『日曜日が待ち遠しい!』(1983年)
この作品はフランソワ・トリュフォー監督、ファニー・アルダン、ジャン=ルイ・トランティニャン主演の巻き込まれサスペンスです。
なおこの文はネタバレ全開となっています。
1983年 レ・フィルム・デュ・キャロッス/ソブロ・フィルムズ/AAA フランス作品
原題◆Vivement Dimanche!
DVDにて。画質は普通によいです。こんなものでしょう。
プロット ヒロインが勝手に真犯人捜しをする話のようです。
音楽 ジョルジュ・ドルリュー
キャスト
ファニー・アルダン→ 秘書兼劇団員のバルバラ
ジャン=ルイ・トランティニャン→不動産会社の社長ベルセル
フィリップ・モリエ=ジュヌー→サンテリ署長
ロラン・テノ→署長の助手ジャブロー
フィリップ・ローデンバック→クレマン弁護士
グザヴィエ・サンマカリー→バルバラの前夫で報道カメラマンのベルトラン
キャロライン・シホル→ブロンドの奥様マリ・クリスティーヌ
ジャン=ピエール・カルフォン→マスリエの兄クロード・マスリエ神父
アニク・ブローブル→映画窓口係兼脅迫者兼被害者のポーラ・デルベラ
ジャン=ルイ・リシャール→赤い天使元締めのルイゾン
ジョルジョ・クルリス→ニースのラブラシュ探偵事務所長
フランソワ・トリュフォー監督の演出はよいと思います。
社長1人に秘書1人の不動産屋にて。殺人事件に巻き込まれます。こまった社長を秘書が勝手に助ける展開となっています。これがロマンティック・コメディみたいでいいんです。
それでヒロインに助けられてるくせに男が文句を言ってるのもロマンティック・コメディのルーティンでいいんです。
女性のヒールが歩道を響かす足音がよく聞こえます。全編足音がよく聞ける。ラストのクレジットでも音楽に合わせて足音の効果音がありました。
映画館では殺人のシーンでは『フレンジー』(72年)の引くキャメラがありました。
鏡にランプの図はトリュフォー作品でよく見ます。ここでも見られました。と言っても前に見たのも同じトリュフォー作品の『黒衣の花嫁』(68年)ですけど。
ファニー・アルダン扮するバルバラが歩くタイトル。
歩く姿が素敵です。
プロローグ。狩猟場です。
殺人が起こります。ドアが開いてヘッドライトが付きっぱなしのポルシェ911。
ジャン=ルイ・トランティニャン扮する不動産会社の社長ベルセルがドアを閉めてライトを消して自分のオペルのワゴンでその場を去ります。
出勤途中のバルバラはナンパされたりします。
事務所にて。ベルセル社長夫人から電話があります。成り行きで口論みたいになってしまうバルバラです。これが原因でベルセル社長から首と言われるバルバラです。
サイレンの音があり警察がやってきます。
フランスのパトカーのサイレンは。緊張感が欠けてる音なので映画でギャグのネタになっています。→メル・ブルックス監督出演の『スペースボール』(87年)でもネタにされています。
警察にて。
死んだのはマルセルの知り合いマスリエ氏とわかります。
ベルセルの自宅にて。
女の声で嫌がらせの電話がかかってきます。録音するベルセル。
バルバラは舞台稽古中。
夫とは1年前に離婚したと話しに出ています。
素人劇団で何をやっているのかと思ったらユゴーのようです。シェークスピアではないのがさすがフランスというところ。
ベルセルの自宅にて。
社長夫人が帰宅して口論となります。
警察が来てマルセルは同行する。
警察にて。
事情聴取となります。弁護士を呼ぶマルセル。
顧問のクレマン弁護士がやってきます。
死んだマスリエ氏は映画館経営とわかります。
ベルセルはクレマン弁護士に送られて帰宅します。
舞台稽古は続いています。
ここで「娘が来る」と言って、いつまでたっても演じてるバルバラが来ないギャグがあります。
バルバラが来ないのはベルセルのせいです。
事務所にて。
夫人は死んでたとマルセル。回想で描写されます。
ニースへ行くとマルセル。疲れているのか寝てしまいます。
パリからニースまでどれくらいの距離なんだろ。東京から熱海くらい?
そんなわけでニースには詳しいバルバラが代わりに勝手に行きます。オペル・ワゴンを使います。
舞台稽古のコスチュームの上にマルセルのコートを着ているバルバラです。これがいいんです。
ニースです。タクシーに乗り換えます。
キャバレー赤い天使を見ます。美容院ではない。
ホテルに着きます。社長夫人がいた813号室がお目当てですが811号室となります。メイドに質問したりで強引に813号室に泊るバルバラです。
コートを脱ぐとコスプレ姿です。これがいいんです。
夜中に寝ているとこに怪しい男が忍び込んできます。千切れた服を残して逃げられます。
ベルセルの自宅にて。
夫人の死体が運び出されます。
ラブラジュ探偵事務所に乗り込むバルバラ。
名探偵ぶりを発揮しています。
バス停に来るバルバラ。
競馬の名から探偵事務所に電話します。
バスで帰ります。
事務所にて。
帰ったとこをいきなりベルセルに頬を張られるバルバラ。
口論となります。ハンドガンと脅したりと色々やっています。
結局ニースで夫人を調べるために探偵事務所を雇った人物が犯人と推定します。
コーヒーを沸かして飲んでいます。フランスは合理的です。
日本では自動販売機で缶コーヒーになってしまいますが、正直言ってこれは結構割高だと思えます。中味より入れ物の方が高いのではないか?。
城を買いたいと怪しい男が事務所にやってきます。
あとで神父とわかります。
クレマン弁護士を訪ねるバルバラ。
話しを聞きます。情熱犯罪にしたほうがいいとなります。フランスは情熱犯罪には理解のある国とのことです。
警察に連れていかれるバルバラ。
事情聴取となります。ニースのことを聞かれます。
事務所にて。
現場のポルシェのドアに付いた指紋について話すベルセル。筋は通っています。
指紋のことでバルバラに文句を言うベルセル。
映画館エデン座に電話します。聞き覚えのある女性の声?
公開当時のシティロード誌の紹介欄で見た覚えがあるショットがありました。当たり前ですか。アルダンとトランティニャンが並んで電話を聞いてるとこです。『突撃』(57年)は恋愛映画ですか?と脅迫者の声と確認するために電話の話を長引かせるとこがいい。
上映されている『突撃』について電話での問いにちゃんと説明していました。説明通りにホントに歌もあります。『突撃』は内容が内容だけにフランスでは公開されていなかったのでは?だから名画座でやるようです。
トリュフォー監督作品には劇中上映作品に『突撃』(57年)とか『市民ケーン』(41年)等か登場しますがこれは見栄はっているのではないの?ホントは『キングコング』(33年)とか『ゴジラ』(54年)なのでは?フランス人はこういうとこがいけません。
映画館エデン座に行くバルバラ。
切符売りの女性と口論になります。
尾行するバルバラ。キャバレー赤い天使。アパルトマンLE83。
舞台稽古に戻るバルバラ。
もう代わりがいます。クルマのカギを拝借して帰ります。
この新聞社のクルマはシトロエン。
シトロエンでアパルトマンLE83に行くバルバラ。
勝手にベルセルも乗っています。
ベルセルがアパルトマンに忍び込みます。城を買いにきた男が来て格闘となります。バルバラは加勢に急行します。
警察に電話して素早く逃走しようとしますがクルマのエンジンがかからん。
雨の中エンジンがかからない最悪の展開となります。ここで物影でキスをしてごまかそうとするバルバラです。
何とかやり過ごしてクルマのエンジンもかかり丘の上でクルマを止めて一休みとなります。今度はベルセルがキスをしています。
事務所です。
半地下の天窓のガラス越しに足音が聞こえます。窓の外を歩く女性の脚が気になるベルセルです。
で、わざわざ自分でも歩いてみせるバルバラです。これはいいシーンです。
教会です。マスリエ氏の葬式です。
城を買いに来た怪しい男はマスリエ氏の兄で神父とわかります。額に殴られた跡があるからわかりやすい。
事務所です。
募集していた秘書志願の女性がやってきます。タイプライター1本指打ちを見せてくれます。これは話しは無関係のお遊びなシーンでした。
続いて事務所にて。
3日経ったとベルセル。バルバラは街娼のふりをして路上に立つことにします。
キャバレー赤い天使付近の路上にて。
さっそくキャバレー内に連れてかれるバルバラ。
トイレに隠れます。ドアノブが壊れます。そんなことから偶然に殺人を目撃します。機転を利かせてキャバレーから逃走するバルバラ。
クレマン弁護士を訪ねるバルバラ。
隠しドアを発見します。
事務所にて。
ベルセルに愛の告白をするバルバラ。
警察が表にいますがいないと言うバルバラ。ベルセルは捕まります。
警察にて。
ベルセルに尋問中。クレマン弁護士が来ます。バルバラも強引に入り込みます。
そんなこんなで事件は解決となります。
エピローグ。
バルバラとベルセルの結婚式となります。
ファニー・アルダンがきれいに撮れていればいい作品でもあります。さすがフランソワ・トリュフォー監督の当時の愛人だからきれいに撮れています。
ファニー・アルダンの黒っぽいレザーのスカートが素敵。太ももやお尻のラインが光って見えるのがなんともいえずいい。
横向きになった時の体のラインがイカします。
素人劇団のコスプレ姿がイカします。脚がいい。その劇団のコスプレ姿の上にコートを羽織ってニースまで行ってしまうのです。コスプレにコートを着てあちこち歩き回る姿がいいです。このコートが自分の物ではなくて好きな男の物なのがまたよろしい。素人探偵ぶりがいい。押しが強いのがらしくていいです。ニース出身との設定とのこと。
アルダンは大きい。6フィート=180センチくらいありそうです。トリュフォーは小男だったからこれはまた凄いバランスのカップルだったよです。
トリュフォーにしてみれば大好きだったアルフレッド・ヒッチコック監督の『汚名』(46年)のクロード・レインズとイングリッド・バーグマンのつもりだったのかも。トリュフォーがホントに『汚名』が好きだったと理解出来ました。
ヒロインの方が男より背が高いのがトリュフォーの好みのようです。この作品でもブロンドの奥さんは亭主のジャン=ルイ・トランティニャンより背が高い。
ジャン=ルイ・トランティニャンは随分と老けたような。そりゃコンスタンティン・コスタ=ガブラス監督の『Z』(69年)の時から比べれば少しくらいは老けるかも。
クルマは被害者はポルシェ911、ベルセルはボルボのワゴン、新聞社はシトロエンとなっていました。
フランスの白バイはBMWのようです。
ニースの競馬は馬車でやっていました。シャリオという二輪馬車を引くものでした。
フランスの電話機はスピーカー部がもう1つ別についてて聞くだけ同時に2人出来るようになっています。合理的というやつか。
テレックスは合理的に見えます。日本ではファックスになります。
初期作は当たり外れがあるけど遺作となったこの作品。まだまだ現役だったからそんなに心配はしてなかった。期待通りの出来でした。
見ているうちにこれは『北北西に進路を取れ』(59年)のノリなのではと思いました。だから大まじめに見てはダメです。お気楽に見ましょう。
そんなわけでやたらとファニー・アルダンが歩き回るよい作品でした。
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