『ブラッドシンプル ザ・スリラー』(1984年)
この作品はイーサン・コーエン製作、ジョエル・コーエン監督、フランシス・マクドーマンド、ジョン・ゲッツ、ダン・ヘダヤ、M・エメット・ウォルシュ主演の風変わりなフィルム・ノワールのようです。
なおこの文はネタバレ全開となっています。
1984/1999年 マイク・トス・プロダクションズ/リバーロード・プロダクション アメリカ作品
ランニング・タイム◆99分
原題◆Blood Sinple
プロット◆死体の始末を巡って色々あるハナシのようです。
音楽◆カーター・バウエル 音楽はステレオになっています。
株式会社キネティック/パイオニアLDC発売のDVDにて。画質は非常によいです。スクイーズ収録のフル表示。画面サイズはワイド。上下左右黒味無し。フルスクリーン。
音声はドルビーデジタル5.1ch
私が以前買ったLDの画質は最悪でした。
そのLDとはいったい何だった?と思わせるDVDの高画質ぶりです。そんなことからLDというフォーマットはDVDのパイロット版だったのかと再認識します。
キャスト
フランシス・マクドーマンド→ヒロインのアビー
ジョン・ゲッツ→アビーの愛人レイ
ダン・ヘダヤ→アビーの亭主マーティ
M・エメット・ウォルシュ→汗っかきの私立探偵
サム-アート・ウィリアムス→バーの店員モーリス
ジョエル・コーエン監督の演出はよいと思います。
いい作品は変なのが多い。この作品もその類です。死体?を処理する過程を延々と描いていたり。その他にもオフビートな描写が盛り沢山。いいものです。
音楽の使い方もいいです。こちらの方が先ですが何故か私の好きな『カムイの剣』(1985年)に似ている使い方に思えたりします。他の流れる歌の選曲もいい感じ。
撮影が今は監督をやってるバリー・ソネンフェルドだったりします。独立系作品の仕事をしていたのかと驚いた。
DVDはいきなり始まります。
アーティスト・フィルム
キネティック
フォーエバー・ヤング・フィルム何とか・・・
前説です。
モーティマー・ヤングというおっさんが登場。
どうやらこの作品『ブラッド・シンプル』の解説らしい。
デジタル処理をしました。
退屈な部分はカットしたとか・・・
テッド & ジム・ペダス & ベン・ベアーホルツ? プレゼンツ
リバーロード・プロダクション
M・エメット・ウォルシュ扮する汗っかきの私立探偵のモノローグで話しは始まります。これはフィルム・ノワールです。
テキサスが舞台となっています。
タイトルでキャスト紹介ではクルマのワイパーでワイプして紹介しています。センスがいい。
ダン・ヘダヤ扮するマーティはカントリーバーのオーナーです。
奥さんがフランシス・マクドーマンド扮するアビーで、そのアビーはバーの店員のジョン・ゲッツ扮するレイと関係を持っていると設定で話しは進む。
私立探偵のジッポーのライターのクローズアップショットがあります。これが後になって効いてくることになります。
キャンプ場のワーゲン・ビートル内にて。
探偵に1万ドルでアビーとレイの殺しを依頼するマーティ。
依頼する方も何だけど引き受ける方もこまったものです。
探偵の顔にハエがたかるのは演出なのでしょう。
リボルバーですが最初からメーカー不明の中折れリボルバーでした。
で、よく見ても最後までこの中折れリボルバーはメーカー不明です。何だろう?
死体の処理に手間がかかるとこをしつこく描写しています。
血の処理が大変だったりします。必死こいて床の血を拭いていますが拭いてるのではなく塗り広げていました。アイロニーが効いています。
なかなか死なないマーティをこれまたしつこく描写しています。
埋めるとこもしつこく描写していますが何というか乾いた感じで見てて面白かったりします。
アビーに対して警告に告げに現われるマーティはもう死んでいるのでヒロインの夢とハッキリしてていい感じです。こういうとこのコーエン兄弟はセンスがいい。
ナイフですがこれは撃たれたレイのポケットから取り出した物でした。
レイが引っ越しの準備をする時にも使っていました。
このナイフがどうやらガーバー・フォールディングナイフのようです。
ですから探偵の手を窓のさんに刺し貫いて固定したナイフはこれでした。
そういえば台所でもないのに刃物があるわけないとようやく気がついた。
ドア越しに発砲して白い点がポツリと見えます。
このショットはフリッツ・ラング監督の『恐怖省』(1944年)とホトンド同じ使い方でした。いいじゃないですか。その前の壁を撃ち抜くショットはコーエン兄弟のオリジナルに近い使い方でした。
ラストの水道を下からクローズアップショットに水滴が落ちるとこを見せてクレジットになるタイミングもいい。オフビートでいいです。
後タイトルで、
最後にマイク・トス・プロダクションズと出ています。
この作品にもある女性が洗面所で鏡を見るショット。これが妙に他の作品でも印象に残ります。
『ダイヤルMを廻せ!』(1954年)のグレース・ケリー。
『キャット・ピープル』(1982年)のナスターシャ・キンスキー。
『ブラッドシンプル』(1984年)のフランシス・マクドーマンド。
となります。どれもいいな。どれもよすぎてショットを混同しているくらいです。
実際にグレース・ケリーが鏡を見ているショットはない筈なんだけどあると思い込んでいたり。殺人探偵がヒロインに迫るとこは『裏窓』(1954年)です。アルフレッド・ヒッチコック監督の影響がない訳ないからまあいいでしょう。スポイルしていないから上手な引用です。
ジョン・ゲッツはケビン・コスナーとアーノルシュワルツェネッガーを足して2で割ったようなルックスです。
ダン・ヘダヤのキャラはなんか身につまされるような感じ。
探偵のクルマはワーゲン・ビートルでした。コーエン兄弟の他作品でも探偵はこのクルマに乗っていたような。
つけっぱなしのコンピュータは何という機種なのか気になります。
引っ越しの荷造りに漢字で日本酒の月桂冠の箱が使われていたりします。LDでは絶対にわからなかったディテールです。
1984年版とどこが違うのかはよくわかりませんでした。
そんなわけでオフビートな進行がまたいいフィルム・ノワールのよい作品でした。
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