『アイデンティティー』(2003年)
この作品はジェームズ・マンゴールド監督、ジョン・キューザック、レイ・リオッタ他、豪華キャストの何だかわからんサスペンスのようです。
なおこの文はネタバレ全開となっています。
2003年 コンラッド・ピクチャーズ/コロンビア・ピクチャーズ アメリカ作品
ランニング・タイム◆90分
原題◆Identity
プロット◆死刑囚の内的宇宙で悪戦苦闘する話しのようです。
音楽◆アラン・シルベストリ
ソニー・ピクチャーズ発売のDVDにて。画質はよいです。スクイーズ収録のフル表示。画面サイズはワイド。上下に黒味あり。
雷の音がドルビーデジタルでサラウンドしています。
キャスト
ジョン・キューザック→元刑事のエド
レイ・リオッタ→現役刑事のローズ
アマンダ・ピート→故郷を目指すパリス
レベッカ・デモーネイ→ 元ではなくまだ女優のカロライン
ジョン・C・マッギンリー→生真面目なジョージ
レイラ・ケンジル→ジョージの奥さんアリス
ブレット・ロアー→息子のティミー
クレア・デュバル→結婚したばかりのジニー
ウィリアム・リー・スコット→暴力亭主のルー
ジェイク・ビジー→移送中の囚人メイン
ジョン・ホークス→モーテルのラリー
ブルイット・テイラー・ビンス→死刑囚マルコム
アルフレッド・モリーナ→マリック医師
レイ・リオッタのRhodes刑事はロードではなくローズと読むのが正しいはずです。ローデスでもないはずです。カタカナ表記に正解はないけど。
凝った話しと豪華なキャスティングと評がいいので見ました。
ジェームズ・マンゴールド監督の演出はよいと思います。
全体的に無難にまとめています。
何故か交通事故のシーンの出来がいい。2件あり、両方とも見ててビックリの出来のよさとなっています。これは撮影技術の進歩のたまものです。
遠近フォーカスを移動させる手法を多用しています。
これは遠近合成の方がいいと思うけど。私は遠近合成の方が好みです。
この設定なんですが1人の男の妄想にしてはキャラクターのバリエーションがあり過ぎるような気がする。
普通はもっと限定されるような気がするけど。
先住民墓地とさかんに前振りをしていますが結局関係なかった。これをレッドへリングと言います。
プロローグ。
裁判関係の事務所にて。
テープの録音されている会話が流れます。尋問らしい。
その話題の死刑囚マルコムが移送中とのことです。
モーテルにて。
フロントの男がヒマそうにしていると怪我人が運び込まれてきます。
ジョージの奥さんアリスが事故にあったと事故を起こした元刑事エドが運転するクルマです。息子のティミー、女優のカロライン。
その前にアマンダ・ピートの売春婦パリスはオーブンカーで走る。荷物が落としてしまい、その1つのハイヒールがジョージのクルマをパンクさせてエドの運転するクルマがジョージの奥さんアリスを轢いてしまう連鎖となっています。
この辺はショットが前後して入り乱れる演出となっています。こういうのは私は好きです。
夜になって雨が降り始めます。オープンカーの屋根を閉めずに走るパリス。濡れるはクルマは故障するはと散々。
医者を呼びにクルマを走らせるエドですがパリスを乗せてスタックとなり偶然通り合わせたジニーとルーのクルマでモーテルに戻ることになります。
そんなこんなでモーテルに人が集まります。
これで全員集合ではなくラストにローズ刑事と囚人メインが到着します。これで11人がそろいました。
モーテルはやはりというか『サイコ』(1960年)のベイツモーテル風になっています。
何となくこの雨を永遠に降り続いてほしいと思える状況です。
シーンは目まぐるしく変わります。
演技に関してはやはりジョン・キューザックとレイ・リオッタが傑出しています。
ジェイク・ビジーの演技はわかりやすい。
レベッカ・デモーネイの高慢演技も嫌みがなくていい。
『そして誰もいなくなった』なのか?
そんな状況中に携帯電話の電波状態のよい場所を捜して歩き回るカロライン。電話がないと生きていけないタイプのようです。で、突然カロラインは死に至ります。
エドが乾燥機の中のカロラインの首を見つけます。
囚人メインは逃亡します。そんなこんなでモーテルは大騒ぎとなります。
時々、判事、弁護士、検事、医者が相談するシーンが挟まります。これは何だ?何の相談。何か関係があるの?とまだわかりません。
フロントのラリーは白人で差別主義者です。定番設定で木製バットで武装しています。日本なら当然金属バットになります。コンビニに金属バットが常備されるも時間の問題でしょう。
元刑事エドと刑事ローズは逃げた囚人を捜します。
ジニーとルーは痴話喧嘩となります。これが少々しつこい描写でマイナスポイントになります。で、ルーが殺されます。
この2人が乗ってるクルマはシビックです。
囚人は逃亡中で廃屋に入るがそこは元の場所モーテルでした。
で、捕まります。
目を離した隙に囚人はバットを口に押しこまれて死亡します。豪快な殺し方です。やらせドキュメント映画『食人族』(1981年)のようです。
冷凍庫に死体がしまってあります。
ラリーはトラックと逃亡しようとするがジョージを轢いただけで捕まります。ジョージは死亡。
ラリーは捕まって縛られ事情を話します。要するにラリーは本物のラリーの死体を隠していたとなります。
時々、死刑囚に関して相談中の描写が入ります。
マリック医師が多重人格について話しています。移送中の死刑囚が到着します。これは別の話しなのかい?となります。
レイ・リオッタのローズ刑事が段々と常軌を逸してきます。そろそろというか、ようやくレイ・リオッタらしくなってきたと思えます。
何故か左手でハンドガンを扱っています。『夕陽のガンマン』(1965年)のクラウス・キンスキーみたいでいいです。
フロントの男を殺された女優の財布を盗んでいた。
キーの番号札がカウントダウンになっています。10 9 8 7 6と・・・
10人が・・の映画の話しも出ています。
ルネ・クレール監督の『そして誰もいなくなった』(1945年)は洒落ていて面白かったものです。
ジョージ夫人のアリスが死んでいました。これはケガの状態悪化のためでしょう。
女性2人は子供をクルマで脱出させようとするエド。ですがクルマが大爆発してジニーが死んだようです。死体も出ない。
そんな感じでやっぱりシビックは爆発しています。
ハリウッドの日本車に対する偏見は相当なものです。
ニッサン・セントラからホンダ・シビックになっているようです。ジャド・アパトウ作品では韓国のクルマになっているけど。
次にと囚人の死体が消えます。他の死体達も消えて現場の状況も普通に戻っています。
こうなると超常現象か、誰かさんの妄想なのかとなります。
誕生日は?で全員5月10日とわかります。偶然が過ぎるので俺達は何かのキャラだというオチ?となるとも予想も出来ます。
名前の名字が全員地名になっています。地図を見ながら妄想していたということか。
死刑囚マルコムに関しての相談中。
要するに多重人格を全員集合させてのショック療法らしい。殺人者人格が残ったらどうするかは考えない?→治ったら無罪で病院行きで、治らなければ死刑でいい。ダメ元のようです。
ということは死刑囚の内的宇宙の話しなのかとなります。何でもありでこれはSFなのかいと思えます。内的宇宙とはいえ、その中に存在する人達にとっては現実となり悪戦苦闘するのはマジなようです。
モーテルの方は、やはりレイ・リオッタのローズ刑事は偽者となります。
そんなこんなでオレンジ畑のシーンで内的宇宙はエンドのようです。
と思ったら、少し余計なオチがついて現実世界もエンドとなります。これはだいぶマイナスポイントになります。
結構面白かったけどラストが余計なような気もします。そんなわけで一発アイデアのよい作品でした。
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