『罠』(1949年)
この作品はロバート・ワイズ監督、ロバート・ライアン、オードリー・トッター主演のフィルム・ノワールです。
なおこの文はネタバレ全開となっています。
1949年 RKOラジオ・ピクチャーズ アメリカ作品
原題◆The Set-Up
スカイパーフェクTV310衛星劇場にて。画質はまあまあ。
プロット 八百長にはめられるボクサーの話しのようです。
キャスト
ロバート・ライアン→ボクサーのストーカー・トンプソン
オードリー・トッター→ストーカーの奥さんジュリー
ジョージ・トビアス→マネージャーのタイニー
パーシー・ヘルトン→トレーナーのレッド
アラン・バクスター→大物のリトル・ボーイ
ハル・ベイラー→対戦相手のネルソン
エドウィン・マックス→対戦相手のマネージャーのダニー
ロバート・ワイズ監督の演出はよいと思います。
この作品はフィルム・ノワールとのことです。
で、リアルタイムに話しが進行する手法を使っていてPM09:05から話しは始まりこの作品のランニングタイムの73分通りにPM10:20頃に話しは終わります。
ホントにリアルタイムで話しが進行していました。時々そうはなっていないとこもありましたけど。そんな構成なので回想はなしです。
カット割りをあまりやらずにカメラか忙しくパンしていました。
時々不自然な溶暗のところがありました。
ロバート・ライアン扮するボクサーのストーカー・トンプソンの知らぬところでマネージャー同志でわざと負けるとの取り決めが設定されます。たった50ドルで決まってしまいます。4ラウンドマッチで2ラウンドまでは流してその後に負けるとなっていました。
盛りを過ぎた35才のボクサーです。ロバート・ライアンはこんなキャラばかりやっている。どさ回りでスプリングフィールド、ミドルタウン等とセリフに出ていました。どこなんだ?よくわからん。
オードリー・トッターの奥さんジュリーは夫の試合のチケットを持ったまま試合時間の間は街を歩き回ります。とても見れないのです。
見ながらこの女優さんは誰かに似ていると思ったら元フジTVのアナウンサーの近藤さとに似ているんです。そんなことを考えているうちに映画が終わってしまった。もったいない見方をしたものです。
ボクシングの試合は技術は低くともかなり本格的にやってるように見えました。
リアルタイムな進行形式なのでボクシングシーンを省略するわけにはいかないので演じてる2人は大変だったでしょう。他のシーンに切り替えることもやっていませんでした。
最期の試合で前に行われていた他の試合を見せていないのもプラスになっています。これを見せたりすると肝心のロバート・ライアンのボクシングシーンを他の試合と比較してしまったり、見慣れてしまったりするから見せないのが正解なのでしょう。
そんなこんなで試合が八百長でなくなってしまったら、後が怖くてマネージャーもトレーナーも逃げ出しやがんの。
ロバート・ライアンは悪役も多く担当していますし変わった人で、意外と日本に縁があり国辱映画の『東京暗黒街 竹の家』(55年)とか、日本人をリンチ殺人にした首謀者を演じてた『日本人の勲章』(55年)とかあります。その他にもウエスタンのプログラムピクチャーにも出ていました。そして『ワイルドバンチ』(69年)で単なる悪役ともつかない印象的なキャラを演じてキャリア終盤を飾っていました。
ボクシングの観客で野球放送のラジオを聞いてる人がいました。ソックスと言ってましたので1949年ならホワイトソックスではなくてこのシーズン、ヤンキースと歴史的な優勝争いをしていたレッドソックスでしょう。
少し期待しすぎた感じもしましたが悪くはなかった。そんなわけでフィルム・ノワールならではの低予算の佳作でした。
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これはかなり好きな映画です。低予算でありながら、非常に中身が充実しているんですよね。
>ボクシングの試合は技術は低くとも
ロバート・ライアンは元ボクシングのヘビー級学生チャンピオンだった人なので、技術が低いということはないと思います。というか、おそらくその経験を理由に抜擢されたのではないでしょうか。
おっしゃるように、彼はリベラリストでありながら、多くの悪役(『拳銃の報酬』、『日本人の勲章』、『裸の拍車』・・・など)を演じた役者でもありますね。
投稿: user t | 2009.07.15 19:24
user tさん、コメントありがとうございます。
なるほどロバート・ライアンは下手なボクシングを演技をしていたということですか。これはビックリ。
ロバート・ライアンの悪役といえば『裸の拍車』(1953年)の悪役は絶品でしたね。これは見てて感心しました。
投稿: ロイ・フェイス | 2009.07.17 18:31