『マデリーン 愛の旅路』(1949年)
この作品はデビッド・リーン監督、アン・トッド主演のメロドラマのようなサスペンスです。
なおこの文はネタバレ全開となっています。
アン・トッド主演で見ました。『パラダイン夫人の恋』(47年)にアン・トッドが出ていて、この人の主演作がないかなと思ってたらこの作品がありました。
1949年 銅鑼のタイトルはアーサー・ランク・プロの英国作品
原題◆Madeleine
プロット 悪い男に引っ掛かる話のようです。
スカイパーフェクTV315スターチャンネルにて。画質はよいです。モノクロのコントラストのきいた絵はとてもきれいです。
音楽 ウィリアム・アルウィン
キャスト
アン・トッド→ヒロインのマデリーン・スミス
ノーマン・ウーランド →結果的には退場するミノク氏
イバン・デスニー→逢いびきの男エミール
エリザベス・セラーズ→メイドのクリスティナ・ハガート
スーザン・ストランクス→子役のジャネット
ユージン・デッカーズ→フランス人のトゥオー
デビッド・リーン監督の演出はよいと思います。
グラスゴーが舞台になってて回想になっています。19世紀の英国、ガス灯の時代です。
最初はメロドラマで途中から毒殺サスペンスになって最後は法廷ドラマとなります。これは豪華な進行となっていていい感じです。
で、半地下の寝室で窓に面した道路から足音がすれば逢いびきの合図となります。
逢いびきのシーンでは省略していますが、間接描写でもう特別な関係をしたことをハッキリと暗示させています。これは当時にしては大胆でいいです。イブニングドレス姿でそうなっているらしいからまた大胆でいいのです。
男が地位とカネ狙いとわかり別れようとするヒロイン。
そうはいかないと男は家に押し掛けてきます。男は貰った鍵で外から入りこもうとします。ヒロインはドアの中からドアチェーンをかけると攻防がありました。19世紀で もうドアチェーンがあるとは進んでるというか犯罪都市なのかというか微妙なとこです。
当時は関係した男女は手紙でやり取りしてたのでそれらが全部証拠になってしまいます。現在だって携帯電話での通話記録が残りますけど。
これは残酷なカットバックがあります。
ウェディングドレスの仮縫いとヒロインが逮捕される決定的なことを告げにきたとこをカットバックで描写してました。不快ではなく洗練されてるのがいいとこです。
ここで手前から奥までピントが合うパンフォーカスが使われてていました。
ヒロインが被告の法廷ドラマになります。
このディテール描写もなかなかのものです。
短く入れられる証拠品のクローズアップショット。証人の証言はフラッシュバックで顔のアップで短く入れられます。とちらも効果的でした。
法廷の傍聴席には絵書きがいました。カメラが禁止されているのではなくまだカメラがなかったからです。てことは当時はカメラは持ち込めたのと同じことなのかな。
法廷の傍聴席はぎっしり満員で、外にも人だかりが一杯となっています。英国はこのころからスキャンダルは大好きなようです。階級社会なのもポイントかもしれないけど。
で、無罪でも有罪でもない証拠不十分で釈放となります。本編の中でもハッキリは毒(ヒ素)を入れたとこは描写されていません。両方とも曖昧なままでした。余韻をもたせています。
アン・トッドはイブニングドレス姿が素敵です。何種類ものドレス姿を見せてくれます。
アン・トッドは『パラダイン夫人の恋』で初めて見ました。
で、この作品を見れば話の展開は『パラダイン夫人の恋』とホトンド同じでした。これにはビックリ。出来の方は『パラダイン夫人の恋』より全然よかったりします。これにもビックリ。この時点ではデビッド・リーン監督はアルフレッド・ヒッチコック監督よりいい腕前で評価も高かったのでしょう。
デビッド・リーン監督の演出は文句が出ない。大作なんか撮らずにこのくらいの作品を多く撮っていたほうがいいと思えました。
デビッド・リーン監督作品といえば有名な『アラビアのロレンス』(62年)は見ています。私は今回のこの作品の方がよかったけど。
『アラビアのロレンス』から私はピーター・オトゥール本人がバイク事故で死んでたと長い間思い込んでいました。『アラビアのロレンス』以降のピーター・オトゥールが出てる作品を見ててもそう思っていました。私にはよくある勘違いです。
そんなわけでアン・トッドを見ているだけよかった作品でした。これは佳作です。
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