『キカ』(1993年)
この作品はペドロ・アルモドバル監督、ベロニカ・フォルケ主演の風変わりなコメディです。
なおこの文はネタバレ全開となっています。
ペドロ・アルモドバル監督作品で見ました。変わっている監督だってことだけは知って見ました。
1993年 スペイン作品
原題◆Kika
スカイパーフェクTV312 CSN1ムービー・チャンネルにて。画質はよいです。
スペイン映画でも音声はステレオなんですね。→スペインにはステレオがないと思っている、我ながら凄い偏見だと思う。
プロット 親子とヒロインの三角関係の話しのようです。
音楽 スペイン語が読めないので分かりません。バーナード・ハーマン風なスコアがあったというよりそのままなのでは?
キャスト
ベロニカ・フォルケ→ヒロインのキカ
ピーター・コヨーテ→作家のニコラス
ビクトリア・アブリル→TVの司会者アンドレア
アレックス・カサノバス→ピーター・コヨーテの息子ラモン?
ペドロ・アルモドバル監督の演出はよいと思います。
タイトルの『KIKA』の文字が手前に迫ってフェイドアウトしていきます。『めまい』(58年)みたいでいいです。
色の使い方が派手です。この色の使い方を見てるだけでよかった。マドリード駅に白い列車が入るシーンはきれいでした。
場面があちこちと飛びますが今度はどこなのかなと見てて面白い。要するに演出がよければ話は何でもいいのです。
プロローグでカメラマンの母親の自殺騒ぎがあります。
ここでもうオフビートな感じでいいです。怪我しているのにカメラマンの息子に放りっぱなしにされたピーター・コヨーテの父が「私は生きている」と言うセリフは皮肉が効いてます。このプロローグでマザコンのカメラマンの話なのかと思ってましたが違ってました。
カメラマンの息子は、そのカメラマンのセックススタイルの図がまた風変わりな描写でした。カメラマンという職業を生かした面白い趣味をしています。
窓の外は書き割りというかミニチュアのビル街。
昼から夜へと変わるとこを短い時間で1ショットで見せてくれます。このようなギミック描写もいいです。窓の外は書き割りのビル街といえば『ロープ』(48年)とか、ミニチュアのラストシーンだけですが『マタンゴ』(63年)も印象に残っています。
暇な警察の描写。
『天才バカボン』に出てくるつながり目玉のお巡りさんのようなものでしょう。
レイプシーンを延々と見せています。
普通のポルノより長いのでは。やった男がアパートのベランダから残りの精液を飛ばすショットがありました。それがしたから見上げてるビクトリア・アブリルの顔にかかります。これはまた普通のポルノより凄いのでは。
ベロニカ・フォルケはとぼけた感じでいいです。ラストではあっさりと通りすがりの他の男に乗り換えてしまったようです。これもいい感じ。
ビクトリア・アブリルは精神科医から転身した犯罪再現番組の司会者を演じています。珍妙なドレスに取材用コスチュームは凄い。色の使い方といいこの監督のセンスは凄い。
そんなわけでこれはまたオフビートでいい作品でした。話がよくわからないのも気にならない面白さでした。変わった監督らしいとは知ってましたがホントに変わっていました。
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