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2006.10.03

『殺人!』(1930年)

この作品はアルフレッド・ヒッチコック監督、ハーバート・マーシャル主演の謎解き物ドラマです。
なおこの文はネタバレ全開となっています。

1930年 ブリティッシュ・インターナショナル・ピクチャーズ 英国作品
原題◆Murder!
IVC発売のDVDにて。画質はそれなりに悪い。
ユニバーサル・ピクチャーズ発売の。ヒッチコック・クラシック・セレクション2のDVDにて。画質は非常よいです。
プロット 犯人捜しをする話しのようです。

キャスト
ハーバート・マーシャル→劇作家のサー・ジョン
ノラ・ベアリング→容疑者のダイアナ
フィリス・コンスタム→マーカム夫人のドゥーシィ
エドワード・チャップマン→舞台監督のマーカム
マイルス・マンダー→酔っ払いのドルース
エスメ・バーシー→ハンダル・フェイン


アルフレッド・ヒッチコック監督の演出はよいと思います。
女性の着替えの描写シーンに凝っている。
舞台の袖で喋っていては客席にまで聞こえてしまうのでは?
陪審の協議で1人責められるカット割りがありました。相づちしか言わない陪審員はギャグキャラか?
状況説明をするキャメラの動きがあります。
捜査活動と死刑台の影が伸びるのカットバックがあります。
頭が切れてしまう構図があるのは何故?→これはIVC発売のDVDだけのようです。


いきなりキャストが出ています。
タイトルがない。どういうわけなのかはわからん。

時計のチャイムが鳴ります。夜中の1:30。街中にて
ドアを叩くを音が大きく響きます。酔っ払いのドルースがやっているらしい。
近所の人達のリアクションにがパンニングで描写されます。
ある部屋の下着をつける女性をしつこく映しています。

殺人現場です。アパートの1室。
女性が倒れています。被害者はエドナ。
凶器は火かき棒。
呆然としているダイアナがそばにいます。
エドナの旦那が酔っ払いのドルースらしい。

紅茶の用意をしながら噂話の女性2人。
この件についての事情説明になっています。

時計のチャイムが鳴ります。昼間の1:30。
劇場です。ダイアナとエドナは出演せずの告知があります。
劇場では警察の事情聴取が行われています。
役者のトム・トルウィット。
主役のハンダル・フェイン。
舞台と同時進行で事情聴取をやっています。
役者のイアン・スチュワート。エドナはいい仲とのことです。
舞台監督のマーカム。
等々と キャラ紹介となっています。

ダイアナの公判です。
英国の法廷ではおなじみな関係者が被るかつらがおかしい。
陪審員もいます。12人。

時々溶暗が入りますが演出ではなく撮影の都合のようです。全然関係ないのに溶暗となるからそう思います。

別室にて。
陪審員達が議論しています。
最初の評決は7対3です。有罪が多い。
未定の2人は結局有罪にします。10対2となります。
で、11対1となります。
ラストの陪審員がハーバート・マーシャル扮するサー・ジョンです。
意見を述べるサー・ジョン。
反論を繰り返す残りの陪審員達。「反論出来ますか?」の繰り返しの描写。
そんなわけで12対0となります。

評決を言い渡すとこは直接ではなくオフでやっています。
映されているのは陪審員達が議論していた別室です。

ウエストミンスター。サー・ジョンの自宅です。
執事がいます。
ヒゲを剃りながらラジオを聴いてるサー・ジョン。
『トリスタンとイゾルデ』が流れます。
誰がブランデーを飲んでいたのか?と疑問が出ます。

マネージャー?事務担当?のベネットが来ます。
打ち合わせとなります。

舞台監督のマーカムのアパートにて。
サー・ジョンから連絡が入ります。お呼びがかかり出かけるマーカム夫妻。

サー・ジョンの自宅です。
マーカムが来ます。仕事をネタに聞き込みのサー・ジョン。
マーカムからタルラ・バンクヘッドの名が出ています。当時にしてはブッ飛びな言動で有名な女優だったようです。
芝居ではなく現実だとサー・ジョン。
誰がブランデーを飲んだ?

タルラ・バンクヘッドはアルフレッド・ヒッチコック監督作品の『救命艇』(44年)主演しています。

マーカム夫人のドゥーシィも呼びます。
食事となります。
ダイアナに関する話が続きます。
ドゥーシィは事件のあった夜に巡査を見たと言います。
入念な描写になっている下着を付けていたのはこの人らしい。

殺人現場のアパートを窓から見てる3人。
マーカムのアパートの窓です。サー・ジョン。マーカム。ドゥーシィ。
ドルースがまた騒ぎを起こしています。

大家のミッチャム夫人の案内で現場の1室に入ります。
動きは少しですがマーカムの説明とカメラの動きがシンクロしています。
ところでこのアパートは劇場のすぐ近くらしい。
大家のミッチャム夫人の女性の声を聞いたと証言していましたがサー・ジョンが女性の作り声をしたら聞き間違えていました。
ここはオフで女性の作り声を入れていました。実際サー・ジョンが女性の声を出してるショットを入れたらコメディになってしまいます。賢明な演出でした。このへんがいい監督とボンクラな監督の違いなのです。

劇場です。
フェインとスチュワートの楽屋を見ます。
窓の下の洗面台が壊れています。これは一応伏線になっていました。

宿屋代わりなのか空いてるアパートに泊まるサー・ジョン。
朝です。子供達が押し掛けて大騒ぎとなっています。
子供達の母親からフェインは巡査の制服を持っていたと聞きます。
マーカムがやって来てタバコ入れはスチュワートので血が付いていると言います。
徐々よに手がかりが集まってきているようです。

ダイアナに面会に行くサー・ジョン。
長いテーブルのある部屋。ダイアナと話しをします。
会話シーンは切り返しをやっています。
アパートにサー・ジョンの写真があったのでダイアナはサー・ジョンのファンだとわかっています。
ダイアナの言う彼とは誰?混血とは?と話しは進む。
タバコ入れはフェインの物だとダイアナ。

ハンダル・フェインは行方不明とモンタージュが入ります。
風見鶏が出ています。何の象徴?
ハンダル・フェインは昔の仕事の空中ブランコ乗りをやっているとわかります。

サーカスです。
サー・ジョンとマーカム。
フェインを見つけて仕掛けに入ります。

サー・ジョンの自宅です。
フェインを呼ぶサー・ジョン。フェインがやって来ます。

戯曲の話となります。一応オーディション形式で進みます。
この事件そのものな戯曲のセリフをフェインに言わせます。
しかも肝心なとこは白紙のままの台本を渡しています。
で、どうなにとなりますが肝心なとこは言わずにフェインは帰ります。

サーカスです。
張り込みなのか?サー・ジョンとマーカム。
フェインに会います。

そのフェインの出番となります。
スクリーンプロセスでのフェインのクローズアップショットが入ります。
回りは警察で固められ、これまでと首を吊るフェイン。
大騒ぎになります。

フェインはサー・ジョン宛の手紙を残しています。
例の脚本の続き形式で書かれてる手紙です。洒落ています。
計画的ではなく衝動殺人だったらしい。

刑務所から出るダイアナ。
迎えるサー・ジョン。

舞台です。
サー・ジョンとダイアナ。舞台袖にはマーカム。
エンドとなります。

ハーバート・マーシャルはルックスが変らない人です。
1930年のこの作品から比較すると。
1940年の『海外特派員』では全く変っていません。
1958年の『ハエ男の恐怖』でもあまり変っていなく。老け込んでいない。
どの作品も同じように見えます。


そんなわけで普通の謎解き物のよい作品でした。



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