『ダークシティ』(1998年)
この作品はアレックス・プロヤス監督、ルーファス・シーウエル、ジェニファー・コネリー主演のSFドラマです。
なおこの文はネタバレ全開となっています。
この作品は評がいいので見ました。押井守監督の『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』(84年)に影響を受けているというのが興味深い。
1998年 ニューライン・シネマ アメリカ作品
原題Dark City
スカイパーフェクTV315スターチャンネルにて。画質はよいです。
プロット 記憶喪失者から創造主になる話のようです。
音楽 トレバー・ジョーンズ
キャスト
ルーファス・シーウエル→記憶をなくした男ジョン・マードック
ジェニファー・コネリー→マードックの奥さんエマからアンナ
ウィリアム・ハート→バムステッド警部補
キーファー・サザーランド→シュライバー博士
メリッサ・ジョージ→娼婦メイ
アレックス・プロヤス監督の演出はよいと思います。
タイトルに渦巻きが出ていました。これは何ですか?
ミニチュア使用。こういうのと好きです。
ルーファス・シーウエル扮する記憶をなくした男ジョン・マードックが風呂の中で目を覚まして話は始まります。
この男はどうやら突然変異体のようで超能力を発揮して追手とアクションを繰り広げます。追う方の異邦人達はこの男こそ自分たちが目指す進化のサンプル体と見てしつこく追いまわします。
この男が誤って水槽を割ってしまい金魚を助けるシーンがあります。この辺から押井テイストが見られます。タクシーで会話するとこも少しあったけどここもそんな感じ。知り合いのカールおじさんは水族館みたいなとこに住んでいます。押井テイストです。
ですが全体的には1940年代のフィルム・ノワール調で通していました。ホントはモノクロで撮りたかったのでは思わせます。
異邦人達の白塗りに黒のロングコート姿は何となくサイレント映画の名作『吸血鬼ノスフェラトゥ』(22年)を連想させます。
アクションシーンも適度に入っててフィルム・ノワールとノスフェラトウが合わさってSFサイキックアクションをしていました。これは風変わりでいいです。
『うる星やつら2ビューティフル・ドリーマー』てことは街が亀に乗って宇宙を飛んでいるのですか?→亀には乗っていませんが街が宇宙を飛んでいました。ホトンドそのまんまではないですか。
全体的には同じ押井作品の『紅い眼鏡』(87年)の方が多く影響を与えているような感じに思えました。
『紅い眼鏡』は実写作品で千葉繁が扮する脱走した元警官が何年かぶり街に戻って国家権力に追われてなんやかんやある話で記憶喪失ではなく夢を見ているような設定で、話の方はいつものようにとりとめがありませんが押井監督得意の音楽にシンクロしたカット割りが多用されていて見ててあきませんでした。
パートカラーの使い方は川島雄三監督の『雁の寺』(62年)並みに上手かったり、童謡の『いぬのおまわりさん』を効果的に使っていたりとかなりものでした。特に追う男の玄田哲章がダンスするシーンがよかったりもします。
話を気にしなければこれもこれで結構面白かった。
主演の記憶の無い男を演じるルーファス・シーウエルはギョロ目が印象に残ります。このキャラに結構ハマっていました。
ウィリアム・ハートはすっかりサポートキャラが似合うようになっていました。
キーファー・サザーランドのシュライバー博士は足が不自由で歩きでの移動は時間がかかる。異邦人達は人選を間違えているのでは?
ヒロインのジェニファー・コネリーはまだ幼い感じがしますがこのフィルム・ノワール調の雰囲気にぴったりと合っています。生まれる時代を間違えてたのかと思わせます。
そんなわけで押井テイスト全開なよい作品でした。
ところがアレックス・プロヤス監督は押井守監督作品を見ていないと言い張っているそうです。これでだいぶマイナスポイントとなります。
少し見たアレックス・プロヤス監督の最近作『アイ,ロボット』(2004年)ではCGとアクションを多量に入れればいいんだろ演出になっていた。すぐダメになる監督の典型のようです。この監督の作品はもう見ない方がいいような。
洋書で『CRIME MOVIE POSTERS』というのを買ったら、私好みの作品のポスターが沢山載ってて結構広範囲にセレクトされててよかったものです。サイレントから1996年頃まで色々。基本的にフィルム・ノワールでそれに加えてサスペンスにアクションといったところ。
1980年代では『ニューヨーク1997』(81年)、『ブレードランナー最終版』(82-92年)、『ロボコップ』(87年)等が入ってるのが気に入りました。この本の好みなら『ダークシティ』(98年)は絶対にセレクトされると思いました。
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