『十字砲火』(1947年)
この作品はエドワード・ドミトリク監督、ロバート・ヤング、ロバート・ライアン、ロバート・ミッチャム主演のフィルム・ノワールです。
なおこの文はネタバレ全開となっています。
この作品は3人のロバートのキャストと人種差別がポイントのプロットで見ました。話しの方はネタバレ済みでみたので謎解きに関しては無意味でした。ユダヤ人差別で上映禁止になっていたというのもポイントです。
1947年 RKOラジオ・ピクチャーズ アメリカ作品
原題◆Crossfire
スカイパーフェクTV310衛星劇場にて。画質はまあよいです。
プロット ユダヤ人であるからというだけで殺された事件をめぐる話しのようです。
音楽 ロイ・ウエッブ
キャスト
ロバート・ヤング→フィンリー刑事
ロバート・ライアン→容疑者のモンゴメリー
ロバート・ミッチャム→キーリー軍曹
グロリア・グレアム→ホステスのジニー
ジャクリーン・ホワイト→ミッチェル夫人
ジョージ・クーパー→絵描きのミッチェル
ウィリアム・フィリップス→南部出身のルロイ
レックス・バーカーはどこに出てた?→ベラ・マイルズを妊娠して『めまい』(58年)に出られなくなった原因となった人です。
エドワード・ドミトリク監督の演出はよいと思います。この監督には赤狩り関連であまりよい印象はありませんがそれは別のこととして見ました。
夜のシーンがホトンドでこれがまた光と影のコントラストの効いたきれいな絵でした。当時流行っていたフィルム・ノワール調の絵でその効果があってか、やたらと緊張感が出てました。
始まってすぐに殺人があって事情徴収等で今ここにいない複数の人の名前を連発してますが、そんなことを聞かされても見ているほうは誰が誰だかわかりません。ここはイマイチです。
溶暗の間が長すぎてしかもさして意味があるとは思えないとこに入れてました。これは演出意図ではないようです。
大戦直後というと除隊した軍人は結構羽振りがいい時期ではないでしょうか。現役軍人はそうでもな いのか。
ホステスのジニーの亭主は嘘ばかり並べ立てます。軍人に対してコンプレックスがあるのか妙にリアルです。
3人のロバートは洒落でキャスティングしたのかと思えますが、話しの方は大まじめでした。演技の方は3人ともよい出来でした。名前はヤングでも3人の中ではロバート・ヤングが1番ベテランなのでしょう。
ロバート・ヤングがアイルランド移民差別に関して淡々と語るシーンは圧巻でした。でもフィンリーという名ではアイルランド系とは分かりません。でも、オブライエンだったりするとすぐにアイルランド系とわかってしまいますか。
ロバート・ライアンはセリフの端々にユダヤ人に対する偏見が表われていました。この作品のライアンはマジで怖い。
ロバート・ライアンは悪役が好きなのかこのような役が多い。そういえば『裸の拍車』(53年)の根っからの犯罪者で、『日本人の勲章』(55年)でも日本人に対して人種差別をしてる役で、もう大ベテランになっていた『墓石と決闘』(67年)でも悪役をやっていたからタイプキャストではなくて好きでやっているのでしょう。
ロバート・ミッチャムは飄々とした感じでした。若いです。先輩2人に見劣りがしないのはさすが。
グロリア・グレアムがホステスのジニーとは気が付かなかった。てっきりミッチェル夫人かと思ってました。
同じユダヤ人差別を扱った『紳士協定』(47年)は見てます。こちらは殺人事件もなくてソフトな感じで。ご都合主義とも言える出来でした。悪くはないけど。
そんなわけで、なかなかの力作フィルム・ノワールのよい作品でした。
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