『殺人者はライフルを持っている!』(1968年)
この作品はピーター・ボグダノビッチ監督、ボリス・カーロフ、ティム・オケーリー主演の狙撃サスペンスです。
なおこの文はネタバレ全開となっています。
この作品はライフル狙撃犯が出るプロットで見ました。かなり以前に見たことがあって妙に印象に残っているのもあります。理由不明の無差別狙撃というのが強烈でした。ピーター・ボグダノビッチ監督で見たのではありません。
1968年 パラマウント アメリカ作品
原題◆Targets
プロット ライフル狙撃犯を老スターが退治する話しのようです。
スカイパーフェクTV315スター・チャンネルにて。画質はよいです。
キャスト
ボリス・カーロフ→老スターのバイロン・オーロック
ピーター・ボグダノビッチ→若い監督兼脚本家サム
ナンシー・シュー→バイロンの秘書ジェニー
モンテ・ランディス→プロデューサーのマーシャル
アーサー・ピーターソン→プロデューサーのエド
ティム・オケーリー→狙撃犯のボビー
タニヤ・モーガン→ボビーの奥さんアイリーン
サンティ・バロン→DJのキップ・ラーキン
ピーター・ボグダノビッチ監督の演出はよいと思います。出演もしています。
脚本も書いています。批評家あがりで演出の方は大丈夫?となりますが無難にまとめていました。
この作品はボリス・カーロフにオマージュを捧げたようです。
作品内に登場する若い監督兼脚本家はボグダノビッチ自身のようですと思って、よく調べるとこれはピーター・ボグダノビッチ本人が出ていたのか。これはたまげた。よく恥ずかしくないなと感心しました。演技のことではなく演じるキャラクターが恥ずかしいのではと思えました。
この作品実は1回見ているので老スターのバイロンから狙撃犯ボビーと描写が移るとこ等、終始この2人が対比されているとこが自然に見えました。
狙撃犯のボビーのクルマは白のマスタング・コンバーティブル。
トランクの中にはこつこつと買い集めた武器が満載されています。ライフル、ショットガン、ハンドガン等。最期にライフル用の30-06の実包300発を仕入れます。
移動するたびに装備をぽろぽろと落とします。手際の悪いこと。
狙撃に使用するライフルは自動式のようです。狙撃にはボルトアクションのライフルを使わなければいけません。それとも大量殺人を企てたので効率重視で自動装填式にしたのかな?
犯行前に奥さんと母親を次々と撃ち殺して死体をベッドに置きます。その前に父親も殺したはずですがそのシーンはなかった。これは何か意味があるように思えました。
最初はハイウェイ脇にあるシェブロンのタンクの上に上がり、そこからハイウェイを走行中のクルマを狙撃します。
巨大なタンクには、モーターにパイプ、メーター、バルブが目に付きます。
その後にレセダ・ドライブイン・シアターに移動してスクリーンの裏に入り映画が始まってから見に来た人達を無差別狙撃します。ここがクライマックスの舞台となります。
ドライブイン・シアターはこのような仕組みとなっていますとの教育映画のごとくです。これはいい。映写でのフィルム交換まで描写されてて、ここは映画批評家上がりらしいディテール描写でした。
この無差別ライフル狙撃犯には実在のモデルがいます。
テキサスの大学かどこかの塔に籠城した連続狙撃犯として有名です。テキサスはチェーンソーだけではなく他にも色々とあるということのようです。
このテキサス塔籠城狙撃犯そのものをTVムービー化した『The Deadly Tower』(75年)は以前見たことがありました。随分と後になってから狙撃犯Charles Joseph Whitmanにカート・ラッセルが扮してることを知ってびっくりしたものです。
結構出来はよかったと記憶していますが邦題を忘れてしまった。『恐怖の塔』では江戸川乱歩になってしまう。これではなさそう。おそらく土曜ワイド劇場風の長い邦題だと思います。
狙撃のことですが1000メートル位離れたとこから狙撃されると発射音より先に撃った弾丸が飛んでくるそうです。これをそのまま映像化すると見ててわけがわからないから、何とか上手く映像化出来ないものか。誰かやって。→『エネミー・ライン』(2001年)で、かなり上手い描写がありました。
似たような例で野球場の外野席で見ているとピッチャーの投げた球をキャッチャーが捕る音がTV放送で見ているよりワンテンポ遅れて聞こえてきます。初めて聞いた時は妙な感じがして面白かった。
バイロンの秘書ジェニーのナンシー・シューはアジア系美人。黄色いワンピースが素敵です。当てずっぽうですがおそらく当時のボグダノビッチの愛人でしょう。
そんなわけでかなり以前に1回見てて今回見直すとまあ水準のよい作品でした。
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