『ミニミニ大作戦』(1969年)
この作品はピーター・コリンソン監督でマイケル・ケイン主演のカーアクションが入った泥棒コメディのようです。
なおこの文はネタバレ全開となっています。
1969年 オークハースト・プロ/パラマウント 英国作品
ランニング・タイム◆99分
原題◆The Italian Job
プロット◆イタリアで仕事をする英国の面々の話しのようです。
音楽◆クインシー・ジョーンズ
パラマウント発売のDVDにて。画質は非常によいです。
キャスト
マイケル・ケイン→出所したてのチャーリー
ノエル・カワード→ムショの王様ブリッジャー
トニー・ベックリー→チャーリーの相棒フレディ
ベニー・ヒル→変態のピーチ教授
ラフ・パローネ→マフィアの親分
ロッサノ・ブラッツィ→事故死したロジャー・ベッカーマン
マーガレット・ブライ→ガールフレンドのローナ
ジョン・ルモーゼラー→刑務所長
ピーター・コリンソン監督の演出はよいと思います。
プロローグ
スーパーカーのランボルギーニ・ミウラが山坂道を走ります。
タイトルとなります。
プロデューサーはマイケル・ディーリーです。後にワーナーの責任者になった人ではないですか。
トンネルに入るランボルギーニ・ミウラ。
トンネルを抜けるとそこにはブルドーザーのバリケードがありました。激突して爆発炎上となります。
残骸は崖下に突き落とされる。これはスクラップをそれらしくした吹き替えかも。
花束を捧げるイタリアンマフィアの面々。最初からハッタリ描写をかましています。
マイケル・ケイン扮するチャーリーは出所します。
ムショを出たとこで迎えのクルマが来ています。マーガレット・ブライ扮するガールフレンドのローナです。
スーツを新調するチャーリー。これは流行遅れで博物館行きですと言われています。クルマを受け取ります。シルバーのアストン・マーティンです。
ホテルへ行きます。602号室では女の子達に歓迎されるチャーリー。
1662号室ではランボルギーニ・ミウラを運転していたロッサノ・ブラッツィ扮するロジャー・ベッカーマン夫人に会います。仕事を引き継いでくれとなります。
アパートでフィルムを見るチャーリー。
ランボルギーニ・ミウラで死んだロジャー・ベッカーマンからの伝言となっています。
イタリアのトリノ市を舞台に400万ドルの金塊を強奪しようという計画です。
相棒のフレディに電話するチャーリー。
あっさりと断られます。
ムショにて。
ノエル・カワード扮するムショの王様ブリッジャーをトイレで待ち伏せるチャーリー。この計画をブリッジャーに聞かせます。
トイレから出てきたブリッジャーは刑務所長に苦情を言います。どうやらブリッジャーは刑務所長より偉いようです。
頭に来ているブリッジャーはチャーリーにヤキを入れろと指令します。
ブリッジャーはムショ内の自室に入ります。そこはエリザベス女王のピンナップだらけとなっています。よく検閲を通ったなとなります。
チャーリーにヤキを入れに行く男3人。
チャーリーは女の子3人連れ込んでいるとこをガールフレンドのローナに踏み込まれて大騒ぎとなっています。ヤキよりこっちの方が大事のようです。
この計画がイタリア経済界に打撃が与えられるとなって気が変わるブリッジャー。大英帝国のためとナショナリズムに燃えています。
ところでイングランドを日本語字幕ではイギリスとしています。
ブリッジャーから計画にゴー指令が出たのでチャーリーとフレディは準備にかかります。
コンピュータの権威ピーチ教授を訪ねます。
太っているピーチ教授は太った女性が好みの変態です。
全員で打ち合わせとなります。
英語では3台のミニ・クーパーと言ってますが日本語字幕では小型車となっています。こういう配慮が気にくわないのです。
それぞれ担当があります。総勢10人以上の大所帯です。
ミニ・クーパーは改造中。テスト走行をしてクラッシュしています。
輸送車を想定したバンを爆破します。粉々となります。ドアだけでいいんだとチャーリー。
ムショにて準備報告のフィルムを見るブリッジャー。
クルマがクラッシュしたら予算オーバーだとブリッジャーはご機嫌斜めとなります。
で、ミラノで撮ったフィルムにはマフィアが映っていることに気がつくブリッジャー。これはタダでは済まないとなります。
このへんは準備と報告フィルムのカットバックになってます。
誰かの葬式にて。
チャーリーにマフィアに注意しろと警告するブリッジャー。
マイケル・ケインとノエル・カワードが並ぶとさすがにいい感じです。俳優の魅力が全開といった感じです。
マイケル・ケインはケイリー・グラントの正統な後継者だと思えます。
フェリーでイタリアに向かうチャーリー他の面々。
赤、白、青のミニ・クーパー。改造バス。サッカー応援団のバン。装甲車風のバン。色々。
別にクルマ3台。シルバーのアストン・マーティンに赤と青のジャガーEタイプで移動しているとこでマフィアからの歓迎を受けます。
キャラピラー社製のパワーショベルで赤と青のジャガーEタイプがスクラップになって、アストン・マーティンは崖下に落とされます。
ここはクルマの吹き替え無しのようです。豪勢なものです。
チャーリー他の面々は行動開始となります。
コンピュータの入ってるビルに侵入します。
破壊工作で変電所を襲い停電させます。これがチャーリーが自転車をこいで変電所上の丘まで来てその乗った来た自転車を投げ込んで停電させていました。シンプルでセコい破壊工作でよいです。
コンピュータの磁気テープをすり替えます。これで道路信号を狂わせる計画です。
決行の日となります。
空港です。金塊が輸送されてきます。
ローナをスイスかどこかに行かせるチャーリー。
アジトにて。
最後の打ち合わせとなります。出発します。
チャーリーの最後の指示が「右側通行に気をつけろ」ときます。今更何だと面白い指示です。
手前の人物と奥の人物を合成する手法を使っています。
太った中年婦人のストーカーとなり路面電車に乗り込む変態のピーチ教授は当然捕まります。これで退場です。
マフィアの親分は黒のマセラッティ?で輸送車を尾行しています。
トリノ市街の道路はルパン三世の愛車のフィアット500であふれています。これはいいシーンです。
監視(防犯ではない)TVカメラを妨害する工作となります。
小細工をしたコンピュータが作動を始め信号機が誤作動をおこし大渋滞となります。出番を待つミニ・クーパー3台。
尾行してた装甲車もどきのバンは輸送車を襲撃して中継場所に輸送車ごと運び込みます。金塊をミニ・クーパー3台に積み込みとなります。
ここはイタリア警察側が大型カーキャリアトラックを使いドアを破ろうとするサスペンスとなっています。
準備完了でミニ・クーパー3台がスタートします。残りの連中はイングランドサッカーチームのサポーターを装ったバンに乗り込みます。
階段を下ります。
ショッピングモールを走ります。
歩道を走ります。→ついでながら渋滞中はバイクがよく走っているのを見ます。
階段を下り地下道へ入り走ります。
教会の階段を下ります。ついでにチャーリーは結婚式の祝福しています。
屋根を上ります。また同じとを通り屋根を下ります。何なんだ?単なるかく乱の行動なのかい。
クルマの売り場に紛れ込みます。
ビル街を上を使う高架道路を走ります。ビルからビルへとジャンプします。
土手を走ります。
川を渡ります。無茶してます。
下水道を走ります。下水管内を右に左に傾いて走ります。
河原を走ります。
普通の道路に戻ります。
このようなカーアクション描写が続きます。いいものです。
ムショでは成功を祝福されるブリッジャー。
囚人や刑務所内の人員総出で祝福となっています。ムショの王様ぶりを発揮といったとこです。
ミニ・クーパー3台の走行とカットバックでしつこく描写されています。
普通の道路に戻ったとこで、ミニ・クーパー3台は改造バスに次々と乗り込みます。バス後部からレールが降りてそこから乗り込むわけです。
ミニは前輪駆動(FWD)なので駆動の掛け方が難しそうです。走行中からいきなり停止状態になる状況です。
無事に3台が乗り込んだとこでレールは道路に捨てています。
バスは山坂道に入ります。
ここで金塊も下ろしたので用が済んだミニ・クーパー3台を次々と走行中のバスから崖下に文字通りに蹴落としています。愛車精神の欠けらもありません。
崖下の転がり落ちるミニ・クーパー3台を省略せずにやけにていねいに描写しています。よくわからん。
ミニファンの方々には正視に耐えないシーンだと思います。
バスはイングランドサッカーチームのサポーターを装ったバンと落ち合います。
バスだけで走り去ります。
ことは順調の筈ですがアクシデントでバスがスリップをして崖から半分以上はみ出してスタックします。
さてどうする?そのままだと金塊はズルズルと崖下部分に動いていくし、取りに行けばバランスを崩したバスは崖下に転落します。
で、チャーリーの「よいアイデアがある」のセリフで何もおこらずそのままの状態で唐突にエンドとなります。
現在のハリウッドでは絶対に出来ないエンドです。
ミニ・クーパーの後にはGBのステッカーが貼られています。これは英国のマークです。Iはイタリアです。で、この国でJと貼ってもJのクルマしかいないのであまり意味はないと思われます。
そんなわけでこれは佳作ですが、ミニに対して愛車精神の欠けらもないひどい扱いなのでミニファンの方々には見せられず、しかも本編の方はまともに終わらす気もないという、いい加減なよい作品でした。
この作品のミニのカーアクションから他のカーアクションとなると・・・
スティーブ・マックィーン主演、1968年型マスタング・ファストバック390GT対1968年型ダッジ・チャージャーR/Tの元祖カーアクション『ブリット』(1968年)
ダッジ・チャレンジャーがひたすら走る『バニシング・ポイント』(1971年)
スタントドライバーが『バニシング・ポイント』(1971年)と同じ人が担当しているのでカーアクションが何となく似ている『ゲッタウェイ』(1972年)
1968年型シボレー・インパラと1969年型ダッジ・チャージャーR/Tが走る『ダーティ・メリー クレイジー・ラリー』(1974年)
本編はイマイチですが色々なクルマが走ってる『激走!5000キロ』(1976年)
オカルト・カーアクションの『ザ・カー』(1977年)
バイクはカワサキZ1000でクルマはOHV V8エンジンの『マッドマックス』(1979年)
マツダのRX-7とコスモAPのカーアクションがある『太陽を盗んだ男』(1979年)
赤いBMWが走りまくる『ザ・チェイス』(1994年)
無難なリメイクになっている『バニシング・ポイント』(1996年)
スピードは文句ないけどエンジン音が物足りない『RONIN』(1998年)
1950年代のキャデラックが出てる不条理ホラー『ジーパーズ・クリーパーズ』(2001年)
プリマス・バラクーダとキャデラック・エルドラドが対決する『ハイウェイマン』(2003年)
日本の新しめのクルマが走りまくる『ワイルド・スピードX2』(2003年)
会話シーンの合間にクルマが走る『デス・プルーフ』(2007年)
TVシリーズ『マッハGoGoGo』(1967年)の映画版にしては微妙な出来で、カーアクションとしても微妙な『スピード・レーサー』(2008年)
等々の感想があります。
ところで多くのカーアクションを見ていたらOHV V8エンジンはアメリカ人の魂なのではと思えてきます。
マジでそのように思えます。
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