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2006.10.14

『太陽を盗んだ男』

この作品は長谷川和彦監督の原爆アクションです。
なおこの文はネタバレ全開となっています。

1979年 キティ・フィルム/東宝 日本作品
ランニング・タイム◆147分
プロット◆手製原爆を作って、やることを探す話しのようです。実は刑事に一目ぼれする話しだったりして。
音楽◆井上尭之 素晴らしいスコアでした。
アミューズ・ピクチャーズ発売のDVDにて。画質はよいです。

キャスト
沢田研二→中学校の城戸先生、別名9番
菅原文太→不死身の山下満州男刑事
池上季実子→ラジオDJ沢井零子
伊藤雄之助→バスジャックのおじいさん
北村和夫→田中警察庁長官
神山茂→仲山総理大臣秘書
佐藤慶→原子力関係の市川博士
風間杜夫→ラジオのプロデューサー・浅井
水谷豊→交番の警官
小松方正→サラ金屋のおやじ
西田敏行→サラ金の取り立て屋
汐路章→水島刑事
森大河→佐々木刑事
石山雄大→石川刑事
市川好郎→里見刑事
中平哲仟→田所刑事
江角英明→田中の部下・江川
草薙幸二郎→電電公社技師
五條博→モンタージュ写真の係官
高山千草→アパートの管理人
林美雄→TVキャスター
戸川京子→城戸の生徒
山添三千代→城戸の生徒
正直言ってキャストの沢田研二や池上季実子には?が付きますが意外と好演しています。


長谷川和彦監督の演出はよいと思います。
1:25経過前後に監督自身登場のシーンがあります。ローリング・ストーンズ来日の見出しのスポーツ新聞を読む電車の客です。

この作品、そんなこと出来るの?となるトンデモアクションとか、いくら撃たれても不死身の菅原文太刑事とか突っ込みどころも多いのですがあまり気にならずに楽しめます。
映画的描写が結構素晴らしくて多少のマイナスポイントが気にならないのです。

沢田研二扮する主人公の登場を『裏窓』(1954年)のセリフを使わずにカメラの動きでキャラ紹介をしてしまう手法を使っていました。この手法が使いこなせるとはたいしたものです。でも猫をいじめてはいけません。
何の伏線もなく特別な訓練を受けているわけでもないと思われる一介の中学校教師が深い知識に銃の扱いやクルマの運転の腕前がやたらといいのも突っ込みどころです。

作画合成も結構使われているようです。

これが絶品!な効果音の使い方の一例。
パトカーのサイレンやエンジンの効果音の入れ方が上手いのです。パトカーが橋の向こうに隠れていて見えないときは効果音を入れないで、見えてから入れるのです。実際は見えなくても音は聞こえるはずなんだけど、ホント映画的な手法です。その効果にこれは上手いよと感心しました。

セリフが凄く意味深に使われてて、セリフ通りとは違う意味になっています。
サラ金で「ばくちに凝ってはダメですよ」と言われるとこでも確かにばくちをしてることには変わりないですなとなります。命をかけたばくちですか。
このお兄さんは命をかけているのですね。どこでそう思ったんだっけ?最初の方のシーンだと思うけど。
髪の毛は原爆を作り初めてすぐに抜け始めます。

中学校の旅行のバスが通過から伊藤雄之助登場となります。このショットもいい。で、バスジャックして戦争責任のある天皇に会わせろとかまします。
最初から強烈に話しは進みます。なるほど日本人にとって太陽にあたる天皇に会いに行く。この作品の題名に相応しい行動だと納得します。

この事件にかけつける菅原文太刑事登場のキャラ紹介の描写もいい。
頼りがいのあるリーダーとはこういうものですと見せてくれます。さすがスターは違います。
何回か見るとこの作品は最初から最後まで沢田研二と菅原文太の主人公2人の対比になっているようです。サム・ペキンパー監督みたいではないですか。

音楽にシンクロしてのカット割り、変則的なカット割りにナレーションを通して一気に説明する手法。これはお見事です。
原爆の材料になるプルトニウム239を奪う準備をするモンタージュ。

東海原子力発電所に侵入する主人公。
予定通りにプルトニウム239を手に入れます。
トンデモアクションで装備が充実し過ぎています。何で火炎放射器まであるの?と突っ込みたくなります。
ラジコン流用のリモコン爆弾も使っていました。

鉄腕アトムの歌を歌いながら原爆を作り始める図。なかなかよろしい。
その原爆の作り方をそのまま中学校の授業で教える図。生徒が全く興味をしめさないのもいい。
手製原爆の作り方をディテールに凝ってるようで肝心なことはボカしてあるようなのですが作れるように思わせるとこがいい。

無意味なショットがやたらと印象に残ります。太陽が昇るショット。風船が飛ぶショット等。
要所要所にある。何というか無駄な映画的なショットがいい。特に風船が飛んでいくとこなんて何故か印象に残る。実際今でも風船が飛ぶとこを見てしまう。

突然挿入される主人公の表彰シーンはこれはサプライズといいシーンでした。このアイデアが素晴らしい。アイロニーが効いています。
サラ金に追われる図もサプライズでいい。こっちはセリフのやり取りの行き違いのギャグになっています。主人公はサラ金の利子のことなんて忘れています。

電話逆探知のシーンでの電話交換機のショットの使い方は『ダイヤルMを廻せ!』(1954年)に匹敵する効果的な使い方になっています。
逆探知時間を見計らって電話を切ってしまう9番に対抗して逆探知時間を短縮するには東京中の他の電話回線を不通にしないと出来ないという設定が効いています。これはハッタリでしょう。映画的でいいです。
で、公衆電話で捕まりそうになるとこは『絶壁の彼方に』(1950年)のようでいいです。

手製原爆の入った黄緑のボウリングバッグをめぐってアクションとサスペンスが展開されます。
警察側は人海戦術で9番のいる渋谷東急を封鎖する作戦で9番は原爆の時限装置を解除するには赤か青のリード線のどちらを切る?とやってくれます。切ったか?と確認するシーンもいい。

原爆の入った黄緑のボウリングバッグを取り返す主人公。
これがまた脱力系トンデモアクションとなっています。間の抜けたターザンの掛け声とともに来襲して原爆の入った黄緑のボウリングバッグをかっぱらってまたターザンスタイルで逃亡します。

カーアクションは日本で出来る精一杯なものです。これがいい。
特にマツダ・サバンナRX-7のリトラクタブルヘッドライトが開いて点灯しエンジンが始動でクルマがスタートするシーンがいい。私にとってこのシーンに匹敵するのが『機動警察パトレイバー』(1989年)で方舟内にてパトレイバーXOのモーター始動のシーンくらいです。
後でちゃんとRX-7のリトラクタブルヘッドライトが閉じるシーンも見せてくれるのもいい。
ホイールスピンの音もまたいいのです。

トンデモアクションの方は何で普通のクルマRX-7がトレーラーを飛び越えられる?となりますがこれもいいとなります。
クルマがジャンプするのはTVシリーズ『マッハGoGoGo』(1967年)で慣れてるので別に構わないのでとなります。演出がよければと条件が付きますけど。

追うマツダ・コスモAPとチキンゲームで勝負をつけるとこもいい。
で、このコスモAPが爆発するとこでは間一髪脱出した菅原文太はマジで驚いています。打ち合わせの話しと違うだろといった感じ。

この後にトンデモアクションで菅原文太刑事がスタントでヘリコプターからぶら下がっての大ジャンプで飛び降りますがこれが高過ぎで普通は死んでいます、編集でつなげばいいというものではないでしょう。せめて5~6メートルの高さにしなさい。

クライマックスは主人公と菅原文太刑事の科学技術館屋上での大立ち回りとなっています。
これは『北北西に進路を取れ』(1959年)でラシュモア山でのアクションと同じようなものでしょう、パロディなのかな。アメリカでは洒落になるけどここ日本ではそうはいかないのだ。

屋上から転落した主人公が偶然で助かります。それからこれも偶然に樹に引っかかっていた原爆の入った黄緑のボウリングバッグを当たり前のように取り上げるのがいい。
ハッタリもここまでくると感心するしかありません。ですがここはハッタリというよりも偶然に助かった主人公が偶然に樹の枝に引っかかっていたバッグを取り上げるのは、主人公にしてみれば偶然と偶然の組み合わせなので、ごく普通のことで当たり前のようになっているのもしれません。中々興味深いシーンです。

原爆を持って呆然として歩く主人公。
このラストも余韻があり、なかなかいい感じになっています。

昭和の時代を感じさせる描写等。
TVにリモコンが付いていない。
電話機がダイヤル式黒電話。もちろん携帯電話はありません。連絡には主に公衆電話を使用。まだ電電公社となっていました。
まだ昭和の時代の天皇です。
缶ビールを開けてそのプルタブを捨てるところ。
手製原爆の時限装置がアナログの時計なとこ。そのかわりに秒針を刻む音が効果的に使われています。デジタルにしても秒針を刻む音に代わる上手い描写がないものですか。才能のある人が見せてくれるか?→こはピッピ音で出来るようです。
ローリングストーンズはもう数回も来てます。不可能な筈だったのに。
クルマのフェンダーミラー。ドアミラーにするのにどれだけかかったのか。
コンビニがありません。

ナイター中継で巨人の長嶋茂雄監督が出ています。長嶋茂雄はブランクがありますがまた監督をやっていたこともあった。寿命が尽きるまでやるようだと思っていました。寿命が尽きて死亡したらベンチに長嶋人形でも置くつもりなのか。マジでやりそう・・・。
一方、王貞治はこの作品の1979年当時は現役でした。2006年はソフトバンクの監督をやってました。こちらはまだ正常に進行しているようです。

新宿等のロケ多用。渋谷、台場、非常に効果的でいい。
特にデートのシーンでこの辺を含めて徒歩で東京中をあっという間に一巡りしてしまうのがいい。映画的手法の極みとなっていま。好きなシーンです。

タイアップで日立・ビーバールームエアコンの名前がいきなり出てきます。唐突でなんだいこりゃとなります。
メーデーは50回目となっていました。

私はヤクザ映画は全く見ないので菅原文太というと『太陽を盗んだ男』(1979年)と『ダイナマイトどんどん』(1978年)の2本しか見ていません。『ダイナマイトどんどん』はヤクザ映画ではなくて野球映画でしたっけ。

そんなわけで、これは御機嫌なアクション作品でした。最高です。

核爆弾映画3本立て。
多数爆発します。◆『博士の異常な愛情』(1964年)
複数爆発します。◆『未知への飛行 フェイル・セイフ』(1964年)
1発のみ爆発します。多分してるでしょう。◆『太陽を盗んだ男』(1979年)


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