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2006.12.09

『バイオレント・サタデー』(1983年)

この作品はサム・ペキンパー監督、豪華キャストのサスペンス・アクションです。
なおこの文はネタバレ全開となっています。

1983年 デービス-パンサー・プロ/20世紀フォックス アメリカ作品
原題◆The Osterman Weekend
DVDにて。画質は非常によいです。買う価値はあります。
プロット 亡き夫人の仇討ちに巻き込まれる話しのようです。
音楽 ラロ・シフリン

キャスト
ルトガー・ハウアー→TVキャスターのジョン・タナー
ジョン・ハート→CIAのファセット
クレイグ・T・ネルソン→TV脚本家のオスターマン
デニス・ホッパー→医者のトレメイン
クリス・サランドン→資本家のコルドン
メグ・フォスター→タナー夫人のアリ
ヘレン・シェーバー→トレメイン夫人のバージニア=ジニー
キャシー・イェーツ→コルドン夫人のベティ
クリストファー・スター→タナーの息子スティーブ◆字幕ではクリスと出てた
ハンスフォード・ロー→TV出演してたキーバー将軍
バート・ランカスター→CIA長官のダンフォース
サンディ・マクピーク→ダンフォースの補佐ステニングス
ジャン・トリスカ→KGBのミカロビッチ
通好みのオールスターキャストになっています。


サム・ペキンパー監督の演出はよいと思います。
相変わらず、全編を通してあっちこっちにシーンが飛ぶカットバック大会となっています。これでキャラ紹介をしています。キャラを覚えるのが面倒なのですが、このオールスターキャストなら覚えるのが苦になりません。

数少ないカーアクションにて。スローモーションにカットバックといつものペキンパー監督のアクション描写演出となっています。
ユーモア描写も入ってます。TVが切れなくなって突然ジョン・ハートが天気予報してたりします。

ジョン・ハートもルトガー・ハウアーの2人とも自分の奥さんのために行動しているのが共通しています。この2人を対比して描写しているようです。これまでのペキンパー監督作品と同じ傾向となっています。さすが映画作家は違います。
クレイグ・T・ネルソン扮するTV脚本家のオスターマンがアクション関係のシーンでは主役を張っています。TV脚本家なのに武道の達人で掌打等を駆使してCIAエージェントと対等に渡り合っていました。とても脱税しているだけの素人には見えません。
主にこの3人が主要キャラとなっているようです。クレイグ・T・ネルソンが儲け役で目立っています。

バート・ランカスターは特別出演といった感じです。
デニス・ホッパーとクリス・サランドンは主役ではなくサポートです。

結局オメガなる組織は単なる脱税組織だったということのようです。CIAはこれを大げさにして脅威とする筋書きとのことです。

アクションシーンではレーザーポインタにサイレンサー装備のマシンガンが出てきます。ここでレーザーポインタの赤い点が効果的に使われていました。

キャンピングカー爆破のシーンはあまり上手くいっていない。
ここは一気に爆発したとこをお得意のカットバックで描写してほしかったとこですが断続的に小爆発が繰り返すといった感じで何とも物足りない。低予算なのでやり直しが出来ないのは同情しますが残念です。

クライマックスのシーンではあらかじめインタビューするショットを撮っておいてアリバイを作り、そのすきに人質に取られた妻子を救出に向うという設定になっています。初めて見たときにはこれが理解出来なかったものです。

殺されたファセットの奥さん役の人は美人です。役柄はポーランド人の暗号係とのことです。この女優さんの名前が後タイトルに載っていません。何で?

TVキャスターのジョン・タナーのクルマは白のポルシェ356です。
ジョン・タナーの家に持ち込まれる最先端の機器はオメガならぬパイオニアの機器が到着していました。他にはソニーのモニタにJVCのビデオコントローラ等が目に付きます。

タイトル。
セックスをモニタしている画面が入ります。
殺し屋2人が入って女性を殺します。
鼻の穴に注射する手口です。

このモニタを見ているバート・ランカスター扮するCIAのダンフォース長官と部下のステニングス。打ち合わせとなります。
オメガのメンバー3人とKGBのミカロビッチ。
ジョン・タナーの名も出ます。

ジョン・ハート扮するファセットが呼ばれます。
打ち合わせとなります。
ジョン・タナーのニュースショーFACE TO FACEを見ながらとなります。
副調整室では細かくカット割りやショットサイズを指示しています。

カットインでヘレン・シェーバー扮するトレメイン夫人のバージニア=ジニーがテレフォンセックス中。相手はデニス・ホッパー扮する医者のトレメイン。
4人で会ってる写真を見て動揺しているトレメイン。

カットインでクレイグ・T・ネルソン扮するTV脚本家のオスターマンが柔道?の稽古で登場。暗闇でも強いとこを見せています。
他にも電話中のクリス・サランドン扮する資本家のコルドンも出てる。

ポルシェ356で帰宅するルトガー・ハウアー扮するTVキャスターのジョン・タナー。
夫人と息子とタナー。
CIAのダンフォース長官から電話です。会うことになります。
ヘリコプターの迎えが来ます。

クルマで倉庫へ。
エレベーターで4Fへ上がるジョン・タナー。
ファセットが待っています。
オメガの3人はスパイだとファセット。証拠のビデオを見せています。
CIAのダンフォース長官が来ます。
話となります。協力するから自分の番組に出てくれとジョン・タナー。

オメガ3人の描写が入ります。
風呂に入っているコルドン。
ベッドのトレメイン。
ベンツに乗って白バイに捕まってるオスターマン。
ドライブインシアター=クルマ用映画劇場で会ってる4人。

ジョン・タナーの自宅です。
機材が届きます。家中に隠しカメラや隠しマイク等を取り付けるのです。
夫人と口論のジョン・タナー。別れ話と思っている夫人、安全のためにと説明は出来ないジョン・タナー。

夫人と息子をステーションワゴンで送るジョン・タナー。
ここでアクションとなります。スローモーションとカットバック。
ステーションワゴンとライトトラックのカーアクション。
夫人と息子は救出されます。FBIを名乗るファセット。

ジョン・タナーの自宅です。
TVでファセットと連絡をとるジョン・タナー。
ジョン・タナーと夫人のセックスを見てるファセット
カットバックでプロローグのシーンが入ります。

客が来ます。オメガ3人と連れ。合計5人。
モニタ映像と実際の挨拶のカットバック。本音と建前のカットバックになっています。
ホンダ製3輪バギーが出ています。
庭で食事となります。モニタで見ているファセット。

プールです。
ここからこのビデオを見ている夜のリビングルームへとジャンプしています。
上手いじゃん。
ビデオにオメガと出て凍りつくオメガの3人。

キッチンに来たジョン・タナーとTVで連絡をとるファセット。
そこに頭にきたオメガの3人が押し掛けてきます。
ここでTVが切れずに焦るファセット。切れなくてその場をごまかすために天気予報を演じることになります。ブラックなユーモアがいい。
天気予報をするのが意外に長くてジョン・ハートのアドリブ演技がいい感じ。

ビリヤードルームです。
直接会うジョン・タナーとファセット。
オスターマンが来ます。隠れるファセット。

指令車のファセット。少し離れた場所に停まっています。
コルドンとベティのセックスをモニタしています。

翌日、プールです。
水球をしています。段々とマジになっていたりする。
コルドンが頭にきてマジになっています。

気まずい夕食の席。
唐突にTVに電源が入ります。スイスの風景。
スイスには銀行があって脱税のカネが集まり資金を洗浄しています。で、オメガと出ます。
タナー夫人とバージニアがキャットファイトとなります。
そんなとこでお開きとなります。

冷蔵庫に犬の首が入っているのを息子が見て大騒ぎとなります。
これはフェイクでしたが、こんなのを見たらトラウマになると思う。
客に帰ってくれとジョン・タナー。

指令車に向かうジョン・タナー。
尾行するオスターマン。

寝室にて。
コルドンらが押し掛けて来たので窓から外に逃げるタナー夫人と息子。

見張りを片づけるオスターマン。
これが強い。とても素人とは思えません。一応キャラ紹介で武道をやっていることにはなっています。

残りの客4人はタナー家からずらかることします。。
リモコン操作でガレージのドアを締めて4人をキャンピングカーに乗るように仕向けるファセット。そこまでリモートコントロール出来るようにしていたようです。

部下にオスターマンを片づけるように指令するファセット。
レーザーサイトのサブマシンガンの描写がいい。
ジョン・タナーが出て行ったとこで、ジョン・タナーも片づけろと指令するファセット。

家に戻るジョン・タナー。誰もいません。
子供用木製バットを持ってオスターマンを待ち伏せるジョン・タナー。
格闘アクションとなりますが圧倒的に強いオスターマン。とても素人には見えません。
ルトガー・ハウアーは『ブレードランナー最終版』(82-92年)のレプリカントの癖にあまり強くないではないかと思ってしまいますが、この作品では普通の人なのでそんな無理を言ってはいけません。これは私のことです。
ここでTVからこの件の種明かしをするファセット。
オメガのメンバーはスパイではなくて単なる脱税者でした。

キャンピングカー内がTVに映し出されます。
これを見てるジョン・タナーとオスターマン。

キャンピングカーのTVにはジョン・タナーとオスターマンが映し出されます。
TV画面にバージニアが気がつきます。
キャンピングカーから出ろと伝えるのに悪戦苦闘のジョン・タナーとオスターマン。音声が切られているので紙に字を書いて伝えようとしています。おかしいけどおかしくなくブラックな感じ。
リモコンでキャンピングカーを爆破するファセット。
バージニアが歌う賛美歌が流れる中で爆破と共に退場となる4人。いいシーンです。爆破シーンが少し物足りないけど。

ジョン・タナーとオスターマンにファセットの手下が迫る。
白髪の手下ケリーはオスターマンが待ち伏せて片づけます。
まだ手下はいます。

ここでアーチェリーでジョン・タナーとオスターマンを援護するタナー夫人。
手下ブリックを片づけます。これが中々いいシーン。矢が刺さるとこが真に迫っています。
思わぬ妨害に罵声を吐くファセット。これがいいセリフ。
タナー夫人のことを「金髪の青い目の魔女」と言ってます。日本語字幕では出ていなくて英語でそう言ってます。何でわかるのかというと初公開時に劇場に見に行った時にそのように日本語字幕で出ていたのを覚えていたからです。

ボウガンでも手下をもう1人片づけるタナー夫人。
アーチェリーとボウガンを矢を放つとこはいかにも矢が貫くといった感じの描写も結構よくて見てて身体が硬直します。

プールに飛び込んだジョン・タナーとオスターマンの上にガソリンを撒く手下のミカロビッチ。

息子をFBIのファセットだと手なずけて押さえ、更に息子をネタにタナー夫人を拘束するファセット。

プールではガソリンにジッポーライターで点火されて火の海となりますが、小型ボウガンが手下を片づけるジョン・タナー。
戻ったジョン・タナーにTVで夫人と息子を種に脅迫するファセット。

CIAのダンフォース長官と部下のステニングス。
打ち合わせ中です。どういうことだとか、ファセットはどこに行ったとか。こまった状態になっているようです。

ジョン・タナーのニュースショーFACE TO FACEです。
これはあらかじめジョン・タナーのビデオを撮って編集でつないでアリバイというか現場からいなくなるようにする工作のようです。

ゲストはCIAのダンフォース長官です。リアルタイムで他の場所から実況中継です問答となります。
証人でファセットが登場となります。これもビデオ撮りではなくリアルタイムで他の場所から実況中継のようです。

ヘリコプターが飛びます。
港のコンテナへ。ファセットがいる。来たのはTVに出てる筈のジョン・タナーでした。何故かおとなしく撃たれるファセット。夫人と息子を救出するジョン・タナー。

TVニュースショーで視聴者に語りかけるジョン・タナー。
余韻をあるエンドとなります。

アクションは控え目になって、プロットと演技で見せています。
そんなわけで疑心暗鬼サスペンス・アクションといった感じのよい作品でした。

この作品を最初に見たのは銀座の東宝シネマ1でした。これがサム・ペキンパー監督の遺作となるとは思わずに見たものです。


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コメント

初めてコメントさせていただきます。よろしくどうぞ。

この作品は、地方ローカル局で放映されたバージョンを見ただけなので、DVDは入手困難、レンタルも見あたらない感じで、気になっていたところ、貴兄の詳細な内容紹介のおかげで、どのへんがカットされているのかなんとなく見当がつき、ちょっと助かりました(無論、ちゃんと観てみたい気持ちも湧いていますが)。

これは、プロットが複雑過ぎて、理解しづらい映画です。
あらを探せばキリはないでしょうね。
たとえば、カーアクション(妻子の誘拐)の必要性はあるのかとか、ファセットは誰を殺すつもりでキャンピングカーに爆薬をしこんだのかとか、キャスターのジョン・タナーまで殺しかけて、番組の計画はどうするつもりだったのかとか(TVで告発するつもりだったはず)。

何から何まで、後出しジャンケンのような展開です。
いずれにしてもすごい作品なので、好きなのですけれども。

p.g.s.さん、コメントありがとうございます。

細かいことを考えていたらキリがないので、ここはサム・ペキンパー監督と得意の主要キャラ2人の対比ドラマで楽しめました。キャストもルトガー・ハウアーとジョン・ハートなので文句ないし・・・

DVDはホントに買い時を逃すともう買えません。全品初回限定発売みたいなものです。レンタルなんて当てにはなりませんし、全くこまったものです。

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