『間諜最後の日』(1936年)
この作品はアルフレッド・ヒッチコック監督、ジョン・ギールグッド、マデリン・キャロル主演のスパイ・サスペンスです。
なおこの文はネタバレ全開となっています。
1936年 ゴーモン・ブリティッシュ 英国作品
原題◆The Secret Agent
DVDにて。画質は悪い。字幕はオンオフ不可仕様。
プロット雇われ殺し屋の仕事に嫌気がさす話しのようです。
音楽 ルイス・レヴィ
キャスト
ジョン・ギールグッド→雇われたブロディ=アシェンデン
マデリン・キャロル→雇われ夫人のエルサ
ピーター・ローレ→自称将軍のエージェント
ロバート・ヤング→人当たりのいいマーヴィン
パーシー・マーモント→間違いだったケイパー
フローレンス・カーン→ケイパー夫人
チャールズ・カーソン→英国諜報関係のボスR
アルフレッド・ヒッチコック監督の演出はよいと思います。
この作品を見る前に気になったポイントがありました。
昔、TVで見たような記憶があります。で、チョコレート、望遠鏡、犬。これは全部外れました。ホントに何か見た覚えがあるんですが。
チョコレートはここでは板チョコですが私の記憶ではアーモンドのように1つ1つ包んである設定でしたし、望遠鏡は何だか記憶が怪しくなっているし、犬を全く関係ないようです。ホントに何か記憶があるんです。こまったもんだ。要するに符号はあるんですが全く関係ないということのようです。
で、見ましたら、また記憶がある設定がありました。洋服のボタンが取れる設定がまた何か見覚えがあるのです。このボタンに何か見覚えがあったりして、ホント不思議な気分になります。
ミニチュア大会となっています。
空襲シーンから始まってチョコ工場に得意の列車とか。色々と揃えています。特に列車脱線のシークエンスは『ゴジラ』(54年)を筆頭に編集の仕方が円谷英二特技監督に引用されています。
スクリーンプロセスで戦闘機が襲って来ます。アルフレッド・ヒッチコック監督はこの手法が好きなようです。というよりこれしかなかったみたいですけど。
それにしても英国時代のアルフレッド・ヒッチコック監督はクライマックスに列車のシークエンスをよく持ってきます。何でだろ?
正直なとこ前置きがやけに長く感じられました。
キャストが多すぎて見てて誰が誰だかよくわかりませんでした。こまったものです。
これは凄いシークエンス。山での殺人のシークエンス。
サウンドトラックは一本でショットがカットバックする手法です。サム・ペキンパー監督オリジナルの手法だと思っていたらアルフレッド・ヒッチコック監督がやっていたんです。
望遠鏡で見ているショット、犬が吠えるショット、突き落とすショット(これはオフショットでした)と3ヶ所(と記憶している)カットバックにサウンドトラックは犬の吠え声だけで処理していました。これは正直感心しました。上手いじゃん。
マデリン・キャロルはヒッチコック作品の2作目です。ヒッチコック監督のお気に入りの女優さんです。きれいでよい感じ。
マデリーン・キャロルがカジノで着ているドレスのデザインは『泥棒成金』(55年)でのグレース・ケリーが着ていたドレスに受け継がれているようです。なるほど映画作家てのは執念深いようです。まあ凄いものです。
押井守監督が『御先祖様万々歳!』(89年)キャラデザインやカラーデザインの同じ使い方を『機動警察パトレイバー2』(93年)でやっていたのを思い出します。
で、列車脱線でキャロルも無傷ではなく額から血を流しているショットは何かよく?見えたりします。これもアルフレッド・ヒッチコック監督の趣味なんでしょう。
ジョン・ギールグッドは少し渋過ぎるようです。悪くはないけど。
IMDbのキャスト表を見てわかりましたが、トム・ヘルモア、マイケル・レッドグレイブ、マイケル・レニーが出ていたのか。全然わかりませんでした。
それにリリー・パーマーも出ていたの。全然わかりませんでした。
プロローグ。
1916年05月10日 カーゾン街84番地。
葬式が行われています。誰の?→死んだのはブロディなる人物。
片腕の男が意味あり気に行動しています。人が帰ったあとで空の棺桶を片づけています。ここは別に伏線ではなかった。
空襲です。役所にて。
英国諜報関係のボスRのもとへ男が会いにやって来ます。
これがジョン・ギールグッド扮する葬式をしたブロディです。
打ち合わせとなります。ドイツとアラブのこと。
ブロディはアシェンデンという名前となってスイスのホテルに向かうことになります。
ピーター・ローレ扮する自称将軍のエージェントが登場。
メイドにセクハラをしています。本人はナンパしているつもりらしい。
夜の街が映ります。ここはミニチュア。
ドーバーから船で移動のアシェンデン。
スイスのホテル・エクセルシオールに着くアシェンデン。
フロントで夫人が別ルートで来ていると聞いて嬉しそうなアシェンデンです。まだ会ったことがない夫人なのです。
234号室へ。
夫人だけかと思ったら男がいます。ロバート・ヤング扮する人当たりのいいマーヴィンが登場。
夫人のマデリン・キャロル扮するエルサも登場。まだ顔はよく見えない。
マーヴィンが出て行って、最初のご対面となるアシェンデンとエルサ。
マシンガントークでやり取りしています。ロマっティック・コメディみたいです。
自称将軍がやって来ます。自分には夫人がいないと荒れる将軍です。この作品はコメディなのかい。
そんなこんなでランゲンタール村の教会のオルガン弾きを調べようとなります。
ある店にて。
チョコレートを買う老人。中味を捨てます。包み紙に指令が書かれています。
スパイに対する指令文をオーバーラップで処理して解読?するギミックがあります。
ブロディ=アシェンデンのことが書かれています。
ランゲンタール村の教会です。
アシェンデンと将軍。側からオルガン弾きを伺います。
コンタクトするとすでにオルガン弾きは死んでいました。ボタンを握りしめています。
教会の上に隠れているアシェンデンと将軍。
人が来て死体を発見して鐘を鳴らします。うるさくて話しも出来ないアシェンデンと将軍。隠れる場所が悪かったようです。
マーヴィンと一緒のエルサ。
礼服を着ている2人。馬車で移動しています。
どうやらカジノに向かうらしい。
ホテルに戻るアシェンデンと将軍。
夫人のエルサがいない。これはどうしたことだとなります。
カジノです。
マーヴィンとエルサ。ルーレットをやっています。
アシェンデンと将軍も到着します。入り口には犬がいます。
合流します。ここでボタンの持ち主が判明します。犬の飼い主ケイパーです。
犬のこと盛り上がるアシェンデン、マーヴィン、ケイパー。
食事となります。
ケイパー夫妻、アシェンデンとエルサ、将軍、マーヴィン。それに犬。
やらせで口論する将軍とアシェンデン。山の話しをしています。
なりゆきでケイパーと明日、山に登ることになるアシェンデンと将軍。
ダンスするアシェンデンとエルサ。
殺人の話から、これが楽しいのかとエルサに言うアシェンデン。
ロープウェイです。山登りです。
ケイパー、アシェンデンと将軍。
途中でアシェンデンは残り、ケイパーと将軍で登ります。
ホテルにて。ドイツ語の練習です。
ケイパー夫人、エルサ、途中からマーヴィン。
犬がいます。
山とホテルをカットバックで描写しています。
犬の鳴き声がシーンをまたいで入っています。
山のケイパーと将軍、展望台のアシェンデン、ホテルのカットバックから犬の鳴き声が大きく入り殺人を描写しています。
ここは見事なシークエンスでした。もちろん説明セリフはありません。
ダンスの出し物があるカフェ?にて。
気まずいアシェンデンとエルサ。
将軍は自分が手を下したのに全く気にしていません。仕事人に徹しているようです。
エルサは沈みがち。最初とはエライ違いです。
手紙が届きます。ケイパーは目標ではなく人違いでした。もう殺してしまったんですけど。洒落にならない状況となっています。
間違いかと笑う将軍。ショックのエルサ。
話し込むアシェンデンとエルサ。
喋りまくるエルサ。口論となっています。この仕事は続ける?
結局キスとなる2人。このへんはメロドラマになっています。
ホテルに戻り仲のいいアシェンデンとエルサ。
辞表を書くアシェンデン。
マーヴィンから電話です。電話を取るエルサ。
何となく自分が怪しいようなことを言っているマーヴィン。
将軍がやって来ます。この仕事を辞められないとアシェンデンを呼び出します。
将軍の部屋です。
知り合いのリリーがいます。チョコレート工場で働いているらしい。
大事な情報を同じくチョコレート工場で働いてる恋人が知っているとのことです。
5000フランをくれと大きく出ています。
チョコレート工場です。全景はミニチュア。
見学の振りをしているアシェンデンと将軍。
工場内をうるさくて話しが出来ません。怪しげな男もいます。
流れ作業で目的のチョコレートが行ってしまいます。これを追う将軍。
一方電話で当局に垂れ込まれています。英国のスパイ2名がいると。
ホテルにて。
別れるつもりのエルサ。置き手紙に荷造り。
チョコレート工場です。
リリーと恋人のカール。打ち合わせ?
当局のクルマが到着したのを発見する将軍。騒ぎを起こして逃走となります。
逃げるアシェンデンと将軍。用事があって追っかけるカール。
カールがやっと追いついて取り引きとなります。これでやっと目的はマーヴィンと判明します。
ホテルを出るエルサ。
マーヴィンと一緒に駅へ。
1歩遅れてホテルに電話のアシェンデン。
マーヴィンとエルサが一緒に発ったと聞いて何か勘違いしています。エルサがマーヴィンの正体を知っていると思ってるらしい。
駅です。
アシェンデンと将軍。
エルサを見つけるアシェンデン。ここで初めてマーヴィンの正体を知るエルサ。
コンスタンチノープル行の汽車に乗り込みます。ミニチュアの汽車です。
殺しを止めるエルサ。
軍隊が大勢乗ってきます。ドイツ軍らしい。
マーヴィンと合流するエルサ。
空襲です。複葉機が3機ほど。これは上司Rの指令らしい。味方も含めてまとめて処分するつもりのようです。道理で子分にアシェンデンは失敗しないと言ってたわけです。
ようやくアシェンデンと将軍がやって来ます。
にらみ合いとなります。
そんなとこで爆撃が線路に大穴が開いて列車は転覆となります。
瀕死のマーヴィン。うかつにもマーヴィンに撃たれる将軍。
これは殺人をしたキャラである将軍がが生き残ってしまうのは当時の倫理コードからまずいのでこうなったと思われます。
生き残ってるアシェンデンとエルサ。額から血が流れているエルサです。美女が血を流す姿。これはヒッチコック監督の趣味でしょう。
その後のモンタージュが入ります。
それに続いてもう仕事はしないとアシェンデンとエルサ。
エンドとなります。
そんなわけでヒッチコック監督としては水準なよい作品でした。
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