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2006.06.29

『北北西に進路を取れ』

この作品はアルフレッド・ヒッチコック監督、ケイリー・グラント、エバ・マリー・セイント主演の巻き込まれサスペンスです。
なおこの文はネタバレ全開となっています。

1959年 MGM アメリカ作品
ランニング・タイム◆136分
原題◆North by Northwest
プロット◆スパイと間違われて悪戦苦闘する話しのようです。
音楽◆バーナード・ハーマン 素晴らしいスコアです。鳴りまくりとなっています。
ワーナー発売のDVDにて。画質は非常によいです。音楽はステレオで効果音もステレオになっています。

キャスト
ケイリー・グラント→広告屋のロジャー・O・ソーンヒル
エバ・マリー・セイント→ヒロインのイブ・ケンドール
ジェームズ・メイソン→国家機密輸出入業者のバンダム
マーティン・ランドウ→バンダムの秘書レナード
レオ・G・キャロル→政府機関の幹部 教授
ジェシー・ロイス・ランディス→ソーンヒルの母
フィリップ・オバー→本物のレスター・タウンゼンド
アダム・ウィリアムズ→手下のナイフ投げの男
ロバート・エレンスタイン→手下のハゲの男
?→手下のメイドのおばさん
ジョゼフィン・ハッチンソン→手下のタウンゼンド夫人の女
ドリーン・ラング→秘書のマギー
ネッド・グラス→15番窓口の切符売り


アルフレッド・ヒッチコック監督の演出はよいと思います。
全編に渡りゆるい緊張感となっています。
何回も見てるのでサスペンスはあまり感じませんが、とにかくていねいに作ってあります。あまりていねい過ぎて物足りなくなるほどです。少しユーモアに振りすぎている感じで息詰まるようなサスペンスとは無縁です。

随所にMGMのミュージカルナンバーが流れます。
やたらと口笛等でMGMのミュージカルナンバーが出てきます。これはパロディなんだとようやく気がついた。この作品はヒッチコック監督の唯一のMGM作品です。

作画合成がやたらと多いのは何故でしょう。
いまだによくわかりません。こんなに作画合成を多くやっているのはこの作品ぐらいなのです。
作画合成を多用した画面作りはファンタスティックそのものです。ヒッチコック作品でもこれぐらいなのです。これはホントに風変わりな作品です。
ミニチュアも使っていて円谷英二特技監督も真っ青なショットが多い。
監督の想像力に撮影技術が追いついていないような感じがします。ステディカム、デジタル合成にCG、現在の撮影技術を知ればアルフレッド・ヒッチコックや円谷英二は、これなら何でも出来ると狂喜するでしょう。

ロケとセットのシーンが明らかに違う画調でした。
東宝特撮映画の本編と特撮並みに違って見えるような。なるほどヒッチコック監督がMGMとこの作品限りなのはこの辺がポイントなのかもと思いました。

途中でネタをばらしてしまいます。ヒッチコック監督のセオリーです。
1シークエンスの終わりには俯瞰ショットを使って締めています。これもセオリーです。
主観ショットからその見てる人を切り返しのショットをカットバックさせる手法がヒッチコック監督の得意の手法です。

主人公のキャラはケイリー・グラントだから出来るキャラです。
バンダムを演じるジェームズ・メイソンはまだ颯爽としています。
マーティン・ランドウが出ています。若いです。出てるだけで不気味な感じがいいものです。この人が隊長役のTVシリーズがありましたな。『スペース1999』(74年)だったかな。なんて不気味なTVシリーズでしょう。見たことはないけど。

『メル・ブルックス 新・サイコ』(1977年)はヒッチコック作品を忠実にパロディにしています。スポイルしていないのはさすがです。パロディてのはこうありたいものです。
この作品は名前の真ん中の意味は?てのもパロディになっていたようです。初めて気が付きました。ここでのナッシングが『メル・ブルックス 新・サイコ』ではハーポ・マルクスになったわけです。


グリーンのMGMのタイトル。
ソウル・バスのタイトルはお見事な出来です。
バーナード・ハーマンの音楽もいい。
3D風に見えるタイトル文字もいい。
バスに乗り遅れるヒッチコック監督でタイトルを締めます。

N.Y.から始まります。
ケイリー・グラント扮する広告屋のロジャー・O・ソーンヒルが秘書と登場。
忙しい仕事ぶりの描写となります。
タクシーを乗っての「善行を施させてやったのさ」のセリフ。印象に残ります。

待ち合わせのクラブに着くソーンヒル。
3人の男と会います。
ここでボーイが電話ですと呼び出すタイミングでソーンヒルが立ち上がったものでジョージ・カプランと間違われてしまいます。
2人の男に拉致されるソーンヒル。

クルマに押し込まれるまソーンヒル。
タウンゼンド邸に入ります。広大な屋敷です。
書斎で待たされるソーンヒル。レスター・タウンゼンド宛の郵便物があります。
ジェームズ・メイソン扮する謎の男が登場。
一方的な話しとなります。何だかわからんソーンヒル。
マーティン・ランドウ扮する秘書レナードも登場。
どうやらジョージ・カプランと間違われているらしい。
事情を知っているか?協力は?ときます。
断るというか何だかわからないソーンヒル。無理やり酒を飲まされます。

夜の海岸沿いの道路です。
酔っぱらったソーンヒルはクルマに乗せられています。クルマはベンツです。
助手席の男を突き飛ばしてクルマから放り出すソーンヒル。
クルマは崖ヘ向かいますが何とか立て直して酔っ払い運転で逃げるソーンヒルです。
断崖に駆動輪の片方を出して空転させたらデフの機構で反対側の車輪にトルクがかからないのでは?違いましたっけ?片輪だけで発進してしまうアイデアはいいですけど。
追う手下2人のクルマ。
カーチェイスとなります。
道路がオーパーラップして道路からはみ出すショットがいい。酔っ払い運転を描写する面白い手法です。
急停車するソーンヒルのクルマ。パトカーが追突します。他に1台。
手下2人のクルマは引き上げます。

警察にて。
取り調べとなるソーンヒル。
電話します。エミール・クリンガー巡査部長に電話をかけさしています。

法廷にて。
弁護士。ソーンヒルの母も登場。
無罪を主張するソーンヒルです。

タウンゼンド邸に入ります。
警察2人。ソーンヒル、弁護士、ソーンヒルの母。
調べるが何も出てきません。
タウンゼンド夫人が出てきてソーンヒルに不利なことを証言しています。
この場を引き上げることになります。

タクシーでプラザ・ホテルへ。
ソーンヒルと母です。
796号室へ入ります。調べます。
メイドのエルシーから話しを聞きます。
どうやらジョージ・カプランを見た人はいないらしい。
電話です。あのタウンゼンド邸の男からです。
私はカプランでとはないと主張するソーンヒルですがカプランの部屋にいてはあまり説得力がないようです。
ロビーからの電話と知り慌てて逃げるソーンヒルと母。

エレベーターへ。
手下2人が乗り込んで来ます。
質問の母。笑ってごまかす手下2人。
1Fに降りたとこで逃走するソーンヒル。
タクシーで国連へと向かいます。追う手下2人。

国連です。
国連に入るソーンヒル。ここは隠し撮りのロケだそうです。
中に入ったらセットと作画合成の世界です。国連の撮影許可が下りなかったでこうなったようです。
受付からラウンジへとソーンヒル。
レスター・タウンゼンドと会いますが別人でした。
話し込んでいるとこでレスター・タウンゼンドの背中にナイフが突き刺さります。
ソーンヒルは犯人とされてしまいます。この場を逃走するソーンヒル。
有名な逃走するソーンヒルをとらえる超俯瞰のショットがあります。

アメリカ中央情報局にて。
レオ・G・キャロル扮する政府機関の幹部 教授が登場。
会議です。ソーンヒルって誰だ?とやっています。
ジョージ・カプランは架空の人物らしい。
話しからタウンゼンド邸にいた男はバンダムというらしい。
ここは何もしないと教授。下手なことをするとバンダムの近くにいる本物のスパイが危険になるからだそうです。
おとりは英語でデコイと言ってます。なるほど。マンガ『沈黙の艦隊』でよく使われていました。

グランド・セントラル駅です。
シカゴ行きの特急20世紀号の切符を買おうとするソーンヒル。
怪しまれて結局買えず。
この15番窓口の切符売りはどこかで見たような?→ネッド・グラスでした。→『シャレード』1963年版に出ています。

20世紀号でシカゴへと向います。ハワード・ホークス作品でこの列車を舞台にした作品『特急二十世紀』(1934年)がありました。

見送りだと称してホームに入るソーンヒル。
列車に乗り込みます。
入ったとこの通路でエバ・マリー・セイント扮するヒロインのイブ・ケンドールとコンタクトするソーンヒルです。
発車となります。

走行中の列車内です。
トイレに隠れて車掌をやり過ごしているソーンヒル。
食堂車でイブと同席となるソーンヒル。
ソーンヒルの正体を知っているイブ。
ソーンヒルの紙マッチが出てきます。ROT 紙マッチの入った名前で伏線になっていました。ミドルネームのOのゆらい。
イブの買った本がつまらないとはすごいエクスキューズです。この作品は全編このような調子ですけど。
列車が非常停止して警察が2人乗り込んできます。

列車のシーンではキャメラが中から外へ、外から中へ、これはフェイドでつないであるだけです。カネがかかっていません。それに気の利いた手法です。

列車の個室にて。
ベッドに隠れているソーンヒル。
警察2人が入ってきます。ごまかすイブ。
列車から離れないカメラのショットが入ります。
ラブシーンとなります。
ボーイからイブのメモがバンダムに渡ります。

シカゴ駅です。
赤帽にコスプレしてトイレに入るソーンヒル。
ジョージ・カプランに会いに行くつもりのソーンヒルです。
トイレでひげそりのソーンヒル。

電話するイブ。
並んでいる電話ボックスから出る2人のタイミングが合っています。
レナード秘書と話していたらしい。
イブから場所と時間を聞くソーンヒル。
プレーリー、15:30にて。

待ち合う場所のプレーリーです。
バスが到着してソーンヒルが降ります。俯瞰のショット。
平原の真ん中で何もないとこです。遠くでは複葉機がのんびりと飛んでいます。
クルマに送られておっさんが登場。無関係でした。バスに乗って去ります。

そんなとこで複葉機が迫ってきます。逃げるソーンヒル。有名なシーンです。
何度をターンしてソーンヒルに迫る複葉機です。
トウモロコシ畑に逃げ込むソーンヒル。薬を撒かれて畑から追い出されます。
出たとこで通り掛かりのタンクローリーの前に立ちはだかるソーンヒル。
危ういとこでストップするタンクローリー。そこに突っ込んでくる複葉機。爆発となります。
クラッシュするとこはミニチュアで処理しています。
止まったトラックを乗り逃げするソーンヒルです。

有名な周りに何もないバス停にて複葉機に襲われるシーンで複葉機がタンクローリーに激突するとこはミニチュアを使用しています。ミニチュアを使った方がいいときはちゃんと使う。こういうのが好きです。
複葉機はケイリー・グラントを襲撃して通り過ぎてからゆっくりとまず左にターンしてから右に旋回してUターンするとこが何となくいい。論理的なコースの取り方でゆっくりさ加減もいい。

シカゴです。乗り捨てられているトラック。
ホテルに入るソーンヒル。
フロントでジョージ・カプランはソーンヒルと会う前にチェックアウトしたと知ります。向かった先はサウス・ダコタ州のラピッド・シティです。

イブを見かけて部屋に入るソーンヒル。
文句を言うソーンヒル。
電話です。メモを取るイブ。左手で書いています。
別れましょうとイブ。
服をクリーニングに出すソーンヒル。ズボンをトラウザースと言ってるイブ。
出かけるイブ。
メモを調べて行き先を知るソーンヒル。そこに向かいます。

競売場です。
バンダム、レナード秘書、イブがいます。
乗り込むソーンヒル。痴話げんかまがいの会話となっています。
ソーンヒルの「チャールズ・アダムズの絵のようだ」のセリフがありましたが、これは星新一の一コママンガ批評本『進化した猿たち』のベッドの3人?のことをさしているのかな。
バンダムのソーンヒルを評して「アクターズ・スタジオ云々」のセリフもあります。
この場の少し離れたとこには教授がいて様子を伺っています。
目的の品物を買ったバンダム一行は引き上げます。レナード秘書や手下は残っていてこの場を出れないソーンヒル。さてどうする?
→騒ぎを起こして警察に捕まるソーンヒル。中年の御婦人に「あなたはホントのバカよ」と言われているソーンヒルですが「サンキュー」と応えます。これがこの作品を表しています。全編この調子で通してあります。

パトカーにて。
俺は大物だとソーンヒル。ヤケになっているようです。
途中で連絡が入り着いたとこは警察ではなく空港でした。
ここで教授が状況説明となります。
これまで見ててわかっていることは飛行機のエンジン音をかぶせて省略しています。
本『映画術』にも取り上げられてた飛行機を音をかぶせて今までの状況説明するのを省略してしまう手法ですが、かなりトリッキーですがいい感じです。

ラピッド・シティです。
ラシュモア山の大統領4人の巨大モニュメント。
向かって左からジョージ・ワシントン、トマス・ジェファーソン、セオドア・ルーズベルト、アブラハム・リンカーンと、なっています。

モニュメントの見える場所でバンダムと会うソーンヒル。
成り行きでイブに撃たれるソーンヒルです。ここはフェイクの図でした。
撃つタイミングがいい。絶妙のタイミングとなっています。

森の中でイブと会うソーンヒル。
画面の隅にちゃんとモニュメントが映っています。森のシーンですがセットがバレバレなのがこまったものです。カネがかかっているはずなのでは。
話し込みます。イブが行くことを知らないソーンヒル。
止めようとしますが当局の男に殴られて昏倒するソーンヒル。

病院です。軟禁状態のソーンヒル。
服が届いたとこで酒を持ってこいと教授を送り出して窓から脱出のソーンヒル。
隣の病室を通過するとこでギャグ1発が入ります。

タクシーでバンダムの別荘に向かうソーンヒル。
作画合成の別荘です。有名な建築家フランク・ロイド・ライト風デザインの別荘だそうです。
門から中に入ります。滑走路も作画合成です。
レナード秘書によって空砲が見破られます。
焦るソーンヒル。

イブにコンタクトするソーンヒル。
紙マッチを投げ入れます。ここで上手い描写があります。
手下のメイドのおばさんにハンドガンを突きつけられるソーンヒル。
もう少しで飛行機に乗り込まなくてはのイブ。
ここで銃声がしてフィルムを奪ってソーンヒルの運転するクルマに乗り込むイブ。
クルマは門でとうせんぼとなりクルマを捨てて徒歩で逃げるソーンヒルとイブ。

モニュメントの上でアクションとなります。
ここのアクション?シーンのことで。民主主義の殿堂で暴力なんてと当時は批判されていたそうです。今見ればこの程度で暴力か?となります。
追うのはレナード秘書とナイフ投げの男。
落とされるイブ、助けようと手を伸ばすソーンヒル。ソーンヒルの手を踏みつけるレナード秘書。
銃声がしてソーンヒルとイブは助かります。ようやく当局の面々が到着したようです。捕まったバンダムの「今度は実弾かね」のセリフが入ります。最後までこのゆるいノリでした。

ラシュモアのモニュメント上から列車内へとシーン転換となります。
これもかなりふざけた感じとなっています。まじめに見てはいけません。
列車内のソーンヒルとイブ。
トンネルに突っ込む列車のショット。これは列車は男の性器でトンネルは女性の性器でハッキリとセックスを明示しているショットだそうです。
エンドとなります。

そんなわけで、そんなに期待しないで見れば名作と納得出来る作品だと思います。期待しすぎてはダメですよ。→それは私のことだ。

ヒッチコック監督の古きよきハリウッドスタイルも1959年のこの作品あたりが限界と思えます。特殊効果満載の『鳥』(1963年)は別ですけど。
それでも1972年の『フレンジー』で古きよきハリウッドスタイルから脱して時代にアジャスト出来たのですからたいしたものです。何しろヒッチコック監督はサイレント映画からの人なのですから。
『北北西に進路を取れ』はブライアン・デ・パルマ監督がリメイクを作ってほしいものです。主演はビル・プルマンかビル・パクストンあたりがいい。


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