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2006.10.21

『ファム・ファタール』(2002年)

この作品はブライアン・デ・パルマ監督、レベッカ・ローミン=ステイモス、アントニオ・バンデラス主演のトンデモ・サスペンスのようです。
なおこの文はネタバレ全開となっています。

2002年 Tarak Ben Ammar プレゼンツ/クインタ・コミュニケーション・プロダクション フランス作品
ランニング・タイム◆114分
原題◆Femme Fatale
プロット◆何だかわからんけど7年経ったという話しのようです。
音楽◆坂本龍一 途中のかなり部分はバーナード・ハーマン調でした。

ヘラルド配給から東宝のDVD発売となっていて、これではいつまで待ってもバーゲン価格にはならないと見込んでさっさと買いました。5040円也。デ・パルマ監督作品だから買ったのです。

日本ヘラルド映画/東宝発売のDVDにて。
画質は普通によいです。何となくフィルム調。
スクイーズ収録のフル表示。
画面サイズはワイド。上下左右黒味無しのフルスクリーン。
DVD音声はドルビーデジタル5.1ch

キャスト
レベッカ・ローミン=ステイモス→ヒロインのロール/リリー
アントニオ・バンデラス→カメラマンのニコラス
エリック・エブアニー→首謀者のブラック・タイ
エドュアルド・モントート→停電係のラシーン
リー・ラスムッセン→ビスチェのベロニカ
ピーター・コヨーテ→アメリカ大使のワッツ
ティエリー・フレモン→セラ警部
グレッグ・ヘンリー→大使館警備のシフ
フィオナ・カーゾン→大使館の弁護士フィリップス
サルバトーレ・インゴグリア→事故を起こすトラックの運転手

ブライアン・デ・パルマ監督の演出はよいと思います。
過去の自分の作品からの引用というか同じ手法の繰り返しが目立ちました。毎度おなじみのアルフレッド・ヒッチコック監督からの露骨な引用はあまり目立たないような。どうしたんだブライアン・デ・パルマ監督?。
ブライアン・デ・パルマ監督が得意のスプリットスクリーンの手法を多用しています。手前と遠景の合成も使っています。
フランス語と英語が使われています。結構つじつまがあっている。


著作権のアラート
日本ヘラルド
東宝DVD

日本ヘラルド映画/東宝
カタカナのタイトル『ファム・ファタール』

タイトル
Quinta Communications
Tarak Ben Ammar プレゼンツ
Quinta Communications Production

『深夜の告白』(1944年)をTVで見てる女。
アルフレッド・ヒッチコック監督の引用はやめてビリー・ワイルダー監督にくら替えしたのかブライアン・デ・パルマ監督?。
TVでセリフは英語でフランス語字幕になっています。
TVは平面ブラウン管のソニー製。
ビリー・ワイルダー監督バーバラ・スタンウィック主演の『深夜の告白』(1944年)をTVで見ているレベッカ・ローミン=ステイモス扮するロールから話しは始まります。
エリック・エブアニー扮する首謀者のブラック・タイがやって来てTVを消して犯罪計画の打ち合わせとなります。何をやらかすのかブライアン・デ・パルマ監督?。
ブラック・タイはラリラリのロールにラリってるんじゃねえといらだっています。

カンヌ映画祭のプレミアにて。
本人役で出ているサンドリーヌ・ボネールさんはこんなに美人だった?もっと地味な感じと思っていましたけど。
話題のラヴェル風の音楽ですが、音楽には全く詳しくない私にはかなり以前のホンダ・プレリュードのCMの曲ですねとなります。私が悪いのではなくカネを出せば何でも買えるとなっているTVが悪いのです。ラヴェルの曲は著作権が切れていてカネすら払っていないのかも。

プロローグの宝石を盗むシーンは何だか複雑で手が込みすぎている感じですが上手いものです。
ビスチェ奪取の計画は評判の通りかなりアバウトです。配電盤上のネコがカメラアームにじゃれるがいい。
これだけで20分使っています。面白いから別にいいけど。

この計画は計4人でやっています。
2人ですり替えをして、カギをコピーする男。停電係の男は吊って降りる『ミッション:インポッシブル』(1996年)をやっていました。計画通りにいかずに停電となってビスチェを持ったロールは逃亡します。

街中にて。
ロールはもう1人の女が会っているとこをアントニオ・バンデラス扮するカメラマンのニコラスが自宅アパートから盗み撮りをしています。
これは別に特別な理由があったわけではなく純粋に興味本位できれいだから撮ったということのようです。ここではスプリットスクリーン使用。
それにしてもカメラマンの使ってるコンピューターが古い。マック キューブです。モニタもアップルモニタで古いし。

ロールは人違いで失踪人と間違えられて教会からホテルまで追いかけられています。
この熱心に追いかけてる中年の夫婦みたい人の名前がわからない。リリーと呼ばれています。

空港ホテルにて。
ロールは黒人コンビの相棒ラシーンに見つかって通路からロビーに投げ落とされます。割れたガラスは危険だけど巻いたカーペットみたいな物を積んだとこに落ちて死なずにすむロール。捜索中の中年の男女2人に助けられます。

リリーの自宅にて。
寝かされているロール。1人になったとこで、そのへんを調べるとなんと自分ソックリの写真のパスポートとアメリカ行きの航空券があります。
棚からぼたもちとはこのことです。
他の部屋には懐かしのiBook shellがあったります。

ロールが風呂に入って寝たところでリリーが帰宅する。
ここは一瞬現実なのか幻覚なのかハッキリしないようになっていてます。
金魚の水槽から水が溢れています。これが仕様なのか?、そうではなかったようです。

パスポートとアメリカ行きの航空券がみつからず悲観したリリーは何故かロシアンルーレットになっています。
リリーは遺書を書いてロシアンルーレットを実行して自殺します。何でわざわざロシアンルーレットなのかが謎です。

銃声と共にシーン転換してアメリカ行き旅客機のシーンになります。

空港にて。
鳥よけのマークが描いてあるジェットエンジンのショットから、ロールは飛行機に乗り込みます。ファーストクラスへと案内されます。隣の席は金持ちの男ピーター・コヨーテがいたりします。
ここでもピーター・コヨーテはマックのコンピューターを使用しています。
他にもやたらとマックが出ていますがこんないいかげんな映画に出していると映画と同じようないいかげんな製品だと思われないかと心配になります。

パリにて。
7年後となり、アントニオ・バンデラスのカメラマン ニコラスは全然変わっていません。
アップルのコンピューターもそのままです。
ここでニコラスが電話を受けるシーンは『裏窓』(1954年)と全く同じだったりします。やっぱりヒッチコック監督作品から引用しています。
で、アメリカ大使夫人の写真をゲットしろとなるわけです。

カフェに迷彩服のリー・ラスムッセン扮するベロニカが登場しています。

ニコラスは依頼されたアメリカ大使夫人をパパラッチしに行くことになります。
盲目の老人にふりをしてアメリカ大使夫人の写真を撮るニコラス。
小細工してリムジンから降りたとこを撮ります。
ここにアメリカ大使館警備責任者シフがグレッグ・ヘンリーなのです。

一方ムショから出てきたのはロールに裏切られた首謀者のブラック・タイ。
何故か血のついたままの服で出所してて一瞬ギャグなのかと思ってしまった。もしかして伏線?
迎えに来たラシーンと組んで2人で行動します。迎えのクルマがBMW。
クルマ内で女はどこだと相棒を詰問してるブラック・タイ。もめています。

街中にて。
ロールと会っていた迷彩模様服の女は黒人コンビ2人に捕まり走行中のトラックの前に突き出され轢かれて死に至ります。
本物ではないとわかっていながら結構ビックリします、ここの描写はかなりなものでこんなに上手く処理している事故シーンはあまり見たことがないです。ダミー人形を使っています。

カメラマンのニコラスはバイクで大使夫人のロールを尾行します。
バイクはトライアンフです。排気はオイル上がりをしているのか2サイクルエンジンでもないのに煙を吹いています。
大使夫人のクルマはベンツ420SLです。2ドアクーペ。

ポルノショップにヤクを買いに来てる大使夫人。
ここでパパラッチしてるカメラがペンタックスです。キャノンでもニコンでもない。

ポルノショップから空港ホテルへと尾行して、同じ214号室へ入り込みます。
ニコラスが忘れ物のディスクを探すふりをして入り込む。
部屋内がカメラが俯瞰になると引き出しにリボルバーが入ってるわけです。
大使夫人から事情を聞くニコラス。
そんなこんなでニコラスがベンツで買物に行く。
大使夫人のロールは警察に通報する。

警察にて。
捕まって取り調べを受けるニコラス。事情を話しますが全く信じてもらえません。
大使夫人の顔に青あざがあったと証言してるが、その前のシーンでロールは青あざメイクを落としていました。

アメリカ大使館にて。
警部とニコラスがアメリカ大使館に行きますが要領を得ずうやむやとなります。
ピーター・コヨーテのアメリカ大使のワッツは無害なキャラのようです。

ニコラスの自宅アパートにて。
ようやく仕事場に帰ってきたニコラスですがいつのまにか大使夫人の誘拐犯になっていることに気がつきます。
勝手に脅迫の電子メールが送られているのです。
ここで7年も同じマックを使っているとなっています。これはおかしいとなります。マックには限りませんがパソコンなんて7年も使えるわけがない。性能が低くなるし機械自体が持たないでしょう。
だいたい。電子メールなんて足がつくことは普通はやりません。

このへんで、この作品は『深夜の告白』(1944年)のヒロイン、バーバラ・スタンウィックに捧げる映画なのか?と思っていたが、いつのまにか犯人に仕立て上げるとこはアルフレッド・ヒッチコック監督の『ダイヤルMを廻せ!』(1954年)のようでもあります。

バーにて。ストリップをするロール。
ジュークボックスからの音楽も坂本龍一なのかな?、YMO調になっているような。
ここでストリップを見ているのはニコラスではなくて、店で拾った男ナポレオンです。ここも先入観とは違う意外な展開でした。

橋の上で誘拐の取引きとなります。
ロールを狙う黒人コンビはどうしたと思っていたら、いつのまにかクルマで警備担当責任者と一緒ににいます。
これは黒人コンビがクルマをハイジャックしていたようです。
警備担当責任者が反撃してもめています。

ようやく黒人コンビが出てきてロールをセーヌ川に投げ込みます。
投げ込まれてロールは何故か全裸となっています。
ここで意外なシーン転換となり時間とシーンがリセットされます。
今度はフリッツ・ラング監督の『飾り窓の女』(1944年)の引用なのか?、ヒッチコック監督の引用はどうした?。ここでもくら替えしたのたとなります。

リリーの自宅にて。
風呂のシーンに戻ります。
金魚の水槽の水が溢れていない。これがポイントなのか?、これが現実ということ?
ロールが風呂に入っているとこに本物のリリーがやって来ます。
今度は自殺を止めるロール。この2役のシーンはいいです。
ロシアンルーレットを止めさせてリリーを説得するロール。
運命を変えろ。生きろと説得しています。たいしものです。
未来を見たとも言ってます。旅客機に乗れば男がいるとも言ってます。
イマイチ根拠のないロールの説得ですが、リリーは納得してトラックで空港へと向かいます。

リリーはトラックに乗って空港へ向かう。
トラック運転手のオッサンにネックレスをプレゼントしています。
10歳の娘さんが成長してこれが安物だとわかって返されたらバックミラーに下げてと言ってます。

7年後となります。
それでまた、カメラマンが電話を受ける。
ベロニカがアパートから出て逃げるが捕まる。
そこに例のトラックが走ってくる。バックミラーにはネックレスが下がってる。
運転手のオッサンはヒゲを生やしています。
で、太陽光がネックレスに反射した光で運転手の目がくらんでベロニカではなく黒人コンビを片づけるトラック。
ロールはこれまでどこにいた?、旅客機には乗っていなかったはずです。

このクライマックスのシーンで問題のトラックの前を一瞬横切るバイクはヤマハのVmaxです。エンジンを強調した特徴のあるデザインなのですぐにわかりました。こっちの方が気になったりします。

そんなこんなで黒人コンビ2人が片づいて、ロールをナンパするニコラスとなっています。
エンドとなります。わけわからん。
そういえば花が積んであるトラックは尖った鉄柵が飛出してていかにも危なそうな感じです。ブライアン・デ・パルマ監督らしいです。

後タイトル。
坂本龍一の音楽もそれほどではないけどラベルばかりではなく途中はバーナード・ハーマン調になっているし、後タイトルのラベル調はスパッと終わってるので、全体的にそんなに悪くはないと思えてきました。

キャストで・・・
いまだにヒロインを演じる女優さんの好みがよくわからないブライアン・デ・パルマ監督。
何故この作品のヒロインにレベッカ・ローミン=ステイモスがキャスティングされたのか?というのは名前がアルフレッド・ヒッチコック監督の『レベッカ』(1940年)と同じだからでしょう。
名前がレベッカの女優さんならレベッカ・デモーネイでもレベッカ・ゲイハートでもよかったと思われます。私はレベッカ・ゲイハートがいいな。

レベッカ・ローミン=ステイモスですがバーバラ・スタンウィックと比べては気の毒なのでナンシー・アレンぐらいならルックスに限ればどっこいなのではとなります。
モデル出身にはしてはよくやっているといった感じです。

やたらと目立つ迷彩模様の服の女性はリー・ラスムッセンでレベッカ・ローミン=ステイモスではなかったのです。これがこの作品での1番のどんでん返しでした。
リー・ラスムッセンはモデル出身でしかもブライアン・デ・パルマ監督も認める映画マニアなんだと。モデルで映画マニアとは変った人だ。

首謀者のブラック・タイを演じるエリック・エブアニーは強烈な個性を発揮して迫力があり過ぎで受けるレベッカ・ローミン=ステイモスは完全に押されていました。

カメラマンがファムファタールに振り回される話し?。
それともファムファタールが時間をジャンプする話し?

そんなわけでわけわからんけどブライアン・デ・パルマ監督らしいよい作品でした。
これもまたトンデモな展開の『レイジング・ケイン』(1992年)といい勝負の出来と思われます。
正直言ってキャリア終盤を迎えるブライアン・デ・パルマ監督にしてはよくやりましたといった感じです。

この何でもありな話を撮るのならブライアン・デ・パルマ監督はフレドリック・ブラウンのSF小説で多次元宇宙物のマスターピース『発狂した宇宙』を映画化した方がいいと思えます。
白眉のシーンはスプリットスクリーンで多次元宇宙の構造を説明セリフ無しで視覚的に描写するとこです。と、勝手に決めたりする。ブライアン・デ・パルマ監督なら出来ます。



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