映画感想の加筆改訂のお知らせ

にほんブログ村

« 『間諜最後の日』(1936年) | トップページ | 『ラビナス』(1999年) »

2007.04.15

『サボタージュ』(1936年)

この作品はアルフレッド・ヒッチコック監督、シルビア・シドニー、オスカー・ホモルカ、ジョン・ローダー主演の爆弾サスペンスです。
なおこの文はネタバレ全開となっています。

1936年 シェパード=ゴーモン・ブリティッシュ 英国作品
原題◆Sabotage
DVDにて。画質それなりに悪い。字幕はオンオフ不可仕様。
プロット ヒロインの弟がサボタージュの巻き添えをくって殺されてしまう話のようです。
音楽 ルイス・レヴィ

キャスト
シルビア・シドニー→ヴァーロック夫人
オスカー・ホモルカ→映画館主のヴァーロック
ジョン・ローダー→八百屋の潜入刑事テッド・スペンサー
デズモンド・テスター→ヴァーロック夫人の弟スティービー
映画館切符売り場のルネ→ジョイス・バーブア
通い家政婦のジョーンズ→クレア・グリート
ウィリアム・デューハースト→爆弾の小鳥屋店主
上司のタルボット警視→マッシュー・ボールトン


アルフレッド・ヒッチコック監督の演出はよいと思います。

これは見てビックリの押井守監督作品の元ネタ特集の作品でした。見てて思わずのけぞった。
水族館での男2人の会話シーン。『機動警察パトレイバー2』(93年)(93年)みたい。
水槽面をスクリーンに見立てているとこは『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』(84年)のようです。この作品ではスタンダードサイズですが『うる星やつら2ビューティフル・ドリーマー』ではワイドスクリーンサイズになっているのが芸コマでいいです。
小鳥屋には鳥籠がたくさんぶら下がっていま。ここは『機動警察パトレイバー』(89年)みたい。
映画館が出ているとこ。『紅い眼鏡』(87年)『トーキング・ヘッド』(92年)みたいです。
その上映されている映画は鳥を擬人化したカートゥーン。(クレジットによるとディズニー作品らしい。)『御先祖様万々歳!』(89年)。
こんな感じで押井監督の元ネタ作品とは思いもしていませんでした。この作品は製作当時は未公開で後から公開されたようです。押井監督は何処でこれを見て引用したのかも。未公開なのは1936年当時にサボタージュというタイトルでのせいでしょう。軍国主義のまっただ中の当時の日本で公開が無理なタイトルと内容です。


曜日の字幕が入っていました。これで緊張感を出しています。
未見ですが『定本 映画術―ヒッチコック・トリュフォー』で展開はわかっていたので爆発はどのように処理するのかと思っていましたらミニチュアでした。こんなものでしょう。

ヒロイン、シルビア・シドニーはファニーフェイスでいい感じ。
エキセントリックなルックスとも言えそうです。セーラー服がいい。スーツ姿もいい。ヒッチコック監督は女優さんをきれいに撮ります。
子持ちではなく弟がいる設定でした。私は子持ちと勘違いしてた。悲劇的な展開でしたが多少強引にハッピーエンドになってしまいました。まあいいけど。英国時代のヒッチコック監督の作品はこのパターンが多いような。
シルヴィア・シドニーはこの他にもフリッツ・ラング監督の『暗黒街の弾痕』(37年)があるから何か悲劇のヒロインな感じが強い。
何となくレイチェル・ワイズは似てます。レイチェル・ワイズの方が美形ですが。

速記のメモのクローズアップショットがあったけどこれはサッパリわかりません。
コカ・コーラの看板が見えました。この当時からもうあったようです。ロゴが未だに同じなのには少しビックリします。コカ・コーラの他にダンロップのロゴを見られました。

主演のオスカー・ホモルカはビリー・ワイルダー監督の『七年目の浮気』(55年)の何でも神経の病気にしてしまう?博士役が1番有名な感じがします。
サポートではピーター・ブルが少し出てました。若いけれど特徴があるルックスなのすぐにわかりました。スタンリー・キューブリック監督のブラック・コメディ『博士の異常な愛情』(64年)での世界の破滅という時、この期に及んでもまだせっせとスパイ活動をする異常に仕事熱心なソ連大使が印象的です。

ヒッチコック監督の好みのキャラ、調子のいい、いい男が出てました。
このいい男テッド役のジョン・ローダーは悪くはないけど、アルフレッド・ヒッチコック監督が起用したかった『三十九夜』(35年)で主役を務めていたロバート・ドーナットの方がもっとよかったと思えます。


プロローグ。
サボタージュとは辞書のクローズアップから始まります。
タイトル。何故かジョン・ローダーの名がタイトルと一緒に出ています。
ディズニーからのクレジットあり。昔から自分の著作権に関してはうるさいらしい。

ロンドンです。停電となります。サボタージュ=破壊工作です。
ミニチュアの発電所。発電機に砂が入れられていました。
発電所から去るオスカー・ホモルカ扮するヴァーロック。本『映画術』で悪人なのに丸顔だとトリュフォーが言ってます。
こんな感じで出だしは快調です。

ビジュー・シネマにて。Bijou Cinema
切符売り場ではカネ返せと揉めています。停電で映画が見れなくなっためです。
セーラー服のシルビア・シドニー扮するヴァーロック夫人が素敵。小さい。
旦那はいない。サボタージュ活動でいないです。ヴァーロック夫人は知りません。
隣のジョン・ローダー扮する八百屋の店員テッドが助けに説得にかかります。
八百屋と言っても白衣を着ています。英国はこういうスタイルのようです。
軽く口論となるヴァーロック夫人とテッド。いい感じ。
ここで電気が回復して現状に戻ります。

早引けしてニュー・スコットラッド・ヤードに帰る八百屋の店員テッド。
テッドではなくスペンサー刑事と呼ばれています。そりゃそうです。
打ち合わせとなります。

木曜日の字幕。
テッドとヴァーロックは雑談。出かけるヴァーロック。尾行がつきます。
動物園内の水族館に入るヴァーロック。
紳士風の男と会って打ち合わせとなります。効果がなかったと発電所の破壊工作の礼金は出ない。
話から推測するとヴァーロックは傭われテロリストらしい。
土曜日にちゃんと爆弾テロをやるんだと指令を受けます。カネはそれまでは出ないだと。
この男に会えと言われます。小鳥屋のことです。
水槽を見るヴァーロック。スクリーンに見立てるよいシーンです。崩壊する街並みがオーバーラップされます。

高級レストラン・シンプソンズに行く3人。
テッドとヴァーロック夫人姉弟。アメリカから来たらしいヴァーロック夫人。
初めてと称しているのにウエイターと知り合いの怪しいテッドです。

スコットラッド・ヤードにて。
ヴァーロック夫人は無関係と報告するテッド・スペンサー刑事
尾行しているのはホリングヘッド。

イズリントンの小鳥屋に行くヴァーロック。
土曜日の破壊工作の打ち合わせをします。土曜日1:45の爆弾。
鳥カゴだらけでの室内です。どこかでみたような風景です。
小鳥屋を演じる俳優さんは見たことがあるような。調べたら見ていません。

ビジュー・シネマにて。
ヴァーロック姉弟の会話。普通の人云々。

金曜日の字幕。ビジュー・シネマにて。
ヴァーロックに複数の客が訪れる。
映画館内を探る八百屋のテッド。夫人の弟がお供となります。
ヴァーロックと3人の男が打ち合わせをしているとこを覗きます。
見つかってしまい引きずり落とされてしまいます。その場を取り繕いますがテッドの正体を知ってる男がいました。ピーター・ブル扮する男です。
これで頼む筈の爆弾の運び屋がいなくなってしまいます。

当日となります。土曜日 市長就任パレード。
鳥カゴが届きます。時限爆弾入り。
テッドとヴァーロック夫人の会話。サボタージュのこと。
回りは警察の見張りだらけで身動きが取れずに夫人の弟スティービーに使いを頼むヴァーロック。フィルムを運んでくれとなります。

映画館を出る弟スティービー。この子役の描写が多く入ります。
寄り道しています。歯磨きの実演。
合間に時限爆弾に付いていたメモ“鳥は1:45に鳴く”を見せます。
もう1:00です。市長就任パレード見物となります。時計は進む。
フィルムは可燃物なのでバスには乗れないとこですがバスに乗る弟スティービーです。時計はどんどん進みます。
いつ爆弾が爆発するかのサスペンスで街中の時計が映されます。

情け容赦なく時間となりバスは爆発します。ミニチュア使用。
これはマジでやり過ぎなシチュエーションでした。これでは何で子役を死なせたと観客は怒ります。

ビジュー・シネマにて。
テッドとヴァーロック、ヴァーロック夫人。
伝言が入り警察へ電話するテッド。爆弾テロがあったと伝えます。

爆弾テロの現場です。
『絞殺魔』のフィルム缶を見つけるテッド。
テッドはこのフィルムがビジュー・シネマで上映されているのを知っています。

号外を読んで『絞殺魔』のフィルム缶のことを知って倒れる姉のヴァーロック夫人。
この件について話しあおうとヴァーロック。
ヴァーロックの言い訳を聞くヴァーロック夫人。ホントに聞いてるだけです。

映画館内でディズニーのアニメを見てるヴァーロック夫人。

食事となります。
成り行きで殺人となります。ここが全くセリフ無しで描写しています。
ヴァーロックは言い訳を喋りまくるがヴァーロック夫人はセリフは全く無しでリアクションのみで描写しています。
ことが終わり椅子に座り込むヴァーロック夫人。
テッドが来ます。何とかしようとする。

外に出るテッドとヴァーロック夫人。
警察へとヴァーロック夫人。逃げようとテッド。

イズリントンの小鳥屋にて。
小鳥屋の方は娘にせっつかれて証拠となる鳥カゴを回収するハメになります。
外出する小鳥屋の主人。尾行がつきます。

映画館に入る小鳥屋の主人。
もう回りは警察だらけで身動きが取れなくなります。
で、ヴァーロックの死体を発見します。間がいいこと。
来たとこで警察に取り囲まれます。爆弾持参でこれをネタに立てこもります。

ヴァーロック夫人が主人は死んだと言ったと同時に爆発が起こります。
これで小鳥屋はヴァーロックの死体と共に爆死となります。

ヴァーロック夫人の話を聞いていた警察上司が、夫人が死んだと言ったとのは爆発の先?後?と呟きます。
まあいいかとエンドとなります。アバウトなエンドです。余韻があるとも言う。

タイトなよい作品でした。未見ですが本『映画術』を読んでいたのでそんな感じはしませんでした。も少しいい加減に読んでおけばよかった?
そんなわけでよく出来ています。やり過ぎな設定はともかく爆弾サスペンスのよい作品でした。

« 『間諜最後の日』(1936年) | トップページ | 『ラビナス』(1999年) »

映画」カテゴリの記事

1930年代」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 『サボタージュ』(1936年):

« 『間諜最後の日』(1936年) | トップページ | 『ラビナス』(1999年) »

月齢

無料ブログはココログ
フォト
2023年12月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            

バイクフォト

  • ヤマハ トリッカー XG250
    私が買ったバイクです。ヤマハばかり。