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2005.09.12

『冷凍凶獣の惨殺』aka『原始獣レプティリカス』(1961年)

この作品はデンマーク製の怪獣映画のようです。
なおこの文はネタバレ全開となっています。

1961年 AIP アメリカ=デンマーク作品
ランニング・タイム◆81分
原題◆Reptilicus→レプティリカスとは爬虫類のことだそうです。
プロット 怪獣が再生して悪戦苦闘する話のようです。
音楽◆Les Baxter(US version)◆Sven Gyldmark
◆地上波TXテレビ東京にて。画質は意外とよい。カラーだったんですか。
◆RUNコーポレーション発売のDVDにて。画質は悪い。もっとひどい画質かと思ったがそうでもない。本編と特撮の画調はそんなに違和感はなかった。

キャスト
ベント・メディング→発見者のスベント
アズボーン・アンダーソン→コペンハーゲン水族館のマーティンス博士 太っています。
ポール・ウィルデイ→マーティンス博士の助手・ダルビー博士 白髪にメガネ。
ミミ・ハインリヒ→マーティンス博士の娘カレン
アン・スミルナー→マーティンス博士の娘リサ
マーラ・ベーレン→科学者のコニー・ミラー博士
カール・オットーセン→マーク・グレイソン准将
オル・ウィズバーグブラント大佐
ディルチ・パッサー→白痴のピーターソン
色々と出ていましたがキャラが多過ぎる。スタッフの親類縁者総出演なのかも。
どなたも知らない人達ばかりです。

ガキの頃にモノクロTVで1部見たことがありその確認で見ました。検証みたいなものです。
昔も邦題が『冷凍凶獣の惨殺』だったかはわかりません。AIP作品で新東宝配給なら大蔵貢がこんな邦題をつけたのかもしれません。それにしてもこの邦題のセンスは凄い。『原始獣レプティリカス』は後になってからのタイトルのようです。

昔見て見覚えがあったのは、怪獣が唾というか唾液を吐くとこ、怪獣めがけてジープで突進するのとこだけでした。で、前にこの作品ではないかと『原子怪獣現わる』(1953年)を見ましたが違ってました。
今回はというと・・・

シドニー・ピンク監督の演出はまあまあだと思います。
ナレーションで前フリがあります。
デンマーク制作なのでデンマークの科学者が登場して舞台はコペンハーゲンとなります。
演出はB級で会話シーンでの切り返しをやっていません。
室内撮影では照明の影がいくつも見えてしまいます。B級です。
ヨーロッパ人がアメリカ人を見ると必ず「アメリカン?」となります。作品のA級B級を問わず必ずあるセリフです。

主人公の軍人が仕事に飽きたと気分転換に出かければデンマークの観光映画となります。ランゲ橋、はね上げ式の橋です。可動しているショットが見れました。もしかしたら私はどこかで勝鬨橋の可動して映像を見たような記憶があるので、これを勝鬨橋と勘違いしていたのかもしれない。
コペンハーゲンの港にはあの有名な人魚姫の像がありました。知りませんでした。
で、歌のシーンを長々とあったりして今度は歌謡映画みたいになったりします。

本編と特撮の画調が全然違ってるのはイマイチです。このくらい調整しなさい。
街のミニチュアの出来はあまりよくなく。お粗末といっていいくらいです。
本編では本物の戦車、駆逐艦等を動員していました。なかなか頑張っています。
貨物船が襲われたとこの被害状況はアーカイブ・フッテージを使用。

そんなこんなでこの怪獣は海水浴客でにぎわうビーチに上陸します。
1961年のデンマークの水着美人が見られます。この怪獣はなかなか話せるじゃないですか。というよりさすがAIPとなります。

肝心の怪獣ですが人が入っている着ぐるみでもストップモーションのコマ撮りでもなく操演でした。この操演は上からピアノ線で吊るのではなく物陰や画面の外から支える操演でよろよろと動きます。正直言って迫力に欠けます。
唾は吐いていますがあまり見覚えがないんだな。唾のことはスライムとなっています。昔見た日本語版では何て言ってたかな。唾液と言っててたかな?
操演のくせにこの怪獣は肉食となっています。登場して牛を14頭喰ったりしていることになってました。

街中を突進する怪獣のショット。
これは見覚えがあるような。これで昔見た覚えがある作品が『原子怪獣現わる』(1953年)ではないことがハッキリしました。

モブシーンが結構あります。
特に怪獣から逃げようとランゲ橋、はね上げ式の橋に殺到する群衆のショット。パニックになった橋の係員が橋を上げてしまい橋の真ん中で立ち往生する群衆。その中には河に落ちてしまう人もいたりします。で、主役の人が駆けつけて橋を下ろして立ち往生していた群衆が一斉に橋を渡ります。このシーンはよかった。

クライマックスにてバズーカ砲で怪獣を眠らせる作戦となります。で、ルーティンな設定で弾を1発しかないとなって盛り上げています。
これでジープで突撃すればTVウルトラシリーズ『帰ってきたウルトラマン』(1971年)のこの攻撃で駄目なら解散のMATみたいになってしまいますが、そうではなくてジープは捨て身の囮で突撃してました。このショットも見覚えがありました。

で、肝心の別な場所からバズーカを発射するショットがないのです。
ただ当たったとこだけが光線作画で描写されてるだけ。これは撮り忘れたのでしょう。これではウルトラシリーズより劣ります。
そんなわけでラストもB級でした。続編を匂わせています。

話しは正統派の怪獣映画になっています。文句はありません。
脚本はいいけど怪獣がダメダメなようです。何とかしようと編集でごまかしています。
レプティリカスのアップは高速度撮影で処理してます。効果はまあまあ。

プロダクションのタイトルがあります。
プロローグ。
ナレーションが入ってます。誰だかわからん。
ラップランドにて。発掘現場となります。
タイトル。
銅を掘り出す調査作業していたようです。
ドリルに肉片が付きます。実はこの肉片が動いてますの描写が入ります。上手いじゃん。
現場で協議して掘り出されたものを全部コペンハーゲン水族館に送ることになります。

コペンハーゲンにて。
女性が乗ってる赤いスポーツカーは何て車種だ?わかりません。

コペンハーゲン水族館にて。
ラップランドのスペンドから電報が届く。
送った肉片の件についてです。

夜です。
研究室の全景はミニチュアで描写しています。
ピーターソンが見張りをしています。
ダルビー博士もいます。仕事中。
夜中に冷凍室に入るダルビー博士。サンプルに肉片を採取しています。
眠り混んでしまうダルビー博士。
冷凍室のドアが開いてしまいます。ロックが不完全だったようです。室温が上がります。

朝になり掘り出されたものは解凍してしまいます。
出勤してきたマーティンス博士は激怒していますがもう遅い。
ユネスコの女性科学者のコニー・ミラー博士が登場。青いスーツ。
マーク・グレイソン准将が登場。デンマーク軍人のようです。
アメリカンはコニー・ミラー博士のようです。

マーティンス博士の記者会見となります。
近衛兵のブラント大佐が登場。マーク・グレイソン准将と話し込む。
マーティンス博士は掘り出された物は生きていると発表しています。
ここで「レプティリカス」と言ってます。
続いて新聞見出しのモンタージュとなります。

研究所にて。
ピーターソンが非常警報を鳴らします。ギャグのような感じもするけど。
結局異常なしでした。単なる肉片の不随意運動とオチになります。

マーティンス博士がテープレコーダーをメモ代わりにしている描写が入ります。
◆私はこれがずっとやりたかったのです。ようやく今はやっているけど。テープレコーダーではなくICレコーダーになっています。ICレコーダーと親指シフトの組み合わせテキスト入力をやっています。さすがにICレコーダーをそのまま再生してテキスト入力は出来ません。再生しては止めるの繰り返しでやってます。

軍人が仕事に飽きて観光となります。
マーク・グレイソン准将とコニーは赤いクルマで出かけます。やっぱり車種がわからん。
人魚の像。ランゲ橋。以前見た記憶の通りで観光映画です。

歌が入ります。
ここが歌謡映画みたいなのです。IMDbのクレジットから歌っているのは歌手本人のようです。

研究所にて。
夜。雨が降り雷が鳴っています。
ダルビー博士が仕事中。別室にピーターソンもいます。
レプティリカスの再生は進んでいます。
これを見てダルビー博士が驚愕しています。電柱の倒れる描写が入って電話は不通になります。電話の代わりでピーターソンを警察に通報させに行かせます。
自転車で警察に向かうピーターソン。
ダルビー博士はハンドガンを持って見に行く。

警察署にて。
警官オルソンに訴えるピーターソン。本気にしていません。

レプティリカスはもう外に出ています。
ダルビー博士はやられたようです。
海の方に向かったらしいレプティリカス。

対策本部が設置されます。
会議となります。
沿岸部の農場にレプティリカスが出現と連絡が入ります。
軍隊が出動します。全部本物の軍隊です。

農場にて。
牛が14頭食われた後の描写が入ります。
いよいよ姿を見せ始めるレプティリカス。あまり迫力はないけど。
戦車も出動しています。
本格的に姿を表すレプティリカス。確かに操演でピアノ線は使っていません。
スライムを吐いてるレプティリカス。DVD日本語字幕では粘液と出ています。

人が食われる描写となります。
確かにあまり誉められたものではない描写です。
合成がダメダメで、合成される人の描写がダメダメです。

火炎放射器攻撃となります。
これはかなり効いているようです。
悲鳴を上げて海に逃げるレプティリカス。
操演のレプティリカスですがマジで燃えています。これだと普通は死んでいます。

対策本部にて。
会議となります。
マーティンス博士が必ず戻ってくると帰巣本能論を言ってます。

海上にて。
駆逐艦が航行中。本物の軍隊です。
ソナーでレプティリカスを探知したようです。
浅瀬にレプティリカスを発見と報告となります。
本部からの指示でプランAを実行します。爆雷攻撃です。

対策本部にて。
コニー・ミラー博士が爆雷攻撃はダメだとマーク・グレイソン准将に意見します。
でも攻撃は続行中。
ようやく攻撃中止を指令するマーク・グレイソン准将。
レプティリカスの足が千切れて海底に落ちています。

レプティリカスは海中から出てこない。
本編だけが進行しています。

レプティリカスが出現したと連絡が入ります。
貨物船が攻撃されたと、転覆した船のアーカイブ映像で描写されています。何隻もやらたようです。操演怪獣のくせにやることは豪快です。

海水浴場にて。
レプティリカスが出現します。スクリーンプロセスが何か変。
吐くのはスライムではなく酸性粘液ですがホトンド意味がないようです。

戦車が砲身を回すクローズアップショット。
これが繰り返されています。このショットは『機動警察パトレイバー2』(1993年)に引用されています。砲身ではなくカメラの動きになっていますけど。元ネタから少し変えるとこがいい。まともです。

レプティリカス迎撃準備のモンタージュとなります。
現れるレプティリカス。一斉攻撃となります。
避難する一般市民のモブシーンとなります。

ランゲ橋のシーンになります。
橋を上げたままの状態となって避難する一般市民がストップされてします。
マーク・グレイソン准将とスベントが駆けつけて橋を下ろします。
ここは橋も人も本物なので凄い迫力となっています。

重火器は155mm砲のようです。
この兵器は東宝特撮作品等でおなじみの兵器です。

心臓発作を起こしたマーティンス博士が戻ってきてマーク・グレイソン准将と議論になっています。
レプティリカスに対しての攻撃はダメで破片が全部再生するとマーティンス博士。でも対策はないみたい。

スベントが思いつきをマーク・グレイソン准将に話してから対策がみつかります。
今から大学の研究室で薬品を作りに行くようです。

薬品が完成してバズーカ砲に装填されます。
レプティリカスの口内に撃ち込む。これしか方法はない弾は1発のみとなります。これで盛り上げます。

いよいよ決戦となります。
ブラント大佐が決死の囮でジープで突っ込みます。でも潰されます。
バズーカ砲を発射するマーク・グレイソン准将。
ホントに着弾の光線作画はありますが、発射のシーンはありませんでした。

ようやくレプティリカスは動かなくなります。
被害状況がモンタージュされます。
止まっていた噴水が出てきます。これは再生の象徴としてわかりやすい。

海底にて。
再生しつつあるレプティリカスの足。
エンドとなります。


そんなわけで長年の謎が解けました。出来はほめられたものではないけど個人的には悪くない作品でした。なによりもこの作品と判明したのがよかった。
DVDで見直しましたが確かに話しは怪獣映画の正統派でした。やっばり特撮はダメだな。



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