『攻殻機動隊』(1995年)
この作品は押井守監督の警察物不条理アクションです。ラブロマンスも少し入っています。
なおこの文はネタバレ全開となっています。
1995年 プロダクションI.G./講談社/バンダイMANGA ENTERTAINMENT 日本作品
ランニング・タイム◆91分
原題◆Kôkaku kidôtai
英題◆Kôkaku kidôtai◆Ghost in the Shell
プロット◆人形使いに一目ぼれされる話しのようです。要するに星新一のSF小説『声の網』なのではと思います。電子頭脳(ここではプログラム)が意志を持ってしまう話しのようです。
音楽◆川井憲次
バンダイ発売のDVDにて。画質はよいです。◆始まる前に余計なお世話なアラートが出ます。
キャスト=VC
公安9課の草薙素子少佐→田中敦子
公安9課のバトー→大塚明夫
公安9課のトグサ→山寺宏一
公安9課のイシカワ→仲野裕
公安9課のボス荒巻→大木民夫
外務省の中村部長→玄田哲章
特殊な手のウイリス博士→生木政壽
強気な某国外交官→小川真司
亡命するプログラマー台田瑞穂→宮本充
外務大臣→山内雅人
電話する清掃局員→山路和弘
文句が多い清掃局員→千葉繁
ゴミを捨てるオッサン→松尾銀三
謎の実行犯→松山鷹志
義体の検死官→家中宏
技師→小高三良
運転手→佐藤政道
オペレーター→林田篤子
通信の声→上田祐司
狙撃手→亀山俊樹
指揮官→後藤敦
少女義体の草薙素子→坂本真綾
謎の人形使い→家弓家正
押井守監督の演出はよいと思います。
キャラクターデザインはオリジナルビデオシリーズ『御先祖様万々歳!シリーズ』(1989年)のようでした。ここでは多少リアルになっている。よほどこのデザインが気に入ってるらしい。
押井監督は勝手なことを言うだけあっていい腕をしています。
あのディテールが凝っているというより散漫な感じがする原作のマンガをよくこれまでドラマの集約化をして短い時間に収めたものです。
この話しのまとめ方でいいと思えます。原作マンガの通りやったら収拾がつかなくなります。でも原作通りが正しいと思ってるの人が多いからこまったものです。
話しの展開は早いです。
プロローグ
ここから他の作品でも必ずあるサカナのショットがあったりする。映画作家です。
水槽のサカナはアロワナのようです。
コンピュータープログラマの国外逃亡を阻止しようと外務省6課は手入れを敢行します。公安9課の草薙素子少佐が登場。
プロジェクト2501の話しが出ています。
公安9課の草薙素子少佐の仕事ぶりが描写されます。
某国外交官を射殺します。これは外務省をサポートしているのか?よくわからん。
光学迷彩を通して見たとこは凸レンズようになっていて凝っています。顔だけ見えてるを手で覆って顔を隠すショットがいい。
タイトルとなります。義体完成までの製造工程となっています。
リドリー・スコット監督の『ブレードランナー最終版』(1982年/1992年)のジョアンア・キャシディ扮するレプリカントのような体を乾かすショットがあります。
草薙素子のバストはこれがホントのシリコンなんですね。
タイトルでレイアウトと表記されている仕事は具体的に何なのかいまだによくわかりません。
目を覚ます草薙素子でタイトルは終ります。
外務省にて。
外務大臣と打ち合わせをする公安9課のボス荒巻。
マルス少佐の話しが出ます。
世論云々と言ってますが、権力側は世論なんてマスコミ操作でいくらでも作れるではないですか。ただし完全にはコントロールは出来ていないようですけど。これを言っているのか?
外務省の秘書を調べます。人形使いとは?と話しは進む。
公安9課にて。
ゴーストハッキングされたロボット秘書を調べてます。
ゴーストとは何だ?
クルマで移動中の草薙素子少佐とトグサ。
リボルバーをやめた方がいいとハンドガン談義があります。
首の後ろからネットに接続する設定があります。これは『マトリックス』(1999年)に引用されています。
人形使いとは?と話しは進む。
清掃人の男2人のコンビが登場。
若い方の男が公衆電話でどこかに電話をかけています。
ハッキングの線で清掃車を追跡することになります。
ゴミ収集所ではカラスの鳴き声が入ってます。ゴミ捨て場にカラスは付き物ですからロジックが通っています。凝っています。
公安9課のバトーとイシカワのコンビは聞き込みしています。クルマでスピンターンのショットがあります。スピンターンといえば『バニシング・ポイント』(1971年)のダッジ・チャレンジャーとなります。
ハッキングがばれたと思い込んで逃走した清掃車を追跡して怪しいサングラスの男と遭遇します。
その男からいきなりウージーマシンピストルの連射となります。迫力満点のシーンとなっています。
市場で追跡の移動シーンは私にはアルフレッド・ヒッチコック監督の『泥棒成金』(1955年)から?となります。何となく似た感じなのがよかったりします。
この怪しい男を追跡して銃撃戦に格闘と見事なシーンの連続となります。
ヘリコプターが降下するシーンと平行して状況説明となります。
トグサとイシカワの説明。疑似体験とは?
捕まった男には記憶がない。利用された清掃局員の男はニセの記憶しかない。これが疑似体験らしい。記憶がポイントとなっているようです。
スキューバダイビングをする草薙素子少佐。
バトーがお供しています。缶ビールのプルタブはなくなってると思ったらここでは出てきたりする。何で?
このシーンで浮上するときに水面にキスするショットがありましたが、身投げするヒロインがやはり水面にキスをするシーンが『天使のたまご』(1985年)でもありました。他の作品でも使った手法のしつこい繰り返しが映画作家です。
街の風景。
船で川を行く草薙素子少佐。
街の風景を結構長めに描写しています。意図不明。複数の草薙素子少佐がいる?
歌が入ります。
夜のハイウェイ(多分有料)にて。
裸の女性アンドロイドがトラックに撥ねられます。
公安9課のラボにて。
このアンドロイドはメガテクボディ社製の義体とわかり公安9課行きとなったようです。
メガテクボディ社は公安9課の連中のボディからメンテまでを担当している会社という設定です。
公安9課のエンジニアはよく喋ります。「さーてばらすぞ」のセリフは他の作品でも使った繰り返しです。印象に残りすぎ。
外務省の中村部長とウイリス博士が公安9課にやって来ます。
これが騒ぎの元となります。
エレベーター内にて。
自分の記憶について思う草薙素子少佐。バトーと存在理由云々を議論します。
地下駐車場ではトグサが6課の2人が1台ずつのクルマは怪しいと調べます。外務省から来た2人は重過ぎると疑問が出てきます。
キーボード向きに手先が特殊なウイリス博士のショットがあります。これは結構マジでギャグ?ではなさそうです。
勝手に起動した義体は人形使いと名乗り公安9課と6課を相手に色々と喋べくります。
要するに自分は独立した生命体だと言っているようです。亡命を表明する人形使いです。
そんなとこで突然停電爆発となりこのは義体は何者かに盗まれることになります。
待機していたトグサは追跡装置を逃走するクルマに撃ち込みます。
追跡となる公安9課の面々です。
草薙素子少佐はヘリコプターで移動となります。
モニター上のクルマの追跡シーンは何となく『太陽を盗んだ男』(1979年)の首都高速の追跡シーンのような感じです。押井監督は指示していないそうですがスタッフが勝手に他の作品のどこかから拾って引用をやっているようです。
追跡のモンタージュとなっています。
イシカワの報告を聞く公安9課の課長。
どうやら外務省6課が自分らが作って制御が効かなくなった人形使いなるプログラムを回収しようとしているではとなります。
プロジェクト2501とは?と謎が残ります。
クルマが2台となります。
1台目を高速道路で止めますが、これはハズレでした。
もう1台のクルマは移動中。
人形使いが入った義体を運ぶ逃走するクルマは人気のない博物館跡に入ります。
ヘリコプターから降下して博物館に入る草薙素子少佐。
そこには光学迷彩された戦車が待機していました。移動手段がキャタピラではなく6足歩行タイプなのが面白い。
人形使いとコンタクトするためには戦車相手に持ってきただけの装備で戦車に挑むことになります。やる気充分の草薙素子少佐です。
援護に向かうバトー。バトーが言うにはその装備では戦車相手は無理とのことです。
戦闘中に生命の系図?が象徴的に映されていました。
対戦車戦の戦闘でズタボロ状態になった草薙素子少佐は、もはやこれまでとなったとこでバトーの援護が間に合い戦車を破壊し救出します。
人形使いとコンタクトする草薙素子少佐。
草薙素子少佐相手に喋べくりまくる人形使い。要するに口説いているようです。
子孫を残すのに自分の単なるコピーでは嫌なんだと。
人形使いから「似た者同士」のセリフがあります。このセリフは映画にはよくあるセリフです。口説き文句の常套句です。
コンタクト中の2体は外務省6課の送ったヘリコプターから狙撃されます。ところで映画ではヘリコプターは特別な乗り物のようです。
狙撃されるとこで天使のイメージが入ります。
撃たれたとこでブラックアウトしてエピローグへとつながります。
エピローグ。とある1室に少女の姿。
バトーのセーフハウスで博物館の一件から20時間経過したとのこと。
草薙素子少佐の脳は行方不明となっているとバトーから聞かされます。
2501が再会のパスワードとのこと。
少女の草薙素子少佐は街に出ます。これでエンドとなります。
プロローグのビルの屋上から飛び降りるショットは『007 ゴールデンアイ』(1995年)と似てますけど何で?
『エントラップメント』(1999年)のプロローグはこの作品から?この作品、やはりハリウッドのアクションに相当引用されているような感じがします。
アニメ屋さん達は押井監督に対して評価はあまり高くないような。アニメの様式美から離れているからだと思われます。
押井監督のヒロインの好みは?アニメでもいないタイプ?
田中敦子の声はいいです。限りなく榊原良子に似てなくもないがホントいい声です。宮本允とコンビで吹替しているTVシリーズ『犯罪捜査官ネイビーファイル』(1995-2005年)が面白いのはこの2人の吹替のおかげです。
人形遣いの声は最初はあまり合わない感じでしたが家弓家正のVCに慣れてきていい出来と思えるようになった。
この話しはやっぱり星新一のSF小説『声の網』のようだとなります。
独立した意志を持つプログラムですが別に害意があるわけではないからほっとけばいいじゃんと思えたりします。困るのは権力側だけでしょう。
そんなわけで意外と原作を上手くまとめてるよい作品でした。
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こちらにもコメントをば。
かなり詳しく書いてありますね♪
しかも他の映画と比較までされて
かなりの映画好きなんですね☆
自分はど~も解釈論に入っちゃって^^;
投稿: ちぇこ | 2009.02.07 17:37