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2006.08.12

『ゲッタウェイ』(1994年)

この作品は『ゲッタウェイ』(1972年)のダメダメなリメイク・アクションです。
なおこの文はネタバレ全開となっています。

1994年 パラマウント アメリカ作品
ランニング・タイム◆115分
原題◆The Getaway
プロット◆逃げるカップルの話しのようです。
音楽◆マーク・アイシャム
地上波ANB 日曜洋画劇場にて、画質はよいです。
VHS録画で二か国語だけ録画するCFカット機能を使ったら淀川長治の解説や日本語吹き替えのクレジットまでカットされてしまいした。以前は上手くいってたのに放映の仕様変更されてしまったようです。

キャスト
アレック・ボールドウィン→凄腕には見えない男。ドク・マッコイ
キム・ベイシンガー→アレック・ボールドウィンの妻。そのままです。
ジェームズ・ウッズ→顔役
デビッド・モース→ジェームズ・ウッズの子分
マイケル・マドセン→凄腕の筈な男。ルディ
ジェニファー・ティエリー→獣医の妻
リチャード・ファーンズワース→トラックの老運転手
キャスティングはよいと思います。主演2人には?が付きますが、サポートのキャストはいいです。

オリジナル1972年版のキャスト
スティーブ・マックィーン→凄腕のドク・マッコイ
アリ・マッグロウ→ドク・マッコイの奥さんキャロル
アル・レッティエリ→凄腕な筈のルディ・バトラー
ベン・ジョンソン→顔役ジャック・ベニヨン
ジョン・ブライスン→ベニヨンの後がまに座る男
ボー・ホプキンス→チンピラのフランク・ジャクソン
サリー・ストローサーズ→獣医の妻フラン・クリントン
ジャック・ドドソン→気の毒な獣医クリントン
リチャート・ブライト→駅の置き引き
ダブ・テイラー→ラフリンホテルの主人ラフリン
スリム・ピケンズ→トラックの老運転手

『ゲッタウェイ』1994年版をようやく見ました。
1994年版はオリジナルの1972年版と比べてどうなのか参考にと、どれくらいひどいのかもあって全く期待せずに見ました。

私の大好きな作品の1つがサム・ペキンパー監督の『ゲッタウェイ』(1972年)です。
2ケ所3ケ所現在過去とカットバックする腕前には感心します。どれくらいカットバック出来るかの実験作とも思えてしまいます。
私はこの作品でカットバックが大好きになりました。カットを割る数が多ければいい訳ではないけど。1972年版はアクション物の佳作です。


で、1994年版の演出はというと、
“ラッキー”ロジャー・ドナルドソン監督の演出はまあまあだと思います。
何でラッキーなのかというと、本『ザナック ハリウッド最後のタイクーン』で、ラッキー何々と言う監督がいて、腕前はからっきしなのに仕事が途絶えないという描写があり、ロジャー・ドナルドソンにぴったりなのではと思えました。
ロジャー・ドナルドソンがサム・ペキンパーより優れているとこは仕事は途絶えないこと位でしょう。作品の出来とは関係ありません。
ロジャー・ドナルドソンは、よく言えば職人監督で、正直に言えばボンクラ監督です。

キャストについて・・・
主演の実生活で幸せな2人は出る作品と監督を間違えたようです。→別れたので幸せだったと過去形となっていますけど。
キム・ベイシンガーのブラジャーはあらゆる攻撃を防御出来る。と思ったらあっさり脱いでた。共演のジェニファー・ティエリーが脱いだので負けずに脱いだのかもしれません。

サポートのキャストでは・・・
デビッド・モースはジョン・ブライスンの代わりにしてはタイプが違い過ぎるので比べられないような。
アル・レッティエリの代わりはマイケル・マドセン。これは悪くない。
ボー・ホプキンスの代わりの俳優が物足りなかった。誰ですか?
ベン・ジョンソンの代わりがジェームス・ウッズ。これは悪くない。
スリム・ピケンズの代わりはリチャード・ファーンズワースでした。これは引き分けでした。全く同じに演じてました。
サポートのキャストはかなりいいのです。もったいない。

タイトルで一仕事の図。
で、捕まります。何か間抜けに見えるのが困ったものです。1972年版では最初から捕まってました。ここは捕まるシーンは省略した方がよかったみたい。

アクションシーンでは思い出したようにスローモーションは使ってますがカットバックは全然ありません。
リアクションショットに一々説明セリフが付けないでほしい。
撃ち合いにて、弾丸をよけることは不可能なのでとにかく相手より早く撃たないと説得力がないと思えます。相手より早く撃たないと普通死んでます。
1972年版であった若い男を逃がす黒澤明監督作品『用心棒』(1961年)の引用もちゃんとありました。
死体を空井戸に落とすとこを撮ってある。これはいらない。全部見てないけどノーカットの115分では何が入ってたんだろうとなる。無駄なシーンばっかりのような気がする。

代表的なシーンを比べると、
→現金強奪を陽動するための爆発とヘマをしたジャクソンを始末するとこの違い。
1972年版では始末するとこと爆発をカットバックで描写して白眉なシーンでした。
1994年版ではカットバックせずにあっさり2つのシーンにわけてしまい、その爆発もあっさりとした描写でした。タンクローリーを爆破してるので爆発の規模だけは1972年版より大きくなっています。爆発の後、ヘマをした奴を始末するとこもつまらない描写でした。ダメダメです。
で、今の時限爆弾はデジタルなんですね。カウントダウンが分かりやすいから上手く使えば効果的だと思いますが。→これはピッというデジタル音で出来そうです。

→ルディへ発砲する描写の違い。
1972年版ではマックィーンがコルトガバメントを1発撃つごとに弾着とカットバックしてた美しいシーンだったのに1994年版では撃つショット、弾着のショットを2つショットにまとめてしまってます。ダメダメです。防弾チョッキの伏線はそのままでした。

→エルパソのホテルでの撃ち合いのきっかけの描写の違い。
1972年版ではセリフはなくて双方をカットバックしてマックィーンのショットガンを被っていた布がハラリと落ちたとこから撃ち合い開始でした。
1994年版では子分のデビッド・モースの「見つけた」?というようなセリフから撃ち合い開始となります。1シーンごとにセリフを無理やり入れてきすま。ダメダメです。

全体的な印象は・・・
1994年版の出来はもっとひどいのかと思ってたけど、オリジナルの1972年版がよいせいかそんなに悪くはなかったです。サポートのキャスティングもいいし。日曜洋画劇場版なのでオリジナルの115分が正味92分位にカットされてるのが却ってよかったのかもしれません。吹き替えが誰かはわかりませんが、これにもだいぶ助けられているようです。

1994年版は1972年版と同じとこもあるし違うとこもあります。
同じとこは見劣りがして、違うとこは大幅に見劣りがします。同じような脚本を腕前の違う監督が作るとこうも出来が違うのかとわかる貴重な例になります。
演出の手法の違いではなくて上手い下手の違いなんです。
そんなわけでリメイクの泥沼にハマっています。同じでは芸が無くて違くすると裏目に出ています。

1994年版の監督はやはりウォルター・ヒルがやってカットバック担当にピーター・ハイアムズが撮影と編集をやってもらえれば1972年版並みになるのではと思います。
主演2人は『蜘蛛女』(1994年)でお似合いだったので、ゲーリー・オールドマンにアナベラ・シオラでいいです。ゲーリー・オールドマンならアクションはスティーブ・マックィーン並みは無理でも演技力でカバー出来ます。



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