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2005.08.07

『千年女優』

この作品は今敏監督の時空を超えるヒロインが時空を超えるメロドラマのようです。
なおこの文はネタバレ全開となっています。

2001年 「千年女優」製作委員会/クロックワークス/ジェンコ/マッドハウス/松竹 日本作品
ランニング・タイム◆87分
プロット◆時空を越えて走るヒロインの心の旅路の話しのようです。
音楽◆平沢進
スカイパーフェクTV707日本映画チャンネルにて。画質はよいです。

キャスト→VC
藤原千代子(70代)→荘司美代子
藤原千代子(20~40代)→小山茉美
藤原千代子(10~20代)→折笠富美子
立花源也社長→飯塚昭三
手下のカメラ担当 井田→小野坂昌也
先輩女優の島尾詠子→津田匠子
コネで映画監督の大滝→鈴置洋孝
千代子の母→京田尚子
銀映専務→徳丸完
カギの男→山寺宏一
官憲の男→津嘉山正種

今敏監督の演出はよいと思います。
ヒロインが時空を自在に駆け巡るようになっています。現実と空想と映画本編と映画撮影がごっちゃになっている心の旅路といった感じです。ぶっ飛んでいて面白い。こういうの大好き。


宇宙。
何となく『2001年宇宙の旅』(1968年)そのまんまなのでイマイチ不安な出だしとなります。
編集のシーンとなってタイトルになります。

由緒ある銀映撮影所が取り壊されるとこから、どこかのプロダクションの社長が部下のカメラマンを連れてインタビューに向かいます。
この社長は何をやっている?映画関係の怪しげな仕事でお金集めが仕事なようです。

古い家に着いてしばらく待つとお目当ての女優、藤原千代子(70代)が登場します。品のよいおばあさんです。
立花社長はカギを渡します。なんのことかよくわかりません。

インタビューとなります。
関東大震災の年の生まれとのことです。回想となります。
映画界にスカウトされ最初は断りますが運命のカギの男に会ったことから映画界入りして満州に向かいます。

回想と現実が交差する手法となっています。『令嬢ジュリー』(1951年)、『野いちご』(1957年)等の手法なのかと思ったら、回想の中に現実のキャラが参加しているようです。少しはひねってあるようです。

立花社長とカメラマンは説明進行キャラとなっているようです。
で、立花社長は特殊な能力の持ち主なのか回想に直接介入します。カメラマンの方はもっぱら突っ込み担当となっています。

追われる若い男を助けるヒロイン。左の目元のホクロが特徴。これで見分けがつきやすくなっています。見てて助かる。
1番大切な物を開けるカギとのこと。この男のVCを山寺宏一が担当しているとは全く気がつきませんでした。上手いじゃん。

満州にて専務の甥で映画監督になるという大滝と男が登場。VCは鈴置洋孝でスカイパーフェクTV274の『おくびょうなカーレッジくん』に出てくる悪役キャラのキャットにそっくりなのです。というかそうなのでしょう。そんなわけでどんな気障なセリフを言ってもギャグに聞こえます。
イヤミな先輩女優も登場。この女優さんのモデルは間違いなく杉村春子でしょう。

で、イヤミな先輩女優の陰謀で映画を放り出して汽車で北に向かいますが馬賊に襲撃されます。
と思ったら満州からいきなり日本の戦国時代に切り換わります。
ここで黒澤明監督の『蜘蛛の巣城』(1957年)そのままの予言をする怪しげな老婆が登場して、謎のお茶を飲まされます。1000年生きるとのことです。

時々回想からインタビュー中の現在に戻ったりします。

次はいつの時代のなのか定かではない忍者物になります。
忍者アクションの描写はさすがに上手い。同じマッドハウス製作の『カムイの剣』(1985年)がまた見たくなります。
インタビューをしている社長が回想に参加して助太刀をしてます。何でもありなのかい。あまり浮いてないからいいのでしょう。

次は幕末の京都を舞台として女郎物になっています。
敵役の女優さんも一緒に出てたりします。
ここでまたカギの男で出会うヒロイン。いつの時代でも官憲の男は同じキャラが担当しています。
目撃したことをごまかしますが見覚えがあるとして捕まります。
牢屋から出してもらったとこでまた色々とあります。

次は太平洋戦争末期の大空襲のシーンとなります。
で、敗戦後の焼け野原のシーンとなります。焼け野原は天災ではなくアメリカ軍がやらなくてもいい市街地無差別爆撃をしたのが原因です。空襲と書くと天災のような感じがしますがそうではありません。

戦後の映画界の描写となります。
主に松竹がモデルとなっているようです。大滝監督のモデルは?→小津安二郎監督ではないようです。他の松竹作品は全く見ていないのでわかりません。

撮影のセットがカギを無くして大騒ぎとなります。これはライバル女優がやったとのことです。後になってやらせたのは大滝監督とわかります。
カギが無くなったせいで大滝監督と結婚して家庭に入ったヒロイン。

太平洋戦争時は憲兵だった男が会いに来ます。カギの男からの古い手紙を渡します。
憲兵の末路を描写しているを見るのは日本映画では珍しいことです。うやむやなのがいつものパターンです。

そんなこんなで時空を越えて走る走るのヒロインとなっています。
特急はつかりに乗って青森へ向かいます。青森に着いたら、そこからは青函連絡船でしょう。
ですが途中で事故でストップします。これはゴジラが北から移動中だろうと早合点したが違っていました。→『キングコング対ゴジラ』(1962年)からの連想です。

宇宙のヒロイン。
と思ったら撮影セットで事故が起きます。ここでヒロインは女優業から引退となったとのことです。

色々とありましてプロローグに戻ります。
インタビューの最中に地震が起きて藤原千代子(70代)は病院送りとなります。それにしてもこの作品の日本は年中地震があるように思えます。

病院のロビーで例の元憲兵の話しでカギの男は既に死亡していとわかります。
女優、藤原千代子(70代)はこのことを知らないようです。
また会えるとなりエンドとなります。正直言って泣けました。


この作品のヒロイン藤原千代子のモデルになっている女優さん?となるがあまり思い当たりません。松竹配給なので松竹風にしていますが実は違うようです。大映の女優さんのイメージはありません。東映は女優さんを使い捨てしているのて論外となります。
満州からだと岡田嘉子。
戦後の松竹風からだと原節子。
怪獣映画の女性博士風からだと博士役はやっていなかったけど浜美枝か星由里子。
ちなみに私の女性博士の1番のお気に入りはTVシリーズ『ウルトラセブン』(1967年)の26話『超兵器R1号』に登場していた田村奈巳が演じる博士になります。田村奈巳は岡本喜八監督の作品には出ているのに東宝特撮作品には出ていなかったりします。何で?

VCで・・・
藤原千代子のVCは複数でこなしていたと思ったが3人とはわかりませんでした。小山茉美さんはいつ頃をやっていたの?これは演出が上手いとなるのでしょう。
VCのキャスティングは場違いな人がいないのがいい。宮崎駿監督作品に結構あったりします。
社長のVCは池水通洋だと思ったら飯塚昭三でした。わからないということは作品の出来がいいということです。
カギの男が山寺宏一もわからず。官憲の男が津嘉山正種というのもわかりませんでした。
津嘉山正種も好演。そんなことから押井守監督の『機動警察パトレイバー2』(1993年)の柘植行人のVCは根津甚八ではなく津嘉山正種がやったほうがいいと今更ながら思ったりします。


日本映画界はしょうもないと思います。
自社の作品すら満足に残していないのですから。散々金もうけをた連中は寿命が尽きて死んでもいいから作品だけは残して欲しかったとなります。自分らの宴会のカネは惜しまないくせにフィルム保存のカネは惜しむのですからこまったものです。

これはまた私の予想とは全く違っていた展開でよかったです。
もっと湿っぽい話しかと思っていました。そんなわけであちこち飛びまくりで正直言って面白くて、それに泣けるよい作品でした。安売りしてたらDVDで買ってもいいです。

新作の『東京ゴッドファーザーズ』(2003年)ですが最初はアニメのヤクザ映画なのかと思ったがプロットを知ったらこれはジョン・フォード監督の『三人の名付け親』(1949年)なの?アニメで出来るかいなとなりました。でもこの作品の出来なら大丈夫でしょう。



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