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2005.10.25

『ロープ』

この作品はアルフレッド・ヒッチコック監督のカット割りなしで全編1ショットで通した実験作です。時間もリアルタイムで同時進行となっています。
なおこの文はネタバレ全開となっています。

1948年 トランスアトランティック・ピクチャーズ・プロ/ワーナー アメリカ作品
原題◆Rope
ユニバーサル・ピクチャーズ発売のDVDにて。画質は非常によいです。
プロット 超人思想を実行する話しのようです。
音楽 レオ・F・フォーブスタイン

キャスト
ジェームズ・スチュアート→風変わりなルパート・カデル教授
ジョン・ドール→強気なブランドン
ファーリー・グレンジャー→弱気なフィリップ
セドリック・ハードウィック→デイビッドの父ケントリー氏
コンスタンス・コリアー→代打のアトウォーター夫人
ダグラス・ディック→ジャネットの前恋人ケネス
ジョーン・チャンドラー→デイビッドの恋人ジャネット
ディック・ホーガン→殺されたデイビッド
イディス・エバンソン→家政婦のウィルソン

アルフレッド・ヒッチコック監督の演出はよいと思います。
この作品は全編ワンショットで撮られたことで有名な作品です。実験作とはこの作品のことを言うのでしょう。それで実験作の割りには面白いとなります。

当時のカメラは1回の撮影が10分しか撮れないので全編ワンショットにするための10分ごとの黒味切替えとなっています。私には3回ぐらいしか気が付きませんでした。それにしてもわざとらしい黒味切替えは視覚が全てを優先するヒッチコック監督の真骨頂だと思えます。
窓の外に見えるバックの書き割り、ミニチュアはいいです。こうゆう手法は大好きです。

本『映画術』で撮影が大変だったとなっています。カメラが始終移動しフォーカス、ライティング、タイミング等々、パンフォーカスも使っています。これではカメラマンが交代するわけです。交代した理由がヒッチコック監督が言ってた真っ赤過ぎる夕陽の色だけではないでしょうと思えます。
この頃のヒッチコック監督は長回しに凝っていたようでイングリッド・バーグマンのインタビューでも『山羊座のもとに』(49年)での長回しは嫌いとなっていたりします。これが原因で撮影現場でもめたのは有名です。「たかが映画じゃないか」のセリフはこの作品の撮影現場でヒッチコック監督がバーグマンに言ったそうです。

この作品はヒッチコック監督のカラー第1作でもありジェームズ・スチュアートのヒッチコック監督作品初登場でもあります。
それにヒッチコック監督が独立プロダクションで製作兼任で撮った作品の1作目でもあります。やる気充分の作品となっています。やる気が空回りしていると言ってもよいほどです。

ゲイのことはモトネタの事件からしてホントのことなので、そう思ってみるとゲイの描写はかなりあります。1948年製作にしては画期的と思えるほどです。メイキングによると検閲で削除されたセリフがあったとか。削除前では2人が「my dear」などと呼び合っていたとのことです。


プロローグ。
N.Y.のアパートの1室が舞台でタイトルからすぐに殺人のシーンとなります。ロープで首を締めて殺します。
死体を箱に詰めます。この箱をチェストと称していました。これに関するエピソードでチェストに隠れて50年たったら白骨になっていたなんてあった。
日本でも葛籠=つづらの中に・・・でありそうなエピソードです。江戸川乱歩の短編小説『お勢登場』でこのアイデアがありました。
選ばれた人間でハーバード大学の学生なら何もしてもいいとなっているようです。
死体を隠したチェストにテーブルクロスをかけてテーブル代わりに使います。悪趣味なことです。招待客の選択も輪をかけて悪趣味となっています。

パーティの招待客が次々とやってきます。
殺されたデイビッドの父ケントリー氏と来られなかった夫人の代打のアトウォーター夫人、デイビッドの恋人も招待しています。
始まって20分で最後に登場する招待客でジェームズ・スチュアート扮する風変わりなルパート・カデル教授が登場します。これがピアノを弾いているとこでカメラがパンするといきなりそこにいます。サプライズに登場する上手い出し方です。

パーティで映画談義となります。ジェームズ・メイソン、エロール・フリン、ケーリー・グラント等の名が出てきます。それでメアリー・ピックフォードの名が出されていきなりサイレント時代の大昔になります。これはギャグなんでしょう。
ケーリー・グラントとイングリッド・バーグマンの共演作は?と正確なタイトル名が不明となっていますが『汚名』(46年)のこと?

ニワトリ=チキンが嫌いなフィリップ。
昔チキンを締め損なったことがあるとのことです。ここで叫ぶフィリップからルパート教授へと素早くパンというよりホトンドカットを割っている?となります。ワンショットということにしましょう。

殺人談義となります。劇場で切符を買う時、高級レストランで食事をする時はどうする?→邪魔な人間の死体を乗り越えていくのだとなります。
話題は変わり、死んでいい人間は誰が決める?となります。

家政婦が「お電話です」というとこでまたカット割りがあったような。細かいことは気にしないことにしましょう。

そんなこんなでパーティはお開きとなり客が次々と帰ります。
ルパート教授はDKとイニシャル入りの帽子を渡されたの間違いから何かに気がついていると描写しつつ帰ります。
家政婦のウィルソンも帰り、これで殺人犯の2人だけとなります。

電話が入り「シガレットケースを忘れた」とルパート教授が戻ってくることになります。2人に動揺が走ります。
アパートに戻って来たルパート教授はシガレットケースはちゃんと持っていることが描写されます。ですから何かを探りにきたことになります。

ルパート教授がここで何があったかを推理するとこをカメラの動きで描写する『『レベッカ』(40年)で使われた手法を使っています。ここはさすがに上手いです。

話をしつつルパート教授がロープを見せるとこでフィリップが自白同然の状態となります。
で、問題のチェストを開けますがここでも黒味をつなぐ手法が使われていました。普通はここでつながないと思うけど。巨匠の考えることはわかりません。

ルパート教授は窓をを空けてリボルバーを3発撃ちます。これを聞いて近所の人が警察に通報しパトカーがやって来ます。パトカーのショットはなくてサイレンが音が大きくなることで近づくパトカーが効果音だけで描写されます。
これでエンドとなります。酒を飲むブランドン、ピアノを弾くフィリップ、何をするでもないルパート教授と三者三様。何故かホッとした雰囲気になっています。事件のケリがついたからか10ミニッツテイクの撮影が済んだからか、2つのどららなのかは定かではありません。


ジェームズ・スチュアートはこの時期はどのようなキャリアだったっけ?何故この作品に出たのでしょう。ヒッチコック監督作品に初登場です。

殺人犯コンビを演じるジョン・ドールにファーリー・グレンジャーも好演しています。
ジョン・ドールからフィルムノワールの有名な作品があります。→ボニーとクライド物の『拳銃魔』(49年)です。

この作品のヒロインではないけどデイビッドの恋人ジャネットを演じるジョーン・チャンドラーは舞台女優なのかな?そんな感じ。IMDbで調べると映画出演と少ない。
デイビッドの恋人ジャネットは雑誌に記事を提供している物書きらしい、恋人をケネスからデイビッドに変えている。2人の前はブランドンとも付き合っていたらしいとなっています。要するによくいる世渡り上手?なキャラらしい。


DVDのメイキングにて。
ヒューム・クローニンにのインタビューがあります。構成を書いただけとのことです。
後はアーサー・ローレンツがセリフ等を書き込んだそうです。そのアーサー・ローレンツのインタビューが大部分をしめてします。
撮影現場等ではゲイのことはアレ=itと言ってたそうです。
原作の戯曲ではルパート教授もゲイで2人とはもちろん関係があったそうで、これのせいでジェームズ・メイソンやケーリー・グラントがルパート教授役を降りたとのこと。
ボーイスカウトみたいなジェームズ・スチュアートでは単なる優秀な探偵になったと言ってます。それにしても何でジェームズ・スチュアートがルパート教授役を受けたのでしょう。不思議です。
外景は書き割りで、黒味でのリール交換はかえって目立ってしまったと言ってます。ヒッチコック監督はこの手法に夢中だったとのことです。
ヒッチコック監督登場のシーンは最初はネオンでやろうとしたが目立ち過ぎでやめてプロローグのロングでの通行人になったとのことです。これまではネオンか通行人かの2説がありましたがネオンも少しは見えていますし、そうなると両方正しかったということになります。

予告編はプロローグで殺された役の俳優が出演して紹介をしていました。凝り過ぎのような感じです。


正直言って面白い。この作品の売り物の全編ワンショットですが、見ててあまりワンショットという感じはしなかったりします。演出が上手いとそうなるのですね。溝口健二監督作品と同じようです。
そんなわけで実験作でも充分面白いよい作品でした。



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