『M:I-2』(2000年)
この作品はジョン・ウー監督作品、トム・クルーズ主演の俺様アクションのシリーズ第2弾です。
オリジナルのTVシリーズ『スパイ大作戦』(1966~1973年)には全く思い入れはありません。だいたい見ていなかった。それでもタイトル部分といつもの名セリフ「・・・このテープは自動的に消滅する」だけは知っています。
なおこの文はネタバレ全開となっています。
2000年 クルーズ-ワグナー・プロ/パラマウント アメリカ作品
ランニング・タイム◆124分
原題◆Mission: Impossible II
プロット◆病原体と治療薬を奪い合う話しのようです。
音楽◆ハンス・ジマー/有名なテーマはラロ・シフリン
スカイパーフェクTV315スター・チャンネルにて。画質はよいです。
キャスト
トム・クルーズ→スパイのイーサン・ハント
サンディ・ニュートン→泥棒のナイア
ダグレイ・スコット→元スパイのショーン・アンブローズ
アンソニー・ホプキンス→イーサンの上司
ビング・レイムズ→イーサンの仲間ルーサー
ジョン・ポルソン→イーサンの仲間ビリー・ベアード
リチャード・ロクスボロウ→手下のヒュー・スタンプ
ジョン・ウー監督の演出はまあよいと思います。
スローモーションを使ったアクションが得意のジョン・ウー監督ですが、アクション描写で最初にスローモーションを使ったサム・ペキンパー監督とは違う手法のようです。サム・ペキンパー監督の下手なコピーではなくジョン・ウー監督のスタイルですから悪くはないと思います。
始まるとミニチュアのジャンボ・ジェット機が飛んでいます。こういうのは好きだな。出だしは実は悪役の方でしたと意表をついて始まります。
このへんまでは快調でした。
悪役の元スパイのアンブローズにはダグレイ・スコット扮しています。
悪役としては多少魅力に欠けるような。トム・クルーズと似ているようで変装したり暗闇だったりするとどっちだかわかりにくい。これはマイナスになります。
正直言って本編は少々退屈でした。
プロローグのキャラ紹介とクライマックスのアクションはよいのですがその間の本編がスカスカといった感じに思えます。
見る前に脚本が変更に変更を重ねていたということを知っていたという偏見もありますが・・・
そんなことでメジャーの作品の脚本が優れているなんてめったにないのでしょう。ことあるごとに変更のようですから。変更があるのが常なのでしょう。
脚本の直し屋のロバート・タウンが登場と映画そのものより製作現場の方が面白そうです。で、脚本は結局直っていなかったようです。それではロバート・タウンの登場した意味がないじゃん。
この製作に関しての展開は押井守監督の映画製作内幕物の『『トーキング・ヘッド』(1992年)を連想します。
悪役側が何をするにしても阻止する側になるのも?が付きます。普通は逆でしょう。
何故かアルフレッド・ヒッチコック監督作品の引用特集となっています。
『泥棒成金』(1955年)のようなセリフ「泥棒が泥棒が捕まえる」がありました。
カーチェイスの舞台もそんな感じ。そんなことから何でグレース・ケリーの代わりにサンディ・ニュートンなのでしょうとなります。タイプが全然違うではないですか。
『汚名』(1946年)のような競馬場のシーンもありました。ヒロインがI hate youと言うのかと思った。
そもそも愛するヒロインをスパイとして送り込むという設定も『汚名』からのようです。
ヒッチコック関連でいうとアンブローズという名もあります。これは『知りすぎていた男』(1956年)に出ていました。
ジョン・ウー監督は実はアルフレッド・ヒッチコック監督ファンなのでこの作品では引用が多くなっているようです。
そんなわけでSFが入っていますがサスペンスの『ペイチェック 消された記憶』(2003年)を撮っていたりします。でも背が高いだけの大根ベン・アフレックはケイリー・グラントにはなれないと思う。ジョン・ウー監督は作品が撮れるならキャストはこれでもいいやと割り切り過ぎです。
トム・クルーズの俺様ぶりはそんなに嫌味ではないようです。この点は好感が持てます。
アンソニー・ホプキンスは拘束期間1日の契約でまとめて1発撮りと思えます。
ジョン・ポルソン扮するビリー・ベアードはヘリコプターを操縦する人が必要なのでそのためだけで出ているようなキャラのようです。
アンブローズの手下ヒュー・スタンプはどこかで見たような気がしましたがバリー・オットーと思ったが違っていました。でも以前見た『パッツィ・クラインに囚われて』(1997年)に出ていたのは間違いない。オーストラリアで撮っているのでオーストラリア産の俳優が出ているようです。日本だったら『ブラックレイン』(1989年)で内田裕也とか安岡力也が出るのと同じようなものでしょう。
→リチャード・ロクスボロウでした。オーストラリアで撮った作品にはよく出ています。ニコール・キッドマンのミュージカル『ムーラン・ルージュ!』(2001年)での悪役の公爵が印象的。
サンディ・ニュートンはアフリカ女性の憧れの的なのでしょう。
アフリカ系ではなく本物のアフリカ出身の女優さんなのです。
クルマについて・・・
アウディのナイア、ポルシェのハント。派手にぶつかっています。さすがこういう無駄金をかけられるメジャー作品だと感心する。
バイクは日本製ではなくハーレーでもないのが使われているようです。
何で日本製ではないの?の理由は日本製だからダメとしかないようです。アメリカ製のハーレーではいくらブロックパターンのタイヤにしてもオフロード走行スタントは無理でしょう。
バイクスタントでタイヤがロードパターンやブロックパターンにころころと変わるのはしっかりと見えました。ですけどこのバイクアクションは絶品で、こういうのが見たかったという感じです。
お約束のような炎の中からバイクが出てくるシーンはいいものです。
登場するバイクですが何だろうと調べたら・・・
イーサン・ハントはトライアンフ スピードトリプル
悪役ショーン・アンブローズはトライアンフ デイトナ 955I
だそうです。
英国のトライアンフとは意外でした。私はハーレーのエンジンを積んだビューエルかと思っていました。
全体的な印象では、正直言ってこれはスカイパーフェクTVからの録画で1回見るだけで十分かも。見どころは秋葉の電気屋でよくやってるクライマックスのアクションシーンしかないようです。これではとても高額のDVDを買うまではいきません。低価格になったら買ってもいいですけど。
比べちゃいけないけどブライアン・デ・パルマ監督の『ミッション:インポッシブル』(1996年)の方がよかった。アクションは少なめでしたでしたが本編は見れますし、あまり撃たない徒手空拳ぶりがよくて、ガム爆弾で「レッドライト」「グリーンライト」の決めがよかったものです。
そんなわけでこの『M:I-2』は佳作まではいかないまあまあな作品でした。
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