『ミッション:インポッシブル』(1996年)
この作品はブライアン・デ・パルマ監督、トム・クルーズ主演のスパイ・サスペンスアクションのようです。
なおこの文はネタバレ全開となっています。
1996年 クルーズ-ワグナー・プロ/パラマウント アメリカ作品
ランニング・タイム◆110分
原題◆Mission: Impossible
プロット◆勝手な上司に陥れられて悪戦苦闘する話しのようです。
音楽◆ダニー・エルフマン/有名なテーマはラロ・シフリン
パラマウント発売のDVDにて。画質は普通です。スクイーズ収録ではありません。フル表示では上下左右に大きく黒味あり。HDスーパーズームにしました。画面サイズワイド。上下に黒味あり。
音声はドルビーデジタル5.1ch
キャスト
トム・クルーズ→陥れられた男イーサン・ハント
エマニュアル・ベアール→イーサンの同僚クレア
ジョン・ボイト→イーサンの上司フェルプス
エミリオ・エステベス→イーサンの同僚ジャック
ヘンリー・ツァーニー→イーサンとは別班の上司キトリッジ
ジャン・レノ→イーサンに雇われた男:綱引き担当クリーガー
ビング・レイムズ→イーサンに雇われた男:コンピュータ担当ルーサー
クリスティン・スコット・トーマス→イーサンの同僚サラ
Ingeborga Dapkunaite→イーサンの同僚ハンナ
ヴァネッサ・レッドグレイブ→情報屋マックス
ロルフ・サクソン→CIAコンピューター室のダンロー
デイル・ダイ→キトリッジの部下バーンズ 初老白髪
オリジナルのTVシリーズ『スパイ大作戦』(1966~1973年)には全く思い入れはありません。だいたい見ていなかった。それでもタイトル部分といつもの名セリフ「・・・このテープは自動的に消滅する」だけは知っています。
ブライアン・デ・パルマ監督の演出はよいと思います。
改めて見るとよく出来ています。最初から最後まで一気に見せてくれます。
この作品はもうクラシックになっているようです。
トム・クルーズのかぶりの変装はどこまでがホントなのかわからず。
ということはロブ・ボッティンが上手いのかな。でも、わざわざ凝らなくても土曜ワイド劇場での天知茂の明智探偵みたいに編集で処理した方が効果的だし安上がりだと思えた。どうせ変装時は別人が演じているんだから。
ジョン・ボイトは怪し過ぎ、ヘンリー・ツァーニーはセコ過ぎとキャスティングはいいです。上司には恵まれていないイーサン・ハントです。
51分頃でジャン・レノ登場。綱引きしてるだけでジャン・レノでなくてもいいキャラでした。ところでダクト内でどうやってネズミを殺した?
エマニュアル・ベアールはやっぱりよくは見えない。フランス女優の限界のようです。ラストでは殺されてまるで土曜ワイド劇場のヒロインみたい。
と、フランス勢はイマイチ冴えなかった。
ジョン・ボイトはくたびれてるルックスで最初からあまりにも怪しすぎるのが難でした。
どこかで読んだジャン・レノのインタビューによるとヴァネッサ・レッドグレイブは若い男をはべらせていたそうです。なるほどジャニーズメンバーをはべらせている森光子みたいなものか。
ヒロインがイマイチまではいかないけどもっと魅力的に描けるのでは?不満が残るのは?『ミッション:インポッシブル2』=『M:I-2』(2000年)も同じような感じ。
それはヒロインは主役のトム・クルーズより目立ってはいけないという厳しい制約があるからです。
パラマウント
クルーズ-ワグナー・プロ
プロローグ。
キエフにて。
キャラ紹介の一仕事を図です。
エミリオ・エステベス扮するジャックはモニタを見ています。
名前を吐いたとこでセットがバラバラになっています。『ロープ』(1948年)の引用?
タイトルです。
旅客機内にて。ジョン・ボイト扮する上司フェルプスが指令を受けます。
キャラ紹介もやっています。
ハンナ、サラ、クレア、ジャック、イーサン。
本編スタート。
プラハです。
打ち合わせとなります。
フェルプスの説明です。ゴリツェンをマークせよ。
ここでもうフェルプスはシカゴのドレイク・ホテルの名前は出していました。
ワルツァー上院議員に変装するイーサン。
ガム爆弾の説明をするジャック。レッド、グリーン。→日本語字幕ですが「レッド、グリーン」が「ヒット、グリーン」になっていました。今ごろ気がついたけど。
それにしても日本語字幕はひどいな。この点でもBlu-rayソフトを買わないとまずいな。
パーティ会場にて。
『汚名』(1946年)の俯瞰?プロローグのパーティにて。そのまんまです。
モニタに写される複数の画面の使い方は上手い。デ・パルマ監督の過去の作品で使われてたスプリットスクリーンのバリエーションでこの手法は使い慣れてるので上手いこと。
このプロローグで30分は使ってます。面白いからいい。
斜めの構図。普通の構図が交互の使われてます。この節操のなさがデ・パルマ監督のいいところとあばたもえくぼになります。
マルチスクリーンとなっています。こういうのが上手いデ・パルマ監督です。
壁を通り抜けるカメラ。何だかセット丸出しといった感じです。エレベーターのシーンではカメラが気軽に壁を越えてセット丸出しなのがデ・パルマ監督らしくていい。
パーティのシーン等でちゃんと別班がいることを描写しています
エレベーターで降りて眼鏡カメラをセットします。
途中から雲行きが怪しくなってジャックがやられます。
作戦は中止とフェルプス。
橋の上でフェルプスがやられます。
これで作戦は中止だと指令するイーサン。
続いてメンバーのホトンドがやられる最悪な事態となります。
クレアが殺されていた現場で血まみれのナイフを持っていたらまずいだろイーサンといった感じ。
普通はやらない公衆電話を使っての緊急連絡のイーサン。別班の上司キトリッジと話します。
キトリッジと待ち合わせ地点のカフェに入るイーサン。
水槽があるカフェです。
キトリッジ上司と話すイーサン。
何でIMFの別チームがいた?と質問のイーサン。ここでのフラッシュバックの入れ方も上手い。
で、成り行きでイーサンが内通者とされます。イーサン・ハントは12万ドルで情報を売ったとなっています。
ガム爆弾でこの場から走って脱出するイーサン。
背が低く手足が短いので走る姿はサマになるトム・クルーズです。
アジトに戻るイーサン。
使える物やカネを捜しています。
コンピューターで色々と調べるイーサン。
誰か来ます。フェルプス?クレアでした。ここはフェイクなシーンでした。
クレアを尋問するイーサン。
出したメールの返信が来て待ち合わせ地点に向かうイーサン。
待ち合わせ地点からクルマ内でマスクを被せられるイーサン。
マックスのアジトにて。
ヴァネッサ・レッドグレイブ扮する情報屋マックスと交渉のイーサン。
NOCリストをネタに交渉しています。今回の手に入れたディスクは囮で使ったらすぐに足が付くと指摘するイーサン。
で、その実験となります。あっという間にキトリッジ一行がやってきます。
移動中のクルマ内にて。
情報屋マックスとの交渉がまとまります。
クレアと打ち合わせのイーサン。
バレッタって何?ハンドガンのベレッタのことか?日本語字幕が変です。
日本語字幕の「バレッタ」ですが、発音は「ベレッタ」と言ってる。
何で「バレッタ」になる?
人を集めます。
自分で使える人材を集めて打ち合わせをする。何かルパン三世みたいでいい感じ。少し生真面目過ぎるのが難ですか。
列車内にて。TGV。
ジャン・レノ扮するクリーガー。
ビング・レイムズ扮するコンピュータ担当ルーサー。
の2人が登場。
イーサンが今度の仕事の説明をします。これが映像を入れて実にわかりやすい。
このCIA本部潜入の打ち合わせでのデ・パルマ監督得意の説明セリフ無しでの視覚的説明シーンは相変わらず上手い。取り扱い説明や訓練用の映像作品を撮らせればおそらく誰よりも上手いと思う。その方が映画を撮るより金になるのではと思えます。
ラングレー。CIA本部にて。
仕事が始まります。消防車で入るイーサン一行。
空調ダクトで侵入のイーサンとクリーガー。
コーヒーに小細工のクレア。
スパイ物のルーティンな描写が入ります。
いよいよハイライトシーンでお馴染の吊り下がってコンピューター室へ侵入のイーサンとなります。
華氏72.8度は摂氏22度位でした。
温度計をわざわざ華氏から摂氏に直して日本語字幕化しています。そんなことをしなくていいよ。どうせ日本はアメリカの植民地なんだから。
床のセンサーは蜘蛛の巣をデザインしてるようです。
ネズミが出ます。
このせいでロープが緩んで危機一髪のイーサンです。
ディスクは最初のは普通のフロッピーでした。後に出ているのはMOディスクなのかCDなのかは不明のケースに入ってるディスクでした。
コピーにケースに入ってるディスクを使用。2006年現在ならUSBメモリ?
これで仕事が終わったと引き上げたとこでナイフが落下します。
そんなわけで室内に異常があってコンピューターの最近使った項目からコピーがあっさりとバレます。
発煙筒を空調ダクト内に流して混乱の中を逃げるイーサン一行。
キトリッジがコンピューター担当のダンローをアラスカに飛ばすと言うシーンではキトリッジとバーンズが手前に大きく映り左奥に小さくダンローがいました。得意の遠近合成です。上手いじゃん。
ロンドンにて。
ホテルです。
打ち合わせのイーサン一行。
ディスクのことでクリーガーと揉めるイーサン。
シカゴ・ドレイク・ホテルの聖書を見つけるイーサン。そもそもフェルプスの陰謀がばれたのはシカゴのドレイクホテルの備品の聖書を持ち出したからのようです。セコいことをしなさんな。
そんなことでTVニュースでイーサンの身内が逮捕と放映されます。
近くの駅の公衆電話からキトリッジに電話するイーサン。
電話の逆探知を察して駅に時計でカウントダウンの図はよいです。
話しをつけたとこで、隣にブースに死んだはずのフェルプスがいました。
カフェでフェルプスの話しを聞くイーサン。
フェルプスはキトリッジが内通者だと言ってます。
ここではフェルプスの事情説明と実際の回想の映像が違うんです。面白い手法です。デ・パルマ監督は上手いじゃん。
クルマの爆発とエマニュアル・ベアールは合成のようです。ここでのクルマの爆発はクレアかフェルプスかはまだわかっていなかったらしい。だから両者がやった場合はとなっているようです。
この作品の白眉はイーサンの前に再び姿を表わしたフェルプスがイーサンに真相?を説明するとこで、説明と回想が食い違ってるとこです。
説明と違う回想なんて下手に使ったら収拾がつかなくなるんですがこれがいい感じ。さすがデ・パルマ監督。この時点でイーサンが真相に気が付いてるのかとサスペンスになってます。
→ここは回想というよりイーサンの推測のような感じもする。どっちでもいいけど。
そんな感じでホトンドのネタをバラしているようです。
ロンドンのアジトにて。
明日のロンドン発パリ行きTGV。ここが情報屋マックスと交渉する場所だとなります。
クリーガーがロンドンでヘリコプターを準備してるとイーサンが言ってる。
走るロンドン発パリ行きTGVにて。
カメラが寄っていきTGV内部に入ります。これは『海外特派員』(1940年)の引用です。
カメラがTGVの窓に迫る迫るでこれはどうやって撮ったとなります。このショットは素晴らしい。ですが、TGV内の通路を人が歩いてるとこをTGVの外から平気で移動撮影してます。セット丸出しです。こうゆういいかげんなとこがさすがデ・パルマ監督と好きです。
情報屋マックスと交渉のイーサン。
カネと内通者は貨物車にいるとマックス。
ビング・レイムズはトイレに立てこもっています。
マックスが携帯電話でハンドガンを組み立て終わったフェルプスに電話して貨物室に来いと連絡しています。
この作品はよく出来ている。私なんか10回ぐらい見ないと全部理解出来ないかも。
TGVの貨物車です。
フェルプスがいます。クレアが話しかける。
このフェルプスはイーサンの変装でした。
本物のフェルプスも現われる。
イーサンは眼鏡カメラでフェルプスが生存しているとこキトリッジに知らせます。
頭に来たフェルプスがクレアを撃ってイーサンを痛めつける。何だか雑な仕事ぶりのフェルプスです。
→フェルプスがTGVに持ち込んたラジカセに分解して仕込んでいたハンドガンは組み立て式の2連発でした。だから2発撃ってすぐに上に逃げていったようです。
フェルプスは列車の上に出ます。ヘリコプターが来ています。
追って列車の上に出るイーサン。凄い風圧で動きがとれない。ジャケットやネクタイが邪魔なので脱ぎ捨てます。これが飛んでいってフェルプスがイーサンの存在に気がつきます。これはいいシーンです。好きだな。
トンネルに向かうTGV。
ここでイーサンがヘリコプターをTGVにつないでしまいます。
TGVと一緒にトンネルに入るヘリコプター。ホントか嘘か実写でトンネル内をヘリが飛んでます。アニメみたい絵なんですがアニメよりサマになってるのが凄い。
そんなとこに対向列車が来ます。
このトンネル内で間一髪すれ違うTGVをかわすシーンは『バルカン超特急』(1938年)のバリエーションなのかも。スピード感充分のよいシーンです。イーサンが手がかりになるとこを掴むクローズアップショットがいい。緊張感がたっぷりです。→イーサンが掴んだのはフェルプスが使っていたマグネットグリップでした。つじつまは合っています。この作品はよく出来ている。
ヘリコプターのローターでやらそうなイーサンですが偶然の接触に助けられます。
そんなこんなでクライマックスになります。
ガム爆弾で「レッドライト」「グリーンライト」のシーンとなります。見てて燃えるこのシーンのために邪魔なTGVの架線を消してしまっているんです。これが映画的でいいです。
結局イーサン・ハントは銃の類いは1発も撃っていないみたい。使ったのはガム爆弾だけでした。これがいい。
銃を撃たないとこは『ルパン三世 カリオストロの城』(1979年)でのルパン三世みたいでいい感じ。
エピローグ。
ロンドンのカフェにて。
イーサンとルーサー。自分は戻らないとイーサン。別れます。
旅客機のイーサン。
映画は?となって新しい指令が来たようです。
エンドとなります。
後タイトルのアレンジは何となくダサい。
ラロ・シフリンの素晴らしいスコアが無駄ににぎやかになっているだけみたいです。
そんなわけでトム・クルーズの俺様スター映画と思って見ればよく出来てるのでは。少しサポート俳優の扱いがないがしろにされてるのが難ですけど。
私はブライアン・デ・パルマ監督が御贔屓なのでよい作品でしたとなります。
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