昼間のキャンプになってます。
遠くにクルマが通りがかる。おそらくパトカー。伏せて隠れる3人。
クルマは通り過ぎる。
クルマで移動中です。
いきなりパンクです。とりあえず止まります。
激怒したマイヤーズは早くタイヤ交換をしろと命じる。
ロイは修理工なので作業は軽く出来るはず。
そんなとこにクルマが迫る。普通のメキシコ人カップルです。
メキシコ人が話しかけても無視するロイとギル。マイヤーズは隠れてリボルバーを向けているからそうなる。
そんなわけでメキシコ人カップルは行ってしまう。
ラジオニュースです。
ボーエンとコリンズは殺人鬼と一緒のようで捜査活動をしている・・・
捜査活動のモンタージュが入ります。
検問所にて。
先ほどのメキシコ人カップルのクルマがやって来ます。
警官に誰か見ませんでしたか?と聞かれそのまま答えてます。
緑色のクルマを見た。男が2人がタイヤ交換。話しかけても反応無し。
マイヤーズの写真を見せるが知りませんのこと。
場所はここから10キロ・・・
警官がパトカーで向かいます。1人で大丈夫なのか?
現場にて。
パトカーが到着します。
緑色のクルマはいない。タイヤの跡はある。オイル漏れの跡もあります。
パトカーは戻ります。無線がないので戻るしかない。
溶暗になります。
夜、クルマで移動中です。
止まってます。どうやら閉店したガソリンスタンドのようです。
手回し給油ポンプには鎖が巻かれてロックしてあります。
マイヤーズの命令で鎖を外して給油するロイとギル。
ギルは結婚指輪を外して給油ポンプに置く。
犬が鳴いてるでマイヤーズを犬を撃つ。
溶暗になります。
翌日、ガソリンスタンドにて。
主人のオッサンと警官。
犬はどうでもいいすけどガソリンを盗まれたと言ってる主人。これはひどいな。
で、結婚指輪を警官に見せてます。
モリー&ギルバート・ボーエン 1941年
これは大変となってる警官。
警察にて。
メキシコの警察とアメリカの捜査官。
警察は捜査官に説明する。
捜査官はニセの情報をラジオで流す作戦を提案する。
夜、クルマで移動中です。
使われていない滑走路に出ました。この辺で野宿する。
ロイとギル。
今夜やると主張するロイ。止めてるギル。
何だかマイヤーズに感づかれているような感じ。
寝てる3人。
ロイとギルはマイヤーズが寝てると判断して脱走します。
マイヤーズの右目が半分開いてるけど・・・
ゴロゴロと転がって移動するロイとギル。見た目を悪いけど必死です。
マイヤーズは左目が開いて気がつきます。これは大変。
滑走路にて。
ここに出たロイとギル。横切ろうとします。
しかしロイが滑走路の鉄輪に足を引っかけて動けなくなる。
ギルも逃げるに逃げられない。
そんなとこにマイヤーズがクルマで突っ込んできます。
ギリギリで止めるマイヤーズ。そんなわけでまた捕まる2人。
とりあえず殺されることはないみたい。
溶暗になります。
昼、クルマで移動中です。
クルマを止める。井戸があります。
ロイの方はぶち切れ気味。殺すなら早く殺せと言う。
ギルはまだ冷静。
缶詰めを持ってこいから食事になってます。
2人にタバコを投げてよこすマイヤーズ。
ギルは受け取るがロイは次の奴にやってくれと投げ返す。
ラジオニュースが聞こえてます。
これが作戦通りの偽情報です。
コリンズとボーエンはマイヤーズとは無関係。釣り旅行に出かけた。
マイヤーズは単独で逃亡中。サンタロザリア行きは可能性が低い。
絵に描いたような偽情報です。
マイヤーズはこの偽情報を信じたようです。
で、釣りに行こうと言い出す。
ロイはクルマのオイル漏れを指摘する。エンジンに穴が開いてるのさ。
それなら歩くとマイヤーズ。
そうなると足首を痛めてるロイには難行苦行となる。
徒歩で移動中です。
釣り道具を持ってるロイとギル。22口径ライフル銃を持ってるマイヤーズ。
そんとこにヘリコプターが来ます。しかしアッサリといなくなる。
足手まといのロイを置いてくつもりのマイヤーズ。
ギルがロイを励ましてまた歩く。
このへんは乾いた湖みたいのところです。
岩山にて。
軽飛行機が接近してきます。
ロイが必死こいて助けを求める。しかし軽飛行機は行ってしまった。
これを余裕こいて見ているマイヤーズ。
心底ガックリして号泣するロイ。
遠くにパトカーが走ってます。
岩山から伺う3人。
パトカーはそのまま通過してしまった。
背が高い草が生えてるところです。湿地みたい。
ロイはいよいよ歩くのが大変になってます。
橋の下に隠れる3人。
ジープが通過しています。アメリカ兵です。
一休みとなります。
マイヤーズはロイと服を交換させる。
ロイを自分の身代わりにするつもりです。
野宿にて。
すぐに起きて徒歩で移動となります。
パトカーが移動中です。それだけ。
3人は町に接近してます。どうやらサンタロザリアらしい。
サンタロザリアにて。
酒場に入る3人。
主人にグアイマス行きのフェリーについて聞きます。
火曜と金曜の9時。しかしフェリーは火災で当分出港出来ないとのこと。
これがスペイン語なので納得出来ないマイヤーズは英語が出来る奴を呼べとなる。
英語が出来る主人の従兄弟ホセが相手をします。
フェリーは燃えてあと2ヶ月は乗れない。同じです。情報はホントでした。
友達のハイメがボートを持ってる。
カネを積んでポートを雇います。夜は出ないのをカネを積んで出すようにする。
ボートの名前はエストレラ。
海岸の岩場にて。
ここで夜まで待つ段取りみたい。
22口径ライフル銃を海に捨てるマイヤーズ。
釣りでもやるかと言ってる。また2人を間抜け呼ばわりする。
オレは1人でグアイマスに行くと言うマイヤーズ。
またぶち切れてるロイ。お前は臭いから始まります。
町にて。店です。
ホセは買物をして手配書を見る。マイヤーズが出てるのを見てビックリ。
この店の主人にマイヤーズはボートで逃げるつもりだ通報してくれと言うが信じて貰えない。
しょうがないので自分で通報してるホセ。
溶暗になります。
夜、桟橋にて。
いよいよボートに接近してます。猫が歩いていたりします。黒猫ではない。
ロイを先に歩かせるマイヤーズ。上手くいけば身代わりになる。
何だかリボルバーが見えてます。どうやら警察が張り込んでいるみたい。
いきなり警察から撃ってきます。オレは別人だと叫ぶロイ。
この隙にギルがマイヤーズのリボルバーは叩き落として格闘アクションになります。
ようやく捕まって手錠をかけられるマイヤーズ。
マイヤーズはこの状況が信じられないようです。こんなシーンはめったに見れない。
ホッとしたロイはマイヤーズに殴りかかり止められる。
英語の話せる警官から事情聴取がありますと言われるロイとギル。
ようやく助かったとなってます。
溶暗からエンドとなります。
最後のタイトルはRKO Radio Picturesと出ています。
anが付くと複数形のPicturesではなくなるわけです。ようやく気がついた。
そんなわけで無難にまとめてあるフィルム・ノワールのよい作品でした。
本『フィルム・ノワールの光と影』によると『ヒッチャー』(1985年)のオリジナルとなっていますが・・・
『ヒッチャー』(1985年)は見てますがどこが同じなんだ?ヒッチハイク殺人鬼が出てるだけで後は全然別の話しのように思えますが。まあそういうことにしておきましょう。
にほんブログ村に参加しています。気が向いたらクリックをお願いします。
にほんブログ村
« 『拳銃魔』(1949年) | トップページ | 『パプリカ』(2006年) »
「映画」カテゴリの記事
- 『彼らは忘れない』(1937年)(2022.02.27)
- 『ギャングを狙う男』(1953年)(2022.02.26)
- 『ブラック・リッジ』(2020年)(2022.02.20)
- 『フローズン・ストーム』(2020年)(2022.02.19)
- 『私は逃亡者』(1947年)(2022.02.13)
「1950年代」カテゴリの記事
- 『ギャングを狙う男』(1953年)(2022.02.26)
- 『復讐鬼』(1950年)(2022.02.12)
- 『地獄の対決』(1953年)(2022.01.01)
- 『明日なき男』(1950年)(2021.12.18)
- 『シカゴ・コーリング』(1951年)(2021.11.20)
コメント