『ファム・ファタール』
この作品はブライアン・デ・パルマ監督のトンデモ・サスペンスです。
なおこの文はネタバレ全開となっています。
2002年 クインタ・コミュニケーション フランス作品
ランニング・タイム◆114分
原題◆Femme Fatale
プロット◆何だか分からんけど7年経ったという話しのようです。
音楽◆坂本龍一 途中のかなり部分はバーナード・ハーマン調でした。
ヘラルド/東宝発売のDVDにて。画質は普通によい。ヘラルド配給から東宝のDVD発売となって、これではいつまで待ってもバーゲン価格にはならないと見込んでさっさと買いました。5040円也。デ・パルマ監督作品だから買ったのです。
キャスト
レベッカ・ローミン=ステイモス→ヒロインのロール/リリー
アントニオ・バンデラス→カメラマンのニコラス
エリック・エブアニー→首謀者のブラック・タイ
エドュアルド・モントート→停電係のラシーン
リー・ラスムッセン→ビスチェのベロニカ
ピーター・コヨーテ→アメリカ大使のワッツ
ティエリー・フレモン→セラ警部
グレッグ・ヘンリー→大使館警備のシフ
フィオナ・カーゾン→大使館の弁護士フィリップス
ブライアン・デ・パルマ監督の演出はよいと思います。
過去の自分の作品からの引用というか同じ手法の繰り返しが目立ちました。毎度おなじみのアルフレッド・ヒッチコック監督からの露骨な引用はあまり目立たないような。どうしたんだブライアン・デ・パルマ監督?。
ブライアン・デ・パルマ監督が得意のスプリットスクリーンの手法を多用しています。手前と遠景の合成も使っています。
フランス語と英語が使われています。結構つじつまがあっている。
ビリー・ワイルダー監督でバーバラ・スタンウィック主演の『深夜の告白』(1944年)をTVで見ているレベッカ・ローミン=ステイモス扮するロールから話しは始まります。
アルフレッド・ヒッチコック監督はやめてビリー・ワイルダー監督にくら替えしたのかブライアン・デ・パルマ監督?。エリック・エブアニー扮する首謀者のブラック・タイがやって来てTVを消して犯罪計画の打ち合わせとなります。何をやらかすのかブライアン・デ・パルマ監督?。
カンヌ映画祭のプレミアのシーンとなります。
本人役で出ているサンドリーヌ・ボネールさんはこんなに美人だった?もっと地味な感じと思っていましたけど。
話題のラヴェル風の音楽ですが、音楽には全く詳しくない私にはかなり以前のホンダ・プレリュードのCFの曲ですねとなります。私が悪いのではなくカネを出せば何でも買えるとなっているTVが悪いのです。ラヴェルの曲は著作権が切れていてカネすら払っていないのかも。
ビスチェ奪取の計画は評判の通りかなりアバウトです。
計4人でやっています。2人ですり替えをして、カギをコピーする男。停電係の男は吊って降りる『ミッション:インポッシブル』(1996年)をやっていました。計画通りにいかずに停電となってビスチェを持ったロールは逃亡します。
ロールはもう1人の女が会っているとこをアントニオ・バンデラス扮するカメラマンのニコラスが盗み撮りをしています。これは別に特別な理由があったわけではなく純粋に興味本位できれいだから撮ったということのようです。ここではスプリットスクリーン使用。
教会に逃げ込んだとこを見知らぬ男女2人に声をかけられるロール。リリーと呼ばれています。
ロールは空港ホテルでラシーヌに捕まって突き落とされますがまだ生きていて教会での見知らぬ男女2人に助けられます。
ある家で寝かされているロール。風呂に入ってて寝ているとこに本物のリリーがやって来ます。ここは一瞬現実なのか幻覚なのかハッキリしないようになっていてます。
本物のリリーは遺書を書いてロシアンルーレットを実行して自殺します。何でわざわざロシアンルーレットなのかが謎です。
そんなわけで自分そっくりの人が死んで残されたのがパスポートに航空券が手に入り棚からぼたもち状態となるロール。
鳥よけのマークが描いてあるジェットエンジンのショットから、ロールは飛行機に乗り込みます。ファーストクラスへと案内されます。隣の席は金持ちの男がいたりします。
ここでも男はマックのコンピューターを使用しています。他にもやたらとマックが出ていますがこんないいかげんな映画に出していると映画と同じようないいかげんな製品だと思われないかと心配になります。
7年後となり、アントニオ・バンデラスのカメラマンは全然変わっていません。
電話で依頼されてアメリカ大使夫人をパパラッチしに行くことになります。小細工してリムジンから降りたとこを撮ります。
一方ムショから出てきたのはロールに裏切られた首謀者のブラック・タイ。
何故か血のついたままの服で出所してて一瞬ギャグなのかと思ってしまった。もしかして伏線?
迎えに来たラシーンと組んで2人で行動します。
ロールと会っていた迷彩模様服の女は男2人に捕まりトラックの前に突き出され轢かれて死に至ります。本物ではないとわかっていながら結構ビックリする、ここの描写はかなりなものでこんなに上手く処理している事故シーンはあまり見たことがないです。
カメラマンのニコラスはバイクで大使夫人のロールを尾行します。
バイクはトライアンフです。排気はオイル上がりをしているのか2サイクルエンジンでもないのに煙を吹いています。
セックスショップから空港ホテルへと尾行して、同じ214号室へ入り込みます。
大使夫人から事情を聞くニコラス。大使夫人のクルマで買物に出かけますが小細工されて捕まります。
取り調べを受けるニコラス。事情を話しますが全く信じてもらえません。アメリカ大使館に行きますが要領を得ずうやむやとなります。
ピーター・コヨーテのアメリカ大使のワッツは無害なキャラのようです。
ようやく仕事場に帰ってきたニコラスですがいつのまにか大使夫人の誘拐犯になっていることに気がつく。勝手に脅迫の電子メールが送られているのです。ここで7年も同じマックを使っているとなっています。これはおかしいとなります。マックには限りませんがパソコンなんて7年も使えるわけがない。性能が低くなるし機械自体が持たないでしょう。
この作品は『深夜の告白』(1944年)のヒロイン、バーバラ・スタンウィックに捧げる映画なのか?と思ったが、いつのまにか誘拐犯に仕立て上げるとこはアルフレッド・ヒッチコック監督の『ダイヤルMを廻せ!』(1954年)のようでもあります。
ストリップをするロール。ジュークボックスからの音楽も坂本龍一なのかな?YMO調になっているような。ここでストリップを見ているのはニコラスではなくて、店で拾った男ナポレオンです。ここも先入観とは違う意外な展開でした。
橋の上で誘拐の取引きとなります。
ロールを狙う男2人はどうしたと思ったいたら、ようやく出てきてロールをセーヌ川に投げ込みます。投げ込まれてロールは何故か全裸となっています。ここで意外なシーン転換となり時間とシーンがリセットされます。
今度はフリッツ・ラング監督の『飾り窓の女』(1944年)の引用なのか?アルフレッド・ヒッチコック監督の引用はどうした?。ここでもくら替えしたのたとなります。
ロールが風呂に入っているとこに本物のリリーがやって来ます。今度は自殺を止めるロール。この2役のシーンはいいです。
イマイチ根拠のないロールの説得ですが、リリーは納得してトラックで空港へと向かいます。で、7年後となります。わけわからん。
クライマックスのシーンで問題のトラックの前を一瞬横切るバイクはヤマハのVmaxです。エンジンを強調した特徴のあるデザインなのですぐにわかりました。こっちの方が気になったりします。
そんなこんなで男2人は片づいてエンドとなります。わけわからん。
そういえば花が積んであるトラックは尖った鉄柵が飛出してていかにも危なそうな感じです。ブライアン・デ・パルマ監督らしいです。
いまだにヒロインを演じる女優さんの好みがよくわからないブライアン・デ・パルマ監督。
何故この作品のヒロインにレベッカ・ローミン=ステイモスがキャスティングされたのか?というのは名前がアルフレッド・ヒッチコック監督の『レベッカ』(1940年)と同じだからでしょう。
名前がレベッカの女優さんならレベッカ・デモーネイでもレベッカ・ゲイハートでもよかったと思われます。私はレベッカ・ゲイハートがいいな。
レベッカ・ローミン=ステイモスですがバーバラ・スタンウィックと比べては気の毒なのでナンシー・アレンぐらいならルックスに限ればどっこいなのではとなります。
モデル出身にはしてはよくやっているといった感じです。
やたらと目立つ迷彩模様の服の女性はリー・ラスムッセンでレベッカ・ローミン=ステイモスではなかったのです。これがこの作品での1番のどんでん返しでした。
リー・ラスムッセンはモデル出身でしかもブライアン・デ・パルマ監督も認める映画マニアなんだと。モデルで映画マニアとは変った人だ。
首謀者のブラック・タイを演じるエリック・エブアニーは強烈な個性を発揮して迫力があり過ぎで受けるレベッカ・ローミン=ステイモスは完全に押されていました。
そんなわけでわけわからんけどブライアン・デ・パルマ監督らしいよい作品でした。
これもまたトンデモな展開の『レイジング・ケイン』(1992年)といい勝負の出来と思われます。
正直言ってキャリア終盤を迎えるブライアン・デ・パルマ監督にしてはよくやりましたといった感じです。
この何でもありな話を撮るのならブライアン・デ・パルマ監督はフレドリック・ブラウンのSF小説で多次元宇宙物のマスターピース『発狂した宇宙』を映画化した方がいいと思えます。
白眉のシーンはスプリットスクリーンで多次元宇宙の構造を説明セリフ無しで視覚的に描写するとこです。と、勝手に決めたりする。ブライアン・デ・パルマ監督なら出来ます。
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