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2006.12.14

『殺人狂時代』岡本喜八監督版(1967年)

この作品は岡本喜八監督、仲代達矢、天本英世、団令子主演のオフビートなサスペンスのようです。
なおこの文はネタバレ全開となっています。

1967年 東宝作品
ランニング・タイム◆100分
プロット◆殺し屋に狙われる話しのようです。
音楽◆佐藤勝
スカイパーフェクTV707日本映画チャンネルにて。画質は普通によいです。画面サイズはワイド。上下に黒味アリ。

キャスト
仲代達矢→狙われる冴えない男の桔梗信治
天本英世→殺し屋のボス溝呂木省吾
団令子→ヒロインの鶴巻啓子
砂塚秀夫→小悪党の大友ビル

ブルーノ・ルスケ→ドイツ人のブルッケンマイヤー
小川安三→カードの殺し屋 太ってる間淵
富永美沙子→義眼の女殺し屋
沢村いき雄→老いたる殺し屋
久野征四郎→ハイネの詩を口ずさむ松葉杖の殺し屋
江原達怡→心霊の青地
川口敦子→心霊の教祖小松弓江
滝恵一→池野

西條康彦→会社員、『ウルトラQ』(1965年)では一平君
二瓶正也→自衛隊員で暗号名パピィ、『ウルトラマン』(1966年)ではイデ隊員
阿知波信介→学生、『ウルトラセブン』(1967年)ではソガ隊員

大前亘→自衛隊員で暗号名オバQ
伊吹新→自衛隊員で暗号名アトム
長谷川弘→自衛隊員で暗号名ソラン
大木正司→安
樋浦勉→秀
丘照美→小柄な女
深井聰子→大柄な女
草川直也→編集長
宇野晃司→首の長い男
中山豊→笑う狂人
浦山珠実→ウィンクする狂人
山本廉→咆える狂人
出雲八重子→法華の狂人
土屋詩朗→羽織袴の狂人
南弘子→ホステス

この作品は岡本喜八監督とおかしなプロットで見ました。雑誌宇宙船1984.12月号の紹介で前から見たかった作品です。

岡本喜八監督の演出はよいと思います。
ですがラストのあたりが間延びしています。ヒロインの告白する描写が延々とあって、これがクド過ぎます。ここをスパッと終わっていたらもっとよかった。

殺し屋が色々・・・
仲代達矢はまずトランプのカードを手裏剣のように飛ばしてくる殺し屋小川安三に襲われます。次に地下鉄銀座線にて殺し屋沢村いき雄に襲われます。その他にも色々な殺し屋に狙われます。

クライマックスでアクションで・・・
自衛隊の演習地に誘い込まれて的にされた時には大砲の着弾点を辿って脱出していました。同じとこには着弾しないとジンクスということらしい。このことは雑誌の宇宙船の紹介で知ったことで今回見ててそうなのかとわかるのか?といえばわかりにくかったりします。

仲代達矢といえば『パトレイバー』シリーズの後藤隊長のモデルです。
この作品と市川崑監督の『鍵』(1959年)で、ホトンド後藤隊長のキャラ設定が完了すると思えます。この2作は『パトレイバー』シリーズを見た人は一見の価値はあると思えます。

で、後藤隊長が出演している、
『機動警察パトレイバー』(1989年)
『機動警察パトレイバー2』(1993年)
『WX3 機動警察パトレイバー』(2002年)
等の感想があります。

仲代達矢はおでことギョロ目が特徴でどことなくユーモラスなのがいい。
黒澤明監督の『椿三十郎』(1962年)でも三船敏郎に対する凄腕のライバルの筈なんですがどこかユーモラスに見えてしまいます。これもこれでいいけど。

仲代達矢と天本英世が一緒に映っているとこだけでもいいです。
実生活ではスペインマニアの天本英世がいきなりスペイン語ではなくてドイツ語で喋ります。ラストではスペイン式の決闘なんてやってますが。
アメリカでリメイクされるとすれば天本英世の溝呂木はクリストファー・ウォーケンがちょうど合います。

仲代達矢のクルマはシトロエン2CV。
ボロボロで最高時速が20km/hしか出なくて盗もうとした砂塚秀夫が遅いと文句をいうほどのクルマです。そんなクルマなのに乗り込む時はわざわざ内履きのゴム草履に履き替えて乗り込んでいました。このようなディテールがせこくていい。

団令子はもっと丸い顔してると思っていたけど結構きれいでいい感じ。ヘアスタイル等典型的1960年代美人です。とっても素敵。
丸い顔は『椿三十郎』(1962年)の団令子でした。

TVのウルトラシリーズでおなじみの3人が出ているのが楽しい。
西條康彦の会社員と阿知波信介の学生は1シーンしか出ていませんでしたけど。二瓶正也と合わせて私にはオールスターキャストになります。


プロローグ。
いきなり精神病院にて。
患者さん達が大勢いて大騒ぎしています。
ところで助手の男が誰だかわからん。
ドイツ人のブルッケンマイヤーが溝呂木省吾に面会に来ています。ドイツ語で会話しています。
3人を捜し出してくれと以来しています。

引き受けたところでタイトルとなります。
タイトルバックのマンガはサントリーCMのマンガです。

電車にて。
痴漢される着物で眼帯の女。
降りたとこで痴漢男を片づけます。
で、シーンが飛びます。

夜、市街地にて。
着物で松葉杖の男に尾行される女。
あっというまに片づけられます。

精神病院にて。
死体が2つ、これであと1人となったようです。
ようやく意味がわかりました。探している3人のうち2人を片づけてる描写なのです。

で、次の3人目が仲代達矢というわけです。
アパートに帰宅する仲代達矢扮する桔梗信治。
クルマはシトロエン2CVです。ナンバーは練馬 5 ろ 39-41
げたでクルマ止めをしています。それで止まってしまうシトロエン2CVが凄い。

胸像に向かってママと呼び挨拶し会話してる桔梗信治。
ようやく人がいることに気がついています。驚愕しています。
インスタントラーメンの作り方が妙に気になります。あんな作り方で食えるか?
何故かロールシャッハテストをやり始めます。凄い答えの太った男。ちゃんと答えるのが凄い。
成り行きでこのカードの殺し屋を撃退してる桔梗信治。

警察にて。
団令子扮する週刊誌の記者 鶴巻啓子が登場。取材しています。
ホトンド峰不二子です。
そこに桔梗信治が通報に来ます。

アパートにて。
死体は消えています。お巡りはいなくなり、鶴巻啓子は残る。

レストランにて。ステーキハウス?
パスタを食ってる2人。肉を切るとこを手前に入れています。意味不明。
週間ミステリーの記者だと名乗ってる鶴巻啓子。
表ではシトロエン2CVが盗まれそうになっています。

慌てて追いかける桔梗信治。最高時速20km/hのクルマなので追いついています。
砂塚秀夫扮する小悪党の大友ビルが逆ギレして桔梗信治に説教しています。

バンバンとシーンが飛んでいます。
シーンが飛んで大友ビルに全日本人口調節審議会について調べるとこになっています。

シトロエン2CVで移動中です。
アパートに戻るわけにはいかないので連れ込みホテルに入る桔梗信治。
鶴巻啓子はとっとといなくなる。
大友ビルはクルマで寝ると言ってる。

連れ込みホテルにて。
メガネをかけたままシャワーの桔梗信治。ベッドに誰かいます。鶴巻啓子でした。

精神病院にて。
ブルッケンマイヤーを拷問している溝呂木省吾。
クレオパトラの涙というダイヤのことを聞き出します。

洋服屋にて。
背広を仕立てている桔梗信治。鶴巻啓子もいます。店員が二瓶正也。
黒のタートルネックのセーターに黒いスーツ。カッコいいじゃん。
大友ビルが御注進に来る。地下鉄の新宿駅にて。午後4時に会うと情報を持ってきます。

地下鉄にて。銀座線のようです。
飛び込みがあったらしい。死んだのは情報を持ってきた大友ビルの知り合いのヤクザでした。
殺し屋はまだここにいる。誰だ?となっています。怪しいのがうろうろしています。
ベンチの爺さんが消えた。爺さんが殺し屋だとなります。
殺し屋の爺さんはホームから落ちて地下鉄に轢かれます。

シーンがジャンプして3人で食事です。シーンの飛び方はホトンド実験作のようです。
危険が迫っていると話しかけてくる若い男 青地。あなたには悪霊が取り付いてると心霊の教祖小松弓江に紹介しましょうとなります。

心霊の教祖小松弓江のオフィスにて。
鶴巻啓子と大友ビルが来ています。桔梗信治はクルマのトランクに隠れています。
大まじめに降霊をやっています。

クルマにて。
トランクに隠れてるのがバレて青地とアクションとなります。
ベルトを外してムチにしている青地。
2CVで青地を轢き殺す桔梗信治。

大友ビルは暗示を賭けられ鳥になって窓から飛ぼうしてぶら下がります。
小競り合いとなり心霊の教祖小松弓江の方ははパンチラが気になって窓から転落しています。

シーンがジャンプして桔梗信治と大友ビル。
ここはどこだ?、どこかの安ホテル?よくわからん。
鶴巻啓子は行方不明となっています。
桔梗信治はいよいよ反撃に出るようです。

週間ミステリーの編集室にて。
編集長に鶴巻啓子はどこに行ったと交渉する桔梗信治と大友ビル。休んでますだって。
そこに溝呂木省吾がいます。ここを出ましょうとなります。

バーにて。
このセットのデザインがまたモダンとなっています。
客に西條康彦、阿知波信介がいます。
溝呂木省吾と桔梗信治が話し込む。大友ビルもいます。
キチガイと連発している溝呂木省吾。
ホステスは誰でしょう?、チャイナ服のようなドレスがいい。
話すだけ話して出て行く溝呂木省吾。小さな包が残っています。
リールの巻かれた何かのテープです。

安ホテルにて。たぶんそうだと思う。
映写します。どうやら8mmフィルムでした。
人口調節審議会 PR映画。
鶴巻啓子が拷問されています。
フィルムで今夜10時に我々の使者が行くと予告しています。

誰か来ました。着物に眼帯の女です。
なにやらメモのようなものを持ってきます。それでは落ちてたとこに行きましょうとなる。クルマで移動となります。

クルマにて。
正体を表わして眼帯を外して襲ってくるが失敗して絶命します。
富士のふもとに鶴巻啓子がいと言い残す。

クルマで移動中の桔梗信治と大友ビル。
眼帯の女のクルマをそのまま使っています。このクルマが何だかわからん。
5ナンバー。リアエンジン、2ドアクーペ。わからん。
上空はヘリコプターがいます。
ヒッチハイクの若い女が2人。乗せます。

ホテル マウント富士まで送ります。
桔梗信治と大友ビルもここにいます。
プールでは水着の撮影会となっています。
ハイネの詩を口ずさむ松葉杖の殺し屋がホテルのキーを貸してくれます。

ホテルにて。
女の子2人をスパイか殺し屋かと思ったらどうやら違うようです。
そんなとこにさっきの松葉杖の殺し屋が来る。

松葉杖の殺し屋を追う桔梗信治。
クルマまで追いつめてそのまま殺し屋のクルマで移動となります。ベンツです。

ベンツが通過したとこでおばQからアトムへと無線連絡しています。

殺し屋は鶴巻啓子は自衛隊演習場のトーチカの中だと言っています。

演習場に入ります。
怪しげな自衛隊員2人が来る。迷彩服にM1カービンを装備しています。
トーチカに向かった155mm砲が準備されています。

トーチカへ突撃する桔梗信治と大友ビル。
いたのは鶴巻啓子ではなくマネキンでした。砲撃されます。
ここで砲弾が着弾したとこをたどれば脱出出来ると言ってる桔梗信治。
実行します。
結構弾着は派手にやっています。これはカネがかかってる。

松葉杖の殺し屋は溝呂木省吾に処刑されます。

不発弾を抱えて移動している桔梗信治と大友ビル。
ニセ自衛隊のジープにM1カービンで反撃する桔梗信治。
不発弾でジープを片づけたようです。

東京行きのバスにて。
乗り込んでる桔梗信治と大友ビル。そこに溝呂木省吾が乗り込んできます。
鶴巻啓子をダシにして交渉してる溝呂木省吾です。

桔梗信治と溝呂木省吾はバスを降りてベンツで移動となります。
大友ビルに手帳を預けてそのままにしています。
日本の少年団がドイツにいった時に桔梗信治少年はケガをした・・・

精神病院にて。
檻の中に鶴巻啓子がいます。
桔梗信治と溝呂木省吾。テーブルを挟んで交渉となっています。
クレオパトラの涙のことを知っていた桔梗信治。10年前にもう病院で手術したと言ってます。それがまた偽物のガラス玉だったと言ってる。
今度はダイヤには興味がないと言ってる溝呂木省吾。

何だかんだで鶴巻啓子を助けに行きます。
ここで桔梗信治と助手のアクションとなります。
次は桔梗信治と溝呂木省吾のスペイン式決闘、実は義手で仕込みマシンガン。
何故か強い桔梗信治は溝呂木省吾を片づけます。

桔梗信治は鶴巻啓子を救出してクルマで脱出となります。
荒野です。クルマにて。
君は何者と聞く桔梗信治。薬を飲んで自殺を図る鶴巻啓子。
ここのシーンが長い、長いのは謎解きを延々とやってるからです。

ハンドバッグの爆弾を花火にすり替えていた桔梗信治。
花火をバックにクルマを降りて去ります。

エピローグ。
大友ビルの行きつけのの店にて。
桔梗信治がやって来ます。これがまた冴えない感じになっています。
実は双子だったとなっています。
大友ビルからこの事件のことが記された手帳を受けとる桔梗信治。

桔梗信治のシトロエン2CVで走り去ります。無事だったのかシトロエン2CV。
エンドとなります。


そんなわけで、これはなかなかオフビートでよい作品でした。

岡本喜八監督作品のタイトルは紛らわしいのばかりで困ります。以前にやっとフリッツ・ラング監督でシルビア・シドニー、ヘンリー・フォンダ主演の『暗黒街の弾痕』(1937年)が放映されると思ったら、なんだい東宝のかとがっくりしたことがありました。

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