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2005.08.28

『汝の敵、日本を知れ』(1942-1945年)

この作品は戦時中に作られたアメリカの対日本プロパガンダのようです。
なおこの文はネタバレ全開となっています。

1942-1945年 アーミー・ピクトリアル・サービス/シグナル・コープス アメリカ作品
ランニング・タイム◆63分
原題◆Know Your Enemy: Japan
プロット◆アメリカの対日本プロパガンダの中編です。
有限会社テクニカルスタッフ発売のDVD『ドキュメント 第二次世界大戦の記録 第3巻 戦争プロパガンダ 汝の敵を知れ!』より。これは紛れもなく『汝の敵、日本を知れ』です。
画質はまあまあ。今回は日本語版で見ました。金内吉男ではありません。誰?クレジットがありません。

かなり以前TBSがまともな頃の番組『報道特集』の放映で見ました。ナレーターは金内吉男と記憶しています。
これはまた衝撃的な内容で、その話しを作り上げる手法に感心したものです。

フランク・キャプラ監督-ジョリス・アイバンス監督の演出はよいと思います。
あの人情物が得意なキャプラ監督とはマジで驚いた。編集で話しを組み立てるのは結構上手いじゃん。もしかして編集スタッフにおまかせだったのかな。

シーン転換に鐘をつくショットが入ります。
バンザイのショット。
鉄を打って仕上げるショット。
所々に『万歳』『鐘つき』『鉄を打つ』等のショットが入り、カットバックとなって効果的なのです。編集の威力は凄いと感心します。

『鉄を打つ』ショットをカットバックして効果音も入れるのが印象的。
兵隊を鍛えるモンタージュとなっているんです。

この当時はソ連が連合国側なのでスターリンの扱いがいい。

英語のナレーションはジョン・ヒューストンだと思い込んでいましたが、ジョン・ヒューストンの親父ウォルター・ヒューストンでした。それに1人だけではなくウォルター・ヒューストン以外にもナレーションをしているようです。


ウォー・デパートメント・オリエンテーション・フィルム。
前説字幕。
この作品について。
タイトル
前説字幕。
日系二世について色々と、英語がどうのこうの、日系二世でも英語を話し、ヨーロッパ戦線で戦ったとか・・・
あまり偏見はないような。

日本人の実態。当時の風俗の風景。
ライブアーカイブの映像がそのまま使われています。
日本刀の実演デモ。ワラを切っています。
祭り等のモンタージュ色々。
浅草松坂屋が見えます。
新橋行きの電車が止まる。

国民の風景。で、突然といった感じでナレーションが入ります。
日本人とは、平均値として、身長160cm、体重50kg、月給10円、等。
全員同じ顔と言ってる。→それはアメリカ人がアジア人の顔を見分けることができないだけのことでしょう。

天皇 裕仁について。
昭和天皇は政治も宗教も司っている。太陽のような裕仁天皇。
TIMEの表紙になったこともあるらしい昭和天皇。128代目とのことです。
1940年は紀元2600年のこと。天皇の系譜について。かなり正確です。

神道について。
900万の神々等。精霊達、何でも神がいるとしています。
10万の神社があるらしい。
この辺までの印象ですが、意外はまともだとなります。少なくともハリウッド製の普通の娯楽作品なのにその気はないけど結果的にそうなっている国辱映画よりまともです。

神道の悪い面。
1870年頃から神道は変ったとなっています。
八紘一宇の説明があります。わかりやすくアニメで描写されています。
マジでとてもわかりやすい。
靖国神社のことも描写されています。感情の錬金術の説明。靖国に入ったからしょうがないということらしい。靖国神社というのは始末が悪い。
箸をチョップスティンクと言ってる。
線香と一緒にタバコもお墓に捧げているのはあまり見ないような。

2005年現在でもいまだに靖国神社でバンザイとやっているのは見てて違和感があります。あれはどんな人種、階級、身分の方々がやっているんだ?→支配階級、特権階級を自認して靖国で喰ってる連中なのでしょう。
いわゆる国民の立場からすれば、身内が死んでも靖国に入ったのだからしょうがないで済まされるので、正直言って反対の人が多いでしょう。

「自衛隊の諸君、靖国で会おう」これは要するに死ねと言ってることです。これに対して、まさか自衛隊は軍隊のコスプレをしている公務員だから死ぬのは規則違反ですなんて言わないでしょうね。

日本とは、色々な描写。
カリフォルニア州よりやや広い。農耕地帯は16%
岩山、火山、地震。山ばかりで平野が少ない。地震は多い。
原住民はアイヌ族。凶暴なモンゴル族が侵略。更に多くの部族が侵入。血が融合して日本となります。
純血ではなくアイヌ、モンゴル、満州、マレーシア、等の混血。→日本人はこの島々に突然に湧いたのではないから、おそらくこれが正解なのでしょう。

侍について。
大名。武士道。裏切り、ハラキリ、合戦。
重要なのは裏切り、謀反の是認、武術を磨く、待ち伏せ、急襲、
武士道は裏切り、内通、日本の掟、凄いな。
で、将軍を目指す。

1592年、豊臣秀吉について。中国侵略。韓国も。
他国侵略のこと。これはおおむね事実です。
耳を切り取り持ち帰ると言ってます。同じようなことはどこの国だってやってるような。アメリカ兵だって日本兵の金歯を集めていたではないか。

1521年、マゼランがフィリピンへ。
で、スペインとポルトガルが日本にキリスト教ももたらす。
逆上した侍が弾圧となります。→どこの国だってやってるような。

鎖国となる日本。アニメで描写。わかりやすい。
鎖国は200年続くとあります。→これは周りの国から置いてきぼりになるので大失敗な政策だとわかります。外国との交渉も出来なくなってしまい、交渉のノウハウが得られずと、全くいいとこがありません。

アメリカ、フランスは自由のために戦うと何か事実とずれてることを言ってる。さすがプロパガンダです。

1853年、ペリー提督が軍艦4隻で横浜に入港。
1868年、新政府は将軍をやめて明治天皇を前面に出してその下で天皇に進言する形に入る。神道を使い強力な軍隊を作ることになる。近代化へ。
最初はフランスと英国を手本にしていたが、1870年にドイツにくら替えする日本。
外国から学び、外国を滅亡させる日本。これが裏切り。

武士道は裏切りにありとしています。
その例として、勝った方の国につく日本。→今はアメリカべったりです。
議会は無意味な日本。→今と同じじゃん。
何だか2005年現在でも同じような気がします。

近代化しても下層階級は変らない。
11歳か12歳になると女児を売る父親達。
太陽のような裕仁天皇のモンタージュ。
17世紀のそのままの農民の生活。
一家で最高年収160ドル。最低は16ドル。

日本の家について。
生活水準は世界最低。
1週72時間労働。
労働組合はない。
→当たらずとも遠からずといったとこです。

軍、財閥、政治家、で国を牛耳っているとしています。
日本のゲシュタポ、憲兵、思想警察が思想を取り締まる。
頭山満とは何者?→黒龍会顧問。国家主義者。右翼の巨頭。
政治家暗殺色々。
国民の97%が読み書きが出来る。→アメリカより優秀ではないか。
自ら考えることをしない生徒達。→今と同じじゃん。
天皇崇拝を教え込みます。八紘一宇も。

1894年、現時点の力を試す日本。いつも通りまず中国を攻撃。台湾を占領。
1904年、ロシアと一戦。
1910年、韓国を侵略。
1914年、どさくさに紛れて領土拡大。マーシャル、カロライナ、マリアナ。
等と日本の悪行を紹介しています。
アニメで凶暴なタコが脚を伸ばしています。

1904年。大きな行動に出る日本。日露戦争に勝利する。
世界制覇なんて言ってる。凄いな八紘一宇。

1927年、田中義一上奏文、八紘一宇ハンドブック。
アニメでわかりやすく描写されています。この資源はあの国で調達する色々で、その最終目的が世界征服となっています。
これだとまるで悪の組織です。ショッカー並みとなっています。

思想政策色々な描写。野球より相撲とか。わかりやすい。
全体的に出来の悪い冗談のような風景です。笑うに笑えない。

1931年、アメリカMLBのルー・ゲーリッグ、アル・シモンズ等が来日。この年はべーブ・ルースは来日してなかったようです。

日本のスポーツ色々。
外交も柔道技でくるとやってます。どんなんだ?

スパイを放つ日本。
ハワイ攻撃の準備をしていることになっています。
アジアは日本が守るとプロパガンダのラジオ放送。

日本国内の64%を占める家内制手工業から作られる製品の数々。
ダンピングや偽アメリカ製品等で稼ぐ日本。
このカネで武器を造ります。国民は貧しいままです。
手工業と武器の数々のカットバック。鉄を打つショット。効果音も使っています。
最高の武器は次々は思想教育で生産される日本兵とのことです。
これはまた傑作なモンタージュとなっています。
鐘をつく効果音も入っています。

1931年09月18日 満州事変。
新聞の見出しのモンタージュ。バンザイのショット、こればっかりですが効果的に作り上げています。

日本のニュースフィルム。朝日世界ニュース。
まるで2005年現在の北朝鮮のような口調のアナウンサーです。

フィリピン、バターン死の行進。7日間のことらしい。
マニラを退却する時に街を焼き払った日本軍。→どこの国だってやってるような。
バンザイのショット。編集がお見事です。
日本と戦争するのは近所の狂犬を殺すことと同じだとしています。
1942年に製作したのはここまででしょう。


以下は景気のいい映像が続きます。
マッカーサー、フィリピンに帰還。
硫黄島。→日本軍は補給もしないで戦闘が出来るのか?出来るわけがない。
沖縄。→国民=一般市民を巻き込んでの戦闘となっていたらしい。日本軍は国民=一般市民の味方ではなかったという事実があります
B-29による日本各地への爆撃。→その仕上げが原爆ということです。

軍事工場を報復爆破なんて言ってるけど市街地無差別爆撃の方はどうなのよ?。
物資も人員もなく、士気も落ちていたから爆撃してもそんなにメリットはなかったはずです。
なんせ日本は市街地無差別爆撃で石器時代にされんたんだから凄い。これは事実です。

旧日本軍の神風アタックは射的の世界です。特攻機はホトンドが撃ち落とされてアメリカ軍は余裕です。全然効果はない。これも事実です。

そんなわけでジョン・ウェインが出てきても不思議ではない状態となっています。
で、ナチスの次は日本を片づけるとのことです。
この辺は1942年製作したフィルムに1945年頃にアメリカの輝かしい戦果を付け加えたようです。

自由の鐘=リバティベルをバックにVの文字でエンドとなります。
お気楽なものです。

そんなわけで、これは見事なプロパガンダ作品でした。
この国の2005年現在も根本的にはあまり変わっていないような感じがするのは何故?

◆補足として奇妙な現実について・・・
江戸時代は鎖国をやって、明治以降は侵略をやって、太平洋戦争で敗戦となりアメリカの植民地(継続中)になった。日本という国を簡単にいえばこうなるようです。極端から極端に走り、しかも考え方は後ろ向き、あまりいいDNAを引き継いでるとは言えないようです。何となくそう思えます。
→アメリカ占領軍のマッカーサーは日本人を12歳の子供と称したけど、そうなると2005年現在の日本はヤンキー(アメリカ)にカツアゲされている12歳の中学生となるようです。これが現在の状態です。
アメリカは貯金もしていないのに日本をATM代わりにカネをむしり取っているのです。喜んで払ってその1部を中抜きして懐に入れてしたたかなつもりの日本の権力者連中もこまったものですけど。

日本がアメリカの言いなりになるメリットは、決して北朝鮮からミサイルが飛んできたらどうするではなくて、アメリカに日本の現体制を黙認してもらう。これしかない。これは1部の人達の利益にしかすぎません。国益ではないことは確かです。
アメリカの言う通りにしない政治家は失脚させられてさらし者にされます。そんなことを恐れていてどうするとなりますが現実は言いなりな政治家だけなのです。


この国の支配階級を自認してる連中が国民と言い始めるとロクなことがありません。
あちら側からすると、国民とは、無知で愚かで、思想信条は言いなりで、物、カネ、それに自分の命までも、言われるままに差し出すのが国民となっているようです。
それに自分の首にロープが巻かれていて引っ張られても「ありがとうごぜいますだ」となるのが国民となっているようです。
なんとも自己破壊的なお人好しなのが国民となっているらしい。
これでは誰も自分が国民とは思っていないでしょう。それなら誰に向かって言っている?不思議です。ですが、そのうちに嫌でも自分達が国民とされていることを認識する時がくるでしょう。それでは遅過ぎるのですけど。


新しい国民。空気を読む人達。
その場の空気を作り出せばそうなってしまうことになります。これはこれで結構なことです。
ですが、空気を読むに敏な人達は無知で愚かな人達より始末が悪い。情報操作する側からすれば、無知で愚かな人達は1から10まで教えないといけないが、空気を読む人達は雰囲気だけで言う通りにしてくれるので手間が省けるとなっているでしょう。
で、当の空気を読むに敏な人達は自分だけは上手くやっていると思っているらしい。救いがたいとはこのことなのかも。


この国の現在の地上波TVについて・・・
正直言ってTVは強力なプロパガンダのメディアであることは否定出来ないことです。この国の現在の地上波放送のひどさがそれを表わしています。カネのかからないといってタダのTVを見ているとマジで白痴になります。TVを見てると白痴になるというのはもう証明されていることなのです。
白痴ではわかりにくければ脳みそがスポンジ化するともいえます。この発生率は地上波TVを見てれば100%の発生率なのです。狂牛病も真っ青な発生率なのです。
地上波TVを見て自分が白痴=脳みそがスポンジ化となってタダより高いものはないと実感出来るか?→白痴=脳みそがスポンジ化だから実感も出来ないか。こまったものです。

現実の日本の地上波TVでは・・・
お涙頂戴なナレーションに音楽。
画面外からの笑い声。
大げさなナレーションに音楽。
日本語放送なのに日本語字幕が入る。字幕で強調したいだけ?そんなわけがない。
配給されるニュース。ニュースとは起こるものではなく配給されるものになっています。
日本では地上波TVを見て喜怒哀楽をコントロールされて、地上波TVを見てわかったつもりになっていても、実は何もわかっていません。
そんなわけで現実は映画よりぶっ飛んでいます。

◆TV対策はこうやったほうがいい。
◆TV局に苦情は言わない方がいい、TV局に苦情の電話しても反応があると喜ぶだけです。
◆スポンサーに直接苦情を入れればいいのです。あんなとこのスポンサーなら商品を買わないぞとやればいい。
◆不買運動までいかなくてもいいけど自然に不買にすればいいのです。
◆この類いの運動は分断と抜け駆けになるに決まっているのでイマイチ効果が出ないのです。
◆TV局なんてカネが集まるから大きな顔が出来るとこなのです。
◆カネがなければ何の価値もありません。
◆プロパガンダをやっているどころではなくなります。
◆ですからスポンサー企業に直接クレームが効果的なのです

三権分立とは関係ないけど・・・
政治屋は選挙はまかせろ→選挙になったら何でもありで勝てば悔しければ選挙に勝ってみろと、うそぶき、せせら笑います。
役人(裁判官も含む)は国を動かすのはまかせろ→議会で政治屋が政策について議論するなんてとんでもないことだ、政治屋は採決だけやってろとなります。役人のモットーは貧乏人を甘やかすとつけ上がる。少しずつ税金を徴収すれば塵も積もれば山となる。めざせ全員天下り。こんなものでしょう。
マスコミは世論はまかせろ→世論は映し出すのではなくマスコミが作るものだとなります。マスコミの個人個人は何とか抜け駆けをして御用聞きから太鼓持ちに出世することしか考えていないようです。これが原動力なのか?
まさに三位一体です。たいしたものです


戦争大好きな連中は、開戦の前日を永遠に繰り返したいのでしょう。
いいカッコができるし、法案は通し放題、予算は取り放題、国民統制はし放題、やりたい放題痛快丸かじり。いうことない状態になれます。
で、間違ってマジで戦争に突入したら、戦争状態を遂行する能力はありませんし、和平交渉する能力もない。当然悲惨な目にあうのは国民です。
戦争大好きな連中は本人はもちろん、身内で特に連中の息子達は絶対に戦争には行きません。国内で偉そうにしてやりたい放題の憲兵幹部になるくらいでしょう。

そんなわけで、こうなります。
戦争に行くのは国民のあなたです。
戦争に行くのは国民であるあなたの息子です。
選挙で投票するたびにこのことを思いましょう。国民が自ら意志を示すには選挙で投票をする、これしか出来ないのですから。

役人を選ぶことは出来ないが、政治家は選挙で選ぶことが出来る。
政治家は選挙を嫌がっている。直接関係ない役人やマスコミも選挙を嫌がっています。
何で無知で愚かな連中に選ばれなければならないんだと政治家は思っているでしょう。
役人は政治家がコロコロと替わったら、自分に関係ある政治家の御機嫌をとったり、操る手間が増えるとやはり嫌がるでしょう。
マスコミは御用聞きする政治家が替わるのを嫌がります。
そんなわけで人の嫌がることをやるのが好きな人は選挙に行こう。こうなります。

選挙しかないというけれど・・・
◆まともな候補がいない。
◆まともな選挙運動になっていない。権力べったりのマスコミもしょうもない。
◆ホントに公正な開票なのかがハッキリ言って怪しい。
◆そんなわけで唯一の手段がスポイルされています。ここから何とかしないといけないようです。こまったものです。


◆追記2010年07月
沖縄は戦争中から生け贄の地で、戦後もそのまま生け贄となって、現在も生け贄の地になっています。
政権交代しても全く効果がないのも凄い。奇妙な現実です。政治家の能力以前に、政治家の力を発揮する状況でないのがまた凄い。



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