『ある殺し屋の鍵』(1967年)

この作品は森一生監督、市川雷蔵主演のフィルム・ノワールのシリーズ2作目です。
なおこの文はネタバレ全開となっています。

1967年 大映 日本作品
LDにて。画質はよいです。
プロット カネを取り返す話しのようです。
音楽 鏑木創

キャスト
市川雷蔵→ある殺し屋の新田
佐藤友美→ホステスの秀子
金内吉男→石野組のヤクザ荒木
中谷一郎→石野組の石野組長
西村晃→遠藤建設の社長 遠藤
内田朝雄→殺しの標的 朝倉
伊東光一→弁護士の菊野
山形勲→黒幕の北城
伊達三郎→遠藤の秘書 西村

森一生監督の演出はよいと思います。
撮影は宮川一夫。
やけにグラフィックに凝っています。歩道だけを撮っているとか、人のいないショットが目立ちます。いいものです。

組織のことなどお構い無しに追求をする凄腕の殺し屋(エージェント)のキャラが共通しているのが『殺しの分け前 ポイント・ブランク』(67年)です。両方ともいいものです。
どっちが先に撮ったと思ったら同じ年に製作されていたりします。シンクロニシティなのか？
やたらと踊りのシーンがあります。市川雷蔵はホントに踊りの心得があるそうです。

ヒロインは佐藤友美です。ガラガラ声に茶色い髪など、ホトンドヤンキーな感じもしますがいいものです。
佐藤友美はハスキーな声から何となくレイチェル・ワイズのような感じがします。

内田朝雄は誰かに似ていると思っていましたが、TVシリーズ『ルパン三世』(71年)の第8話『全員集合トランプ作戦』に出ている悪役ゴールドに似ているのです。これは逆かもしれないけど。

最初の4千万が渡される度に減って4-3-2千万となっていきます。
三段階逆スライド？のカネの動かし方の図は見るたびに感心？します。なるほど、右から左で1千万入るわけです。儲ける連中ってのはこうゆう連中かとなるわけです。さすがここでは脚本の東大出の増村保造監督はわかってらっしゃる。

センセイの出発に際して万歳の図はアナクロです。これが未だに年現在でもホントにあるのが凄い。現実の方がぶっ飛んでいます。こまったものです。

ディテールで気になる部分。
ロープを使って忍び込むとこで素手でロープをつたうのには？が付きます。そんなことをしたら掌が擦り切れてしまうのでは。そんなわけで皮の手袋をすればよかったのにと思います。

大映のタイトルです。
続いてスタッフ、キャスト。

針を研ぐ市川雷蔵扮するある殺し屋の新田が登場。

俯瞰で屋根瓦のショットがあります。
扇子を落とす佐藤友美扮するホステスの秀子が登場。
これを拾いナンパする金内吉男扮する石野組のヤクザ荒木が登場。

踊りの師匠藤川の自宅にて。新田は普段を藤川を名乗っています。
踊りの稽古です。
子役が踊っています。
続いてホステスの秀子が稽古しています。
この踊りのシーンが結構長い。
音楽を流すのにオープンリールのテープレコーダーを使っています。当時最新のアイテムなのか？
稽古が一段落して踊りの師匠藤川、実は殺し新田に誘いの秀子。

料亭にて。
西村晃扮する遠藤建設の社長 遠藤が登場。
秀子が杓をしてお相手をしています。
電話です。低姿勢で応対の遠藤です。

黒幕の北城邸にて。
山形勲扮する黒幕の北城が登場。
遠藤と相談しています。邪魔な朝倉を何とかしないといけない。
4000万を遠藤に渡す北条。

遠藤建設にて。
中谷一郎扮する石野組の石野組長が登場。
遠藤は石野組長に指示をして3000万渡します。

石野組にて。
石野組長は荒木に指示をして2000万渡します。

海上のヨットにて。
荒木と新田。
朝倉殺しを依頼する荒木。
海を見て戦争を思い出す新田。海軍なのか？
この件を引き受ける新田。

朝倉の事務所か泊まってるホテル？
仕返ししてやると意気込む内田朝雄扮する高利貸の朝倉登場。
伊東光一扮する弁護士の菊野を早くメモをまとめろとこき使っています。
外から朝倉を偵察中の新田です。

石野組にて。
打ち合わせの新田。
前金1000万で仕事が終わったら1000万となります。
コートに500万ずつ入れて引き上げる新田。

荒木の運転するクルマで移動する新田。
リゾートホテルに向かいます。
ホテルから少し離れた場所で荒木を待たせホテルに向かう新田。

ホテル内のプールです。
朝倉を伺う新田。
秀子をいます。見つかって話しかけられる新田。
で、水上のマットで寝ている朝倉を片づける新田。

戻る新田。荒木はいない。クルマはある。
自分でクルマを運転する新田。
下り坂でブレーキが利かない状態になっています。スクリーンプロセス使用。
飛び降りる新田。クルマは転落爆発炎上となります。

石野組にて。
石野組長と荒木。仕事は上手行ったとなっています。

石野組長と愛人。
寝ているとこに電話です。遠藤からです。
死体はないと慌てている石野組長。

踊りの師匠藤川の自宅にて。
秀子がやって来ます。青いワンピースを着ています。
暗くして踊っている新田。このシーンが結構長い。
これを見ている秀子。

事件の話しとなります。
秀子に頼みがあると新田。荒木を呼び出してくれとなります。

石野組にて。
石野組長と荒木。死体がないと愚痴が出ています。
電話です。呼び出される荒木。

多分秀子のアパートにて。
布団を被ってベッドで待ち伏せしていた新田。
驚く荒木。荒木を絞り上げて石野組長を呼び出します。

石野組の別事務所にて。
やって来た石野組長を絞り上げる新田。荒木は縛られている。
カネを要求となります。後金の1000万を2000万にしてる新田。現金払いだと言ってます。
次は石野組長に依頼したのは誰だと詰問の新田。
唐崎という名前を出す石野組長。

クルマで移動となります。
石野組長に荒木、新田。
荒れ地にきたとこで乱闘となります。少しヘナチョコなアクションはご愛嬌。
石野組長と荒木を始末する新田。
クルマは爆発炎上となります。

駅にて。セットです。
コインロッカーにカネを入れる新田。50番ロッカー。

黒幕の北城邸にて。
相談の遠藤。かなりビビっています。
私はいっさい関係ないと北城。

葬式です。誰の？
菊野弁護士に会う新田。記者になっています。
何も聞き出せず。
さて次は？タクシーで菊野弁護士を尾行する新田。

タクシーはトヨタ・クラウンばかりのようです。
菊野弁護士は遠藤建設へ。

遠藤建設にて。
メモを遠藤が買い取って焼き捨てたらしい。
別の用で秀子がやって来ます。ここで新田の名が出ています。

並木道です。
新田と会う秀子。
遠藤のことを聞く新田。
秀子がこの件に関係しているのは偶然らしい。

踊りの会です。
招待して遠藤は来ていない。手下のヒゲ男がいます。
踊りの会から帰るところを撃たれる新田。無事です。

歩道のショットが入ります。
高級アパートにて。秀子がいます。
遠藤がやって来ます。このアパートは遠藤が世話したらしい。
新田を呼べと遠藤。
新田は殺し屋だと遠藤。

ゴーゴー喫茶です。
待っている秀子。新田がやって来ます。
話しとなります。高級アパートをレジデンスと称しています。
客の中にヒゲ男もいます。

歩道のショットが入ります。
高級アパートに入る新田。非常階段を使って屋上に上がります。
ロープを使って4Fのベランダに入る新田。素手ではロープがこすれて手のひらが焼けてしまうのではと余計な心配をしてしまいます。

ガラス切り。粘着テープ。これで窓を解錠して浴室へ入る新田。
当然驚く秀子。でもおとなしくしている。赤い服を着ています。

遠藤がやって来ます。
秀子を何となく新田に協力といった感じ。
新田が出てきて遠藤を締め上げます。朝倉殺しについて。
電話させて1000万を持ってこさせます。この部屋は405号室。
誰に頼まれたとまた締め上げます。

カネが届きます。遠藤に直接渡すと伊達三郎秘書。
秀子を風呂上がりにさせてカネを受け取ります。
遠藤をかみそりを使って反撃するが自滅します。

電話です。聞く弁護士からです。
先生は11:30のNW航空で出国するのこと。肝心の先生の名前がわからん。
空港に電話する新田。記者を装っています。腰の低い態度が妙に板についてる市川雷蔵です。
これで先生の名前を聞き出します。北条。

秀子に200万渡す新田。
で、秀子を置き去りにして出て行く新田。

駅です。
コインロッカーにカネを入れる新田。

空港です。
どこかに電話中の秀子。オフになっていてセリフはわからん。

空港待合室にて。
記者の質問に知らぬ存ぜぬの北条。
万歳三唱の図となります。アナクロです。
ここで北条を仕留める新田。
出て行くとこでコインロッカーのカギを落とします。

戻ってカギを回収する新田。

駅です。
コインロッカーに警察の手入れが入っています。
その場のいた人の会話から爆弾予告電話があったとのこと。
開けられる50番ロッカー。
これまでとカギを捨て、この場を去る新田。
エンドとなります。

そんなわけでアクションは少しヘナチョコですがフィルム・ノワールのよい作品でした。