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2006.02.02

『赤ちゃん教育』

この作品はハワード・ホークス監督でケイリー・グラント、キャサリン・ヘップバーン主演のスクリューボール・コメディのようです。
なおこの文はネタバレ全開となっています。

1938年 ハワード・ホークス・プロ/RKOラジオ・ピクチャーズ アメリカ作品
ランニング・タイム◆102分
原題◆Bringing Up Baby
プロット◆研究一筋の学者がわがままなお嬢様に振り回される話のようです。
音楽◆ロイ・ウエッブ

IVC発売のDVDにて。
画質は何だか思っていたよりはマシでした。それなり悪い程度。見るに堪えないほどではない。
スクイーズ収録のフル表示。画面サイズはスタンダード。左右に黒味あり。
DVD音声はドルビーステレオ、元はモノラルでしょう。

キャスト
ケイリー・グラント→考古学者デビッド・ハクスレー博士
キャサリン・ヘップバーン→金持ちでわがままなお嬢様スーザン
ヴァージニア・ウォーカー→デビッドの秘書アリス
ジョージ・アービング→ランダム夫人の弁護士ピーボディ氏
チャールズ・ラグルス→ホラス・アップルゲート少佐
メイ・ロブソン→スポンサーでスーザンの叔母のエリザベス・ランダム夫人
バリー・フィッツジェラルド→使用人のゴーガティ
ウォルター・キャトレット→スローカム警察署長
ジョン・ケリー→保安官のエルマー
フリッツ・フェルド→レーマン医師

ハワード・ホークス監督の演出はよいと思います。
全編に渡りむちゃくちゃな話しの進行です。だいたいペットで豹が突然出てくるとこからしてむちゃくちゃなのです。
2人でクルマでニワトリ輸送車に追突したり、レーマン医師のクルマを盗むは、犬が大事な骨を持っていってしまい庭を掘り返したり、野原を駆け回ったり、川にはまったりと。また大変でノンストップでデタラメが続きます。

豹のつないであるロープですが合成でつながっていないとこがハッキリ見えてしまう等、特殊撮影の方はあまり上手くいっていないようです。


RKO Radio Pictures
ハワード・ホークス・プロダクション
タイトル部分は少し余計にフレームが広がって上下に少し黒味あり、左右に黒味ありでしたが、本編になると左右に黒味ありだけでした。

プロローグ。博物館にて。
研究中の恐竜の最後の骨が発見されてもう少しで完成となります。
ケイリー・グラント扮するデビッド・ハクスレー博士は勤め先の博物館に博物館のスポンサー獲得のために接待ゴルフに行きます。いきなり俗っぽくなっています。学者も接待が大変なようです。DNA怪獣映画の『レリック』(1997年)でもそんな描写があった。

ゴルフ場にて。
100万ドルのスポンサー獲得のため代理人弁護士ピーボディ氏の接待ゴルフ中にデビッド・ハクスレー博士はキャサリン・ヘップバーン扮するスクリューボールなヒロイン スーザンにさっそく振り回されます。
スーザンはデビッド・ハクスレー博士のボールを勝手に打ってしまい、次にクルマを勝手に動かしてしまいぶつけます。抗議しても聞く耳を持ちません。

リッツ・プラザ・ホテルにて。接待食事会です。
ヒロインのスーザンもいます。バーにてオリーブの芸を練習中。
その練習のために転ぶデビッド・ハクスレー博士。帽子が潰れてしまいます。
居合わせていた初対面で神経科のフリッツ・レーマン博士と話しをするスーザン。
ここでスーザンに勘違いのアドバイスをしてスーザンがその気になったようです。
フリッツ・レーマン博士は最初のリッツから出ていました。奥さんがバッグを持っていかれたりしていました。

デビッドの上着を引き裂いてしまうスーザン。
今度はスーザンのドレスを踏んで引き裂いてしまうデビッド。
そうなると2人は重なっていっしょにホテルを退場することになります。

服を繕っているとこでスーザンは代理人弁護士ピーボディ氏と知り合いとわかります。で、ピーボディ氏の自宅に向かう2人。もう夜遅くです。
もう2階で寝ているピーボディ氏を起こすのに小石を投げるスーザン。なかなか起きてこないの大きめの石を投げたらちょうど出てきたピーボディ氏に当ててしまいます。逃げる2人です。

次の日に婚約者のアリスに電話するデビッド。
小包みが届きます。待望の骨。最後の部分になる鎖骨です。
骨の荷物の配達人も冷静にリアクションしていていい感じ。

スーザンからも電話が来ます。豹の話が出ます。ここでデタラメなことを言ってデビッドを呼び出すスーザン。
豹のことはホントですけど。

スーザンのアパートにかけつけるデビッド。
ホントに豹がいるので動転しています。音楽を聞くとおとなしくなるとなっています。それではTVシリーズ『ウルトラQ』(1965年)のラゴンみたいですけど。

アパートを飛出すデビッドですがスーザンと豹と一緒にクルマでコネチカットへと行くことになります。
ニワトリ運搬車に追突して豹が飛び出して一騒ぎとなります。

肉30ポンドを買うデビッド。
駐車違反の切符を切られるスーザン。消火栓前は駐車禁止とのことです。ファイヤープラグと言ってます。英語はわかりやすい。
豹が別のクルマに乗り移ったのでそのクルマでコネチカットに向かいます。単なるクルマ泥棒のような感じもしますが・・。

肉を買ってたとこでは近くにサーカスがいたようです。
なるほどちゃんと伏線を張ってるわけです。
脚本はよく出来ています。伏線を張って後でちゃんと生かしています。

コネチカットの農場に着きます。
音楽を聴くと大人しくなるから2人で歌いながら豹を別室に移します。

シャワーを使うデビッド。勝手にデビッドの服を持ち出してクリーニングに出すスーザン。
バスローブ姿のヘップバーンは素敵です。

デビッドは着る服がないので女物のバスローブを着ています。
そこにスーザンの叔母ランダム夫人がやってきます。犬のジョージも登場して絶えず吠えています。
ここでデビッドは私はゲイと言ってます。これはゲイが描写されるアンソロジー物『セルロイド・クローゼット』(1995年)を見て知りました。

庭師のマークの服を借りて着るデビッド。妙なコスプレとなっています。
犬のジョージが大事な骨をくわえて持っていってしまいます。犬の行動としては一応筋が通っています。
ジョージを探しに行く2人。26エーカーの庭のどこかに骨が埋まっているとのことです。ジョージに案内させて庭を探し回る2人です。

夜になります。食事の一席となります。
自称狩猟の達人?アップルゲート少佐が登場します。合計4人で食事となります。
妙な鳴き声が聞こえてきます。アップルゲート少佐はアビの声はこれだと実演していますがアビって何だい?。
他でも豹の鳴きまねをして鳴き声が返ってくると、「この辺には豹がいるのかい」とボケをかましたり。大変なものです。
バリー・フィッツジェラルド扮する使用人ゴーガティはアル中です。これはまた豪華なキャスティングとなっています。

豹が逃げたとわかり外に探しに出る2人。
実は豹のことですが叔母ランダム夫人は知っていました。贈り物のペットということでお楽しみにしているとのことです。
これを知った2人はあわてます。その前に動物園に捕獲依頼の電話をかけてしまったので、その取り消しの電話をかけますが既に全員豹探しに出払ってしまったと聞いてまたあわてます。

夜の野原を駆け回る2人。
スーザンはドレス姿で野原を駆け回っています。
犬のジョージと豹がじゃれてるを目撃する2人。
ここは浅くて渡れる川だということで渡ろうとしますが実は深くて深みにはまる2人。こんなのばっかり。ようやく渡ってたき火をする2人。

サーカスが近くにいてどう猛な豹を輸送することになります。
この輸送中の豹を自分らの豹と勘違いしたデビッドとスーザンは豹を逃がしてしまいます。

そんなとこにやってきたアップルゲート少佐と使用人ゴーガティ。
「ペットの豹だから安全なのだ」と豹に近づきますがそうではなさそうなのであわてて逃げることになります。

スーザンが「何か私に出来ることは?」と聞けば。
デビッドは「しばらく何もしないでくれ」と答えます。好きな会話です。

その後にはフリッツ・レーマン博士の家の前で歌を歌う2人。屋根に豹がいるからです。
その後スーザンだけでも歌っています。これを見てレーマン博士のリアクションのセリフがいい。「罰ゲームはよそでやってくれ」ときます。
スーザンはレーマン博士の家からの通報で警察に連行されます。これを確認しようとしたデビッドも覗きと間違われて警察に連行されます。

警察にて。
デビッドは留置されています。スーザンも理由は違うけど同じく留置されています。
事情聴取となりますがしっちゃかめっちゃかとなっています。

弁護士のピーボディ氏がやって来たらフリッツ・レーマン博士とは1度だけ会ってたとなっていました。
身元確認に来た叔母ランダム夫人やアップルゲート少佐も留置されます。クルマを届けに行った使用人ゴーガティもクルマ泥棒ということで留置されます。豹を輸送していた男2人もやってきます。
何が何だかわからない状態の保安官は面白すぎとなっています。何しろコネチカットには豹はいないというのが前提なので全然話しが進みません。
そんな中をスーザンは保安官にデタラメを並べて隙を見てクルマで逃亡します。

フリッツ・レーマン博士はあちらこちらに出ています。ここではスーザンを通報して調書?をとっています。
スーザンがクルマでズラかった時もまたフリッツ・レーマン博士のクルマでした。実は肉屋でスーザンが盗んだクルマもフリッツ・レーマン博士のだったのです。

どうやったのかわかりませんがサーカスの豹を捕獲して警察に連れてくるスーザンですが豹はもう捕まっていました。また一騒動となりますが何とかサーカスの豹を留置所に入れます。

エピローグ。博物館にて。
この件が女遊びの御乱行と思われて婚約者に逃げられるデビッド。
入れ替わってスーザンが骨を持参して来ます。
ホントに高所から右腕1本でぶら下がっているキャサリン・ヘップバーンです。腕が抜けるのでは思わせます。さすが大女優です。よくやります。


キャサリン・ヘップバーンはホントに豹と接触していた。凄いな。
ハイテンションでエキセントリックでマシンガントークでやたらと走り回るヒロインでした。ホントにそうです。
キャサリン・ヘップバーンの運動神経は抜群で元軽業師のケイリー・グラント並みのようです。
転んだりやたらと走り回ったり川にハマったりと、とても大女優とは思えない扱いでした。
そういえばヘップバーンの出演作品はこの他では『フィラデルフィア物語』(1940年)しか見たことがないのでそんなに変わらないじゃないというのが正直なとこです。
タバコを貰えます?とタバコののついでにシガレットケースまでかっぱらうのをキャサリン・ヘップバーンがやっていました。この手口はこの頃からもうあったんですか。

眼鏡を取ると素敵になるのはヒロインだけとは限らない設定がありました。ケイリー・グラントならではの設定ですか。

サポートの方々も飛ばしてくれます。
自称狩猟の達人?アップルゲート少佐は色々とやってくれて大変なものでした。
バリー・フィッツジェラルドの使用人のゴーガティはアル中でコメディリリーフを務めていました。コメディリリーフというと全員そうなのかもしれませんが。

考古学者が組立中の化石の名はですが現在ではブロントサウルスとは言わない筈と思うけど。→アパトサウルスです。

そんなわけでノンストップでデタラメな出来事が続く見事なスクリューボール・コメディのよい作品でした。

スクリューボール・コメディについて。
ロマンティック・コメディが過激になったような感じなのがスクリューボール・コメディことだと思います。要するにヒロインが風変わりになったという感じ。
どうしてスクリューボール・コメディとなったのか?MLBが好きな私の見方としては・・・、
スクリューボールとは左投手が投げる右打者に対して逃げながら落ちるボールのことをいいます。右投手が左打者に対して逃げながら落ちるボールを投げてもスクリューボールとは言わず、この場合はシンカーとなります。左投手が投げるからスクリューボールというのです。それで左投手自体がもう風変わりな存在でその左投手の中でもスクリューボールを投げる人はさらに少ないのでまた風変わりな存在になるのです。スクリューボールは会得が難しくてコントロールがつけにくく腕を痛めやすいというなかなかドラマチックな特徴がある変化球です。

1930年代にMLBナショナルリーグのN.Yジャイアンツで活躍した左投手カール・ハッベルの得意の球種で1934年オールスターゲームでベーブ・ルースを始めとする後に殿堂入りする打者連を5連続三振を奪ったことで有名です。丁度1930年代にスクリューボール・コメディが流行った時期にシンクロしています。やはりカール・ハッベルがN.Y.のチームの選手だから有名になったのでしょう。まだ西海岸にはMLBのチームがなかったころで当時の西の果てセントルイスで有名なセントルイス・カーディナルスではなく全く人気のなかったセントルイス・ブラウンズの選手だったらはそうはいかなかったと思われます。

日本のプロ野球では左投手でスクリューボールを投げる人はいません。いたとしても通用しません。見送られてボールの判定になるだけです。それでコーナーを突けずに真ん中に投げればさしものスクリューボールも打たれてしまいます。実際そんなものです。えこひいきな判定ともいいますけど異常に選球眼がいい打者が揃っていますから。

スクリューボールなヒロインにきりきりまいする男の話で最期にヒロインはわざと打たれてくれます。右打者は普通の男、左投手のスクリューボールは風変わりなヒロインとなってると思えます。


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コメント

こんにちわ。昨日(5/5)に赤ちゃん教育を観ました。昔のコメディー映画は今のコメディー映画よりも面白く感じますが、ロイ・フェイスさんはどう思いますか?僕はこの映画は大変面白く感じたし、失礼ながらキャサリン・ヘップバーンが可愛く見えました。

ディープインパクトさん、毎度のコメントありがとうございます。

コメディですが、昔も今も出来のいいのは好きですね。
今は作品の出来のいいのも悪いのも玉石混淆ですが、昔の作品は出来がいいのしか残っていないので、何とも言えないというのが正直な感想です。
ネタ切れ度からする今の方が分が悪いような。

『赤ちゃん教育』(1938年)のキャサリン・ヘップバーンはいいですね。わがままなお嬢様もあそこまで突っ走るとと感心してしまいます。嫌みに見えないように演出しているのもありますけど。

ハワード・ホークス監督のコメディなら『ヒズ・ガール・フライデー』(1940年)もお勧めです。全編早口のマシンガントークが絶品なのです。時間があればご覧ください。

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