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2006.08.24

『カリートの道』(1993年)

この作品はブライアン・デ・パルマ監督、アル・パチーノ主演の更生物ギャング映画です。
なおこの文はネタバレ全開となっています。

1993年 ユニバーサル・ピクチャーズ アメリカ作品
ランニング・タイム◆144分
原題◆Carlito's Way
プロット◆ヤクザ稼業から足を洗おうとする話しのようです。75000ドルを貯め込んでレンタカー屋になろうという設定になっていました。
音楽◆パトリック・ドイル
ソニー・ピクチャーズ発売のDVDパチーノ&デ・パルマ コレクション『カリートの道』(1993年)/『スカーフェイス』(1993年) コレクターズエディションとの2枚パックにて。画質は非常によい。ソニー・ピクチャーズのDVDは画質がいいのか。でもDVDにしたのはパナソニックとクレジットがありましたけど。

キャスト
アル・パチーノ→ムショ帰りのカリート・ブリガンテ
ペネロープ・アン・ミラー→カリートの恋人ゲイル
ショーン・ペン→悪徳弁護士デビッド・クラインフェルド
ルイス・グスマン→やぶにらみの用心棒のパチャンガ
ジョン・レグイザモ→チンピラのベニー・ブランコ
アル・イスラエル→カリートの昔の相棒ローランド
Jorge Porcel→クラブ・パラダイスのオーナー サッソ
イングリッド・ロジャース→ラテン系ホステスのステフィ
ジェームズ・レブホーン→ノーウォーク検事
ビゴ・モーテンセン→ムショから出て検事の犬になったラリーン

ブライアン・デ・パルマ監督の演出はよいと思います。
回想になっています。結末が明白になっていて、そんな構成でラストまで持つのかと思ったら持ってしまった。これはたいしたものです。
『スカーフェイス』(1983年)と同じでアル・パチーノの1人舞台となっていますが年取ったせいか力演の程度は抑え気味でした。それでもさすがにスターなので存在感抜群でした。

同じ主演監督コンビの『スカーフェイス』(1983年)はアル・パチーノのお気に入り作品だと思われます。力演すればしただけ効果が表われたのですからそのはずです。そうでなければこの同じブライアン・デ・パルマ監督の作品に出ないでしょう。

1975年が舞台となっています。

ワイドスクリーンに人物1人を映している真ん中にではてく少し左右どちらかに寄せた空間の空け方がいいんです。クラシックな使い方がいい感じです。
相変わらずの演出が決まってて、スローモーションでゴミカゴに捨てられるリボルバーの実包とリボルバーの撃針がむなしく空のシリンダー内を撃つとこのカットバックなど上手いものです。
回るカメラのショットもありましたし。実にいいです。

クラブの共同オーナーになることになったアル・パチーノ扮するカリート・ブリガンテは「俺はカサブランカのボガートか」と言ってましたが『スカーフェイス』(1983年)ではキャグニーやボガートの映画を見て英語を覚えたなんてことを言ってましたけど。

ショーン・ペン扮する悪徳弁護士デビッド・クラインフェルドは新人の頃は護身用にバールを持ってたと言ってましたが、結局その頃に戻ってしまいバールを使うに至ります。
カリートの方は恋人ゲイルが言ってた通りに夜中の救急病院行きとなる。伏線通りに話しは進行してました。
この話しは最初に結末が出てて回想になっているので意外な結末ではないけど、そんなことは忘れて見てました。これは演出がいいのでしょう。

クライマックスの地下鉄と駅のチェイスシーンは見ごたえがありました。
このへんのサスペンス演出はさすがに上手い。命がけのかくれんぼから見つかったら撃つしかないと猛烈に銃撃戦となる切り換えがいい。アル・パチーノは小柄だから見つからずに逃げ切れると思ってしまいましたがそうはいかなかった。

ラストのパラダイスの広告が動いて見えるのはカリート・ブリガンテの主観なのでしょう。ここはブライアン・デ・パルマ監督らしいトリッキーさでした。
でもこの作品は全体的にはトリッキーは控えめです。それでも見ていられるのですからブライアン・デ・パルマ監督は腕前がいいのです。

ショーン・ペン扮する悪徳弁護士デビッド・クラインフェルドは言われないとショーン・ペンと分からないメイクでした。嫌味な悪徳弁護を熱演してました。
ジョアン・アレン主演の『ザ・コンテンダー』(2000年)でゲーリー・オールドマンがこの作品のショーン・ペンと同じハゲ上がった頭にメガネのメイクで悪役(だと思う)をやってます。こっちも見たいものです。

アル・パチーノと同じ背の高さでキャスティングされたと思われるジョン・レグイザモが結構重要なキャラでした。それにしてもチンピラ役がはまっている。実際問題に俳優としてパチーノ並みになれるかな?
ジョン・レグイザモは背の低いスターの競演俳優で重宝されています。

ビゴ・モーテンセン扮するラリーンは撃たれて車イスのお世話になってしまい、ムショから出て検事の犬になった情けないキャラで出番はここだけでした。何でこんな情けない役を引き受けたんだ?。

ペネロープ・アン・ミラーのヒロインのゲイル。ラストのワンショットで涙を流すとこを見せられると、見ているこっちまでもらい泣きしてしまいました。

女優さんの名前で・・・
ペネロープ・アン・ミラー、サラ・ジェシカ・ハーパー、メアリー・ルイーズ・パーカー、メアリー・スチュアート・マスターソンの4人を混同しています。誰が誰だかよくわからない。
ペネロープ・アン・ミラーは『レリック』(1997年)に出ていた人ですか。
サラ・ジェシカ・ハーパーはマシュー・ブロデリックの奥さん。
メアリー・ルイーズ・パーカー、メアリー・スチュアート・マスターソンは『フライド・グリーン・トマト』(1991年)に競演で出てるということです。
何だかこれだとますます混同しそうです。

『スカーフェイス』(1983年)は年代設定がその当時になっていて、『カリートの道』(1993年)は1975年になっています。
アル・パチーノは『スカーフェイス』(1983年)の時の方が若いので混乱し不思議な感じです。話しの方のバランスは『カリートの道』(1993年)の方がとれています。ごく普通の話しなのがよかったようです。

前作『スカーフェイス』(1983年)ではアル・パチーノの役は自業自得の最後に見えてしまった埋め合わせなのか、『カリートの道』(1993年)は不可抗力でそうなってしまったとのように描写されています。もしかしたらこれだけのために作った作品なのかも。

ごく普通のよくある話しのヤクザ映画でしたが何故か全く時間を感じさせず飽きずに見られました。
そんなわけで洗練されたヤクザ映画といった感じでよい作品でした。



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