『立喰師列伝』(2006年)
この作品は押井守監督の近代日本史のようです。
なおこの文はネタバレ全開となっています。
2006年 プロダクションI.G./東北新社/バンダイ 日本作品
ランニング・タイム◆106分
プロット◆立喰師を狂言回しにして近代日本史を語る話しのようです。
音楽◆川井憲次
バンダイ発売のDVD にて。画質はよいです。スクイーズ収録のフル表示。画面サイズはワイド。上下左右に黒味無し。
キャスト
吉祥寺怪人→月見の銀二
兵藤まこ→ケツネコロッケのお銀
石川光久→哭きの犬丸
鈴木敏夫→冷やしタヌキの政
樋口真嗣→牛丼の牛五郎
川井憲次→ハンバーガーの哲
寺田克也→フランクフルトの辰
河森正治→中辛のサブ
品田冬樹→そば屋等の店主
神山健治→ファーストフード店の店主
ボイスキャスト
山寺宏一→ナレーション
兵藤まこ
榊原良子→監察医
押井守監督の演出はよいと思います。
前評は悪いけど終戦ではなく敗戦と称しているだけでこの作品に対して好意的になれます。
架空の職業の立喰師を狂言回しにしたオムニバスのようです。
止め絵を使った手法は見てて違和感はありません。TVシリーズ『猫目小僧』(1976年)みたい。
動かない絵なので引きを多用して動きを描写しています。
楽屋オチ。キャストは常連、仲間内ばかりです。
やってることは以前の作品の繰り返しと使い回しばかりです。
そんなものかとあまり気にならず。
押井守監督作品での高いハードルになる長セリフについて・・・
長セリフは単なるサウンドとして聞き流すのがコツです。話しの内容なんて聞いていません。ホントか。
押井守の近代日本史となっています。
『トーキング・ヘッド』(1992年)は押井守の映画史となっています。
これで押井守監督歴史物2本立てが出来ます。
最初にベネチア映画祭何とか・・と出ています。
TFC 東北新社
プロダクションI.G.
プロローグ。
大東亜戦争=太平洋戦争です。敗戦となります。終戦と言い換えないのがいい。
前説が入ります。
タイトル。
MPはM1カービンを装備しています。
月見の銀二登場。
例によってキャストやスタッフの紹介と本編がカットバックしています。
動きは引きを使っています。
立喰そば屋 徳満食堂にて。
そば屋の男は『紅い眼鏡』(1987年)と同じで品田冬樹が演じています。
山寺宏一のナレーションが入ります。研究家の犬養某の報告。
閉店間際がポイントらしい。
「たかがそば」のセリフ。
『紅い眼鏡』(1987年)のスティルが入ります。動く映像ではなく同じスティルなのが一貫していていい。
モーゼルミリタリーが出てきます。押井守監督はこのハンドガンが好きだね。私の好みは一連のサム・ペキンパー監督作品からコルト・ガバメントとなります。
セットは舞台風にしているようです。
暖簾なんて空から吊っています。
昭和30年代。
朝鮮戦争での特需。
東京タワーというと『モスラ』(1961年)になります。
原子熱線砲は都合がつかないので代わりにマーカライトファープを使っています。
このような注意書きで表示されています。マニアックです。
フラフープブーム。
永田町にて。
ケツネコロッケのお銀が登場。
何だかんだあって歌が入ります。
ところで押井守監督作品の常連な兵藤まこは何者?
昭和32年=1957年。毒餌を撒いて野良犬退治をしていたらしい。そんなことがあったとは全然知りませんでした。
昭和39年=1964年。東京オリンピック。市川崑監督のドキュメンタリー『東京オリンピック』(1965年)が傑作なんです。それまでのオリンピック映画のフォーマットを変えてしまった作品です。
立喰そば屋 親不知にて。
哭きの犬丸が登場。
泣き落としが上手くいかず食い逃げに失敗しています。
ベトナム戦争です。
夢の島がハエの大群が発生。
ベンチャーズブーム。
アポロ11号。月面着陸。
大阪万国博ブーム。太陽の塔。
立喰そば屋 マッハ軒にて。
冷やしタヌキの政が登場。あっさりと殺されます。
ボイスキャストの榊原良子さんはかなり投げやりな演技。監察医ばかりやらさられています。
ところで押井守監督作品にはかかせない声優の田中敦子さんはこの作品には出ていないのか?いい声を聞かせてくれ。
現場に居合わせた金子助監督の証言。
山田某氏の研究報告。
店主にによる立喰そば屋 マッハ軒の名前のゆらい。エルンスト・マッハからだそうです。→オーストリアの哲学者、物理学者だそうです。超音速のマッハの語源となっている人。
連合赤軍等がやらかした、総括、リンチ殺人について。
キャンディーズの引退公演等。
牛丼の予知野屋新橋店にて。吉野家のことらしい。ところで何かというとアメリカからの輸入の牛肉ニュースに必ず登場する吉野家は政府直営なのか?それとも政治献金を大量にしているのか?そんな店には入りたくないな。
牛丼の牛五郎が登場。
ところで私は狂牛病の牛丼はもう絶対に食いません。散々牛丼は喰ったのでもう手遅れですが少なくとも自分の気は済みます。
集団でやってくる牛丼の牛五郎一味。注文しまくりで攻めてきます。
で、予知野屋の料理管理システムを崩壊させます。
ロッテリアにて。
なんでロッテリアは名前を出すのがOKなのかがわからん。
ハンバーガーの哲が登場。
ハンバーガー100個の注文が入る。これもまた料理管理システムを崩壊させます。
ところで私は狂牛病のハンバーガーも絶対に食いません。シーチキンのサンドイッチを食べています。
神山店長が奮闘して料理管理システムを維持しようとしています。
ファーストフード店はお客様が並んではいけないようです。
昭和52年=1977年。日航ハイジャック事件。
フランクフルトの辰が登場。
・・・ランドと伏せ字となっています。→ネズミーランドのことらしい。
ネズミーランドは名前を堂々と出しているロッテリアとは扱いが違うようです。
花やしき等が出てきます。花やしきは名前出しがOKのようです。とういうらりそんなことはどうでもいいのがホントのとこか・・・。
後楽園の観覧車にて。長セリフが入ります。
作家とオフクロの電話での会話。
スーパーマリオ等のTVゲームネタが入ります。
ドラクエ云々とゲームネタがあるけど全然わかりません。
都市伝説あれこれ。
夏。印度カレーにて。
中辛のサブが登場。
インド人なので宗教的な理由で肉を選ぶのに注意している店長。
国や宗教の知識があります。偉いではないか。これはオタクではなく常識なのでしょう。
ルサンチマン=ressentiment
〔哲〕ニーチェの用語。被支配者・弱者が,支配者・強者への憎悪やねたみを内心にため込むこと。これを基に成り立つのが奴隷道徳であるという。怨恨。
→文句ばかり言ってる人達のことか?
エピローグ。
立喰師とは・・・と長セリフとなります。
プロローグに戻り月見の銀二が登場。
エンドとなります。
前評は悪い。それにしてもよくこんなのが作れたな。
そんなわけで押井守監督らしいまあまあな作品でした。悪くはない。
江戸時代は鎖国をやって、明治以降は侵略をやって、太平洋戦争で敗戦となりアメリカの植民地(継続中)になった。日本という国を簡単にいえばこうなるようです。極端から極端に走り、しかも考え方は後ろ向き、あまりいいDNAを引き継いでるとは言えないようです。何となくそう思います。
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