『ハリーの災難』(1956年)
この作品はアルフレッド・ヒッチコック監督の死体を埋めたり掘ったりするブラック・コメディで異色作となっています。
なおこの文はネタバレ全開となっています。
1956年 パラマウント アメリカ作品
ランニング・タイム◆99分
原題◆The Trouble with Harry
プロット◆じゃまな死体を埋めたり掘ったりする話しのようです。
音楽◆バーナード・ハーマン→アルフレッド・ヒッチコック監督のコンビ第1作です。
ユニバーサル・ピクチャーズ発売のDVDにて。画質が素晴らしい。以前買ったLDの画質なんてカスみたいなものです。この作品を売りのよく撮れている紅葉が美しく見れます。最初に意図されていた絵がようやく見れたことになります。DVDでは最初にユニバーサルと出ますが製作はパラマウントです。
キャスト
エドマンド・グウェン→猟をするウィルズ船長
ジョン・フォーサイス→画家のサム・マーロウ
シャーリー・マクレーン→子持ちのジェニファー
ジェリー・マザーズ→息子のアーニー
ミルドレッド・ナトウィック→42才のミス・グレブリー
ミルドレッド・ダンノック→雑貨屋のウイッグス夫人
ロイヤル・ダノ→保安官代理カルビン・ウイッグス
バリー・マッカラム→浮浪者の男。ルンペン?
パーカー・フェネリー→絵を買う金持ちの老人
ドワイト・マーフィールド→読書家の医者
フィリップ・トルエクス→死体のハリー・ウォープ
アルフレッド・ヒッチコック監督の演出はよいと思います。
タイトルバックのマンガは有名な人が描いているらしい。私は全然知りません。
ある1日の話しになっています。ロケ地はバーモント州のどこだっけ?絵がきれいなこと、紅葉がよく撮れています。マディソン郡だけではないようで屋根の付いた橋が見れます。
ヒッチコック監督作品ではロケとセットの画調が違いすぎてわかりやすいのがマイナスとなります。
溶暗をよく使っています。さすがヒッチコック監督は上手なものです。
省略の上手なこと。リアル、グロテスクになりそうなとこを溶暗で省略して当時の倫理コードに従って描写されています。今見ると死体が出なくて物足りないというより洗練されていますなとなります。これはもちろん監督の腕前がいいからです。
この作品の全体的な雰囲気はとてもいいと思う。実によいです。憧れてしまいます。
靴で死体を突くとこをわざわざクローズアップショットで撮ってありました。さすが巨匠は違うと感心する。
意味もなくドアが開くショットも使っています。
突然出現したじゃまな死体を埋めて掘ってまた埋めて、またまた掘る・・・と繰り返します。
→最初は埋めます。
→傷の確認で掘ります。死体は入ったまま。
→確認したので埋めます。
→警察に届けた方がいいでしょうということで掘ります。
→やっばり埋めます。
→死亡証明がないと2人が結婚出来ないのでまた掘ります。
→死体をきれいに洗って元の場所に置きます。
これを1日でこなしていました。いそがしいことです。
死体を埋めたままに出来ないのは浮浪者に取られた靴が保安官代理に押収されたのもありました。
結局何もおこらない話しでもあります。異色作です。
当時では興業がいいわけがないとよくわかります。これ見ていったい何の話しだとか死体の扱いが不謹慎だかとで怒りだす人がいるのではと思ってしまいます。そうゆう作品なのです。
伏線の生かし方でいいです。何気ない描写が実は伏線になっています。
一例としてはカルビンのクルマ好きとか。ですからホーンを勝手る鳴らされると事情聴取は切り上げて帰ってしまうとこに無理がありません。クルマを気にしてるのです。ヒッチコック監督作品で脚本がいいのがあるとはとは知りませんでした。。
ウイッグス夫人の雑貨屋の店内は絵が並べられてありカラフルになっていました。これはもちろんデザインされてるのでしょう。
アルフレッド・ヒッチコック監督は絵を見る金持ちの後を歩いて登場しています。ほんの一瞬です。
子持ちのジェニファーを演じるシャーリー・マクレーンは何でヒロインに選ばれたのかいまだにわかりません。洗練されてる金髪美人がアルフレッド・ヒッチコック監督の好みなのです。
異色作に合わせてヒロインも異色にしたのかも。ですが赤毛のショートカットのヘアスタイルも素敵できれいに撮れています。自分の好みの女優さんでなくてもちゃんときれいに撮っています。さすが巨匠です。
先夫がロバートと言ってその子供がアーニーで、死体となったハリーはロバートの兄?だっけ。どうでもいいことなんですけど。
画家のサム・マーロウを演じるジョン・フォーサイスはTVや映画の『チャーリーズ・エンジェル』(2000年)のチャーリーの声で有名です。
サム・マーロウという役名はまたふざけているような感じてす。ハードボイルド物では有名なキャラのサム・スペイドとフィリップ・マーロウから?この作品のサム・マーロウは全然ハードボイルドではないキャラだったりします。
似た名前の2人、ミルドレッド・ナトウィックとミルドレッド・ダンノック。
そのうちミルドレッド・ナトウィックのほうがジョン・フォード監督組の人です。『三人の名付け親』(1948年)に出ています。この2人のミルドレッドのキャスティングだってしゃれみたいなのものでしょう。
エドマンド・グウェン扮するウィルズ船長の使用してる猟銃はレバーアクションと思っていましたがレバーがない。それならボルトアクションとなりますがボルトを操作するレバーがない。何なんだ?撮影用のタダの張りぼてダミーなのか?
ロイヤル・ダノ扮する保安官代理カルビン・ウイッグスの給料は歩合制となっていてですから死体のことでむきになって捜査活動をしているとなります。ロイヤル・ダノはウエスタンの悪役専門の人だそうです。(ウエスタンの専門書で読んだ記憶があります)
そんなわけで死体を埋めてる掘ったりしてる割には不快な感じがしないよい作品でした。
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