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2006.11.19

『ハイ・シェラ』

この作品はラオール・ウォルシュ監督、ハンフリー・ボガート、アイダ・ルピノ主演のギャング物ドラマです。
なおこの文はネタバレ全開となっています。

1941年 ワーナー アメリカ作品
原題◆High Sierra
DVDにて。画質は非常によいです。
プロット 最後の仕事に失敗する話しのようです。
音楽 Adolph Deutsch

キャスト
ハンフリー・ボガート→犯罪者のロイ・アール
アイダ・ルピノ→ヒロインのマリー
アラン・カーティス→凶暴なチンピラのベーブ
アーサー・ケネディ→チンピラのレッド
コーネル・ワイルド→手引きするメンドーザ
バートン・マクレーン→警官上がりの悪党クランマー
ヘンリー・トラバース→知り合いのおじいさん
ジョーン・レスリー→おじいさんの孫娘ヴェルマ
ヘンリー・ハル→老人の医者
ドナルド・マクブライド→スポンサーのマック
ジェローム・コーワン→新聞記者のヒーリー
ウィリー・ベスト→黒人のアルジャノン
フランク・コーデル→狙撃手のスリム


ラオール・ウォルシュ監督の演出はよいと思います。
手慣れた感じの演出となっていて脚本に従ってどんどん撮りますといった感じで話しは順調に進行していきます。

プロデューサーにソル・C・シーゲルやマーク・ヘリンジャーの名があるのでワーナーのボス、ジャック・ワーナーが余計なことを言わなければ大丈夫となります。
全体的に印象は少し変わったギャング映画といった感じです。

この作品をウエスタンにしたリメイクが『死の谷』(49年)で、そういえば狙撃するとこがあるのも同じです。『死の谷』はこの狙撃というか遠距離射撃のシーンでズームレンズを効果的に使用したことで有名です。

タイトルではハンフリー・ボガートよりアイダ・ルピノの方が上にきています。
この時点ではアイダ・ルピノの方がスターでハンフリー・ボガートはワーナーのサポートで悪役筆頭格といった感じだったと思えます。

ハンフリー・ボガート扮する犯罪者のロイ・アールが特赦で出所します。
警官上がりの悪党クランマーと会ってからクルマでシカゴからインディアナの農場に寄ります。後でわかりますがここがロイ・アールの出身地とのことです。

ネバダからカリフォルニアにクルマで移動して山道を走りL.A.から少し離れた場所にあるキャンプ場に着きます。
シェラ・ネバダのホイットニー山は4420mとのことです。

キャンプ場にはアイダ・ルピノ扮するヒロインのマリーにチンピラのベーブとレッドがいます。次の犯罪の打ち合わせをして手引きするメンドーザの名が出ています。
メンドーザがやってきて打ち合わせとなります。メンドーザを強盗する予定のホテルのフロントをやっています。

キャンプ場に来る途中でウサギを轢きかけた時に知り合ったヘンリー・トラバース扮するおじいさんが街で接触事故を起こしたとこに通りがかり示談にして100ドルもらえるよう交渉をしたりするロイ・アール。

ロイ・アールはトラバースおじいさんの孫娘のヴェルマに星の話しをします。ムショで星に詳しくなるのはよくある設定のようです。

今回の仕事のスポンサー兼故買屋のマックと会うロイ・アール。
マックはロイ・アールの古くからの知り合いらしい。このマックが宝石を買い上げる予定となっています。
居合わせた老人の医者にヴェルマの脚のことを相談するロイ・アールです。この後に診察させて手術をさせて費用も負担します。もちろん下心がないわけではない。

強盗計画の準備は進みます。

ロイ・アールに好きだと告白するヒロインのマリー。
少し唐突な感じがしないでもない。2人で犬を連れてL.A.に行ったりします。
手術をしたヴェルマを見舞うロイ・アール。結婚の話をするが断られます。

いよいよクルマ2台で強盗に出発するロイ・アール一味の計4人。
ホテル強盗は上手く行かないことになります。余計な発砲をしてしまうことになります。宝石は手に入ります。

逃走の途中で相棒達のクルマは事故を起こして転倒して炎上します。
ここはミニチュアを使っています。ベープ、レッドについてきたメンドーザの3人が乗っていました。メンドーザが生き残ってて不利な証言をすることになっています。

マリーと一緒に逃げるロイ・アールですが新聞に名前が出てしまったの別行動をとることにします。所持金を全部マリーに渡します。長距離バスに乗るマリー。

ロイ・アールは所持金がなくコンビニ?に押し込みをしますが手配されることになります。ここで警察が容疑者を手配をする古典的なモンタージュが見られます。こういう手法は好きです。

当時では珍しいと思われる追いつ追われつのカーアクションが見られます。
コマ落としで速く見せているとこもありますがそこはご愛嬌となります。それよりよく当時のクルマが持つなと見てる方が心配になります。
警官隊に追われるロイ・アールのクルマは山道を登る。行き止まりとなりクルマを捨てて、岩山を登ります。

マリーはラジオニュースでロイ・アールが岩山で警官隊に包囲されたのを聞いて引き返します。単に別れたけど心変わりしただけと勘違いな推測の長距離バス運転手のリアクションがいい。
現場をラジオで実況中継しています。警察を狙撃の配置をします。ロイ・アールの場所より高い場所に登りスコープ付きのボルトアクションのライフルで300メートルの距離を狙撃する計画です。ここはロケの効果が出ていてよいシーンです。

現場に来たマリーは新聞記者に連れられて警察のとこに来ます。説得するように言われますが出来ず。泣いてるばかりのヒロインなのが1940年代らしい。

で、犯罪者の末路はこうなりますと当時の倫理コードに従ってのラストとなりますが製作側はそれだけでは終らせたくないので新聞記者とマリーに自由についての話しをするシーンを入れます。ここが泣けます。


ハンフリー・ボガートは黒ずくめのスタイルとなっています。何となく次元大介のようです。
ボガートは喋りがいいのです。聞いてるだけで気持ちいい。
ボガートのキャリアは『化石の森』(36年)から『ハイ・シェラ』(41年)、『マルタの鷹』(41年)でスターとなります。ボガートの演技スタイルは『化石の森』の時から完成していると思われます。

アイダ・ルピノは全体的に細い。声は細面の割に低かったりします。いいな。ごく普通なヒロインのキャラクターでした。

ヘンリー・トラバースが出ていると何となくサミュエル・ゴールドウィン製作の作品なのかと思ったりします。
ワーナー作品ではおなじみのサポート俳優が出ています。バートン・マクレーンやジェローム・コーワン等です。ワード・ボンドは出ていないのが少しさびしい。

結構泣けた。この作品が気に入ったらフリッツ・ラング監督の『暗黒街の弾痕』(37年)との2本立てがお勧めです。

そんわわけで普通のギャング物とは違うよい作品でした。


ついでにメイキングも見ましたが特に知らないことはなかった。大体これまで買った本の通りでした。ローレン・バコールとの関係までは行ってません。
ハンフリー・ボガートの恩人は『化石の森』(36年)の悪役に推薦してくれたレスリー・ハワードとのこと。
アイダ・ルピノは英国出身とのこと。これは知らなかった。

ワーナーでの扱いが悪かったハンフリー・ボガート。
『カサブランカ』(42年)にハンフリー・ボガートがキャスティングされた理由も想像がつきます。独立系プロデューサーのデビッド・O・セルズニックの専属契約女優イングリッド・バーグマンの相手役にあまりいいワーナーのスターを出したくなくて、ワーナーお抱えのスターの中ではビリングが1番下のハンフリー・ボガートに役が回ってきたと思えます。



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この作品もやわな正義感など吹き飛ぶほどの業界のワルぶりがなまなかではない。映画もその業界の内幕をえぐりながら、やわな批評などせず、リアリズムの迫力で押しに押す。マーク・ロブスンの代表作のひとつではあるだろう。 [続きを読む]

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