『血を吸うカメラ』(1960年)
この作品はマイケル・パウエル監督の有名な覗きホラーです。
なおこの文はネタバレ全開となっています。
この作品は風変わりなプロットで有名なので見ました。前から見たかった作品です。
1960年 マイケル・パウエル・プロ 英国作品
原題◆Peeping Tom
スカイパーフェクTV260シネフィルイマジカにて。画質はそれなりに悪い。
プロット トラウマにより快楽殺人に走る男の話しのようです。
キャスト
カール・ベーム→快楽殺人者のマーク
アンナ・マッセイ→階下に住むヘレン・スティーブンス
モイラ・シアラー→被害者の女優
マキシー・オードリー→ヘレンの怖いママ
マイケル・パウエル監督の演出はよいと思います。
主人公の快楽殺人者の男マークは幼少の頃に父親の心理的な実験台にされてトラウマを受けて殺人に走りその模様をフィルムに撮って上映して見て興奮するという設定になっています。
カメラのファインダー越しの主観ショットが多用されています。
プロローグで主人公マークが殺人を犯すシーンでは黄色い小箱を捨てますがこれはコダックの8ミリフィルム?ですか。妙に気になります。
主人公マークは自宅を貸し部屋にして、それぞれの部屋を盗聴して録音していたりします。自分の死を数台のカメラで写そうとしたりと、かなりオタクでマニアックな描写となっています。
主人公マークは今ではオタクという用語が当てはまりますが、1960年代当時はそんな用語はないので覗き狂の一種になっているみたいでした。
この時代は倫理コードで犯罪は引きあわないということになっているので当然のごとく主人公マークはラストでは死に至ります。終わり方としては救いがあるようなないような単に犯罪は引きあわない的オチではない微妙な描写バランスとなっています。
これはいいです。
主人公マークの勤め先は撮影所なので、この作品内で映画撮影が行われていますが、監督はボンクラで、プロデューサーはカネのことしか考えていない。これはまた妥当な描写となっています。
アンナ・マッセイ扮するヘレン・スティーブンスは図書館勤めの童話作家志望という設定。誕生パーティで赤いドレスを着て登場します。他のシーンでは青いニットやグレイのコート。
パーティの日にマークの部屋でマークのトラウマとなった原因の昔のフィルムを見るシーンがありました。
ヘレンには怖いママはいます。最初は分かりませんでした盲人でした。これも別な意味で怖いような。
バレエ映画『赤い靴』(48年)で有名なモイラ・シアラーはおそらく撮影所のEステージで殺された女優さんでしょう。踊るシーンがあったので多分合ってると思います。
Eステージにて。次々と点灯する照明用ライトのシーンが印象的でした。
アンナ・マッセイはレイモンド・マッセイの娘だったのですか。あまり美人とはいえませんが容貌魁偉の演技派の父親に似なくてよかったといった感じです。
そんなわけで意外と面白かった。有名なだけはあるよい作品でした。
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