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2005.12.18

『ボディ・ダブル』(1984年)

この作品はブライアン・デ・パルマ監督のアルフレッド・ヒッチコック監督作品からの引用大会サスペンスです。
なおこの文はネタバレ全開となっています。

1984年 コロンビア・ピクチャーズ アメリカ作品
ランニング・タイム◆114分
原題◆Body Double
プロット◆殺人事件の証人にされる話のようです。
音楽◆ピノ・ドナジオ→バーナード・ハーマンとホトンド同じとこもあります。
ソニー・ピクチャーズ発売のDVDにて。画質は非常によいです。

キャスト
クレイグ・ワッソン→B級映画俳優のジェイク
グレッグ・ヘンリー→ジェイクを知っているサム
デボラ・シェルトン→金持ちのグロリア
メラニー・グリフィス→ポルノ女優のハリー
ガイ・ボイド→マクレーン刑事
デニス・フランツ→嫌みなB級映画監督
バーバラ・クランプトン→ジェイクの元恋人となるキャロル

ブライアン・デ・パルマ監督の演出はよいと思います。
怪しげに動くカメラ。果たして見ている人はわがままなデ・パルマ監督の演出についていけるでしょうかとなります。→演出はヘタではないのでついていけたりします。
公開当時はアルフレッド・ヒッチコック監督の『裏窓』(1954年)『めまい』(1958年)を無駄に引用していると酷評されていたような。

主観ショットとそれを見てる本人を切り返す手法を使っています。
これはアルフレッド・ヒッチコック監督の得意の手法で、デ・パルマ監督は忠実に使いこなしています。
前半は会話での切り返しはやっていませんでしたが、後半のメラニー・グリフィスとの会話シーンでは切り返しをやっていました。意図は不明です。
前半はデボラ・シェルトン、後半はメラニー・グリフィスとなっていて2人の女優さんが同じ画面に出ることはありません。そんなに気を使うほどの女優さん2人ではないと思えますがちゃんと気を使っています。


B級バンパイア物を撮影中に閉所恐怖症の発作を起こすクレイグ・ワッソン扮するB級映画俳優のジェイク。
青いフォード・マスタングのコンバーティブルに乗って帰宅しますが。同居している恋人キャロルは浮気中でした。
家がキャロルの持ち物なので居られなくなったジェイクは酒を飲んでバーテンに絡みます。

シェークスピア物のオーディションを受けに行くジェイク。
サムと会います。
演技教室にて、隠れんぼをしていて冷蔵庫に閉じこめられて状態を演じるジェイク。こういうことはホントにやっているのですか。興味深い。

サムと飲んでて留守番のアルバイトを紹介されるジェイク。
その家は超高級な家でした。隣の家の覗きを指南するサム。隣の家では美しい夫人が半裸で踊っています。ジェイクは夢中になって覗きます。こまったものです。
ところでこの踊っているのは誰がやっているの?→話しの設定では雇われたポルノ女優ですが、実際にはグロリアを演じているデボラ・シェルトンがやってると思います。

エージェントから電話で映画をクビになったと連絡を受けるジェイク。監督に話しをつけに撮影現場まで行きますが状況は変わらず。
嫌みな監督をデニス・フランツが熱演しています。

また覗きをしているジェイク。これが2晩目のようです。
隣の家近くのアンテナ塔にネイティブ系の謎の男がいます。

買物中のジェイクは隣の夫人を見かけてネイティブ系の謎の男が尾行しているのを見て尾行を尾行します。
ショッピングモールにつきます。今度は隣の夫人を尾行するジェイク。この一連のシーンは凝ったカメラワークが全開となってて『めまい』(1958年)の完璧なコピーといった感じになっています
夫人が入った下着店ベリーニにまで張り付いているジェイク。当然怪しまれます。
エレベーターで夫人と2人きりとなるジェイク。そこに大勢乗り込んで来てまた発作を起こしそうになるジェイク。
夫人の捨てた下着をゴミ箱から拾うジェイク。これは変態です。

ビーチのホテルまで尾行するジェイク。
話しを追ってメモしているのがあまり意味があるとは思えずバカらしくなるのがデ・パルマ監督作品です。

夫人がハンドバッグを盗られたので走って追いかけるジェイク。
地下道まで行ったとこで閉所恐怖症の発作を起こしてしまいます。当然逃げられます。あまり役にたっていないジェイクです。
ここでようやく夫人は知り合い名前がグロリアとわかります。2人で地下道を出たとこで唐突にキスシーンとなりスクリーンプロセスで360℃バンニング全開の手法となります。『めまい』の完璧なコピーです。キャストはだいぶB級ですけど。

警備員と同伴で帰宅する隣のグロリア夫人。これでカードキーが盗まれていたとわかります。
グロリア夫人に電話をしようとしつつまだ覗きをしているジェイクですが夫人の家の中に謎の男を発見します。男は電動ドリルも準備しています。この電動ドリルの使い方がエグイのです。直接描写はないのですが見ててエグイ。ここは必見です。
助けに走るジェイク。犬に咬まれたりして結局役にたっていなかったりします。グロリア夫人は死に至ります。

マクレーン刑事から事情聴取を受けるジェイク。
ゴミ箱から拾った下着が見つかったりしてかえって怪しまれてしまいます。グロリアの夫アレキザンダーは金持ちの夫人が死んだので普通は夫が疑われるとなっています。これは『ダイヤルMを廻せ!』(1954年)の設定です。

ジェイクはやけ酒を飲みながらポルノビデオを見てて予告編でハリーを見ます。踊り方が同じではないかとハッキリは確認するためにレンタルビデオ店に走ります。
この頃はまだVHSとベータがそろえてあったようです。

ポルノ映画のオーディションを受けに行くジェイク。
ここでフランキー・ゴーズ・ハリウッドの『リラックス』が流れます。
この作品が半分以上過ぎた1時間と19分でようやくメラニー・グリフィス扮するポルノ女優のハリーが登場します。

ハリーを誘うジェイク。
留守番している例の家まで連れていきます。何故か髪形がポマードでオールバックになで付けているジェイク。
ここでは会話シーンの切り返しをやっています。色々と聞きます。「あれは君だな」のセリフ。ハリーが2晩の仕事で引き受けたとのこととわかります。
この時に隣の家から逆に覗かれていることが見ている側だけにわかります。デ・パルマ監督上手いじゃん。この辺が単なるパクリ屋とは違うとこです。
口論となってハリーは出て行きます。股間を蹴られて悶絶するジェイク。いいとこないです。

マクレーン刑事と電話で話すジェイク。
警察へ行くことになりますが途中で謎の男とハリーの乗ったクルマを見つけて追うジェイク。
そしてクライマックスはプロローグの映画撮影と混同というかカットバックするギミックな手法をとっています。これはヒッチコック監督からの引用ではありません。デ・パルマ監督にもヒックコック監督からの引用以外の手法があるのではないかと驚く。

B級バンパイア物の撮影に復帰したジェイク。これでエンドとなります。


キャストはB級な感じが強い。
クレイグ・ワッソンは熱演しています。さえない俳優というのが非常に合っています。この作品以外では見たことがないけどキャリアを続けているようです。

金持ちの夫人グロリアを演じるデボラ・シェルトンはB級一直線といった感じで出続けています。一貫してて偉いではないですか。大柄な南部美人といった感じです。

ジェイクの元恋人となるキャロルを演じるバーバラ・クランプトンはこの後にカルトホラー『ZOMBIO 死霊のしたたり』(1985年)のヒロインを務めてます。これはぜひ見たいです。
この作品では浮気中の1シーンしか出ていません。扱いが悪いです。確か劇場で見た時はボカシがあったけどこのDVDはボカシはありません。当たり前のことです。

メラニー・グリフィスはヒッチコック監督作品の『鳥』(1963年)のヒロインを務めたティッピ・ヘドレンの娘です。メラニーという名はティッピ・ヘドレンの『鳥』での役名です。おそらくそこから名付けられたのでしょう。

デニス・フランツと同じくグレッグ・ヘンリーもデ・パルマ監督作品の常連です。
おそらくグレッグ・ヘンリーが1番デ・パルマ監督作品に出ていると思います。デ・パルマ監督にとって作品が上手くいくようにと保険代わりのか?
それともヒッチコック監督作品に主役ではないけど8作も出てるレオ・G・キャロルのようなものかもしれません。

そんなわけでヒッチコック監督作品価値の引用はともかく、よく出来ているサスペンスのよい作品でした。

ところでデ・パルマ監督はこの作品の主人公のように時々発作が起こるようです、それは意にそわない作品や失敗作を撮った後に、話しは何でもいいからヒッチコック監督の真似がしたくるなるということです。
デ・パルマ監督におけるヒッチコックシンドロームと言えそうです。話しは何でもいいというか話しになっていないのはデ・パルマ監督の作品では毎度のことかもしれないけど。


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コメント

昔 ガキンチョだった頃 日曜洋画劇場でテレビで放送してたのを おぼろげながら見てた憶えてます。 なつかし~い まだ あの頃 チ〇毛が 生えてなかった小学生だった・・・・

>隣の家では美しい夫人が半裸で踊っています。ジェイクは夢中になって覗きます。こまったものです
 今は ゴールデンの時間帯に テレビで放送できないでしょうが 昔は そんなのお構いなしで放送してましたね。 ボクは 子供ながらに ニタニタしながら見てました


 大声でいいたいです。 ”そりゃあ あんなセクシーなダンスを窓からしてたら のぞきたくなるって!!!!”    だから 今現在 ボクは スケベオヤジになったと実感してます(笑い)


 しかし メラニーのケツはキレイでした  デパルマ恐るべし!!!

zebraさん、コメントありがとうございます。
ここんとこ体調不十分と妙に忙しくて返事が遅れました。

昔のTVはおっぱいやキチガイ等の差別用語とされてる言葉は結構平気で放映していたものです。
私もおっぱいだけで映画を何本も見たものです。

おっぱいもキチガイも自主規制した現在のTVが進歩したのか?というとそうでもないような気がしますが・・・

『ボディ・ダブル』はおっぱいは出てるし映画としてよく出来てるし、いい作品です。

お久しぶりです。ロイ・フェイスさん
ボディ・ダブルの エロ・ダンスを披露したデボラ・シェルトン、エロ要員としてなかなかいい役割でした。

最期はむごい殺され方で終わりますが・・・

デボラさん 70年代はアメリカのミス美人コンテストでアメリカでバージニア州代表で優勝したり 、ミス・ユニバース1970で準優勝まで行ったそうです💖

私生活では二度の結婚 いずれも離婚して独り身ですが 初めの夫 二度目の夫 それぞれとの男性との間に お子さんを授かっております。


ボディ・ダブル以外では 日本でVHSテープやDVD化されていない作品に出てますね。・・・まさにB級一直線的、いや 三流以下な作品・・・失礼、 さみしいキャリアです。

Sins of the Night (原題)でニック・カサヴェテスと共演したり
ターゲット/美しき目撃者(原題 Silk Degrees )でマーク・シンガーと共演したり
Circuitry Man II(原題)で Jim Metzlerと共演したりと

まあ、それなりですね。

zebraさん、コメントありがとうございます。

『ジーン・セバーグの日記』(1995年)でジーン・セバーグが言うところ女優さんは代表作が2本あれば運がいい方だそうです。

そうなるとデボラ・シェルトンは『ボディ・ダブル』だけではなく他にもいくらか代表作があるので運がいいとは言えないまでもまずまずなのでしょう。
そんなわけでとにかく女優さんは代表作が重要だ思います。アカデミー賞なんかより代表作なのです。

ロイ・フェイスさん おひさしぶりです。
ジーン セバーグのお話 ありがとうございます。

ずっと ロイ・フェイスさんの映画感想ブログ拝見していませんでしたので お返事書いてくださっていた事にきづきませんでした。

まずまずと言えるだけでも それでよし、と思わないといけませんね。俳優業は。

デボラ以外に もうひとりのヒロイン役のメラニーも かなり波乱な人生ですよ。

共演したドン・ジョンソンと交際をはじめ、1976年に結婚したが6ヶ月後に離婚。

1980年に俳優のスティーヴン・バウアーと再婚し1985年に息子が生まれたが7年後に離婚。 離婚後はコカインと飲酒の問題を抱え1988年にリハビリ施設に入所。

1989年に再びドン・ジョンソンと結婚し、娘ダコタをもうけるが離婚。
1996年に『あなたに逢いたくて』で共演したスペイン人俳優アントニオ・バンデラスと結婚した。1996年に娘が生まれている。2015年、アントニオ・バンデラスと離婚。

2009年には処方箋薬中毒の治療のためにリハビリ施設に入所した、とあります。

 私生活かなり乱れてます💦 結婚、離婚 結婚、離婚 中毒関係のリハビリ施設入所、そんな中でも それぞれの元夫たちとの間に 子供を授かって なかなかの肝っ玉母ちゃんぶりも披露しております。

 そんな彼女ですが  「ワーキング・ガール」(1988年)ではハリソン・フォードと共演しておりました。 まさに代表作✨

 おまけにその作品はアカデミー賞作品賞、主演女優(メラニー・グリフィス)と助演女優(シガニー・ウィーバー、ジョーン・キューザック) 監督賞(マイク・ニコルズ)がノミネートされており 主題歌賞(カーリー・サイモン 「Let’s the river run」)を受賞しております。

<アカデミー賞なんかより代表作なのです>
まあ、結局アカデミー賞と関わっちゃいましたけどね(;^_^A


 

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