『ジーン・セバーグの日記』(1995年)
この作品はジーン・セバーグについてのドキュメンタリーですが、かなり作っていたりします
ジーン・セバーグの作品はホトンド忘れていますけど『勝手にしやがれ』(1959年)だけは見ています。
なおこの文はネタバレ全開となっています。
1995年 アメリカ作品
ランニング・タイム◆98分
原題◆From the Journals of Jean Seberg
プロット◆生きていたらジーン・セバーグはこんなことを言っていただろうという話しのようです。
音楽◆クレジットは無し
BS2衛星第2放送にて。画質はよいです。
キャスト
メアリー・ベス・ハート→40才より上のジーン・セバーグ
マーク・ラパポート監督の演出はよいと思います。
この作品はかなり作っているような感じでドキュメンタリーではないと思えます。
ジーン・セバーグはアイオワ出身で1938年に生まれて1979年に40才で死んだ。
アイオワ州出身ということはアメリカ人なのですか。私はジーン・セバーグという名前からしてヨーロッパ調でフランス人と思い込んでいました。
アイオワ出身のフランス人は普通はありえないなとようやく気がついたものです。
メアリー・ベス・ハートがジーン・セバーグに扮して話しを進めます。
この部分はビデオ撮りになっていました。自分のことより人の悪口が多いような気もしますがこっちの方が面白いのも否定しがたいとこです。
演出についても色々と喋っています。カメラ目線はダメだとか。でもそのカメラ目線でヌーベルバーグの女王となる。
顔のクローズアップのことでグレタ・ガルボ、
歌うマリリン・モンローの顔のクローズアップ。関係ないけど私はマリリン・モンローのヘタウマな歌は好きですけど。マリリン・モンローにはハートがあります。
ジーン・セバーグは自分の出演作でまともな作品は2本くらいで恵まれたと言ってます。
そのうちの1本が『悲しみによこんにちは』(1958年)ですか。もう1本は当然ジャン=リュック・ゴダール監督の『勝手にしやがれ』(1959年)でしょう。
マリリン・モンローの場合は10本くらいまともな作品があるようですから結構恵まれていたということになります。私生活はひどかったけど。
私生活のひどさならジーン・セバーグも負けていないようです。この作品でのメアリー・ベス・ハート扮するジーン・セバーグは強気でシニカルですが実際のジーン・セバーグはどうだったのでしょう。
実際の遺作では髪形がジーン・セバーグ売りだしの時と同じセシールカットなので結局ジーン・セバーグってこれしかなかったのかとセシールカット姿が悲しく見えます。
ジーン・セバーグはジャンヌ・ダルク物の『Saint John』(1957年)でデビューしたとのことです。知りませんでした。厳しいオーディションから選ばれて実年齢17才で17才のジャンヌ・ダルクを演じて作品の方は見事に失敗したそうです。それにしても撮影時ジーン・セバーグの顔を焼く事故になるほどホントに火をつけていたのか。オットー・プレミンジャー監督はバカなことをしたものです。メイキングが残っていることも驚く。
他のジャンヌ・ダルク物も紹介されていました。
ジャンヌ・ダルクを演じた女優は全て不幸になると言ってます。無理に自分と一緒にしています。
サイレントの『裁かるゝジャンヌ』(1928年)、マリア・ファルコネッティがジャンヌ・ダルク。
ジャンヌ・ダルクのマニアであるイングリッド・バーグマンも当然出ています。映画2本に舞台もやっていたはず。イタリアに行って5年をムダにしたと言われてます。
『奇跡の鐘』(1948年)のアリダ・ヴァリ。
火刑にされるということでバネッサ・レッドグレーブの『キャメロット』(1967年)
これらのジャンヌ・ダルク作品をつなげたコラージュもあります。どれも出来がイマイチなようで、私が見たい思わせるのはサイレント作品の『裁かるゝジャンヌ』(1928年)だけとなります。
ジャンヌ・ダルク物といったらリュック・ベッソン監督作品の『ジャンヌ・ダルク』(1999年)は究極の国辱映画か?未見でのいいかげんな予想をすると、
フランスにて、こうなったら。フランスの歴史的人物のジャンヌ・ダルクが英語を喋っている。もちろんフランス公開時にはフランス語になってると思いますが何かの間違いで英語版がフランスで公開となっていたら結構面白いと思います。これを見たフランス人は英語だから日頃から仲の悪い英国の陰謀だと八つ当たりをするのかな。英語版を見ればフランスで製作されたらこんなに金がかけられないだろうとまた屈辱感が倍増します。
ジャンヌ・ダルクは17才云々というのはともかく主演のミラ・ジョボビッチはウクライナ出身のアメリカに移住した人なのでフランス人ではないジャンヌ・ダルクも癪の種になるでしょう。
これを撮ったリュック・ベッソンは国賊呼ばわりされるでしょう。もうされてるのかな。このリュック・ベッソン版『ジャンヌ・ダルク』は長過ぎるので私はあまり見る気がしません。
ジーン・セバーグ自身との比較なのか、『ピクニック』(1956年)のキム・ノバックが出ていましたが『めまい』(1958年)と演技が変わっていないように見えます。ということはもしかして大根なのかい。
『麗しのサブリナ』(1954年)のオードリー・ヘップバーンも出ていました。そうなると2作とも相手役を務めているウィリアム・ホールデンの方が目についたりします。
マーロン・ブランドの出演作も出てた。ブランドは早死にしたほうがが伝説となって良かったのに。随分と生きているのですからどうせならもっと生きて恥をさらしたほうがいいと思えます。
ジーン・セバーグはロバート・ロッセン監督でウォーレン・ベイティ、ピーター・フォンダの共演の『リリス』(1964年)についてはヒットはしなかったが誇りには思っているようです。
女性の精神異常者と男性の精神異常者との比較で『サイコ』(1960年)のアンソニー・パーキンスが出ていました。
『ペルーの鳥』(1968年)のジーン・セバーグ。実生活での当時の夫ロマン・ギャリ監督の異常性愛物らしい。ハイライトシーンだけやってましたがあまり出来がよろしくないようでとても見る気がしません。
主演ではなかったけど『大空港』(1970年)が1番ヒットした作品だそうです。
悪口を言う相手は主にジェーン・フォンダとバネッサ・レッドグレーブです。
政治活動に傾倒したとそれぞれジェーン・フォンダはベトナム、バネッサ・レッドグレーブはPLO、ジーン・セバーグはブラック・パンサーとのことです。それでジーン・セバーグはFBIからマークされることになったそうです。
ジェーン・フォンダが後にエアロビビデオで儲けたことをとやかく言っていました。
ジェーン・フォンダの『バーバレラ』(1968年)、『コールガール』(1971年)
バネッサ・レッドグレーブの『遥かなる戦場』(1968年)、等が出ていました。
それに『ペンチャー・ワゴン』(1969年)で共演し関係を持ってそれっきりになったクリント・イーストウッドの悪口も言ってます。
ブロンドで細面がクリント・イーストウッドの好みなのか。成長して太り気味なったけど『タイトロープ』(1984年)に出ている子供の頃の娘のアリソン・イーストウッドががこんな感じでした。イーストウッドは屈折しています。
ジーン・セバーグとクリント・イーストウッドの共通点はヨーロッパでは受けたことだそうです。
『荒野の用心棒』(1964年)、『夕陽のガンマン』(1965年)等。ダーティハリーシリーズの決めセリフのコラージュがあった。
『ペンチャー・ワゴン』(1969年)はリー・マービンとクリント・イーストウッドが歌うウエスタン・ミュージカルです。どちらかというと珍品でしょう。ここにジーン・セバーグが出てたとは知りませんでした。
ロマン・ギャリからロシアのサイレント映画のスターのイワン・モジューヒンの話しとなります。モジューヒンといったらクレショフ効果の実験台になった俳優として有名です。
そのクレショフ効果についても詳しく説明していました。
本『映画術』でもクレショフ効果がわかりやすく説明されています。私はこの本で知りました。
クレショフ効果というのは何の感情も浮かべていない無表情な俳優のショットをその俳優が見てると思わせるように複数のショットにつなぐことで複数ショット分の演技に見えてしまうということです。ようするに編集によって同じ表情が複数のショット分の演技にもなってしまうということです。これは映画の強力な威力の1つです。
大げさなナレーションを入れたりしてプロパガンダフィルム、ニュース等もこれと似たようなことをやっています。これで情報操作は思いのままになります。
そんなわけでちょっと作りすぎのような感じでドキュメンタリーではないようですが面白い作品でした。
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