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2006.10.08

『アラン』(1934年)

この作品はロバート・フラハティ監督によるアラン島のドキュメンタリーです。
なおこの文はネタバレ全開となっています。
この作品はドキュメンタリー物として有名なので見ました。本『映画術』でもヒッチコック作品の対極になるのはドキュメンタリーだとしてこの作品の名前が上がっていたので是非見たいと思ってました。それと本多猪四郎監督が『ゴジラ』(54年)を撮る時にこの作品を参考にしてたというものありました。

1934年 ゲインズボロウ・ピクチャーズ/ゴーモン・ブリティッシュ 英国作品
原題◆Man of Aran
DVDにて。画質は結構よいです。
プロット アイルランド西端のアラン3島での厳しい生活の話しのようです。
音楽 ジョン・グリーンウッド

キャスト
Colman 'Tiger' King→A Man of Aran
Maggie Dirrane→His Wife
Michael Dirrane→Their Son
Pat Mullin→Shark Hunter
Patch 'Red Beard' Ruadh→Shark Hunter
Patcheen Faherty→Shark Hunter
Tommy O'Rourke→Shark Hunter
'Big Patcheen' Conneely of the West→Canoeman
Stephen Dirrane→Canoeman
Pat McDonough→Canoeman

ロバート・フラハティ監督の演出?はよいと思います。ドキュメンタリーに演出はあるのかいな?あるのでしょうね。
アイルランドにある孤島アランが舞台のドキュメンタリー映画のようです。
怒濤で始まり怒濤で終わる。圧倒的な怒濤の映像でした。断崖絶壁に怒濤が打ち寄せる、これだけでスペクタクルシーンになっていました。波と風の音が耳に残ります。
怒濤の中を小舟が海岸を目指します。よく沈まないなと感心する。富嶽三十六景の一つの実写みたいな物です。というより本物の映像でした。
最初の方は音楽のみでこれはセリフがないのかなと思ったら少しはありました。ホントに少しでした。
それよりナレーションがありません。全部サイレント式の字幕で処理してありました。1つのシーンが終わると溶暗になって字幕につながるようになっていました。日本語のナレーションを入れるとすると多分、久米明でしょうね。
ロングショットにクローズアップショットを組み合わせて退屈はしません。全体的にカットバック多用となっています。編集が上手い。
とりあえず、何をしているのかが分かりやすい描写になっています。ここが肝心なとこ。何をしているのかなと。

何語を喋っているのでしょう。アイルランド独自の言葉?後になると英語のようにも聞こえました。

タイトルから前説となっています。
始まったとこではカニを獲っている少年。

3人乗った小舟が帰って来ます。オールを漕いで進んでいます。
網が波にさらわれそうになります。網を放したり掴んだりして引き寄せます。服がすぐに乾いていたりしています。相当に編集しているようです。
溶暗となります。

じゃがいもの作り方。
海藻を女が運び、男はハンマーで岩を砕きます。
アラン島は全体が岩で出来ているようです。ごくわずかな土をかき集めています。すぐ風で飛ばされてしまいそうです。

岩を砕くハンマーと音楽がシンクロしてました。
凝っていてわざわざそのような音楽にしている。これは手間がかかる。どこかで聞いたことがあるような感じで思い出した。『東京オリンピック』
で似たような使われ方をしてました。何の競技だったかは失念。黛敏郎はここからパクっていたのではないですか。やっぱりその程度の人ですか。

島の人は何でもやります。
舟の穴の修理。布を貼ってタール?を焼き付けているようです。
畑仕事。
子供は断崖絶壁で釣りをしてたりする。餌は冒頭で獲っていたカニです。釣れたりします。いまにも落ちそうでスリルとサスペンスが味わえます。
子供がウバザメを発見します。ウバザメは水面近くを口を開けてゆっくりは泳いでいました。これはプランクトンを食べているからでしょう。

男達はウバザメ獲りに舟を出します。
銛とロープを使う漁です。ロープを出したり引いたりとやっています。
1回は逃げられます。また挑戦となり今度は成功します。2日がかりとなっていました。
見ている母子とカットバックとなっています。
総出で出迎えとなります。カモメもいます。釜の準備もしています。
ウバザメの解体となります。
ウバザメの肝臓を煮詰めて灯油を取るとのことです。1匹でこの冬の分が間に合うとのこと。

怒濤以外のスペクタクルシーンはこのウバザメを獲るシーンです。
小舟に乗って近づいて銛で刺し銛につないだロープを出したり引いたりして泳がせて弱らせて仕留めるようです。何日もかけて1匹のウバザメを獲るようです。
このウバザメの肝臓から灯火用の油を取るらしい。海岸では大釜にカマドを用意していました。海岸に引き上げられたら解体されます。

まだ漁には出られない少年の図が描写されます。

天気が荒れてきます。
果たして舟は無事に戻れるかとなります。
母と少年が高い所に登るのは怒濤の中に浮かぶ舟を見つけるためでした。ここでも波にさらわれるのではとスリルとサスペンスとなった。波にさらわれてお涙頂戴はドキュメンタリーには相応しくないのでそれはないでしょうと思っていたけど。
乗っている人は何とか帰れますが舟は失います。希望を持たせるセリフからエンドとなります。


この作品は昔TVで見たかもと思ったがそうではなかった。
そんなわけでこの手の作品のフォーマットを作った作品と思われます。結構面白かった。


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コメント

小さな頃
この映画の事を古い雑誌で知り
それから
アラン島に惹かれてきました
渋い子供だったんです(>人<;)
アラン編みのセーターとか
アイルランドに因んだものに興味があります(⌒▽⌒)

マリーさん、コメントありがとうございます。

アラン島がホントに好きなのですね。

映画でアラン島が出てくるのは他にはあまり思い当たりません。
そんなわけでアラン島を思い出した頃にまたこの作品を見て怒濤やウバザメ漁等を堪能して下さい。

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