『ワイルドバンチ』(1969年)
この作品はサム・ペキンパー監督、ウィリアム・ホールデン、ロバート・ライアン等が主演の異色ウエスタンのようです。
なおこの文はネタバレ全開となっています。
1969年 ワーナー アメリカ作品
ランニング・タイム◆145分
原題◆The Wild Bunch
プロット◆最後の一仕事のはずがそうではなくなる話しのようです。で、ハンドガンは換えられるが自分は変えられなかった話でもあるようです。
音楽◆ジェリー・フィールディング
ワーナー発売のDVDにて。画質は普通によいです。ウエスタンならこれで十分でしょう。スクイーズ収録のフル表示。画面サイズはワイド。上下に黒味あり。
◆音楽はステレオになっています。非常にいいスコアでした。
◆この作品は大幅カットの地上波TV放映から始まって、画質がイマイチな輸入LD、やっぱり画質がイマイチな国内LD、LDはどちらにせよ3面になっていてかけ替えが面倒でした。BS11衛星放送からVHS録り、DVDになったが両面1層なのでひっくり返すのが必要でさすがにこれは買わず。で、ようやく片面2層で画質がいいDVDとなりました。ホントにようやくここまでたどり着きました。
見ててノリはよかった。長時間は問題ではないとよくわかります。
キャスト
ウィリアム・ホールデン→強盗団リーダーのパイク・ビショップ
アーネスト・ボーグナイン→パイクの相棒のダッチ・エングストロム
ベン・ジョンソン→強盗団で兄のテクター・ゴーチ
ウォーレン・オーツ→強盗団で弟のライル・ゴーチ
ボー・ホプキンス→強盗団の落ちこぼれクレイジー・リー
エドモンド・オブライエン→強盗団で老人のサイクス
ジェイミー・サンチェス→強盗団で若いエンジェル
ロバート・ライアン→追跡隊リーダーのソーントン
ストローサー・マーティン→手下のコファー
L.Q.ジョーンズ→手下のT.C
エミリオ・フェルナンデス→マパッチ将軍
アルフォンソ・アラウ→ヘレラ、ゴーグルの副官?
ホルヘ・ラセック→ザモラ補佐官
フェルナンド・ワグナー→モール参謀
アルバート・デッカー→鉄道屋で雇い主のパット・ハリガン
ソニア・アメリオ→エンジェルの恋人だったテレサ
チャノ・ウルエタ→ドン・ホセ
アウローラ・クラヴェル→アウローラ
サム・ペキンパー監督の演出はよいと思います。
アクション描写はスローモーションにカットバックを組み合わせる独特の手法です。これはペキンパー監督だけに出来る手法なのです。
この作品の年代設定は1913年だそうです。なので銃器の設定はでたらめというわけでありません。
ウィリアム・ホールデン扮するパイクは腰にシングルアクションのリボルバーを下げてるのに、使うのは腋に吊ってあるオートマティック、これが全てなのか?セリフで説明するよりハンドガンでキャラを表してしまうのが凄い。映画的とはこのことを言うのかもしれまはん。
シングルアクションのリボルバーは古くてもう使い物にはならないとわかってはいるが手放せないのです。と思います。
ウエスタンなのに同じコルトの45口径ですがリボルバーではなく後にコルト・ガバメントと呼ばれるオートマティックのハンドガンを使っています。この作品が当初は正統派ウエスタンファンから嫌われていたゆえんです。
公開当時の評価は、これはウエスタンではありませんとされてました。
ペキンパー作品はたいていキャラの対比になっているのです。
ここではホールデンとライアンのキャラがそうなっています。
ワイドな画面に人を1人だけ配して横に空間を空ける手法は使っていません。これは英国スタイルだそうですから当然?
4人並ぶ構図はいつ見てもいいです。
サム・ペキンパー監督の不思議その1。子役を何で使う?電信のメモをマパッチ将軍に届けに来た少年の描写。まるっきり別の作品のエピソードのようです。ペキンパーっておかしな人だ。
サム・ペキンパー監督の不思議その2。いわゆる確信人間を念入りに描写します。しかも見てて納得の確信人間礼賛にならないとこがいい。ペキンパーっておかしな人だ。
ウエスタンの研究書では否定されていた。
かなり前に読んだ1970年あたりに発行された本『ザ・ウエスタン』(記憶が怪しいがこれだと思う。)でした。これはウエスタンではありませんといった感じでした。当時では無理はないと思われます。この本で当時はTV上がりでマカロニウエスタン専門だったクリント・イーストウッドは全く評価されていませんでした。これも頷けたりします。マカロニウエスタンというジャンル自体が無視されていたような。
マパッチ将軍は長嶋監督みたいなものでしょう。→素人向けのカリスマ性はあるけど無能なタイプです。
ゲゲゲの鬼太郎みたいな髪形の副官は誰?
ゴーグルの幹部はアルフォンソ・アラウのようです。
エドモンド・オブライエンは毎回見るたびに元の顔がわかりません。他の作品を結構見ているんですがホントにオブライエンなのか疑ってしまいます。
ストローサー・マーティン扮するコファーとL.Q.ジョーンズ扮するT.Cがコンビを組んでいるそうです。ゲイの仲なんだと。この2人は『砂漠の流れ者/ケーブル・ホーグのバラード』(1970年)でも悪役2人でコンビを組んでるそうです。
ボー・ホプキンスとマイケル・サラザンは見掛け倒しなでくの坊なのが似ています。
アルフォンソ・アラウは監督の人らしい。→『雲の上で散歩』(1995年)があります。
プロローグ
虫で遊ぶ子供達。子役が至るとこで出ています。
ワーナー
タイトル
ワーナー、セブンアーツ
フィル・フェルドマン・プロダクション
音楽はステレオになっています。ドルビーデジタル5.1ch仕様
画調が反転してタイトルクレジットが入ります。
禁酒運動の集会をやっています。
パイク一行は何のコスプレをしている?→山岳警備隊?
鉄道関係の事務所に強盗となります。
これが罠でした。ソーントン一行が待ち伏せています。うるさい雇い主ハリガンがいます。
タイトルの最後でリーダー パイクのセリフから監督の名が出るタイミングが上手い。このようなセンスは素晴らしい。
ライル、ダッチ、バック、エイブ。パイク一行のメンバーです。他はわからん。
パイク一行はライフルに気がつきます。
ポンプアクションのショットガンを装備しています。ウエスタンなのに水平2連ショットガンではないのです。これも正統派ウエスタンファンから嫌われているゆえんです。
最初の撃ち合いはさすがに凄い。カットバック多用。
事務員を表に放り出したとこから一般市民を巻き込んでの銃撃戦が始まります。
ロバート・ライアンのソーントンは主役なのでウィンチェスターライフルで撃つとよく当たります。一撃必中といった感じ。
で、手下達がアホなので苦労のソーントンです。
引き上げるパイク一行。
ソーントンの手下達は死体から物取りをしています。
雇い主ハリガンから怒られる手下達。物取りのことではなく仕事に失敗したことです。
ストローサー・マーティン扮するコファーとL.Q.ジョーンズ扮するT.Cが目立ちます。
置き去りにされたボー・ホプキンス扮するクレイジー・リーの見せ場があります。
後始末の図となります。
市民の講義を受けるハリガン等。
移動中のパイク一行。
で、残ったのが6人で顔面を撃たれたバックがパイクに撃ってくれとなります。
これで残りが5人となります。
雇い主ハリガンは怒る図。
鉄道の親分がハリガンでこっちの方が極悪非道な感じになっています。
締めて4500ドルが行ってしまった。10分後には追跡に出発だとなっています。
ソーントンがさすがに文句を言っています。この手下達ではダメだとソーントン。
30日以内に片付けないとムショに戻ることになるとハリガン。
ソーントンのフラッシュバックが入ります。
川を渡るパイク一行。
追うソーントン一行。手下は6人です。
バックの死体を発見します。
エドモンド・オブライエン扮するサイクス老人が待つ場所に戻るパイク一行。
パイクはこの仕事が最後だったはずです。
それがワッシャーを持ってきただけになっています。金貨ではなくワッシャーとわかり、そんなこんなで笑ってごまかすことになっています。これくらいしかやることがない。
次はどうする?→アグア・ベルデへ?
追跡のソーントン一行。
パイクの話しからパイク一行につなぎます。
バイクとダッチの会話。歳の話し等。
フラッシュバック。パイクとソーントン。ソーントンが捕まります。
エンジェルの歌が入ります。
砂漠のパイク一行。
砂丘から馬と一緒に滑落します。これは非常に危険です。
ゴーチ兄弟にに説教するパイク。
ですが馬に乗るとこで鐙が切れます。説教したゴーチ兄弟に皮肉を言われるパイク。
換えの馬も一緒に連れている一行です。
パイクとサイクス老人の会話。
孫であるクレイジー・リーの話が出ます。パイクはこのことを知らなかったので役に立たないとクレイジー・リーを現場に置き去りにしていました。
クレイジー・リーのフラッシュバックが入ります。
追うソーントン一行。川に着きます。
この川を渡ればメキシコです。
ここはソーントンの考えで引き返します。
アグア・ベルデでない村に入るパイク一行。
エンジェルの故郷の村のようです。
父の仇は誰だとエンジェル。→マパッチ将軍のようです。
老人から父の仇の名前を聞いてエンジェルは復讐に燃えています。
それでテレサの話も出ています。これがトラブルの元なのです。
恋人のテレサは村を出たと聞くエンジェル。
ダンスとなります。
村を出るパイク一行。別れの歌が流れます。この歌はラストにも流れます。
マパッチ将軍の村です。ここに入るパイク一行。
クルマに乗ってマパッチ将軍が登場。
クルマを初めて見るパイク一行です。パイクは知ってるようです。ウエスタンにクルマなんてと、ここも正統派ウエスタンファンから嫌われているゆえんです。
ここはラストの決戦の場所のようです。知って見てると感慨深い。
マパッチ将軍に会うパイク。
テレサに会うエンジェルですが冷たくされます。
で、マパッチ将軍と一緒のテレサを撃つエンジェルです。後先考えていないようです。こういう行動を衝動的といいます。
色恋沙汰ですと事情説明のするパイク。フランスではないから無理があります。
マパッチ将軍顧問のドイツのモール中佐からオートマティックハンドガンの話しが出ます。→ピストルと言ってます。
追跡中のソーントン一行。
ソーントンに対して撃つまねをする手下です。これは最低の行為で撃ち殺されても文句は言えません。
ここのシーンは印象に残ります。
マパッチ将軍の村です。
ドイツの顧問と打ち合わせのパイク。テレサの葬式も同時進行でやっています。
10000ドルでアメリカ軍の銃器を奪うことになります。
エンジェルを引き取るパイク。
ゴーチ兄弟は女と一緒に騒いでワイン樽をハンドガンで撃っています。
コルト・ガバメントが作動してるのがよくわかるシーンなんです。
パイク達は風呂に入っています。
このへんもカットバックになっています。
風呂でエンジェルに銃器を一箱やる話しが出ます。
雇い主ハリガンの元に戻るソーントン。
ソーントンは1回戻って雇い主ハリガンと打ち合わせをやっています。
パイク一行は今度は鉄道を狙うはずと予想しています。
マパッチ将軍の話しも出ます。
移動中のパイク一行。
荷物を運ぶ馬車も同行しています。
パイクとダッチの会話。昔の女の話し。
汽車です。
アメリカ軍が乗り込んでいます。
ソーントン一行も乗っています。
汽車に水を補給することからパイク一行が仕事にかかります。
ここでもこの仕事が最後だと行ってるパイク。パイクは何故かここだけはリボルバーを持っています。撃たないけど。
汽車をハイジャックして貨車だけを切り離して移動させます。
貨車以外を置き去りにしてます。
ここでソーントンが気がついて手下に指示して追跡となります。
新兵ばかりのアメリカ軍はようやく気がついて追跡体制に入りますが全然上手くない。
速度を上げてソーントン一行を振り切って落ち合う地点に着く汽車。
馬車に荷物を積み替えます。
で,汽車を逆走させるパイク。
当然汽車は給水塔に戻り切り離していた客車に激突となります。思わず目をそらすアメリカ軍幹部将校です。これは見たくはない光景でしょう。
逃走するパイク一行。
追跡するソーントン一行。
メキシコに入る橋に着くパイク一行。
追いついたソーントン一行と撃ち合いとなります。
パイク一行の馬車が橋の途中でスタックします。
橋に仕掛けたダイナマイトの導火線のクローズアップショットとカットバックしてサスペンスを盛り上げます。
ダイナマイトはあらかじめ仕掛けてあったようです。点火するだけでした。
ようやくアメリカ軍が追いついてきます。
そのアメリカ軍に向かって撃つソーントンの役に立たない6人の手下達。敵ではないアメリカ軍の見分けもつかずに何でも撃てばいいと思っているようです。こまったものです。
パイク一行が渡り終わりソーントン一行が橋の上というとこで仕掛けたダイナマイトで橋は大爆発となります。これは見事なスペクタクルシーンです。
橋の爆破から一息つくシーンで片面二層切り替えがありました。
橋を渡り終えて一息つくパイク一行。
パイクに謝罪の酒を振る舞うゴーチ兄弟の兄。
酒の回し飲みとなります。ゴーチ兄弟の弟の分はなかったりします。
ようやく川から上がったソーントン一行。
手下に説教のソーントンです。あまり聞いてない手下達。
そんなわけで今更戻るわけにはいかずパイク一行を追うだけです。
パンチョ・ビラと戦闘中のマパッチ将軍の軍隊。
旧日本軍のような寝言を言ってるマパッチ将軍です。
電報を届ける少年のシーンがあります。ペキンパー監督はこの少年の心境を完全に理解して演出してるようです。バイオレンス描写の巨匠とは裏腹な不思議な人だ。
電報の内容はパイク一行が武器強奪に成功したことのようです。
武器を見込みがついたので撤退するマパッチ軍です。そんなわけで汽車で脱出するマパッチ将軍の軍隊。
受け渡し場所近くのパイク一行。
双眼鏡のマスクは映画の約束ごとのひとつか?、普通はあーは見えませんよ。
ソーントン一行を発見します。で、また手下に説教のソーントンです。
馬車の後には車輪の跡を消す木の枝が引きずってるシーンもありました。
受け渡しの準備をするパイク一行。
予定外の重機関銃があります。水冷反動利用のショートリコイル式のブローニングM1917だと思う。ウエスタンなのに近代銃器なのです。手回し多銃身ガトリング機関銃ではないのです。これも正統派ウエスタンファンから嫌われているゆえんです。
エンジェルの仲間が銃器を一箱をもらいに来ます。いつのまにかに来てました。忍者か。
谷にて。いよいよ受け渡し交渉となります。
マパッチ将軍の交渉役がアルフォンソ・アラウ?ゴーグルが特徴でセコくていいかげんな感じのいいキャラを好演しています。
アメ公のことをリンゴと言ってるようです。
重機関銃が出て思わず発砲の兵隊が射殺されます。凄い描写です。
この場をソーントンは遠くから双眼鏡で見ています。
マパッチ将軍の村です。
銃器は少しずつ引き渡されます。
契約にはない重機関銃はサービスだとパイク。
待っているパイク一行。
ダイナマイトで遊んでサイクスを脅すゴーチ兄弟の兄。しょうもないことをやっています。
パイクが戻ります。今度は本物の金貨でした。
マパッチ将軍の村です。
重機関銃が到着してこれで遊ぶマパッチ将軍です。
こういうのをキチガイ沙汰といいます。
最後の受け渡しでエンジェルが捕まります。
どうやら密告があったようです。
エンジェルを見捨ててそのまま戻ったダッチはパイクに文句を言われます。
とはいえ相手は200人です。
サイクスがソーントンの手下に撃たれます。
水を取りにいったらしい。
パイク一行ですが。さてどうするとなってソーントンもいるしここは武器が手に入って機嫌がいいはずのマパッチ将軍の村に入ろうとなります。
マパッチ将軍の村に入るパイク一行。
エンジェルはリンチを受けてる最中です。
マパッチ将軍の手下は鬼太郎似とゴーグルの2人が目立ちます。
ことの前に女と一緒のパイクとゴーチ兄弟。
4人並ぶシーンはさすがにいい。
マパッチ将軍の元へと4人並んで歩きます。ライフルやショットガンの持ち方が4人それぞれ違うのがいい。素晴らしい。
両手でそっと持ってるベン・ジョンスンの持ち方がいい。
これが名シーンというものなのです。
ですがここはスローモーションではなかったりします。ペキンパー監督は普通とは違うことをする天の邪鬼な人です。
スローモーションの使い方には法則やマニュアルがない。監督のセンス次第なのです。
マパッチ将軍と交渉となります。
ですが、エンジェルは殺されてマパッチ将軍はその報復で撃たれます。
本格的に銃撃戦になる寸前のシーンが絶品です。
パイクはマパッチ将軍が撃たれて始まりかけて止まった銃撃戦を改めて始める1発を決めてくれます。
仲間のエンジェルが殺されたのですかさずマパッチ将軍を撃ち殺します、そんなことはあるはずがないとマパッチ将軍側の連中が固まってしまい暫しの沈黙があって、そこでパイクがマパッチ将軍の次に偉そうな奴を撃って今度は本当に撃ちあいが始まります。リーダーとはこのようなものだと見事に視覚化している名シーンです。
パイクがハンドガンを撃ちまくるいいシーンがあります。
で、続いてこのオートマティック・ハンドガンのマガジンチェンジのショットが印象に残ります。けど実際の画面では外しているとこだけでチェンジはしていないんです。面白いものです。
ここが印象に残っているのは私だけではないようでウォルター・ヒル監督も『ダブルボーダー』(1987年)でニック・ノルティにマガジンチェンジを最後までやらせてました。
ウォルター・ヒル監督は何を撮っても『ワイルドバンチ』(1969年)か『ゲッタウェイ』(1972年)になってしまいます。多大な影響を与えているのがよくわかります。
重機関銃の連射が凄い。
ゴーチ兄弟の弟が叫びながら撃つとこがハイライトです。見てて鳥肌がたちます。
4人は死に至ります。
ソーントン一行が到着します。さっそく死体から物取りをする手下です。
パイクのリボルバーを手に取るソーントン。リボルバーは使われていなかった。シングルアクションのリボルバーはパイクの魂なのでしょう。
その場に残るソーントン。
手下達がやられるのを聞いているソーントン。
エンジェルの仲間達が到着します。サイクスもいます。
合流することにするソーントン。
エンドとなります。
歌が流れます。フラッシュバックも入ります。
ここに出てる一行はパイク達です。これは意味深です。
そんなわけで最初は異端でしたが年月を経るごとに評価が上がるパターンのよい作品でした。
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確かに西部劇の神様と呼ばれた映画監督... [続きを読む]
こんにちは。実はこのワイルドバンチは僕の大好きな作品ですが、今回はディレクターズカット版を見ました。しかし、基もとの作品の方が好きですね。
しかし、ここに出演しているワイルドバンチが、アパッチ将軍に向かっていく時の4人の死を覚悟した面構えがカッコいい。そして派手な銃撃戦もこれぞアクション映画ですね。
投稿: ディープインパクト | 2009.01.11 20:07
ディープインパクトさん、毎度のコメントありがとうございます。
私はウィリアム・ホールデンとロバート・ライアンの名演技がよかったですね。
ウィリアム・ホールデンが演じるパイクのリーダーたるとこが最高でした。
サム・ペキンパー監督独特のアクション描写も最高ですし、改めてウエスタンの傑作だと思えます。
投稿: ロイ・フェイス | 2009.01.11 22:18
この映画「ワイルドバンチ」は、ハリウッドの異端児サム・ペキンパー監督が、歴史の転換点としての西部の時代の終焉を雄大なスケールで描いた作品だと思います。
西部劇は1960年代半ばからのマカロニ・ウエスタンの席捲という、時代とアメリカそのものの社会状況の変化に伴い、それまでの定型的な様式美等を打ち破り、「明日に向って撃て!」と共に「ワイルドバンチ」がその方向性は全く異なりますが、西部劇のパターンを完全に解体し変革したと思っています。
このサム・ペキンパー監督の「ワイルドバンチ」は、西部劇の歴史の中で、この映画ほど公開当時、アメリカで数多くの非難を浴びた映画は他にありませんでした。
まず女性の映画評論家や映画ファンが怒りの声をあげ、続いて良識派と言われる映画評論家や映画ファンがそれに同調し、西部劇のファンまでが不快感をあらわにしたそうです。
あの西部劇の王者ジョン・ウェインが「こんなもの、西部劇じゃない」と罵倒的な感想を述べたとも言われています。
確かにこの映画を表層的に観ただけでは、このような評価を受けるのも無理からぬところがあり、例えば有名なこの映画での最初の大虐殺場面----ウィリアム・ホールデン、アーネスト・ボーグナイン、ウォーレン・オーツ等の一癖も二癖もあり、暗い過去をひきづって、道徳観のかけらもない中年を過ぎた無法者の一味が1913年、革命の最中の動乱のメキシコとの国境の町にある鉄道管理事務所を金目当てで襲撃します。
西部劇には昔から"グッド・バッド・ガイ"と言われる"善良なる悪人"が登場しますが、「ワイルドバンチ」の連中は根が善良というのとは全く違います。
そして、この町には鉄道会社に雇われたロバート・ライアン等の賞金稼ぎの荒くれ男どもが建物の屋根の上で待ち伏せしています。
そこへたまたま禁酒運動の婦人団体が、子供もまじえて行進して来ます。
逃亡しようとする無法者一味に向けて賞金稼ぎが一斉に打ちまくります。
無数の銃弾の雨がデモ行進の人々の上に降り注ぎます。
そこはまるで阿鼻叫喚の地獄的な風景に一変します。
撃たれた人間が血を噴き出しながら倒れていく様が、超スローモーションのモンタージュで描かれます。
アップとズームの多用、また、手持ちカメラや望遠レンズを頻繁に用いた手法も斬新で、それ迄の西部劇と比較すると驚異的な飛躍であり、これにより一気に映画的緊張感や躍動感が増したのではないかと感じました。
血生臭く、残酷極まりない殺戮シーンを、陶酔するように美しく表現し、暴力の美学を描き切り、サム・ペキンパー監督は人間が行動する様や、それが引き起こす暴力や残酷さというものに究極の美を見い出そうとしているかのようです。
1960年代後半のアメリカはウーマン・リブ運動が起こり、女性の観客や良識派と言われる人々は必要以上に過敏に反応し、この「ワイルドバンチ」を男のバーバリズムの復権を唱える危険な暴力映画として捉えたのかもしれませんし、様式美にこだわる西部劇ファンは映画の中で無数に飛び散る血に嫌悪感を示したのかもしれません。
しかし、現在のいわば血みどろな映画が普通に描かれている状況からすれば、この映画で流される血のフォトジェニックな美しさは他の追随を許さないほど、素晴らしいものがあります。
映像表現は、"様式とリアリズムの間"で揺れ動いて来ましたが、最も厄介だったのが、この"血"の表現だったと思いますが、サム・ペキンパー監督は、それを超スローモーションを使用する事で克服したのだと思います。
つまり、"様式の破壊ではなく、新しい様式美を創出した"のだと思います。
その証拠に冒頭の殺戮シーンでは女性や子供が撃たれるショットがなく、一定のモラルは守られていたように思います。
この映画以降、サム・ペキンパー監督には"血みどろの暴力派監督のレッテル"が貼られる事になりましたが、そうなるとクェンティン・タランティーノ監督やロバート・ロドリゲス監督のように血と暴力に過大な意味を見い出す、いわば"バイオレンス陶酔派"とも言うべき信奉者も出現して来ました。
確かにこの映画は生臭く、暴力的で、破滅的で、非情でもあり、彼等の生きる世界も暴力に満ちていて、映画の冒頭の銃撃戦では、お互いの銃弾で多数の住民が巻き添えになります。
サム・ペキンパー監督は、この映画のタイトルシーンでの蟻の巣にサソリを落として遊ぶ子供たちを描く事で、その事を象徴的に暗示し、その中で彼等が死というものに向って一直線に突き進んでいく様を描いたのだと思います。
そして映画を観終わった後に感じるのは、この映画を巨視的に時代の変遷を捉える映像作家としてのサム・ペキンパー監督の透徹したリアルな視点です。
ロバート・ライアン率いる賞金稼ぎの一団は、鉄道会社の雇われ者です。
ウィリアム・ホールデンを首領とする無法者一味は、馬から鉄道の時代へと移行する歴史の転換の時代の中、いわば鉄道によってアメリカから追われて来たのです。
そして彼等はメキシコへ逃れ、革命の嵐に巻き込まれ、映画のラストで近代的な装備の軍隊と凄絶な死闘のあげく、全滅していくのです。
このラストの凄絶な死闘の場面の映像的な美しさは、まさに映画史に永遠に残る名シーンだと思います。
そして、それは西部の時代の終焉であると同時に、戦争の近代化の始まりをも意味しています。
この「ワイルドバンチ」は、歴史の転換点を雄大なスケールで描いた、"西部劇の哀しい挽歌"を描いた映画なのです。
投稿: 陽炎 | 2023.11.02 12:21
陽炎さん、長めのコメントありがとうございます。
映画の評価はよくわからんもので当時『ワイルドバンチ』(1969年)はウエスタンではないと酷評されて、マカロニウエスタンはまとめて無視されていいました。
それが近年になると『ワイルドバンチ』(1969年)は高い評価になるわけです。
マカロニウエスタンは玉石混交ですが。出来のよい作品は高評価になっています。
そんなわけで映画の評価は難しいと実感します。
近年の作品の評価になると更に難しいとなります。あっという間に古びる作品か年月を経ても残る作品かは正直言ってわかりません。
投稿: ロイ・フェイス | 2023.11.04 12:13