『欲望』(1966年)
この作品はミケランジェロ・アントニオーニ監督の不条理ドラマのようです。
なおこの文はネタバレ全開となっています。
1966年 Premier Productions/カルロ・ポンティ・プロ/MGM 英国=イタリア作品
ランニング・タイム◆111分
原題◆Blowup
プロット◆偶然に死体を撮って右往左往する話しのようです。
音楽◆ハービー・ハンコック 音楽関係はサッパリの私でも知っているジャズの巨匠です。当時流行っていたジャズと映画の組み合わせですが結果的には一時の流行だったようです。◆ライブに登場してるバンドは有名らしいが私にはわかりません。ヤードバーズとのことです。
ワーナー発売のDVDにて。画質は非常よいです。少し粒子が粗いけど。スクイーズ収録のフル表示。画面サイズはワイド。上下左右黒味無し。フルスクリーン。
キャスト
デビット・ヘミングス→カメラマンの男
バネッサ・レッドグレイブ→公園の女ジェーン
サラ・マイルズ→画家の女パトリシア
ジョン・キャッスル→画家のビル
ピーター・ボウルズ→編集者?のロン
ジェーン・バーキン→ブロンドのモデル志願
ジリアン・ヒルズ→ブルネットのモデル志願
ジョン・キャッスルはどこに出てた?→もしかして画家?
この作品はブライアン・デ・パルマ監督のサスペンス『ミッドナイトクロス』(1981年)の元ネタ作品ということで見ました。以前から見たかった作品です。『ミッドナイト・クロス』の原題はBlow Outで『欲望』(1966年)の原題はBlowupとなっています。でもミケランジェロ・アントニオーニ監督の他の作品は多分寝るからとあまり見ていません。
ミケランジェロ・アントニオーニ監督の演出はよい?と思います。
画調がいかにも1960年代の英国といった感じになっています。ITC調とも言えそう。
イタリア人の監督が撮ってもそうなるようです。
タイトル
音楽がエレキギターが入っています。
キャストは3人一緒に出ています。
バネッサ・レッドグレイブ→公園の女ジェーン
サラ・マイルズ→画家の女パトリシア
デビット・ヘミングス→カメラマンの男
その他大勢でジョン・キャッスルも出てます。
タイトル文字が手前に迫って画面外にアウトする手法は『ミッドナイト・クロス』(1981年)に引用されています。でもタイトルの出来は『ミッドナイト・クロス』の方がよかったりします。
カメラはフィックスだけのかと思ったがちゃんとパンしたりしてました。これで退屈しなくて済みます。
英国のロンドンが舞台です。当時の風俗描写が興味深い。
登場するキャラの名前にあまり意味がないようです。
デモとブルーカラーの対比?のシーンがプロローグのようです。デモ隊の面々がラストに出てきたようです。
ジープではなくランドローバーに乗ってる顔が白塗りの若者たち。何かベタな描写です。
これとカットバックして対称的なブルーカラーの人達が描写されます。その中に主人公のカメラマンが交じっていたりします。
それから主人公はロールスロイスに乗って移動となります。
デビット・ヘミングス扮するカメラマンの男がロールスロイスのロードスターに乗って登場します。羽振りのいい様子が描写されます。
このクルマは無線を装備しています。現在なら携帯電話となるでしょう。忙しいことが描写されます。
39番地のスタジオに入ります。
有名モデルを1時間も待たせて仕事となります。→このモデルは誰でしょう。
モデル達を相手に撮影の仕事となります。
モデルに調子いいことを喋りまくり撮りまくりますが実際もこんな感じなのでしょうか?興味深い。
最初のモデルさんのコスチュームがDVDにジャケットになっているようです。
フィルムのカメラは大変です。助手がいないとやっていけない。助手の名前はレジと言うらしい。そう呼んでる。
次は5人のモデルを相手に撮ります。
モデルさんの着る服に付いてるタグを服の内側に入れて隠すのが面白い。いかにも借り物の服といった感じです。
5人のモデルをこき使って撮っています。典型的な売れっ子カメラマンの描写となっています。
隣に来て休憩するカメラマン。
モデルさん達をほったらかしにして隣の画家の家に行くカメラマン。画家とサラ・マイルズ扮する女性がいます。
画家の男が何かわけのわからないことを言ってます。
この画家を演じてるのがジョン・キャッスルのような感じです。
スタジオに戻ります。押し掛けオーディションのモデル2人が来ます。適当にあしらうカメラマン。
ジェーン・バーキン→ブロンドのモデル志願
ジリアン・ヒルズ→ブルネットのモデル志願
モデル2人を置き去りにしてクルマで出かけるカメラマン。
ロケの町並みがいい。いかにも1960年代の英国といった感じ。
古い建物と新しい建物が混在しています。
クルマで骨董品屋に行くカメラマン。
アンティックスと表示してある。骨董屋です。
無愛想なオヤジがいます。すぐに出るカメラマン。
カメラを持って公園に入るカメラマン。
公園を行くカメラマン。風にざわめく木々の効果音が入ります。
ニコンのカメラを使っています。ニコンFだと思われます。
風景の写真を撮っています。
で、何だか訳ありな男女がいて、それも写真に撮ります。
オッサンと地味な服装の若い女です。
女性の方はバネッサ・レッドグレイブが演じています。
男はどうでもいい。初老の男です。
カメラマンは2人を勝手に撮りまくります。
女性が文句を言いますが適当にあしらって別れます。
30分ぐらい経過して意外と面白い。これが正直な感想です。
次に何をするのか?だけで面白い。
撮影がきれい。カメラマンのデビッド・ヘミングスがきれいに撮れています。バネッサ・レッドグレイブよりきれいに撮れてる。
骨董屋に戻るカメラマン。
今度は若い女がいます。これがオーナーらしい。
巨大な木製のプロペラを買うカメラマン。
カフェにて。
ブルーカラーの芸術写真を編集者に見せてるカメラマン。
なるほど。潜入して隠し撮りをしていたようです。
怪しい男につけられていると気がつくカメラマン。何だか自分のクルマを見ている奴がいたのでクルマに戻るカメラマン。
そのままクルマで移動となります。わけわからん。
英国の街中ですが路上駐車のクルマが多い。さすがにクルマが古い。
39番地のスタジオに戻ってるカメラマン。
そんなとこに公園の若い女がやって来てフィルムを返せと言ってます。フィルムを買うとも言ってます。
どうやって捜したと聞いてるカメラマン。
何故かLPレコードでジャズを聞いている2人。
タバコを吸っていますがマリファナだと思われます。
バネッサ・レッドグレイブはノーブラにシャツ1枚の服装でした。ジャズを聞いているとこが何か変?なリアクションがあります。
ここでフィルムをカメラごと持ちだそうとする画面奥の女性と近くのカメラを合成でつなげて見せる手法がありました。この手法は『ミッドナイト・クロス』に多用されています。
カメラマンは小細工をして別のフィルムを女性に渡します。女性は帰ります。これでバネッサ・レッドグレイブの出番は終わりです。
件のフィルムを現像するカメラマン。
ライトテーブルでネガをチェックしています。
ここは全く説明セリフ無しで描写しています。上手いじゃん。
ネガを投射してそのまま印画紙に焼き付けています。そんなことを出来るんだ。
引き伸ばしてよく見ますと何かが写っていると気がつきます。ここのアイデアが『ミッドナイト・クロス』に引用されたとこです。写真ではなく録音テープにしたのはセンスのよいとこです。デ・パルマ監督には珍しく元ネタがそのままではなかったりします。
怪しいとこを発見するプロセスの視覚的描写はデ・パルマ監督の方が上手いです。
写真には茂みの中にハンドガンを構えてる男がいます。室内のシーンですが風にざわめく木々の効果音が入っています。これはいい演出です。
また押し掛けオーディションのモデル2人が来ます。
今度はプロレスごっこをするカメラマン。延々と続く結構長いシーンとなっています。後で調べてわかりましたがブロンドの方を演じているのがジェーン・バーキンでした。ヌードあり。
裸になったところでやっぱりボカシが入っていました。目立たないようにしてるけど。
写真を調べるのに戻るカメラマン。
引き延ばしを進めて死体が写っているわかります。
夜になり公園に行くカメラマン。
死体がありました若い女と一緒にいたオッサンの死体です。
何故か警察には届けません。
スタジオに戻るカメラマン。
隣に行きます。画家とパトリシアがセックスをしています。
スタジオは家捜しされていて写真が無くなっています。『ミッドナイトクロス』と同じです。
何だかわからんくらいに引き伸ばされている死体の写真が1枚だけ残っています。ここも引用されています。
パトリシアが来て悩みを聞いてくれとなります。「何故撃ったの?」とカメラマンに言ってます。何でそうなる。意味がわからん。
編集者のロンに電話してるカメラマン。
クルマで出かけます。
誰かを探しにクルマから降りています。
ライブを見に行くカメラマン。
出演しているバンドが誰なのかわかりません。調べるとヤードバーズとのことです。そんな私でも演奏してる曲は聞いたことがありますしジェフ・ベックやジミー・ペイジの名前は知っています。でも2人の見分けはつきません。
調子の悪いPAアンプに頭にきたのかギターを破壊するパフォーマンスがあります。
ギターアンプの調子が悪いのギターで叩いています。そのうちにギターを壊しています。取れたネック部分を客席に投げる、奪い合いになっています。
ところでこの手のパフォーマンスは誰が最初にやったのでしょう。
ネック部分をゲットしたカメラマンは外に出ています。
せっかく持ってきたネック部分を路上に捨てています。意味がわからん。
マリファナパーティに行くカメラマン。
編集者ロンに一緒に来てくれと頼みますが結局寝てしまいます。
ロンから諭されたのか殺人に対して興味がなくなるカメラマン。マリファナパーティに参加するようです。
朝にて。
目を覚ますカメラマン。誰もいません。
カメラを持って公園に行くカメラマン。
死体は消えています。さてどうすると話しは進む筈ですが進行はだいぶ停滞しています。
風にざわめく木々の効果音がまた入ります。木のある場所なので入るのが当たり前で普通の手法でした。
唐突にジープに乗った白塗り集団が登場します。
ということはプロローグに戻ったのか?
テニスコートでパントマイムのエアテニスを始めます。
テニスをしてる2人以外は観客になって視線でボールを追っています。
何となく見ているカメラマン。
オフでテニスの効果音が入ってます。ラケットがボールを打つ音がしています。
で、エアテニスに参加するカメラマン。場外に飛び出たボールを拾って返します。
これをみんなが見ているんです。結構緊張するかも。
いきなりそのカメラマンの俯瞰ロングのシーンでエンドとなります。
オチがないじゃん。さすが不条理物、こんなのがあり?となっています。
何となくデビット・ヘミングスがジェームズ・スペイダーでバネッサ・レッドグレイブがケイト・ブランシェットに見えました。別に構わないのでそのままの状態で見ていました。
女優さん2人を比べますと私はケイト・ブランシェットの方がいいと思えます。
そんなわけでミッドナイト・クロス』(1981年)の元ネタでなければ見なかったと思われますが不条理物の割りに面白いよい作品でした。
« 『恋愛日記』(1977年) | トップページ | 『スターマン』(1984年) »
「映画」カテゴリの記事
- 『彼らは忘れない』(1937年)(2022.02.27)
- 『ギャングを狙う男』(1953年)(2022.02.26)
- 『ブラック・リッジ』(2020年)(2022.02.20)
- 『フローズン・ストーム』(2020年)(2022.02.19)
- 『私は逃亡者』(1947年)(2022.02.13)
「1960年代」カテゴリの記事
- 『暗くなるまで待って』(1967年)(2021.11.28)
- 『泳ぐひと』(1968年)(2021.06.20)
- 『ビリディアナ』(1961年)(2020.07.05)
- 『皆殺しの天使』(1962年)(2020.07.04)
- 『不意打ち』(1964年)(2019.12.01)
コメント