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2006.07.04

『M』(1931年)

この作品はフリッツ・ラング監督,ピーター・ローレ主演の有名な犯罪ドラマのようです。
なおこの文はネタバレ全開となっています。

1931年 ネロ・フイルム ドイツ作品
ランニング・タイム◆110分
原題◆M
プロット◆殺人者Mが警察と犯罪者達に追われる話しのようです。
音楽◆エドヴァルト・グリーク

キャスト
ピーター・ローレ→ハンス・ベッカート=M

オットー・ヴェルニケ→カール・ローマン警部
エルンスト・シュタール=ナハバウアー→警察署長
テオドール・ロース→グレーバー警部
ゲルハルト・ビーネット→刑事

グスタフ・グリュントゲンス→ボス格の金庫破り
フリッツ・オデマー→いかさま賭博師
フリードリヒ・グナス→押し込み強盗フランツ
テオ・リンゲン→詐欺師
ゲオルグ・ヨーン→盲目の風船売りハインリヒ
パウル・ケンプ→スリ

エレン・ヴィトマン→ベックマン夫人
インゲ・ラントグート→被害者エルジー・ベックマン

フランツ・シュタイン→大臣
ルドルフ・ブリュムナー→弁護士
カール・プラーテン→警備員
ローザ・ヴァレッティ→安酒場の女将
ヘルタ・フォン・ヴァルター→娼婦

フリッツ・ラング監督の演出はよいと思います。
全体的に風変わりに出来ています。

Mとはマーダー=殺人者のMのようです。
Mと背中に付けるアイデアがいい。これは優れ物です。

短いエピソードがつながる構成になっています。
電話をして報告したり話しをするシーンで状況説明しています。
証言が食い違うのが江戸川乱歩『D坂の殺人』のようで面白い。
それから犯罪者達と警察がMの対策会議をするのを平行してカットバックで描いています。両者ともに目的が同じMというのがアイロニーがあって面白い。

44分頃にやっとピーター・ローレが本格的に登場します。
少なくとも私にはそう見えました。
ピーター・ローレが真犯人なのか間違えられた男なのかは知らずに見たのでノレた。真犯人とは驚きました。こんなプロットがよく通ったものです。
Mの吹く口笛のメロディには何か覚えがあります。

Mのモデルは実在のデュッセルドルフの食人鬼といわれた連続殺人犯ペーター・キュルテンだと記憶しています。この点だけなら際物映画といってもいいくらいです。
人民裁判で告白していくシーンは凄かった。犯罪者達がその迫力に押されてしまうのがまた凄かった。

途中まではまあまあでしたが犯罪者達による人民裁判になってからノリがよくなりました。ピーター・ローレは大熱演でした。

ラストが唐突でした。しかも何だかよくわからんのが凄い。
『飾り窓の女』(1944年)でもラストは唐突でした。フリッツ・ラング監督の特長なのかも?

前評判とは随分と印象が違いまた。
ローレ扮するキャラは間違えられた男ではなかったし、当局の介入がナチスをシンボリックしているとも思えなかった。→Mがリンチにあわずに助かってよかったじゃないと思えた。

イマジカTV/紀伊國屋書店発売のDVDにて。
画質はよいです。
スクイーズ収録のフル表示。
画面サイズはスタンダード。左右に黒味あり。
音声はドルビーデジタル2.0ch

シネフィルイマジカのタイトル

Janus Films (1997) (USA) (TV)
Nero-Film AG
M
Fritz Lang film

イラストの手のひらにタイトル名『M』と出ています。
下に小さくアトランティックフィルムズ云々と入ってます。
ドイツ語なので何だかわからん。
このような『M』(1931年)や、コンスタンティン・コスタ=ガブラス監督の『Z』(1969年)等のタイトル名はいい。こうゆうセンスは好きです。

女の子が遊ぶ。他の子供達と。
母親2人の会話。連続殺人鬼の歌。声が聞こえているうちは無事なんですが・・・

街中にて。
手まりの少女。
賞金10000マルクのポスター。
そのポスターに影がかかり少女に話しかけます。少女の名はエルジー。
口笛を聞く盲の風船売り。風船を買うMとエルジー。

ベックマン夫人のアパートにて。
普通のアパートのドアの呼び鈴はは機械式で電気は使わない。合理的です。
帰らないエルジーを心配するママの階段下を見る主観ショット。
この俯瞰の階段はミニチュアのようです。人が映っていません。やはりカメラが固定出来なかったのでしょう。

手まりが転がり、風船が飛びます。殺人のモンタージュです。
エルジーは殺されたようです。

号外です。
また殺人があったと大騒ぎとなります。
エルジーは8件目の被害者らしい。

手紙を書くM。
子供殺しはまだ続けると書いてます。正気なのか狂気なのかよくわからん。
『ペール・ギュント』の口笛のメロディ。

会議です。
どうやら父親達らしい。お前が犯人だろうと口論となって告訴するなんて言ってます。しょうもない。

街中では無実の男が捕まります。
あいつが犯人だと集団ヒステリーの見本となっています。
大騒ぎとなります。これは怖いシーンです。

当局の電話のやり取りです。
大臣から警察へ。大臣はせっつくだけで電話でうるさいことを言ってます。
役人は言い訳をしています。
日本の役人みたいに「何か勘違いをなされているのでは・・・」なんては言ってないけど。

警察は捜査中です。キャンディの包み紙から捜査しているとか。

証言の食い違う図の1ショットが入ります。

夜の街です。
警察の大掛かりな手入れとなります。見回りも厳しい。
サイレント映画のようになっていて、笛の合図で音が入りトーキーらしくなって手入れが始まります。

犯罪人のたまり場の店にて。
デブのローマン警部は犯罪社会では有名らしい。
手入れされてる連中は早くMを捕まえろと言ってます。
警察の取り調べとなります。うさん臭い連中が大勢います。
で、すねに傷持つ連中なので次々と捕まります。
警官に愚痴のこの手入れされた店のおばさんです。

夜中です。犯罪者幹部達の部屋にて。
会議となります。愚痴が出ています。
遅れてボス格の金庫破りがやって来ます。
よそ者Mのせいで仕事はズタズタだとわかりやすい。

警察の会議にて。
捜査はもっと厳しくとか言ってます。

このへんから犯罪者と警察の会議がカットバックとなっています。
カットバックする時には手を振る動作等を同じにしてつないでいます。上手いじゃん。
で両方ともよいM対策がない。両方ともタバコの煙が凄い。

大衆は当てにならないとカール・ローマン警部。
大衆に対する悪口大会になっています。
記録が残っているはず前科を調べようとなります。精神病院の患者をも調べるらしい。

犯罪者幹部達は事件解決を待っていてもしょうがない、こっちで捕まえようとなります。
そんなわけで見張りを立てようとなります。
見張りは宿無し連中を使えばいいとなります。宿無しはホームレスのことか。

ホームレスを雇うシーンとなります。
このシーンに入るとこでカメラがガラス窓を通り抜けるショットがあります。アルフレッド・ヒッチコック監督より早くやっています。
受け持ち地区と氏名を記録しています。15000マルクの賞金。

ホームレス達の見張りの風景。
自称、盲のくせによく見ているホームレスがいたりします。
Mはまだ見つからず。

ローマン警部です。
精神病院の患者リストを見ています。5年分らしい。

捜査の図です。
ハンス・ベッカートのアパートに税務署と称して入ります。
ゴミ箱から手がかりになるタバコとか・・を押収しています。

ハンス・ベッカートはウィンドーショッピングの図。
子供がいます。そうなるとMに変わってしまう。少女に目を付けます。口笛の音。
別のショーウィンドーで『↓』が上下するディスプレイが妙に印象的です。
スイッチが入る様子がよく描写されています。それで思わずいつもの口笛を吹いてしまうわけです。
この女の子はママが迎えに来たので空振りに終わります。

カフェに入るM。
コニャックを飲んでいます。

警察です。
24番のハンス・ベッカートについての捜査報告の図。
タバコの銘柄アルストン。この言葉が出るたびに寄るカメラ。
聞いてるローマン警部。

口笛を聞く風船売りハインリヒ。
エルジー殺しだと仲間の若い男に言います。
で、Mを尾行する若い男。

ナイフを持ち出すM。
何事かと思ったら果物の皮をむいているだけでした。
若い男は手のひらにMの文字を書いて、言いがかりをつけるついでに背中にMの文字を付けます。
Mの左肩の背中付近にMマークが付きます。

警察です。
警察もMの見当をつけています。タバコに手紙を書いた窓の枠部分・・
アパートを調べに行くシーンにつながり、窓のさん、赤鉛筆の芯のカス、等々の証拠を発見します。
これでハンス・ベッカートは手配され、このアパートに見張りが付きます。

犯罪者幹部にMのことが報告されます。
これでハンス・ベッカートは警察は犯罪組織の両方から追われることになります。

また少女を連れているM。
背中にはMの文字が入っています。少女から言われてようやく背中のMの文字に気がつきます。
少女を置いて1人で逃げるMです。

ホームレス達に囲まれるM。
お巡りに助けを求めるわけにはいきません。
ここで突然Mは消えます。手近なビルの中に逃げ込んだらしい。

ベッカーのアパートに張り込む刑事達。

Mの隠れたビルの会社員達の退社時間となります。
会社員達は出てビルは閉められます。
ビル内のM。警備員が来ます。やり過ごします。

犯罪者達はビルに押し入ります。家捜しするので大勢繰り込みます。
ボス格の金庫破り自ら入り口のカギを開けさせています。
ここで警備員は他に何人とドアを締めて見せない拷問の図があります。

ドアを開けようと悪戦苦闘のM。
ナイフが折れます。象徴的なシーンかもしれません。何の象徴というとよくわからん。

犯罪者達の1人がMがたてる物音に気がついて親玉に御注進となります
警備員が隙をみて警察に通報します。
まだMは見つかっていない。焦る犯罪者達。金庫破りは5分はある早く捕まえろとなります。
ついに見つかるMです。これで用事はすんだとズラかる犯罪者達。
Mはす巻きに荷造りされて運ばれています。

逃げ遅れた犯罪者の1人フランツが警察に捕まります。
取り調べではとぼけているフランツ。
このビルとベッカーのアパートは近い。

警察にて。
フランツの取り調べとなります。
担当刑事からカール・ローマン警部へ報告書が渡ります。
これを読むモンタージュが入ります。面白い手法です。

フランツをはめようと画策するローマン警部ともう1人の刑事。
こういうことには実に嬉しそうなローマン警部です。妙にリアルです。
警備員が死んだとやっています。実は無事な警備員とソーセージ、ビールのショットが入ります。わかりやすい。
フランツから実は捜して捕まえたのはMだと聞かされてマジで驚いてるローマン警部です。
Mを連れ去った場所は?と聞くローマン警部。
倒産した醸造工場だと喋るフランツです。

で、その醸造工場です。
Mは引きずり出されて人民裁判となります。
大勢の犯罪者達が詰めかけています。傍聴人といったところ。
証人の盲の風船売り。証人といったとこす。
被害者のエルジー、マルタ他。次々と写真を見せられるM。結構マジな裁判となっています。

Mには一応弁護士がついています。
検察側と弁護側の権利についての見方の違いがあります。
我慢出来なかったとM。何も覚えていないとM。衝動的心神神喪失の法廷戦術のわけない。事実=本心を証言しているようです。

で、死刑の判決となります。
弁護士の発言。一応弁護はしています。

精神鑑定について結構正論を言ってる犯罪者の検事兼裁判官です。
病院に入ってもすぐに出てきて、また殺すとハッキリと言ってます。こういうケースもあるからこまったものなのです。

唐突に当局の手入れとなります。
手を上げる犯罪者達。
Mの肩を掴む手。何故か顔は見えずに声をかけます。

法廷です。
Mは出ていない。

被害者の母親達の発言があります。
唐突にエンドとなります。


そんなわけで何だかよくわからないけど妙に迫力のあるよい作品でした。


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