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2006.07.27

『シン・シティ』(2005年)

この作品は主にロバート・ロドリゲス監督のデジタル合成とCGで作られたオムニバスのフィルム・ノワールのようです。
なおこの文はネタバレ全開となっています。

2005年 ギャガ USEN/ヒューマックス・シネマ/ディメイション・フィルムズ/トラブルメーカー・スタジオ アメリカ作品
ランニング・タイム◆124分
原題◆Sin City
プロット◆3話のオムニバスとなっています。
音楽◆ロバート・ロドリゲス/ジョン・デブニー/グレアム・レヴェル
ジェネオン・エンタテインメント発売のDVDスタンダード・エディションにて。画質は非常によいです。スクイーズ収録のフル表示。画面サイズはワイド。上下左右黒味無し。

キャスト
ブルース・ウィリス→ハーティガン刑事
ジェシカ・アルバ→ストリッパーのナンシー
ニック・スタール→議員の息子ロアーク・ジュニア/イエロー・バスタード
マイケル・マドセン→ハーティガン刑事の相棒ボブ
パワーズ・ブース→ロアーク上院議員

ミッキー・ローク→醜男のマーヴ
ジェイミー・キング→双子のゴールディ/ウェンディ
カーラ・グギーノ→マーヴの保護観察官ルシール
イライジャ・ウッド→沈黙の殺し屋ケビン
フランク・ミラー→神父
ルトガー・ハウアー→ロアーク枢機卿

クライヴ・オーウェン→過去のある男ドワイト
ブリタニー・マーフィ→ウエイトレスのシェリー
ロザリオ・ドーソン→売春婦のリーダー格ゲイル
デヴォン青木→殺し屋のミホ
アレクシス・ブレーデル→密告したベッキー
ベニチオ・デル・トロ→悪徳刑事のジャッキー・ボーイ
マイケル・クラーク・ダンカン→大男の黒人用心棒マヌート

ジョシュ・ハートネット→ザ・マン
マーリー・シェルトン→赤いドレスの女


ロバート・ロドリゲス/フランク・ミラー/クエンティン・タランティーノ監督の演出はよいと思います。
マンガの原作通りに撮ったと紹介されているので、マンガのコマ割りと映画のカット割りは別物ではないかと出来に疑問がありました。→実際に見るとショットのサイズや向きは映画的に細かく調整して仕上げているようです。

マンガでは同じ構図を書くとバカにされるそうで、そんなわけでキャラやアクションの向きがバラバラだったりします。

日本でのマンガを原作通りにアニメ化するパターン。
コマ割りの通りにカット割りをして、ショットのサイズやキャラやアクションの向きもそのままで、ショットごとの時間は全体の尺数に合わせて適当に配分する。これで原作通りでございますとなります。←これは映画ではありません。

日本でのマンガを実写化するパターン。
原作通りなんて最初から考えていません。適当にキャスティングして適当に撮るだけ。原作なんでどうでもいいし撮った後もどうでもいい。損はしないシステムになっているらしい。東映が潰れないのだから多分そうなんでしょう。

そんなわけで不安はあったけど、そこはロバート・ロドリゲス監督で上手く処理していました。デジタル合成とCGで何でもやっています。
スクリーンプロセス、ミニチュア、作画合成で何とかしていたアルフレッド・ヒッチコック監督がこれなら何でも出来ると羨ましくて化けて出てきそうです。

モノクロで一部だけカラーというのも結構いいです。
一時期流行った昔の作品を全体をカラー化するよりずっといい感じ。

普通のオムニバスではなくて少し凝った構成になっています。

キャストについて・・・
ブルース・ウィリスは私的にはタイムトラベルのラブロマンスになるテリー・ギリアム監督の『12モンキーズ』(1995年)が印象的。
ミッキー・ロークは『逃亡者』(1990年)でのナルシスト演技が印象的というか当時はこればっかりでした。まじめなサスペンス『必死の逃亡者』(1955年)のリメイクなんですが演じるミッキー・ロークは全然必死に見えません。で、邦題を『必死ではない逃亡者』にするわけにはいかないので単に『逃亡者』となったと思われます。
クライヴ・オーウェンは初めて見ます。と思ったらハル・ベリー主演のサスペンス『潜在殺意』(1996年)で見ていたようです。全く印象に残っていない。
ベニチオ・デル・トロはテリー・ギリアム監督の『ラスベガスをやっつけろ』(1998年)でのヤクでラリってナイフを振り回すキチガイに刃物演技が印象的。


プロローグ
ビルの屋上にて。
マーリー・シェルトン扮する赤いドレスの女とジョシュ・ハートネット扮する謎の男が登場。
雑誌 映画秘宝にはマーリー・シェルトンをフランク・ミラーに演出させて映画化を承知させたと載っていましたが、これはホントなの?ありそうで面白くていいけど。
マーリー・シェルトンに「先生、私を演出して・・・」とお願いされたら誰でも承知するかも。
マーリー・シェルトン出演作品は『カラー・オブ・ハート』(1998年)、『プロポーズ』(1999年)『クライムチアーズ』(2001年)『バレンタイン』(2001年)等を見ています。結構見ています。


タイトル。
キャストはジェシカ・アルバから始るので、アルファベット順に名前が出ているようです。ブルース・ウィリスが最後に出すのが目的なのかも。
マーリー・シェルトンは出ていない。
音楽は3人もいます。

ブルース・ウィリス扮するハーティガン刑事が登場。クルマにて。
マイケル・マドセン扮する相棒ボブと話しをする。
用心棒の2人のとこにあるクルマはジャガーEタイプのようです。

11歳のナンシー・キャラハンを救出しようとするハーティガン刑事。
心臓が悪いらしく苦しんでいる。
モノローグが全開となってフィルム・ノワールです
ニック・スタール扮する議員のドラ息子ロアーク・ジュニアが逃げます。
痛めつけますが、相棒ボブに撃たれるハーティガン刑事。


ミッキー・ロークが主役のエピソード。
プロット◆死んだ売春婦の仇を取ろうとする話しのようです。
ホテルにて。
ミッキー・ローク扮する醜男のマーヴとジェイミー・キング扮するゴールディが登場。
殴られて目が覚めるとゴールディが死んでいた。警察もやって来ます。ここを脱出するマーヴ。
パトカーを奪うマーヴ。川にダイブします。

何だかメイクで全然ミッキー・ロークに見えないし、凄くでかそうに見える。さすが映画です。
カーラ・グギーノ扮するマーヴの保護観察官ルシールのアパートに入るマーヴ。
愚痴が出るマーヴです。
マーヴは『マルタの鷹』(1941年)で姿を見せない女には弱い用心棒フロイド・サースビーのようなキャラなのか。特に原作のキャラに近いような感じがします。

なじみのストリップバー『ケイディ』へ行つマーヴ。
ジェシカ・アルバ扮するストリッパーのナンシーが登場。他にもブリタニー・マーフィ扮するウエイトレスのシェリー。クライヴ・オーウェン扮する過去のある男ドワイトも登場しています。まだこの話しには関係がない。

モノローグのリレーとなっています。面白い。
1940年代風です。

チンピラを痛めつけて証言を取っているミッキー・ローク。
コートを交換して次に向かいます。次々と痛めつけて証言を取ってる。
テリー・スターンの名前を聞き出すマーヴ。

外にでたとこでゴールディとソックリの女に襲撃されるマーヴ。
聞き込みをするマーヴのシーンが続きます。

教会でも聞き込むマーヴ。神父役はフランク・ミラー。
神父に懺悔のミッキー・ローク。結局、神父も撃ち殺しています。

ベイシン・シティが通称シン・シティになっているようです。ようやく気がついた。
農場に向かいます。

ベイシン・シティの農場に入るマーヴ。
イライジャ・ウッドふんする殺し屋ケビンに襲撃されます。捕まります。
保護観察官ルシールもいます。2人で脱出となります。
警察のヘリコプターが来ます。
ルシールは撃たれます。マーヴをこの一行を片づけます。

ロアーク枢機卿の屋敷に向かうマーヴ。
発作が起きて苦しむマーヴ。

オールド・タウンに戻るマーヴ。
またゴールディとソックリの女にやられるマーヴ。
そのゴールディソックリの女に捕まります。
この女はゴールディとは双子のウェンディだと。
ここで、ロザリオ・ドーソン扮する売春婦のリーダー格のゲイルとアレクシス・ブレーデル扮する売春婦ベッキーが登場。
話しがついてクルマで農場に向かうウェンディとマーヴ。

やたらとタバコを吸っています。1940年代風です。
雨の降り方もいい。いかにも人工の雨といった感じ。1940年代ぽくていいのです。

色々とあってまた農場に乗り込みます。
その前に買物をしてる。ゴム管と色々。
ウェンディの運転で農場までもらいます。

農場のそばでクルマを止めてウェンディを残して行くマーヴ。
ケビンと対決となるマーヴ。
ケビンをバラバラにして犬に食わしています。
ナンシーのアパートに向かうマーヴとウェンディ。

ナンシーのアパートにて。
ウェンディを預けて、また出かけるマーヴ。

ロアーク枢機卿の屋敷に向かうマーヴ。
何だか出ずっぱりのミッキー・ロークです。儲け役です。この作品だけではなくカムバックの面倒をみてくれたロバート・ロドリゲス監督に足を向けて寝られません。

ロアーク枢機卿の屋敷にて。
ルトガー・ハウアー扮するロアーク枢機卿と話し込んだ後で殺すマーヴ。
やはりというかルトガー・ハウアーの目を青くしています。グリーン?
近未来フィルム・ノワールともいえる『ブレードランナー』(1982年)ではルトガー・ハウアーは殺す側でしたがここでは逆のパターンとなっています。
殺すととこはちゃんと『ブレードランナー』(1982年)風になっているのがいい。
警察が踏み込んできて捕まるマーヴ。

取り調べを受け死刑となります。
死刑の前に面会人が来ます。ウェンディです。ゴールディでもウェンディでもいいマーヴです。やっぱりこのキャラはフロイド・サースビーです。
電気椅子で処刑されるマーヴ。

ジェイミー・キングは乳首ピアスをしています。
画像を見たことがあります。もちろんこの作品では見えませんけど。他に有名なとこでは女優のブリジット・モイナハン。歌手兼女優のNatalie Imbrugliaが乳首ピアスをやってます。直接ではなくシースルーの画像を見たことがあります。乳首ピアスなんてカッコいいじゃんと思う。


クライヴ・オーウェンが主役のエピソード。
プロット◆売春婦達のために奔走する話しのようです。
ウエイトレスのシェリーのアパートを訪ねるベニチオ・デル・トロ扮するジャッキー・ボーイ。
ベニチオ・デル・トロがロクデナシ演技が凄い。演技力があり過ぎでマジでモノホンのロクデナシにしか見えません。

ドア越しに押し問答となっています。
室内にはクライヴ・オーウェン扮する過去のある男ドワイトがいます。
中に入り込んでシェリーを殴るジャッキー・ボーイ。手下が4人いる。
トイレでドワイトに痛めつけられるジャッキー・ボーイ。これと同じ描写を、コメディ『マテリアル・ウーマン』(2001年)ではジャック・ブラックがアマンダ・ピートにやられてて傑作なシーンでした。

アパートを出るジャッキー・ボーイと手下が4人。
青いクルマで去ります。
尾行するドワイト。赤いキャデラック・コンバーチブル。

オールド・タウンに入ります。接近していたが逃げるパトカー。
アレクシス・ブレーデル扮する売春婦ベッキーに声をかけるジャッキー・ボーイ。

尾行中ですが知り合いのゲイルと話しのドワイト。
デヴォン青木扮する殺し屋のミホが5人を片づけます。
ここでジャッキー・ボーイは刑事と判明する。これはまずい状況です。

ジャッキー・ボーイの死体を隠そうと提案するドワイト。
で、死体を処理することになるドワイト。

クルマで運びます。

売春婦ベッキーが電話をかける。密告するらしい。

移動中のクルマにて。
ジャッキー・ボーイの死体と話をしているドワイト。ここは長回しになっているとのことです。全く気がつきませんでした。これはいいことです。
長回しと気がつかない長回しは、よい長回しなんです。溝口健二監督の作品を見ればわかります。
悪い例は見てていかにもがんばって演技していますとわかる撮り方となります。俳優さんの演技持続我慢大会みたいなのはダメです。→相米慎二監督のことを言っています。この人は死んだらあっという間に忘れ去られています。典型的なその当時の巨匠でした。

クライブ・オーウェンがベニチオ・デル・トロの死体を運ぶとこでは、ベニチオ・デル・トロは死体なのに何かと話しかけてきます。
「死体なんだから黙ってろ」と言ってるクライブ・オーウェンがいい。これは傑作なシーンです。
この2人はよく笑わずに演技をやっています。さすがスターが違います。

白バイに止められるドワイト。ここは何とか切り抜ける

何とか坑に死体を捨てようと運ぶとこを襲撃されるドワイト。撃たれます。
傭兵がやったらしい。ジャッキー・ボーイの首がお目当てのようです。
多数いる傭兵はどうやらアイルランド人のようです。

一方マイケル・クラーク・ダンカン扮する大男の黒人用心棒マヌートに捕まるゲイル。

ジャッキー・ボーイの首を失うとまたまずい状況なのでジャッキー・ボーイの首を取り換えそうとするドワイト。助っ人でミホともう1人がいます。
首を追って下水道に入るドワイト。ようやく取り返します。
下水道でアクションになっているけど、アイルランド人傭兵のリーダー格は結構目立ちます。誰でしょう?。

ゲイルを救出しようとするドワイト。
何だかんだあって用心棒マヌートと子分達を片づけます。これはハッピーエンドなの?


ブルース・ウィリスが主役のエピソード。
プロット◆昔助けた女の子をまた助ける話しのようです。
目が覚めるハーティガン刑事。病室にて。
パワーズ・ブース扮するロアーク上院議員が説教を垂れます。
息子の仇だと言ってる。
11歳のナンシーが面会に来ます。

ケガを治してから取り調べとなります。痛めつけられるハーティガン刑事。
尋問している初老の男。売春婦タミーも出ている。意味不明。
8年後となります。独房のハーティガン刑事。
変名で着ていたナンシーから手紙がこなくなります。焦ったハーティガン刑事はでっち上げの切断された指の入った手紙に引っ掛かり自供となります。
出所となります。相棒のボブが出迎える。

ハーティガン刑事のクルマは尾行されています。
尾行するのは『吸血鬼ノスフェラトゥ』(1922年)のような男です。これが変わり果てたドラ息子ロアーク・ジュニアでした。
ナンシーの家に向かうハーティガン刑事。
モノローグは全開になっています。

酒場ケイディに入るハーティガン刑事。
ナンシーは舞台で踊っていました。
ロアーク・ジュニアもいます。

ナンシーとクルマで出るハーティガン刑事。
尾行していたロアーク・ジュニアに撃たれます。
反撃して1発で仕留めるハーティガン刑事。戻って調べると死体がない。

モーテルに入ります。
ラブシーンとなります。
シャワー中に襲撃されるハーティガン刑事。
これがロアーク・ジュニアでした。
吊るされるハーティガン刑事。何とか脱出して農場に向かいます。

農場にて。
ロアーク・ジュニアに鞭で打たれるナンシー。
何とかロアーク・ジュニアを仕留めるハーティガン刑事。

ナンシーと別れるハーティガン刑事。
自殺するハーティガン刑事。意外なオチとなります。よくブルース・ウィリスが文句を言わなかったな。
ブルース・ウィリスは作品選びが結構上手い。独立系作品への特別出演をよくやっているし。たいしたものです

エピローグ。
病院にて。腕を骨折しているらしい売春婦ベッキー。
エレベーター内で男に話しかけられています。誰?→ジョシュ・ハートネットらしい。ぐるっと回るループな構成になっているらしい。凝っているじゃん。
マックス・オフュルス監督の『輪舞』(1950年)のようになってるわけです。
エンドとなります。

ベッキーを演じるアレクシス・ブレーデルは、テキサス出身、メキシコ系で透き通るようなブルーの瞳の持ち主です。映画の代表作はまだない。同じ出身地のロバート・ロドリゲス監督に何とかしてもらないさい。


予想より面白かった。なんだい普通のフィルム・ノワールじゃん。少し変わっているけど。というのが正直な感想です。
そんなわけでフィルム・ノワールのよい作品でした。1940年代のフィルム・ノワール好きの私がそう思うのですから間違いありません。保証します。


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