『ブラザー・フロム・アナザー・プラネット』(1984年)
この作品はジョン・セイルズ監督、ジョー・モートン主演の風変わりなSFドラマのようです。
なおこの文はネタバレ全開となっています。
1984年 アメリカ作品
ランニング・タイム◆109分
原題◆The Brother From Another Planet
プロット◆別の星からの逃亡者が追われる話のようです。
音楽◆Martin Brody/Mason Daring
キャスト
ジョー・モートン→別の星からの逃亡者=ブラザー
ダリル・エドワーズ→フライ
スティーブ・ジェームズ→バーのマスター オデル
レオナルド・ジャクソン→常連客のスモーキー
ビル・コッブス→常連客のウォルター
トム・ライト→役人のサム
マギー・レンジ→役人のノリーン
キャロライン・アーロン→アパートのランディ夫人
ロゼッタ・レノア→逃げた亭主ボビーのママ
ディ・ディ・ブリッジウォーター→歌手のマルヴァン・デイビス
ジョン・セイルズ→黒い服の男=メンインブラック
デビッド・ストラザーン→黒い服の男=メンインブラック
ジョン・セイルズ監督の演出はよいと思います。
全体的にドキュメントの手法で撮られています。
会話シーンでの切り返しはありませんでした。それでも別なとこではセリフのないリアクションショッでの切り返しをやってるとこもありました。
登場キャラが誰が誰だかわからなくはないので演出は上手いのでしょう。
主人公のジョー・モートンが喋らない代わりにサポートの方がやたらと喋っていました。
歌の使い方は上手いです。
N.Y.が舞台。最初は全くセリフ無しで進行します。
ジョー・モートン扮する宇宙からやって来た逃亡者が何となくバーに入ってからセリフが入ってきて話は動き始めます。
カルチャーギャップの描写バランスはいいです。ジョン・セイルズ監督はセンスがいい。
宇宙からやって来た逃亡者は最初は片足がなくてそれが生えてくるモンタージュがありました。
片目を外して監視カメラの代わりにするとこもあって一応SF風になっていました。低予算なのでワンショットではなくて全部編集によるモンタージュでそのように描写されていました。
宇宙からやって来た逃亡者を追ってくる2人の宇宙人。
2人の黒い服の男のおかしなメン・イン・ブラックコンビぶりは面白かった。大まじめにボケたり妙な掛け声?あげたりとコメディリリーフとなっているようです。
黒人ばかりのバーに白人そのものな2人が乗り込んでくるわけです。バーにてのアクションシーンは何なんかとぼけた感じで面白くていいです。
このメン・イン・ブラックコンビを演じるのは、背が高い方が監督のジョン・セイルズで、もう1人は演技派のデビッド・ストラザーンとなっています。このキャスティングは無意味に豪華でいいです。
会話の中でMLBの選手の名前が所々で出てきます。
N.Y.メッツのムーキー・ウィルソン→当時のレギュラー外野手でそれ以上でもそれ以下でもない選手。
ピッツバーグ・パイレーツのロベルト・クレメンティ→1960年代に活躍した殿堂入りの歴代最高の右翼手。
シカゴ・カブスのアーニー・バンクス→1960年代に活躍した殿堂入りの右打ちのホームランバッター。
と、ムーキー・ウィルソンは別にして通好みなセレクトになっています。さすがジョン・セイルズ監督、ブラックソックススキャンダルを描いた『エイトメン・アウト』(1988年)を撮るだけのことはあります。
パップ発売のDVDにて。
画質はまあまあ。思っていたより悪くない。
スクイーズ収録のフル表示。
画面サイズはワイド。上下左右黒味無し。フルスクリーン。
音声はドルビーデジタル2.0ch
バップのタイトル
IFC フィルムズ
Anarchist's Convention Films (restored version)
UCLA Film and Television Archive (restored version)
その他に色々とクレジットが入る。
タイトルですが、リストア時のタイトルのようです。
プロローグ
宇宙船内です。降下しているようです。
ニューヨーク、エリス島、移民局
自由の女神が見えます。たいまつが点灯してます。元々は灯台だっけ?
このへんの海に落ちたらしい。
夜、上陸する男。右足首がない。
片脚で移動となります。
空き家に入り誰もいないのに声が聞こえてる主人公。パニックとなっています。
タイトル。
The Brother From Another Planet
Joe Morton
他のクレジットが短く入る。
朝です。
まだツインタワービルがあります。
泳いで移動の主人公。途中から船に乗ってる。
右足首は再生しています。指が3本ですけど。
マンハッタン島に船で移動しています。
街中にて。
ゴミくずかごから靴を拾っています。
八百屋で万引きする主人公。レジスターを念力で開けて金を払おうする。
しかしお巡りに追われます。ここはジャンプして隠れてやり過ごす。
キリストのフィギュアを売っている店があります。
バーに入ります。
ブラザーと呼ばれている男。これは相手を呼ぶ慣用句のようです。
バーのオーナー オデール。
客が3人。じいさん2人に、TVゲーム中の若い男。
客は人工衛星スプートニクを話題にしています。結構知的だ。
入ってきたブラザーについても喋っています。
アーケードのTVゲームのことも。
役所です。
苦情を聞いてる役人のサム。
役人サムを演じる俳優はどこかで見た感じ。それはドン・チードルに似てるからです。
バーです。
お喋りでMLBのN.Y.メッツのムーキー・ウィルソンネタが入っています。
ガールフレンドとオデール。
スモーキー。黒人の太ったじいさん。ハンチングの帽子。
ウォルター。黒人のメガネでヒゲのじいさん。カンカン帽。スパイク・リーに似ている。
酒を飲まされるプラザー。飲めません。
そんなとこに福祉課の役人サムがやってきます。オデルとアメフトごっこをやってる。
成り行きでブラザーから話しを聞くことになっています。仕事なのです。
アーケードのTVゲーム機を直すブラザー。
そんなわけでスキルを持ってるから施設送りにはならなくなった主人公。
何処から来た?と聞かれれば・・・
親指で上を指差すブラザー。
役人サムに連れられて外に出るブラザー。
雨が降っています。
役人サムとブラザーは下宿先に向かいます。傘をさしてる役人サム。
アパートにて。
下宿先のランディ。白人女性で黒人の息子が1人。黒人の亭主ボビーに逃げられているようです。
ここに居候となるブラザー。
子供のひざの傷を治してるブラザー。子供の名はアール。
奥さんは不在の旦那ボビーの悪口をノンストップで喋ってます。旦那は黒人らしい。
それでボビーの靴と服をもらってるブラザー。
で、調子の悪いTVを直してるブラザー。
町のどこかで・・・
30分あたりでもうメイ・イン・ブラックの2人が登場してます。
英語教本とブラザーの写真を持ってます。ブラザーを追ってきたのです。
この2人はキャストも見た目も傑作です。
ジョン・セイルズ扮する黒い服の男=メンインブラック
デビッド・ストラザーン扮する黒い服の男=メンインブラック
アパートにて。
亭主ボビーのママが帰宅します。働いてるようです。
このママをもよく喋る。
壊れていたブラウン管のTVはブラザーが直していました。
TVが直ってる話題になります。ママはTVは自然には直らないと言ってる。
TVゲーム店です。
白人の主人。
従業員でラテン系のヘクター。
よく喋るヘクター。MLBピッツバーグ・パイレーツの伝説の右翼手ロベルト・クレメンティのネタが入ります。
バーです。
スモーキーとウォルターのじいさん2人。
メンインブラックの2人がやってきます。とても怪しい2人です。
出て行きます。
TVゲーム店です。
役人サムに連れられて初仕事のブラザー。
白人の主人にラテン系の従業員ヘクター。主人は修理が出来るか疑ってる。
壊れたゲーム機の部屋に案内するヘクター。
1日中いる女がいると話してるヘクター。ブラザーは聞いてるだけ。
プエルトリコ出身だろうとロベルト・クレメンテの話題になってます。
バーにて。
常連オッサン2人とゲームのあんちゃん。
昔のハーレムはよかった話題になってます。
そんなとこにメン・イン・ブラック2人が聞き込みに来る。
この2人は怪し過ぎる。ここでスモークが安易にネタバレ発言してしまう。
そんなこんなで2人は引き上げる。
TVゲーム店です。
で、ブラザーはTVゲーム機を全部直してしまいました。
これにはビックリの白人の主人。棚からぼたもちの図です。
ところでゲームは基本的にはホトンド変わっていないのか?
見てくれと速さだけが変わっているかも。
常連の女の子とコンタクトするブラザー。
女の子は自分が速過ぎてゲーム機が遅いと不満を言う。
ブラザーはゲーム機に触れて速くする。満足する女の子。
地下鉄のブラザー。
タイムズ・スクエア駅。
声が聞こえてくるブラザー。人身事故の声なの?線路から悲鳴が聞こえてます。日本の駅に来たらもっと凄いと思える。
地下鉄内にて。
カードマジックの若い男の芸を見てるブラザー。
街にて。
インディアナから来た白人の若い男2人のお上りさんが登場。
速攻で迷子になってようです。
バーに入ります。ブラザー相手に話し込んでいます。
MLBシカゴ・カブスの黒人の右打ちの強打者アーニー・バンクスのネタが入ります。白人の若い男のアイドルだったとのことです。
夜になってマスターから地下鉄の乗り方を教えてもらい店を出て行く白人の若い男2人。
オデルから知り合いが来たと言われてビックリのブラザー。
下宿先まで逃げます。
下宿先にて。
入ったとこでメン・イン・ブラックから思ったら普通の強盗に遭遇するブラザー。死なずにすむ。
屋上にて。
子供と星を見ているブラザー。
路上にて。
ブラザーは路上でクルマの窓拭きをしたがカネをもらえず。
つないである犬を放したりするブラザー。
女性のポスターのモンタージュ。
ディ・ディ・ブリッジウォーター扮する歌手のマルヴァン・デイビスのポスター。
他の女性のポスターやグラビアのモンタージュがあります。
ジャズクラブに行きたくなるブラザー。
広告を見て一目ぼれしたようです。歌手のマルヴァン・デイビスのLPレコードを買うブラザー。LPレコードは捨ててる。ジャケットだけでいいらしい。
歌手のマルヴァン・デイビス出演の店に行くブラザー。
結局カネが足りずに店に入れないブラザー。
夜の街中にて。
まだ子供の若い男がヤクが原因で死んでいます。
自分でもヤクを打ってみるブラザー。当然ラリっています。
バビロンにようこそ。
教祖様風の男バージルが登場。
歩いてブラザーを案内してます。色々と喋り倒してるバージル。
売春婦2人。踊る男。かわったキャラ達ということらしい。
最後にヤクのタバコをもらって吸ってるブラザー。
翌日にて。
3本指の足を出して路上で寝ていたブラザー。
干してある洗濯物から靴下を盗んで履いてます。
壁に書かれた落書きからメッセージがあるの?
壁の落書きに仲間のサインがあるとこに気がつくブラザー。これはビックリ。
自分でも血で何か書き込んでます。
TVゲーム店です。
メン・イン・ブラックは聞き込みをしてます。ゲーム店に来てます。
相手をするヘクター。
質屋てに。
廃品を何でも直しているブラザー。扇風機やラジオ等。ラジオの古いこと。
レジスターからカネを出してブラザーに渡す主人。
アルバイトなのか。なるほど。
美術館にて。
子供と来てるブラザー。奴隷制度から脱出する展示をしてる。
下宿先アパートにて
ランディ夫人を尋問するメイ・イン・ブラックの2人。
行方を聞かれたが旦那のボビーでないのでビックリしてるランディ夫人。
歌手のマルヴァン・デイビス出演の店に入るブラザー。
今度は入店出来てるブラザー。大人しくしています。
1杯で粘ってるのでウエイトレスが来てまた注文する。
そのお目当てのマルヴァン・デイビスがテーブルに来ます。オーナーの誘いを断る口実にしたいようです。承知してるブラザー。
そのオーナーが来て歌手を口説く。昔に比べて立場が逆転したと嫌味です。要するに落ちぶれたからやらせろと言ってる。
マルヴァン・デイビスのアパートにて。
何故かいるブラザー。いい仲になっています。そのままセックスになったらしい。
街中にて。
壁の落書きメッセージを見ているメンインブラックの2人。変な声で鳴いています。
歌手のアパートにて。
ブラザーはセックスには強いらしい。そんな感じ。
街中にて。
チンピラ2人を見かけるブラザー。
尾行となります。
男のアジト付近にて。
張り込みをしてるとお巡りが話しかけてくる。
このお巡りは特に疑ってるわけではなく単に話したいだけみたい。
ブラザーは張り込みをやめてる。
しょうがないのでブラザーは奥の手を出します。
アジト付近の植木鉢に自分の目玉を外してセットして監視カメラ代わりにしてます。
ここはSFっぽい。
役所です。
メンインブラックの2人がやって来ます。
居留守のサム。対応するノリーン。
ノリーンは書類責めにしてメンインブラックの2人を追い返す。
外に出て書類をゴミくずかごに捨てるメンインブラックの2人です。意外と律儀というか面白い描写です。
役所から出てくるメイ・イン・ブラックを見ているオッサンがいたりします。
アパートにて。
ランディからここから出て行ってと言われるブラザー。
男のアジト付近にて。
監視カメラ代わりの目を回収するブラザー。
内容をチェックしています。
男の1人が赤い4ドアセダンで出かける。
→ 1983 Ford LTD チンピラのクルマ
ここまでは目玉の再生画像みたい。
ゴミ箱に捨てた新聞を回収するブラザー。
この新聞からサイコメトリーも出来るブラザー。手がかりを得ることが出来ます。
チンピラのクルマを尾行するブラザー。
当然クルマを使わなくてはならなくなります。
エンジン始動までは出来るけど。運転は?となるブラザー。
ブラザーはその辺の黄色っぽいクルマで追います。ダッジです。
しかしエンジンをかけるまでは出来るけど肝心の運転が苦手なブラザー
→ 1969 Dodge Dart Custom Two-Door Hardtop ブラザーのクルマ。
尾行してるブラザー。
赤い4ドアセダンは空き地でダットサン260Zと合流してる。
→ 1975 Datsun 280Z 2+2 [S30]
ボディカラーは茶です。ニッサンのZカーは映画では結構出てきます。いい扱いではないけど。
それにしてもZカーは細長くて変なプロボーションです。5ナンバーサイズ自体が変な規格だからです。
今度はベンツを尾行するブラザー。
→ 1975 Mercedes-Benz S-Klasse [W116]
オフィスビルにて。
前にはカシオのキーボード楽器を売ってるオッサンがいます。
ブラザーはビルに入る。お目当てのオフィスに入ろうとするが秘書に止められる。
しょうがないので帰ります。
バーにて。
久しぶりにここに来てるブラザー。どうした?と聞かれてる。
トイレに入るブラザー。ブルース・リーのポスターがある。
そんなとこに役人サムが来ている。アメフトごっこをする。
それからいつのまにかにメイ・イン・ブラック2人をいる。
トイレから出てきたブラザーと鉢合わせなに。
成り行きでブラザーに加勢した面々と格闘アクションになってます。
まずはゲームをやってるあんちゃんがカンフーで挑む。やられます。
オーナーは木製バットを持ち出すが上手くない。
じいさん2人はアメフトのタックルをカマス。
そんなこんなでうやむやになってます。
オフィス・ビルにて。140 ブロードウェイビル
またビルに入るブラザー。今度は受付は通りません。
今度はお目当てのオフィスまで入る。
アドバンス・コミュニケーションズという会社。
白人の男アド・バンスと交渉?になるブラザー。注射器を見せてます。
とうやらヤクの売人らしいアド・バンス。
取り外した目を握らせて何が起こったかを見せるブラザー。
ここはヤクの卸元か中継の所なのか?
そんなこんなでヤクを白人男に押し付けたらしい。
ビルを出たとこでメンインブラックの2人に捕まるブラザー。
脇腹に小型装置を装着されてリモコンで苦しめらる。
そのまま連行される。
隙を見てリモコンをすっ飛ばして逃げるブラザー。
追うメイ・イン・ブラック2人。
延々と追っかけをやってます。
いきなり集団がいます。ブラザーのお仲間なのか?
これには面食らってるメイ・イン・ブラック2人。
逃げようとするがダメなので自殺装置を使うメイ・イン・ブラック2人。消滅します。
集団と挨拶するブラザー。しかし上から来たのはではないみたい。
地下鉄で移動してるブラザー。
何やら金網で囲まれてる建物に来ているブラザー。
何やら満足そうなブラザー。
エンドとなります。
そんなわけで不思議なノリのよい作品でした。金がないから頭を使う。そして演出の腕前がいいから十分見られます。
普通は低予算の安いSFアクションになるところをそうでない作品になっています。
ジョン・セイルズは冴えています。人種問題を抜きにしても追っかけやディテールがよく出来ていました。
比べるとアレックス・コックス監督の『レポマン』(1984年)より面白かった。
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