『タンゴ』(1992年)
この作品はパトリス・ルコント監督、フィリップ・ノワレ、リシャール・ボーランジェ、ティエリー・レルミット等が主演の殺し屋コメディです。
なおこの文はネタバレ全開となっています。
1992年 フランス作品
原題◆Tango
スカイパーフェクTV260シネフィルイマジカにて。画質はよいです。
プロット 逃げた奥さんを殺しに行く話のようです。
音楽 アンジェリーク・ナション ジャン・クロード・ナション
キャスト
フィリップ・ノワレ→ネコを飼う裁判官
リシャール・ボーランジェ→間男と奥さんを殺した飛行機乗り
ティエリー・レルミット→奥さんに逃げられた男
ミュウ=ミュウ→逃げた奥さん
ジュディット・ゴドレーシュ→子供が欲しい人マドレーヌ
キャロル・ブーケ→ホテルのフロア係の奥さん
パトリス・ルコント監督の演出はよいと思います。
カメラの左から右のパンニングで始まります。そのパンニングが止まって右から左へ戻ったりします。最初から洒落ているじゃないと思わせます。
仕事柄飛行機を使って殺人へと至るリシャール・ボーランジェの飛行機乗り。
奥さんを寝取った間男の乗った黒のBMWを事故らせるとこで飛行機から煙で目くらましさせて、次のショットでこの先カーブの標識を見せるのは芸コマでよいです。そんなわけで標識の見えない黒のBMWは直進して事故ります。
次にリシャール・ボーランジェの飛行機乗りは宙返り飛行で同乗の奥さん落とし殺しておいて「愛してる」ときます。さすがにフランスの男は言うことが違います。
ティエリー・レルミットは奥さんの前で他の女性を口説いたりしている男で当然奥さんに逃げられます。フィリップ・ノワレの裁判官に相談することになります。
フィリップ・ノワレの裁判官は逃げた奥さんを始末するために殺し屋を雇います。これが無理やり殺し屋として雇われることになるリシャール・ボーランジェの飛行機乗りです。殺人犯だから殺し屋に雇うというアバウトさがいい。
で、ティエリー・レルミットの逃げた奥さんを追って3人はクルマで移動することになります。
途中レストランにて、男3人が言ってた通りに、他のテーブルにいたジュディット・ゴドレーシュがテーブル越しに男をハンドガンで撃ってしまうとこがあります。撃つのかなと思えたらすぐに撃つ。この唐突さは最高です。
テーブル越しに男をハンドガンで撃つヒロインの作品は見たことがあります。→ピア・デゲルマルクがヒロインの『さよならを言わないで』(70年)です。ラストで男を撃ち自殺するイタリア製のメロドラマでフラッシュバック多用が印象的でした。
3人で移動のステーションワゴン内で同じセリフの繰り返しがありました。スイッチがとか・・3人とも話題性が乏しいのがよく分かります。
リシャール・ボーランジェがハンドガンを買うシーンでは「そのままでいい、すぐ使うから」とギャグをかまします。古典的なギャグなんですけどこれだいいんだな。
ティエリー・レルミットは鈍い男で、なるほどこれなら奥さんに逃げられるわけだと納得出来ます。で、他の女性が逃げた奥さんに見えてしまうシークエンスがあったりします。
3人で移動のステーションワゴンで一悶着あったトレーラーの運転手にホモと言われてましたが、その後男3人で暮らしていればホモと言われても無理はないのではと思わせます。
何故かフランスの作品なのにフランスのクルマが出てこない。変わっています。パトリス・ルコント監督の趣味なのか?。
黄のフォルクスワーゲン・カブリオレはドイツのクルマ
黒のBMWはドイツのクルマ
白のフィアット500はイタリアのクルマ→ルパン三世の愛車で有名です。
クリーム色のアメ車のステーションワゴン 見た感じ1970年代年式らしい。
時間が短い割には満腹感があり、淡々と面白いセリフを連発して、これは面白い作品でした。
奥さんに浮気を強要されてやってしまったタクシー運転手が旦那のティエリー・レルミットに「差し支えがなければ帰ってもよろしいでしょうか?」とか、フィリップ・ノワレがリシャール・ボーランジェに「君がいれば死んだも同然」なんていい感じでした。
そんなわけでこれは風変わりなコメディの佳作でした。
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