『インビジブル・プロジェクト』(2000年)
この作品はブレック・アイスナー/グレッグ・ヤイタネス監督、ビンセント・ベントレスカ主演の透明人間物サスペンス・アクションです。
少し見て面白かったので見ました。題名だけではまたいいかげんな便乗物かとなって絶対に見なかったでしょう。
なおこの文はネタバレ全開となっています。
2000年 ユニバーサル アメリカ作品 ケーブルTV向けの作品のようです。
原題◆The Invisible Man
スカイパーフェクTV315スター・チャンネルにて。画質はよいです。
プロット 透明人間になって復讐する話しのようです。
キャスト
ビンセント・ベントレスカ→犯罪人のダリエン・フュークス
ジョエル・ビソネット→科学者のアルノー、実は・・
デビッド・バーク→ダリエンの兄で科学者ケビン
ポール・ベン=ビクター→工作員のホッブス
ジョン・ポリト→闇医者のマンモス
レベッカ・チェンバース→恋人のケイシー・オクレア
ブレック・アイスナー/グレッグ・ヤイタネス監督の演出はよいと思います。
タイトルで脚本がTV用なのでTelplayとなっていました。今時珍しいクラシックな入れ方です。
ノリのいい音楽が入っているタイトルでした。
この作品は随所にユーモアを入れています。ユーモアがあまり浮いてなくていい感じに仕上がっていました。
低予算なので同じとこのシーンはまとめ撮りしているようです。
主人公のモノローグで話しは進行します。フィルム・ノワール調です。
盗みに入ったとこで老人と遭遇したのが運の尽きで倒れた老人を介抱したばかりに老人フェチ強盗の汚名を着せられ死刑となった主人公です。
脱獄しようとしてモノローグでジョン・ロビーでキャットだなんて言ってました。それは『泥棒成金』(55年)ですか。それで脱獄は簡単に失敗する。
で、科学者の兄が死刑よりはマシだろうと実験台のボランティアになれと言ってくるわけです。このへんは余計なシーンを飛ばしたり演出がいいので会話シーンだけでも面白かったりします。
研究所に兄弟2人で入ると室内では科学者達全員でお迎えしていました。『レベッカ』(40年)みたいでいいです。このへんは何となくヒッチコック調なのがいい。
この研究所のセットは安普請で自動ドアも見えないとこから手動で動かしているような感じでした。通路も1部だけ作って編集でつなげて長く見せているようです。TVシリーズ『ウルトラセブン』(67年)のウルトラ警備隊の本部内セットのようなものです。
透明になるロジックは手術によって何とか線を分泌して身体を包み光を反射して見えなくなるということにしていました。ですから服を着たままでも自分の身体以外の物でも透明に出来るとなります。これが伏線になっていました。
この分泌物をクイックシルバーと称していました。
透明人間の伝統に従って副作用があって発作がおこると自制心がなくなりイドが全開になり凶暴になるというわけです。1933年のオリジナル版『透明人間』ではクロード・レインズが演じる透明人間は列車を転覆させたり誇大妄想が過ぎて政府を転覆させようとしていました。
透明になったらお約束の他人のラブシーンを覗きにいったら実体化して見つかってしまうというのがありました。
ヒロインとはどうだっかと回想に入るのも凝っていて本編なのか回想なのかあいまいにしていました。
研究所を逃げ出したとこで今度をはメンインブラックな2人に連行されたりします。
メキシコだかに行って味方の工作員と接触するとこでも割り符を持ってて合わせようとしたら合わずに人違いだったというギャグ1発が入ります。
この工作員のホッブスはハゲの中年の昇級のことばかり言ってるさえない男です。実は有能なのか待ちあわせしてきたカフェでカナダ人カップルのテロリストと激しく撃ちあいます。なんだいこりゃと面白い。
携帯で本部に電話したら電話代がかかるのでそんな遠くからかけてくるなと言われたりとやってます。
連絡先のハンバーグ屋にはオリジナルの『透明人間』(33年)のポスターが貼ってあったりします。
ぺスパに乗って敵の本部ヘ行くダリエンと全体的に少し外し気味の描写がいいです。
透明になる過程ですがさすがに現在はCGがあるのでモーフィングに合成等あまり見苦しいとこはありません。以前なら一目で分かってしまうしょうもないとこをカバーしてくれてます。何しろ今では銃撃シーン等では後から銃口からの発射炎や着弾の火花がつけられる位ですから。
昔の低予算特撮物は粗末なミニチュアや一目でわかる合成等の見苦しいとこがやまほどあって低予算ということを見てて嫌でも思い知らされるです。補正して見るのが大変でした。
そんなわけで現在のCGは低予算作品にはホントに助けになっているようです
主人公の犯罪人のダリエン・フュークスを演ずるビンセント・ベントレスカは見てて途中から気がつきましたが何となくジェラール・フィリップに似ています。品性下劣なジェラール・フィリップといった感じでユーモアも熱演もお任せでよい出来でした。
蜘蛛が嫌いとなっていました。そんなわけで本編内のTVには『タランチュラの襲撃』(55年)が流れていたりします。
ジョエル・ビソネット扮する悪役科学者のアルノーはドイツだかスイスの大学を優秀な成績で出て研究しているはずが実はテロリストということ。
データ盗み出しを透明化したダリエンに目撃されたら逆に被害者を装ってハメたりとなかなかの悪役ぶりを見せてくれます。モデルは『レオン』(94年)のゲーリー・オールドマンのようでそんな感じに死に方も爆死で熱演していました。爆死もそのままではなく少し変えてあった。この姿勢がいいです。
飲み込んでまでして盗み出した秘密のデータが入ったマイクロディスクを自分で手術して取りだしてコンピュータに読ませたら読み込めませんでアラートが出ていました。胃酸でマイクロディスクがダメになったとのこと。これは新しいブラックなギャグで面白くていいです。
コーエン兄弟作品の常連サポート俳優のジョン・ポリトが演じる闇医者のマンモスはそんなに出番は多くなかった。患者が来るとすぐにその患者の臓器を横流ししようとしているキャラはそれらしかったけど。
そんなわけでTVムービーにしては結構よく出来たよい作品でした。
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