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2006.01.08

『メル・ブルックス 新サイコ』

この作品はメル・ブルックス監督主演のアルフレッド・ヒッチコック監督作品のパロディ物コメディです。
なおこの文はネタバレ全開となっています。

1977年 20世紀フォックス アメリカ作品
ランニング・タイム◆94分
原題◆High Anxiety
プロット◆陰謀に巻き込まれる話しのようです。
音楽 ジョン・モリス◆バーナード・ハーマン調のスコアがいい。
20世紀フォックス/パイオニアLDC発売の秘蔵のLDにて。画質は悪いです。

キャストは多少スタッフが出ているようです。
メル・ブルックス→リチャード・H・ソーンダイク博士◆製作、監督、脚本、作詞
マデリーン・カーン→ヒロインのビクトリア・ブリスベーン
ロン・キャリー→運転手兼助手のブロフィ
ハービー・コーマン→悪役のモンタギュー博士
クロリス・リーチマン→ナースのディーゼル
ディック・バン・パッテン→弱気なウエントワース博士
ハワード・モリス→恩師
ロン・クラーク→狼男の夢を見るカートライト◆脚本
チャールズ・カラス→コッカースパニエルのブリスベーン
アルバート・J・ホイットロック→本物のブリスベーン◆特殊効果
リー・デラノ→看護士というより看守のノートン
バリー・レビンソン→サイコなベルボーイのデニス◆脚本
ルディ・デルーカ→殺し屋のブレース◆脚本
名前だけで登場せず→前所長のアシュレー

メル・ブルックス監督(主演も)の演出はよいと思います。脚本は4人がかりでアイデアを詰め込んでいます。
メル・ブルックス扮するリチャード・H・ソーンダイク博士は高所恐怖症の設定になっています。そうなった原因が多分英語のダジャレになっていると思えますが何回見てもよく分からない。

メル・ブルックス監督のヒッチコック監督作品をスポイルしていないパロディのやり方はいいものです。パロディ以外の本編も優れているのがいいとこです。「ラブソングを歌ったり、人を撃ったり・・・」のセリフは最高です。


TWAの旅客機からタイトルとなります。
TWAの飛行機でロサンゼルスの到着します。TWAは映画界に関係していたハワード・ヒューズからですか。
音楽が非常にいいです。主題歌のスコアで統一されています。
着陸して空港内で小ネタが入ります。
出迎えギャグ。実は違う人でしたとルーティンなギャグ。
ゲイネタのギャグ。ゲイの決めセリフ「自分を偽るな」というのが傑作。
このタイトル・ドラマチックな空港はエアポートは『北北西に進路を取れ』(1959年)のタイトルでも最後にドアが閉じるとこがシンクロしています。

空港を出るメル・ブルックス扮するリチャード・H・ソーンダイク博士。
出迎えにロン・キャリー扮する運転手ブロフィが登場。

ベンツのリムジンで移動中のソーンダイク博士。
雑談となってこれから行く『とてもとても重症の精神病療養所』は怪しいと主張する運転手ブロフィです。
ここで怪しい音楽が入るギャグとなります。


ロングショットで岬の先にあることがわかる『とてもとても重症の精神病療養所』に着きます。
出迎えはディック・バン・パッテン扮する弱気なウエントワース博士です。
次はハービー・コーマン扮する悪役のモンタギュー博士。
で、クロリス・リーチマン扮するナースのディーゼルが登場してキャラ紹介となります。

私室のソーンダイク博士。
ハワード・モリス扮する恩師リローマン老教授と再会となります。
ここで高所恐怖症の症状が出るソーンダイク博士。

夕食の席です。
カメラがガラスに激突するシーンがあります。
ガラスが割れたとこを見ている人達です。普通は見ないと思うけど。
このガラスに激突するカメラは『レベッカ』(1940年)です。オリジナルでは格子の門をカメラがすり抜けるなかなかいいシーンでした。それがこの作品ではガラスをすり抜けるわけがなく激突するのです。オリジナルを知っている人も面白いし、ただのギャグでも面白い優れ物です。この作品のパロディの中での白眉です。
遅刻したら前菜は抜きのギャグが入ります。

夕食後の雑談となります。
回復率はブルームーン。
完治した患者はの問いに「ブルームーン」と答えます。日本語字幕によるとブルームーンとはごくたまににという意味だそうです。MLBの1970年代の選手でオークランド・アスレチックスにジョン“ブルームーン”オドムという投手がいましたがごくたまに出る選手だったのかごくたまに活躍する選手だったかは不明です。

夜も更けて私室のソーンダイク博士。
投石があります。大きな石です。意味不明なギャグです。
ブロフィが来たとこで怪しい叫び声が聞こえてきます。

その部屋に駆けつけるソーンダイク博士とブロフィ。
ナース・ディーゼルの部屋です。何事もないと称するので引き上げます。
部屋の中ではナース・ディーゼルきモンタギュー博士とのSMギャグとなります。
コスプレでSMしている悪役コンビの図。あまり笑えないギャグです。

オフィスのソーンダイク博士。
反射した光が差し込みます。
モンタギュー博士が来ます。回復率のことから患者を呼びます。
首に激痛が走り狼男の夢を見たカートライト。
で、首の痛みが再発してまた病室に戻ることになります。
ここで退院出来る狼男の夢を見る患者の症状を無理やり再発させるギャグがあります。面白いけどこれは洒落にはならないような。良識派?の低評価はこのあたりに原因があるようです。
小細工に全然気がつかないソーンダイク博士です。こんなケースは初めてだとくる。そりゃそうでしょう。
また光が差し込みます。誰?ブリスベーンですとモンタギュー博士。
ブリスベーンに会うことにするソーンダイク博士。

私室にて治療中のソーンダイク博士。
リローマン老教授に高所恐怖症の治療されているソーンダイク博士です。
ここから催眠治療に熱中し過ぎてボクシングに至るギャグがあります。これは笑えます。2人で殴り合います。途中参加のモンタギュー博士はレフリーとなります。
で、ソーンダイク博士が高所恐怖症であることがモンタギュー博士に知られてしまいます。モンタギュー博士を通じて噂が拡がるギャグもあります。

ブリスベーンに面会のソーンダイク博士。
ヒゲが半分の看護士ノートンが登場。
ブリスベーンはコッカースパニエルとなっています。
何で鏡を使ってコンタクトを計る?→コッカースパニエルは利口ですからで済んでいます。
その返事に納得するのなよソーンダイク博士となります。

水槽からのショット。小型のサメが泳いでいます。
ナース・ディーゼルと弱気なウエントワース博士。
クモの巣にかかったウエントワース博士の図。この窓の影の図(蜘蛛の巣)は何だっけ?多分『断崖』(1941年)だと思う。
ここを出ていってもいいとナース・ディーゼル。

ナース・ディーゼルの目とクルマのヘッドライトがオーバーラップしてシーン転換となります。
雨の夜、クルマを走らせるウエントワース博士。
クルマにてワイパーのショットは『サイコ』(1960年)です。夜の雨はクルマはとても走りにくいのです。
クルマから出られなくなってやかましい音楽で死に至ります。
ところでこのクルマはパワーウィンドウではないのか。

療養所にて。学会に出かけるソーンダイク博士。
ブロフィの写真にはうんざりしているはずのギャグがあります。

金門橋からハイアット・リージェンシー・ホテルへと。
クラシックなデザインのエレベーターが目立ちます。
フロントでチェックインのソーンダイク博士とブロフィ。
バリー・レビンソン扮するベルボーイのデニスが登場。

エレベーターで17階へと向かいます。このホテルの最上階です。
17階に着いたとこでひどい目に遭うソーンダイク博士。
態度の悪い従業員がそろってるホテルです。
サンフランシスコではハイアットリージェンシーホテルでロケをしています。エレベーターのシーンがミニチュアっぽい。

部屋に着いたら新聞のことで逆ギレするベルボーイのデニス。
フロントでまた念を押されてまたぶち切れます。

17階にて。
シャワーを使うソーンダイク博士。
ぶち切れのボーイが乱入します。この落ちがいい。
このシャワー中にベルボーイに襲われる図は『サイコ』(1960年)です。脚本から監督になって現在は巨匠?のバリー・レビンソンのベルボーイにソーンダイク博士が新聞で襲われる図です。血の代わりに新聞のインクが流れます。これは傑作。

この作品のハイアットリージェンシーホテルは態度の悪い従業員がそろっていて高所恐怖症のソーンダイク博士を17階から突き落とそうとしたり新聞を買いに行かされると逆恨みして逆ギレしたりとソーンダイク博士を攻め立てます。
アメリカはこういうとこが意外は太っ腹で悪く描写されてもかまわないようで日本映画でしたら協力する側はどうかしりませんが製作側が次からタイアップ(ロケしたとこで宣伝になるからとお礼でタダ飯タダ酒にありつく河原乞食の末裔にふさわしい所業)が出来なくなることを恐れて出来ないことです。

やっと落ち着いたとこで誰かがやって来ます。
マデリーン・カーン扮するヒロインのビクトリア・ブリスベーンです。
入ったらすぐにカーテン締めての図があります。これは『舞台恐怖症』(1950年)から。
キスでごまかすシーンもあります。これは他の作品でもよくあるシーンです。
で、入院しているブリスベーンの娘ビクトリアと名乗ります。

部屋から出たとこを殺し屋に見られています。

学会です。
講演するソーンダイク博士。司会のコーバック。
舞台の後に並べて飾ってある人物の写真は誰なのでしょう。
学会での演説に使用しているマイクの形は、本『映画術』P.343 のスティルのと同じ形です。これもパロディなのか。だったら凄く凝っています。

カットインで療養所と電話する殺し屋。
やたらと殺したがっています。
これを入れて講演部分を省略しています。上手いじゃん。

講演が終わり質疑応答となります。
途中から子供連れで来た人のために子供に配慮して専門用語を子供向けに言い換える下ネタギャグがあります。これ最高で傑作です。
ペニス、乳房、用便の大小、ヴァギナ。大まじめに論じるのが面白い。

バーにて。
ミドルネームの由来は?は『北北西に進路を取れ』(1959年)です。この作品ではマルクス兄弟からとなっています。
ラブ・ソングを歌うソーンダイク博士。
シンシナティ出身の男がいてMLBネタが入ります。
当時最強のシンシナティ・レッズはビッグレッドマシンと呼ばれ1975年はボストン・レッドソックスを4勝3敗で退け、1976年はN.Y.ヤンキースに4連勝しました。

ここでビクトリアのバッグからブリスベーンの写真を見るソーンダイク博士。
コッカースパニエルとは別人です。
これを見ているカウンターで飲んでる殺し屋です。

療養所にて。
相談中のナース・ディーゼルとモンタギュー博士。
ソーンダイク博士を陥れることにします。
テーブルの下からのガラス越しの悪役2人の会話シーンは『下宿人』(1926年)からです。オリジナルでは2階の床をガラスにして歩き回るとこを下から見えるようにしたシーンです。サイレント映画なので足音を聞かせることが出来ないので聞かせるのではなく見せるこの手法となったそうです。
ここではガラスのテーブル越しに悪役2人の悪の謀議がなされます。足音ではなくてコーヒーカップや皿がガチャガチャとガラスのテーブルが割れそうな騒音をたてまくります。それでカメラがローアングルなのでクロリス・リーチマンのパンチラが見たくないのスリルとサスペンスが堪能出来ます。

ホテルのフロントです。
チェックアウトのブロフィ。ニコンのカメラを持っています。
そんなとこでいきなり学会関係者を撃ち殺すソーンダイク博士。

エレベーターを降りたとこでソーンダイク博士からリボルバーのプレゼントを受け取るソーンダイク博士。当然追われることになります。
この殺人犯に間違えられた男の図は『北北西に進路を取れ』(1959年)です。まるっきりそのままではなく少し変えてあるのがいいとこです。ギャング映画みたいに「撃つなジェントルメン」とセリフを入れるのもいい。

公園の公衆電話にて。
ビクトリアに電話するソーンダイク博士。会うことにします。
待ち時間でベンチに座っているとこで鳩に襲われる図は『鳥』(1963年)です。簡単すぎて思い出すのが遅れた。カラスではなくて鳩になり鳥の糞をかけられる下ネタギャグになっています。
で、鳩の群れが襲ってきます。小屋に逃げ込みます。ここで効果音を切るのは上手い。落ちは下ネタとなります。

クリーニング店に入るソーンダイク博士。
当然嫌がられます。

公園にて。
ビクトリアがクルマでやって来ます。
何故かクルマと服の柄が同じ。意味不明。
名セリフがあります。「ラブ・ソングを歌ったり、人を殺したり」と。
ところでマデリーン・カーンとリース・ウィザースプーンはソックリです。

新聞の写真をよく調べることにするソーンダイク博士。
ビクトリアからブロフィに連絡してくれとなります。
お巡りが来てまたキスでごまかす図となります。

療養所にて。
写真を引き伸ばすブロフィです。徹底的に伸ばします。
で、あっさりとその場を押さえられます。ネガもあっさりと渡します。
捕まったブロフィは重症専門の北病連送りとなります。

ポケベルで呼び出しをされて電話ボックスへの殺し屋。
割り込んで電話をかけます。
殺しの許可を受けて人生は素晴らしいと殺し屋。

金門橋にて。
何故かある電話ボックス。電話をかけようとするソーンダイク博士。
そこに殺し屋が襲いかかります。
電話を受けてるビクトリアは聞こえてくるうめき声をテレホンセックスと判断してそのように対応します。上流階級の令嬢が何でそんなに慣れてる?と突っ込みたくなります。
殺し屋は割れたガラスに腹を突き破られて死に至ります。あくまでもテレホンセックスのつもりのビクトリアはそのようにリアクションしています。
で、ようやく電話を取るソーンダイク博士。笑ってごまかすビクトリアです。
面白過ぎです。
金門橋にて一騒動は『めまい』(1958年)です。あの素晴らしい構図のとこです。パロディはそれだけで後はいかにもセットでたった今置きましたといった感じの公衆電話ボックスで殺し屋に襲われたソーンダイク博士との攻防がテレホンセックスの下ネタギャグになっています。これも最高。もしかしてここは『ダイヤルMを廻せ!』(1954年)からなのかい。上流階級の令嬢の筈のヒロインがテレホンセックスに妙に慣れた対応がまたいい。

電話の内容です。
ブロフィに連絡したが行方不明とのことです。
それなら直接に療養所に乗り込んでブリスベーンを証人にとなりますが、まず空港を突破しなければならなくなります。
救世軍に行こうとソーンダイク博士。

S.F.の空港にて。
救世軍で入手した衣装でコスプレして金属探知器の突破を計るソーンダイク博士。
ハーポ・マルクスのコスプレをしているソーンダイク博士です。
歩き方の図は『巌窟の野獣』(1939年)ですか?本『映画術』で知りました。チャールズ・ロートンがまだ歩き方が決まっていないんだと言うエピソードでした。ヒッチコック監督はチャールズ・ロートンのことは嫌いのようでこき下ろしていました。自分に似ている人は嫌いなの?
ここはなんやかんやで突破となります。

夜も更けて療養所にて。
怪しい茂みの動きは『泥棒成金』(1955年)からでしょう。

リローマン老教授はうたた寝をしていました。死んでいない。
この寝ている老教授を死んでると勘違いする図は『白い恐怖』(1945年)です。
ブロフィには神経衰弱とは縁がないとソーンダイク博士。北病連に向かいます。

北病連にて。
ブロフィを見つけます。
ブリスベーンと塔に連行され突き落とされて自殺にされるとのことです。

塔に向かうソーンダイク博士他3人。
作画合成の塔です。担当は本物のブリスベーンを演じてる実は特殊効果の巨匠アルバート・J・ホイットロックだと思われます。
アルバート・J・ホイットロックはマット画の巨匠で『鳥』(1963年)の特殊効果もやっていてあの名シーン等を担当した人です。ガソリンスタンド炎上俯瞰でカモメが飛ぶシーンはマット画だそうです。道路は実写で街はマット画、その上にロトスコープのカモメを飛ばすセンスが凄い。ロトスコープとは実写をアニメ化する手法です。やはりあのカモメはアニメーションでしたか。

ブリスベーンを抱えた看護士ノートンを追うとこですが次々と脱落となります。
ソーンダイク博士は高所恐怖症でダメ。
リローマン老教授はご老体でダメ。
ブロフィは全然ダメ。
ビクトリアには行かせられないので改めてソーンダイク博士が向かいます。

木製の階段が割れて落ちかけるソーンダイク博士。
ここで回想となって高所恐怖症になった原因がわかります。
両親が自分のことでケンカとなってベビーカーから転落したのが原因?

塔の上に到達するソーンダイク博士。
ノートンを片づけて、ナース・ディーゼルは転落となり。モンタギュー博士は降参となります。
ここからシーン転換してエピローグになります。
ラストのシーン転換は『北北西に進路を取れ』(1959年)です。オリジナルのほうが洗練されています。と言うよりオリジナルのほうがギャグの度合いが大きいみたいです。よい。→ギャグと言うよりエッチネタのほうが強いか。

エピローグ。
後退して壁をぶち抜くカメラ。これはカメラが移動してセットが移動してどいたらしい凝った撮影だった『ロープ』(1948年)かも?
歌が入りエンドとなります。音楽が非常によいです。

そんなわけでこれはパロディ抜きでも面白い作品でした。メル・ブルックス監督の最高傑作だと思います。



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